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【ダウナー姫・姫野李王】
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「おはようございます、早乙女さん!」
「ああ、おはようございます。髪切りました?」
「あ、そうなんです!さすが早乙女さん、気付いてくれて嬉しい~♡」
「──」
爽やかな挨拶を交わす男女を、冷めた目で見つめる。今日も社内の『皇子様』は外面の良さを存分に発揮しているようだ。呆れて欠伸を噛み殺せば、その姿はすぐにこちらへ近づいてきた。
「──なんだよ、これ見よがしに睨んできやがって。嫉妬?相変わらず辛気臭いねぇ、姫野クン」
「……部内の皇子様がこんな性悪だって知ったら女子社員も幻滅だろうな。晒されたいか?」
「か弱いお姫様に脅された所でなぁ~」
「……姫って言うな。お前だって乙女だろうが」
「乙女以上の皇子様なんだよ、俺は。お前こそ僻んでないで、俺くらい要領良く立ち回れって」
「お前みたいな裏表ある奴に成り下がったらそれこそ人生終わりだろ」
「ハッ。言ってろよ、地味根暗」
「うるせぇ、腹黒粘着男」
嘲笑うように捨て台詞を吐いて背を向ける早乙女に文句を返し、姫野は大きく溜息をつく。
毎度の口論相手、早乙女皇士(さおとめこうし)は会社の同期だ。いかにも正統派イケメンの早乙女は入社当初から注目を集め、ゲイである姫野李王(ひめのりおう)にとっても気になる存在だった。なにしろ抜群に顔が好みで、初対面から抱かれたいと思ってしまった相手なのだ。
だが一見人当たりのいい好青年の早乙女は蓋を開けてみれば相当口が悪い上、なにかにつけて絡んでくる鬱陶しさ極まりない男だった。正直今でもツラだけは心底好みだと思うのだが、顔を合わせればこの通り言い合ってばかり。まともな恋愛どころか、セックスさえ満足に出来るとは思えない。
「犬猿の仲だもんな~。わかりやすく。」
「顔はクッソ好みなんだけどな……本当に。」
「お前、結構経験あるもんなぁ」
「セックス、好きだしな。今はヤリモクのイベントも多いからヤるのは困らねぇし。男のが好みだって気づくまで、結構……時間掛かったし」
「ほーん。マジで地味なナリなのにドスケベ君」
「うるせ」
軽い調子で缶コーヒーを飲む、同じくゲイの同期をいなす。実際、同期の言う通り姫野は一見地味で目立たない風貌だがそこそこの性経験がある。男女共に付き合い、フリーの際は様々な相手とセックスをした。性欲も強く自慰も好きで、ゲイの受けとしての指向を自覚してからはアナル用の玩具もそれなりの数を持っている。若干マゾの気があることは──正直恥ずかしく、人に話したことはない。
「でも早乙女もいちいち絡んでくるってことは姫野が気になってんだろ?クソガキなんだよ、要するに」
「クソガキ──。」
そんなことを言われ、少々、面食らう。クソガキ。つまり……気になる相手にちょっかいを出すようなアレだろうか。そんな初心で天邪鬼な純情を、あの性悪皇子が持っているだろうか。本当にそうなのだとしたら、少し可愛く思ってしまうのが癪な所だ。いかにも人の扱いに慣れていそうなあの美形が、幼稚な行動で構われようとするなんて。
……ああ。なんでよりによって早乙女の顔があんなにも好みなんだろう。いっそブツが短小だったら、セックスのほうは諦めもつくのに……。
