男が孕めるようになったのでカレシと本気子作りします

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ジュンビキカン

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「承認、されたぜ」
「っ!!!!ほんとっ!?!?!?」
「……喜びすぎ。おすわり」
「わんっ!!」
 
 と、なんの抵抗もなく「おすわり」をして鳴くみのるに、俺は「ばか」と言ってその鼻をきゅっとつまむ。
 こいつは俺のカレシの犬花実(いぬはなみのる)。名前の通りワンコ気質なやつで、身体もでっかいガタイもでっかい、ついでにおバカで頭も髪もふわふわな、満場一致で大型犬なやつだ。
 
「うぅッ。なでくん、自分からしろって言ったのにばかって……相変わらずツンツンねこちゃんなんだから。ぎゅ~っ!」
「うわっ!?ああもうっ、ぎゅって宣言して抱きつくなっ!おすわりっつったろッ」
「やだっ!なでくんかわいいもん。がまんできないっ」
「我慢しろッ。かわいいゆーなっ、なでゆーなっ!」
「えーっ。かわいいじゃんっ最高じゃんっ。かなでだからなでくん。かわいい!俺!天才っ!」
「天才じゃねぇっ!」
 
 ……そして俺は猫咲奏(ねこさきかなで)。名前の通り性格はツンツンなのにほんとは甘えんぼで、まさしくねこちゃん♡……とかみのるからメルヘンなこと言われてる、こいつのカレシだ。背はみのるより30センチは低くて、薄っぺらいひょろさもあってみのると並ぶと体格差がヤバい。こうやって抱きつかれると、すっぽり身体が覆われてしまう。
 ……ったく、マジ、こんな貧相な身体、抱いたってなんも楽しくないはずなのにな……ほんと、なんでこいつ、こんなに俺のこと好きなんだろ……。
 
「なでくん。これでやっと……俺たちの赤ちゃん、つくれるね?」
「……。」
 
 ……いや、俺の殊更にネガな感情はともかく、ここで冒頭の会話に時を戻そう。
 俺が言ってた「承認」ってのは、クスリの承認の話だ。
 医学の発展でついに男も妊娠・出産ができる時代が到来して、特定のクスリを使えば、男女問わず誰でも子どもが作れて産めるようになった。だから俺は検査のために病院に行ってきて、無事にそのクスリを使う許可を得たわけだ。それでみのるも、大喜びしてるってこと。
 
「みのる。俺との赤ちゃんなんて……ほんとに、欲しいの」

 それでも、未だに俺の中でこびりつく疑問をチラッとその巨体を見上げて問えば、ズイッとみのるは堂々と顔を近づけてくる。

「ほしい!だってなでくんとの子どもだよ?ちょーほしい!ぜったいほしいっ!だからいっぱい話し合ったし、病院までわざわざ行ってもらったんじゃん!ほんとは俺も同席したかったっ!」
「……。ま、それは、そうだけど……」
 
 鼻先がぶつかりそうな距離で目いっぱいに力説してくるみのるへ、俺はふいっと顔を背ける。
 確かにこいつの言う通り、法が整備されてクスリが認可されてから、みのるはずーっと俺との子どもが欲しいって騒いでた。俺は子どもなんて産んで育てるの絶対無理だってゴネてたけど、みのるから「かなでと家族になりたい」って言われて……そこで……俺も……こいつの赤ちゃん欲しいなって、こいつと家族になりたいなって、思っちゃったんだよな。
 だから俺は洗いざらいの不安を吐いて、それを全部みのるに受け入れてもらって、ふたりで協力して頑張ろうって決めて、ちゃんと妊娠を確認したら籍入れようって約束して──そういう覚悟をまるっと持って、クスリをもらいに行ったわけだ。
 でも、そんなちゃんとしたプロセスを経てても、もう、こいつと何年も付き合ってきてても、鬱陶しいくらいにデカいみのるの愛情の熱量は、俺にとっては強すぎる。直視したらなにもかも持っていかれそうで、埋めつくされそうで。だからいつまでもこうやって、俺は意固地にそっぽを向くことしか……できない。
 
「ふふっ。なでくん、照れてる~♡」
「ッ。照れて、ねぇっ……ぁ、んぅッ♡」
 
 ……そしてそんな俺のヘタレな逃げグセはもうみのるにはぜんぶバレていて、俺はすぐにみのるから唇をすくい取られて、キスをされてしまった。みのるのデカいカラダで覆われるような、唇の全部を塞がれるキスは本気で食われるみたいで、俺はそれだけで、昇ってくる感覚をとめられなくなる。
 
「んんっ♡ん、ぅ♡み、みのる……っ♡」
「ん、ぅ……ッ♡なでくん、クスリ、飲んで?俺の前で、俺の赤ちゃん産めるカラダになるとこ……っ♡ぜんぶ、見せてっ?♡」
「ぅ゛……ッ♡」
 
 そしてそれはみのるが見せる俺へのギラついた性欲で、もっと強いものになる。普段はマジでほわほわで、名前と同じようにお花畑みたいな思考をしてるくせに、欲情するとみのるは途端に大型犬から肉食獣へと変身する。いつものやさしさはそのままで、それでも飢餓と欲望を隠さない、世界で一番ズルい、モンスターになる。
 全身をしつこく撫で回されて、何度も口づけられて、懇願に似せた「命令」をされて。
 ……そんなの、抗えるわけ、ない。
 