「ッ!?」
「ゔわッ!?」
──終業後、扉を開くなり固まったのは、全裸の早乙女が居たからだ。
姫野の会社は事業内容の関係で社内にジムやシャワー室が併設されている。そのため専用の更衣室もあり、そこで鉢合わせてしまった形だ。しかし、まさか全裸で性器を露出しているなんて。シャワー室がある都合上裸の相手を見る機会は少なくないが、まさか、こんな時に早乙女と遭遇してしまうとは……。大声を上げた早乙女も、心底驚いている様子だ。
「ッ──。」
しかも姫野の視線は、まっすぐに早乙女の性器へ向かう。つい先程短小がどうこうなどと思っていたせいで、自然と注目してしまったのだ。意識して見るその性器は萎えた状態でもそれなりの大きさで、姫野にとっては充分、お眼鏡に叶うサイズだった。おまけに形が良くエラも張っていて、勃起した状態を否応なく想像してしまう。……コレは勃ったらどれほどの大きさになるのだろう。一体、どんな凶悪な形になるのだろう……っ?♡
「……おいッ!人のモンまじまじ見てんなよ、変態か!?」
「えっ。──あっ。……あぁ、わ、悪い」
「っ……ハッ。わざわざ謝るなんてやらしいな。お姫様に見えてドスケベか?」
「……だったらどうなんだよ。別に俺がヤリチンだろうがビッチだろうが、お前には関係ないだろ?」
「……、──えっ。」
「?」
いつもの売り言葉に少々過激な買い言葉を返せば、何故か早乙女は硬直する。開かれる目は明らかに驚きや動揺を示したもので、その反応には姫野も驚いてしまった。今の言葉はあくまで慣れた口論の延長で、そんな感情を呼び起こすための発言ではなかったからだ。
「……。……悪かったな。」
「あっ……おい!」
なんとなく気まずい空気がお互いの間を流れ、姫野は早々に更衣室を出ようとする。これ以上何を話せばいいのかわからなかったし、実際、性器から目が離せなくなりそうなのは事実だったからだ。……早乙女の言う通り、自分は本当にドスケベな男なのだから。
「待てよ!今の、どういう意味……ッ!」
「ぁ、うわ……ッ!?」
だが、そんな切り上げ方に早乙女は納得出来ないようだった。背中を向けた所で不意に腕を掴まれ、体勢が崩れてしまう。身構えることができず、そのまま姫野はバランスを失って床へ倒れ込んでしまうが──不思議と痛みはない。恐る恐る目を開くと、肌色の視界に、早乙女が自分を抱き留めている。
「うわ……ッ!?♡」
「ぅ゙……ッ。おい、大丈夫か、姫野……っ、うおっ!?」
まさか早乙女に庇われるとは思っていなかった姫野は思わずその腕を振りほどき、咄嗟に距離を取ろうとしてしまう。なにせ早乙女は全裸の状態。元々抱かれたいと思っていた相手にそんな形で抱き締められるなんて、耐えられる気がしなかったからだ。
……だが、それが逆効果だった。
その行動は姫野を抱いたまま起き上がろうとした早乙女の動きと衝突し、再び姫野はバランスを失って倒れ込んでしまう。その着地点は──脚を大股に開いた早乙女の股間の中心。つまり……姫野は剥き出しの性器へ、顔を突っ込んでしまう形となった。
「ひッ!?♡ぁ、あぁ゙……ッ♡♡♡」
肌へ直に当たる性器の熱い感覚に気づき、思わず姫野は震えてしまう。事故とはいえ、まさかこんな間近で早乙女のモノを見てしまうなんて。シャワーを浴びる前だったのか、仕事終わりの蒸れたオスの臭いが鼻先に拡がり、姫野は吸い寄せられるように頬や鼻を性器へと近づけてしまう。そうすれば、純粋な刺激に徐々にそれは勃ち上がって。……気づけば姫野が望んでいたような、完全勃起した状態になっていた。
「ほ♡ほッ♡ほぉお゙……ッ♡♡♡」
目の前で見事にそそり立った性器はメスを悦ばせるのに特化した凶暴な形で、無意識に発情した吐息がこぼれてしまう。その姿を視界へ留めるようにまじまじと凝視すれば、流石に異常な状況であることを察したのか……早乙女は声を荒げて、姫野の身体を押し返した。
「お……オイっ!♡離れろッ、バカ!♡」
「あっ……!──、……わ、悪い……ッ!♡」
そこで、ようやく姫野も我に返った。一体なにをしているんだ、俺は。
慌てて起き上がって距離を取り、謝罪と共に今度こそ足早に更衣室を後にする。ブツを見ただけで発情してガン見するなんて、さすがにどうかしている。変態と言われても仕方ない行為だ。
……徐々に冷静になる頭に、後悔と自責が襲う。事故とは言え、あんなことをしてしまうなんて。しばらく早乙女とは距離を取ろう。顔を合わせないようにしよう……。そう姫野は誓うが──心臓はまだドキドキと高鳴り、顔に残るオスの臭いも身体の奥にまでこびりついて、決して姫野から無くなってはくれないのだった。
「──うわぁ゙ッ!?」
「ひゃ゙ッ!?♡♡♡む♡胸揉むな、ばかッ!♡」
「しょうがねぇだろ、コケちまったんだからッ!♡」
「せ、狭っ……♡離れろよ……!♡」
「無理だろ、こんな場所で……っ♡あ、ばか♡動くなよっ♡」
「んなこと言ったって……っ♡ああくそっ、なんでこんなことに……っ♡」
「んぐッ♡あ、クソッ、つっかえちまった……!」
「な!?ま、待てっ、ばか……ぉおん゙ッ!?♡♡♡やめッ♡ばか♡そこで息吸うな゙ッ♡♡♡」
「し、しょうがねぇだろッ♡んぐッ♡こっちは動けねぇんだよッ!♡」
「だ♡だからって♡そ、そこぉ゙♡ほ♡ほぉ゙ッ♡だ、だめ♡これ゙♡ぉ゙ッ♡ほぉ゙ッ♡ん゙おぉ゙~……ッ!♡♡♡」
──しかしそんな姫野の決意を嘲笑うように、その後も早乙女と会う度に不慮の事故のような出来事が立て続けに起こった。早乙女が倒れ込んできて胸を揉まれてしまったり、狭い場所にふたりきりで閉じ込められたり。前回とは逆に早乙女から尻に顔を突っ込まれた際は、お互い身動きがとれない状況に陥り、早乙女がしつこく顔を動かすせいでアクメまでする失態を犯してしまった。
「ぉお゙ッ♡さ、さおとめぇ゙♡ばか♡ばかぁ゙……ッ♡♡♡」
……つまりはいわゆる、「ラッキースケベ」と呼ばれる現象だ。しかもそんな事故が起こる相手は常に早乙女ばかり。正直相手が早乙女の時点で幸運でもなんでもないのだが、そんな日々が続く中……身体は彼に対し、顕著な反応を示すようになってしまった。
「ぉ゙ッ♡ほっ、おぉ゙~……ッ♡くっそ♡あの時のちんぽの臭いッ♡まだ、こびりついてる゙……ッ♡♡♡」
……その熱に抗えず、最近の姫野は早乙女をオカズにしてアナルでの自慰に興じる毎日だ。顔を合わせば口論ばかりの、犬猿の仲に相応しい気に食わない相手。それでも脳内を支配するのは、その相手の性器だけ。様々なアクシデントを経験しても、最も記憶に残っているのはあの性器──極悪ちんぽの存在なのだ。
今でも思い出せる饐えた臭いを想像し、床に固定したディルド目がけて腰を振る。性格が最悪なのにどうして性器まで好みなんだ、と苛立ちながら、早乙女に散々犯されている所を想像したアナニーを、姫野は今日も止められない。