「ンっ♡ぅ♡わ、わかったっ♡わかった、からっ♡」
 
 俺は必死でみのるのキスを受け止めながら、ほっぽってあったカバンから液体状のクスリを取り出して、言われた通りにみのるの前で、それを飲む。
 こくこく喉を通り過ぎて、食道を通って、胃まで落ちていくクスリに、ここから全部が変わっていくんだって思う。
 ああ、飲んじゃった。クスリ。赤ちゃんを産めるようになるクスリ。子宮が作られるようになるクスリ。このクスリで、俺、ほんとに、妊娠できるように、なっちゃうんだ……っ♡
 
「ん……♡」
 
 俺がこくりと喉を鳴らすところを見て、満足そうに吐息をこぼしてみのるは笑う。そして俺を後ろから抱え込むように、ぐるりと体勢を、変えてくる。
 
「ぁ、ひゃっ」
「うれし……っ♡これでなでくん、ほんとに赤ちゃんができるカラダになるんだね……ッ♡」
「あっ、ちょ、みのる……っ♡」
 
 両足でがっしり身体を押さえ込まれて、両手で確かめるように腹を撫で回される。みのるの大きな手で撫でられると俺のちいさくて薄い腹は全体が覆われて、それはまるでみのるの手の平だけで、俺自身が支配されちゃったみたいだ。
 鼻先が俺の髪に割り入って、すんすんと匂いを嗅ぐように息が漏れる。耳を軽く噛まれて、ぴたりとそこに濡れた唇が、押し当てられる。
 
「なでくん、これから一週間エッチ禁止だからっ♡いっぱい、いっぱいっ♡いちゃいちゃ、しようね……ッ♡」
「ふぁ♡あッ♡うぅ……っ♡」
 
 みのるが言う通り、クスリの効果は約一週間後に現れる。
 その間性行為は禁止。その代わりパートナーとはできるだけ接触して、お互いの気持ちを高め合う。そうすることでカラダに特殊なホルモンが分泌されやすくなって、クスリの効果が高まるのと同時に妊娠もしやすくなるようだ。要するに排卵率と着床率が……上がる、って。
 だからみのるは、そのことを言ってるんだろう。でも……。
 
「いっぱいくっついて、ずっとちゅうして……っ♡はやくなでくんがママのカラダになれるように、がんばろ……っ?♡」
「ゃっ、やだぁッ♡ママって言う、なよっ♡」
「なんで?だってなでくんが俺の赤ちゃん産んでくれるんだよ?♡それならママも合ってるよ♡なでくん♡ママになって……っ♡俺のことっ♡パパにさせてね……ッ?♡」
「う、ぁ♡やぁ♡みのる……ッ♡」
 
 パパ、ママ、とこれからの俺たちの立場をみのるから言葉で知らしめられて、俺は背徳感でいっぱいになる。これまで性別的に絶対にあり得なかったことを俺たちが本当にするんだって実感して、そして本当にみのるは本気で俺を孕ませる気なんだって実感して、ぞわぞわと快感と悪寒が、全身を這い回る。
 
「なでくん……っ♡ほらっ、ここだよ……っ?♡ここで俺たちの赤ちゃん、つくるの……っ♡ここでなでくんが、俺の精子で受精して……っ♡着床、して……っ♡俺たちの赤ちゃん、育ててくれるんだよ……っ?♡」
 
 腹を、トントン、と押される。
 ここだよ、と、確かめられる。
 
「ッ──♡」
 
 ここ。ここで、みのるの、赤ちゃんを、つくる。
 ここ。ここで、みのるの、赤ちゃんを、育てる。
 そしてここで。みのるの、あかちゃんを、産む。
 
「っぅ゛、うぅ゛……ッ♡♡♡」
 
 それを自覚すると、それだけで頭がくらくらして、イきそうになる。ほんとにそうする、ほんとにそうなるカラダの変化に、ぞくぞくして、たまらなくなる。
 
「はぁっ♡はぁ……ッ♡」
 
 その火照りをごまかすようにみのるの手に自分の手を重ねて、必死に熱い呼吸を逃せば、指が絡んで、みのるが俺の顔を、覗き込んでくる。
 
「ん……興奮、しちゃった?♡」
 
 尋ねてくる声はやさしい。やさしいけどエッチだ。それは俺のだいすきな声。だいすきな、みのるの声。俺はこれを聴くと我慢できない。興奮してることも。勃ってることも。みのるのことがだいすきでだいすきで仕方ないって気持ちも。隠しておくことが、できなくなる。
 
「し、した……っ♡がまん、できない……っ♡チューしよ、みのる……ッ♡チューして……っ♡ぎゅってして……っ♡いちゃいちゃ、しながら……っ♡ちんぽ、いっぱいっ、触り合いっこ、しよ……っ?♡」
 
 だから、俺はコクコク首を縦にふって、みのるからされたい全部を、正直に白状するしかなくなる。みのるのでっかいカラダでとろとろにさせられたいって、それを素直に告白するしか、なくなっちゃう。ゆるく勃ってるみのるのをねだるように、カクカクとケツを上下に動かす。するとみのるはやっぱりやさしく笑って、唇を突き出した俺の顎をとってくる。
 大型犬で。
 肉食獣で。
 それでもどうしようもなく俺がだいすきな。
 ──愛おしい恋人の、顔をして。
 
「うん♡しよ♡べろちゅうしながら、いっぱい、いっぱいっ♡赤ちゃんつくる、準備、しよ……っ♡♡♡」
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