「おぉ゙っ♡くっそッ♡あいつがオカズ、とか……ッ♡気に食わない、のに゙……ッ♡ほぉ゙ッ♡クッソ興奮する……ッ♡ぉほッ♡ほッ♡ぉほぉぉ゙ッ!♡♡♡」
深く腰を落とすのと同時に乳首を抓り上げれば、すぐに潮を撒き散らしてしまう。自分でよく弄っているせいで、姫野は乳首に弱い。目ざとい早乙女のことだ、彼もすぐその弱点に気づくだろう。やらしいんだよ♡ドスケベ野郎♡などと詰りながら、勃起した乳首をピンピンと弾きながらアナルの弱い場所ばかりを責めてくるはずだ。
ぉ゙ほぉ゙ッ♡くっしょッ♡サド妄想キッくッ♡ムカつく同期からのドスケベちくび責め♡チンハメ妄想ぉ゙ッ♡くっそキくゥ゙ッ♡♡♡ほぉ゙ッ♡ちくび♡ケツマン♡どっちもヤバい好みのやり方で責められるぅ゙♡好きなトコ全部バレて、早乙女からサドアクメさせられちまうぅ゙♡ほぉぉ゙んッ♡媚びるぅ゙♡早乙女に全身媚びるぅ゙♡マゾメス♡ザコメス晒して♡妄想なのに♡ムカつくのに゙♡情ッさけねぇ屈服あくめ♡しちまうぅ゙ッ♡♡♡
「ほッ♡ほぉ゙ッ♡イッグッ♡これイッグッ♡スゲぇのクる゙ッ♡ほぉん゙ッ♡ぉおん゙ッ♡さおとめ゙ッ♡さおとめぇ゙ッ♡ほッ♡お゙ッ♡おほぉぉ゙~……ッ!♡♡♡」
高まるザコ妄想に腰の速度を速め、絶頂と同時に激しく乳首を引っ張り、盛大に姫野はアクメする。射精しながらのメスイキは今日も最高で、突き上がるような快感の後に訪れる余韻に身体をくねらせ……姫野は沼のようなスケベ妄想に尚も、溺れるしかないのだった。
「お゙ほッ♡ほぉん゙ッ♡くしょ♡くッしょぉ゙♡ほへッ♡さおとめでドスケベ妄想ぉ゙♡ほぉ゙ッ♡く、くッしょぎぼぢぃぃ゙ん……ッ♡♡♡」
「ああ、おはようございます。髪切りました?」
「あ、そうなんです!さすが早乙女さん、気付いてくれて嬉しい~♡」
「──」
爽やかな挨拶を交わす男女を、冷めた目で見つめる。今日も社内の『皇子様』は外面の良さを存分に発揮しているようだ。呆れて欠伸を噛み殺せば、その姿はすぐにこちらへ近づいてきた。
「──なんだよ、これ見よがしに睨んできやがって。嫉妬?相変わらず辛気臭いねぇ、姫野クン」
「……部内の皇子様がこんな性悪だって知ったら女子社員も幻滅だろうな。晒されたいか?」
「か弱いお姫様に脅された所でなぁ~」
「……姫って言うな。お前だって乙女だろうが」
「乙女以上の皇子様なんだよ、俺は。お前こそ僻んでないで、俺くらい要領良く立ち回れって」
「お前みたいな裏表ある奴に成り下がったらそれこそ人生終わりだろ」
「ハッ。言ってろよ、地味根暗」
「うるせぇ、腹黒粘着男」
嘲笑うように捨て台詞を吐いて背を向ける早乙女に文句を返し、姫野は大きく溜息をつく。
毎度の口論相手、早乙女皇士(さおとめこうし)は会社の同期だ。いかにも正統派イケメンの早乙女は入社当初から注目を集め、ゲイである姫野李王(ひめのりおう)にとっても気になる存在だった。なにしろ抜群に顔が好みで、初対面から抱かれたいと思ってしまった相手なのだ。
だが一見人当たりのいい好青年の早乙女は蓋を開けてみれば相当口が悪い上、なにかにつけて絡んでくる鬱陶しさ極まりない男だった。正直今でもツラだけは心底好みだと思うのだが、顔を合わせればこの通り言い合ってばかり。まともな恋愛どころか、セックスさえ満足に出来るとは思えない。
「犬猿の仲だもんな~。わかりやすく。」
「顔はクッソ好みなんだけどな……本当に。」
「お前、結構経験あるもんなぁ」
「セックス、好きだしな。今はヤリモクのイベントも多いからヤるのは困らねぇし。男のが好みだって気づくまで、結構……時間掛かったし」
「ほーん。マジで地味なナリなのにドスケベ君」
「うるせ」
軽い調子で缶コーヒーを飲む、同じくゲイの同期をいなす。実際、同期の言う通り姫野は一見地味で目立たない風貌だがそこそこの性経験がある。男女共に付き合い、フリーの際は様々な相手とセックスをした。性欲も強く自慰も好きで、ゲイの受けとしての指向を自覚してからはアナル用の玩具もそれなりの数を持っている。若干マゾの気があることは──正直恥ずかしく、人に話したことはない。
「でも早乙女もいちいち絡んでくるってことは姫野が気になってんだろ?クソガキなんだよ、要するに」
「クソガキ──。」
そんなことを言われ、少々、面食らう。クソガキ。つまり……気になる相手にちょっかいを出すようなアレだろうか。そんな初心で天邪鬼な純情を、あの性悪皇子が持っているだろうか。本当にそうなのだとしたら、少し可愛く思ってしまうのが癪な所だ。いかにも人の扱いに慣れていそうなあの美形が、幼稚な行動で構われようとするなんて。
……ああ。なんでよりによって早乙女の顔があんなにも好みなんだろう。いっそブツが短小だったら、セックスのほうは諦めもつくのに……。
「ッ!?」
「ゔわッ!?」
──終業後、扉を開くなり固まったのは、全裸の早乙女が居たからだ。
姫野の会社は事業内容の関係で社内にジムやシャワー室が併設されている。そのため専用の更衣室もあり、そこで鉢合わせてしまった形だ。しかし、まさか全裸で性器を露出しているなんて。シャワー室がある都合上裸の相手を見る機会は少なくないが、まさか、こんな時に早乙女と遭遇してしまうとは……。大声を上げた早乙女も、心底驚いている様子だ。
「ッ──。」
しかも姫野の視線は、まっすぐに早乙女の性器へ向かう。つい先程短小がどうこうなどと思っていたせいで、自然と注目してしまったのだ。意識して見るその性器は萎えた状態でもそれなりの大きさで、姫野にとっては充分、お眼鏡に叶うサイズだった。おまけに形が良くエラも張っていて、勃起した状態を否応なく想像してしまう。……コレは勃ったらどれほどの大きさになるのだろう。一体、どんな凶悪な形になるのだろう……っ?♡
「……おいッ!人のモンまじまじ見てんなよ、変態か!?」
「えっ。──あっ。……あぁ、わ、悪い」
「っ……ハッ。わざわざ謝るなんてやらしいな。お姫様に見えてドスケベか?」
「……だったらどうなんだよ。別に俺がヤリチンだろうがビッチだろうが、お前には関係ないだろ?」
「……、──えっ。」
「?」
いつもの売り言葉に少々過激な買い言葉を返せば、何故か早乙女は硬直する。開かれる目は明らかに驚きや動揺を示したもので、その反応には姫野も驚いてしまった。今の言葉はあくまで慣れた口論の延長で、そんな感情を呼び起こすための発言ではなかったからだ。
「……。……悪かったな。」
「あっ……おい!」
なんとなく気まずい空気がお互いの間を流れ、姫野は早々に更衣室を出ようとする。これ以上何を話せばいいのかわからなかったし、実際、性器から目が離せなくなりそうなのは事実だったからだ。……早乙女の言う通り、自分は本当にドスケベな男なのだから。
「待てよ!今の、どういう意味……ッ!」
「ぁ、うわ……ッ!?」
だが、そんな切り上げ方に早乙女は納得出来ないようだった。背中を向けた所で不意に腕を掴まれ、体勢が崩れてしまう。身構えることができず、そのまま姫野はバランスを失って床へ倒れ込んでしまうが──不思議と痛みはない。恐る恐る目を開くと、肌色の視界に、早乙女が自分を抱き留めている。
「うわ……ッ!?♡」
「ぅ゙……ッ。おい、大丈夫か、姫野……っ、うおっ!?」
まさか早乙女に庇われるとは思っていなかった姫野は思わずその腕を振りほどき、咄嗟に距離を取ろうとしてしまう。なにせ早乙女は全裸の状態。元々抱かれたいと思っていた相手にそんな形で抱き締められるなんて、耐えられる気がしなかったからだ。
……だが、それが逆効果だった。
その行動は姫野を抱いたまま起き上がろうとした早乙女の動きと衝突し、再び姫野はバランスを失って倒れ込んでしまう。その着地点は──脚を大股に開いた早乙女の股間の中心。つまり……姫野は剥き出しの性器へ、顔を突っ込んでしまう形となった。
「ひッ!?♡ぁ、あぁ゙……ッ♡♡♡」
肌へ直に当たる性器の熱い感覚に気づき、思わず姫野は震えてしまう。事故とはいえ、まさかこんな間近で早乙女のモノを見てしまうなんて。シャワーを浴びる前だったのか、仕事終わりの蒸れたオスの臭いが鼻先に拡がり、姫野は吸い寄せられるように頬や鼻を性器へと近づけてしまう。そうすれば、純粋な刺激に徐々にそれは勃ち上がって。……気づけば姫野が望んでいたような、完全勃起した状態になっていた。
「ほ♡ほッ♡ほぉお゙……ッ♡♡♡」
目の前で見事にそそり立った性器はメスを悦ばせるのに特化した凶暴な形で、無意識に発情した吐息がこぼれてしまう。その姿を視界へ留めるようにまじまじと凝視すれば、流石に異常な状況であることを察したのか……早乙女は声を荒げて、姫野の身体を押し返した。
「お……オイっ!♡離れろッ、バカ!♡」
「あっ……!──、……わ、悪い……ッ!♡」
そこで、ようやく姫野も我に返った。一体なにをしているんだ、俺は。
慌てて起き上がって距離を取り、謝罪と共に今度こそ足早に更衣室を後にする。ブツを見ただけで発情してガン見するなんて、さすがにどうかしている。変態と言われても仕方ない行為だ。
……徐々に冷静になる頭に、後悔と自責が襲う。事故とは言え、あんなことをしてしまうなんて。しばらく早乙女とは距離を取ろう。顔を合わせないようにしよう……。そう姫野は誓うが──心臓はまだドキドキと高鳴り、顔に残るオスの臭いも身体の奥にまでこびりついて、決して姫野から無くなってはくれないのだった。
「──うわぁ゙ッ!?」
「ひゃ゙ッ!?♡♡♡む♡胸揉むな、ばかッ!♡」
「しょうがねぇだろ、コケちまったんだからッ!♡」
「せ、狭っ……♡離れろよ……!♡」
「無理だろ、こんな場所で……っ♡あ、ばか♡動くなよっ♡」
「んなこと言ったって……っ♡ああくそっ、なんでこんなことに……っ♡」
「んぐッ♡あ、クソッ、つっかえちまった……!」
「な!?ま、待てっ、ばか……ぉおん゙ッ!?♡♡♡やめッ♡ばか♡そこで息吸うな゙ッ♡♡♡」
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「だ♡だからって♡そ、そこぉ゙♡ほ♡ほぉ゙ッ♡だ、だめ♡これ゙♡ぉ゙ッ♡ほぉ゙ッ♡ん゙おぉ゙~……ッ!♡♡♡」
──しかしそんな姫野の決意を嘲笑うように、その後も早乙女と会う度に不慮の事故のような出来事が立て続けに起こった。早乙女が倒れ込んできて胸を揉まれてしまったり、狭い場所にふたりきりで閉じ込められたり。前回とは逆に早乙女から尻に顔を突っ込まれた際は、お互い身動きがとれない状況に陥り、早乙女がしつこく顔を動かすせいでアクメまでする失態を犯してしまった。
「ぉお゙ッ♡さ、さおとめぇ゙♡ばか♡ばかぁ゙……ッ♡♡♡」
……つまりはいわゆる、「ラッキースケベ」と呼ばれる現象だ。しかもそんな事故が起こる相手は常に早乙女ばかり。正直相手が早乙女の時点で幸運でもなんでもないのだが、そんな日々が続く中……身体は彼に対し、顕著な反応を示すようになってしまった。
「ぉ゙ッ♡ほっ、おぉ゙~……ッ♡くっそ♡あの時のちんぽの臭いッ♡まだ、こびりついてる゙……ッ♡♡♡」
……その熱に抗えず、最近の姫野は早乙女をオカズにしてアナルでの自慰に興じる毎日だ。顔を合わせば口論ばかりの、犬猿の仲に相応しい気に食わない相手。それでも脳内を支配するのは、その相手の性器だけ。様々なアクシデントを経験しても、最も記憶に残っているのはあの性器──極悪ちんぽの存在なのだ。
今でも思い出せる饐えた臭いを想像し、床に固定したディルド目がけて腰を振る。性格が最悪なのにどうして性器まで好みなんだ、と苛立ちながら、早乙女に散々犯されている所を想像したアナニーを、姫野は今日も止められない。
「おぉ゙っ♡くっそッ♡あいつがオカズ、とか……ッ♡気に食わない、のに゙……ッ♡ほぉ゙ッ♡クッソ興奮する……ッ♡ぉほッ♡ほッ♡ぉほぉぉ゙ッ!♡♡♡」
深く腰を落とすのと同時に乳首を抓り上げれば、すぐに潮を撒き散らしてしまう。自分でよく弄っているせいで、姫野は乳首に弱い。目ざとい早乙女のことだ、彼もすぐその弱点に気づくだろう。やらしいんだよ♡ドスケベ野郎♡などと詰りながら、勃起した乳首をピンピンと弾きながらアナルの弱い場所ばかりを責めてくるはずだ。
ぉ゙ほぉ゙ッ♡くっしょッ♡サド妄想キッくッ♡ムカつく同期からのドスケベちくび責め♡チンハメ妄想ぉ゙ッ♡くっそキくゥ゙ッ♡♡♡ほぉ゙ッ♡ちくび♡ケツマン♡どっちもヤバい好みのやり方で責められるぅ゙♡好きなトコ全部バレて、早乙女からサドアクメさせられちまうぅ゙♡ほぉぉ゙んッ♡媚びるぅ゙♡早乙女に全身媚びるぅ゙♡マゾメス♡ザコメス晒して♡妄想なのに♡ムカつくのに゙♡情ッさけねぇ屈服あくめ♡しちまうぅ゙ッ♡♡♡
「ほッ♡ほぉ゙ッ♡イッグッ♡これイッグッ♡スゲぇのクる゙ッ♡ほぉん゙ッ♡ぉおん゙ッ♡さおとめ゙ッ♡さおとめぇ゙ッ♡ほッ♡お゙ッ♡おほぉぉ゙~……ッ!♡♡♡」
高まるザコ妄想に腰の速度を速め、絶頂と同時に激しく乳首を引っ張り、盛大に姫野はアクメする。射精しながらのメスイキは今日も最高で、突き上がるような快感の後に訪れる余韻に身体をくねらせ……姫野は沼のようなスケベ妄想に尚も、溺れるしかないのだった。
「お゙ほッ♡ほぉん゙ッ♡くしょ♡くッしょぉ゙♡ほへッ♡さおとめでドスケベ妄想ぉ゙♡ほぉ゙ッ♡く、くッしょぎぼぢぃぃ゙ん……ッ♡♡♡」
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架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
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