THE NEW GATE

風波しのぎ

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17巻

17-1




 小国パッツナーにおいて、街を襲うモンスターと戦闘を繰り広げたシン。
洗脳ブレイン・ウォッシュ】状態にあった巨竜ドゥーギンを解放し、黒幕とおぼしきヘルスクリームを倒した直後、シンとサポートキャラクターのフィルマは、しばらく周囲をうかがっていた。
 しかし、もう誰かが隠れているとか、仕込みがあるということはなかった。
 2人は同じくサポートキャラクターのセティと合流し、残ったガルマージとキキューズを、協力して掃討していった。


「――とりあえず、こんなところか」

 刀を鞘に納め、シンは一息つく。
 広範囲を攻撃できる魔術が使えるとはいえ、ドゥーギンの発生させていた雲は幅が限定されていることを含めてもなかなかに広い。
 モンスターであるガルマージたちがいたのは、雲の下にあった汚染エリア内だけだったが、ヘルスクリームが倒されたからか、しばらくすると汚染エリアの外に向かい始めた。
 この世界の住民にとっては一匹でも危険な存在。
 シュニーも呼び寄せて、とにかく少しでも多くモンスターを駆除するべく、魔術を使い続けた。
 マップの反応を元に、範囲内に味方や無関係の人がいないのを確認して攻撃する。
 ガルマージたちはドゥーギンの後に続いて移動していたようで、汚染エリア全体にモンスターがいるというわけではなかった。
 汚染エリアもドゥーギンが発生させていた雲がなくなると、その下にあったエリアも通常の状態に戻っている。さすがに枯れた草木までは元に戻らなかったが、汚染された状態のままよりはましだ。
 マップで確認できる範囲内すべてのガルマージとキキューズを倒し、シンたちはパッツナーに向けて移動を始めた。
 おそらく、シンたちの手を逃れた個体もいるだろう。しかし、この場にいるメンバーで今回発生したモンスターを一匹残らず狩りつくすのは困難だ。
 マップも都合よく、ガルマージとキキューズだけを表示することはできない。
 今回はドゥーギンたちを恐れて、他のモンスターや動物がいなくなっていたからこそ効率的に処理できた。
 だが、モンスターや動物が混在するエリアに入られると一匹一匹処理していかなくてはならない。そうなるとシンたちだけではとても手が足りなかった。
 パッツナーの常備軍に頼もうにも、移動速度が違いすぎて今からでは捕捉は不可能だ。

「何もなければいいけどな」
「こればかりはどうしようもないわよ。範囲が広すぎるわ」
「私の知るかぎり積極的に人を襲うモンスターじゃないから、そこに期待するしかないわね」

 応援として駆けつけたセティが首を振って否定し、フィルマが困ったように眉根を寄せながら言った。
 掃除屋と呼ばれるガルマージとキキューズ。設定上、わざわざ生きている動物やモンスターを襲わずとも、死体さえあれば生きていける。
 死体がいくつもあるような場所が、簡単に見つかるようなところにあっては困るが、モンスターの特性としてそういった場所を感知できるとも聞いたことがある。
 わざわざ人やその集落などを襲うことはないとシンは思いたかった。

「とりあえず、何が起こったのか説明しないとな」
「どこまで話すの? 人がモンスターになりましたっていうのは、今の世の中じゃ珍しいんじゃなかったっけ?」

 小さく首をかしげながらセティが言う。
 フィルマは『界のしずく』に封印されていた期間が長く、封印前後の情勢の違いをまだ完全に把握してはいない。
 セティのほうも、妖精卿に引きこもり状態だったので、状況は似たようなもの。ただ、こちらは外に出られないわけではないのでそういった情報収集はしていたらしい。

「ことがことだからな。話さないわけにもいかないだろ。信じるかどうかは、向こうの判断に任せるしかない。ただ、実際にモンスターが出てるわけだからな。俺たちみたいにゲームの知識があるわけじゃないし、受け入れやすくはあるんじゃないか?」

 人、それもプレイヤーのモンスターへの変貌へんぼう。ドゥーギンを操っていた隷属の首輪に似た対象を操るアイテム。
 このふたつだけでも、シンの持つ【THE NEWニュー GATEゲート】の知識と大きく違っている。
 この世界の住民は、シンたちの知る知識のほとんどを知らない。
 王族や貴族のような特権階級となれば得られる情報もけた違いだろうが、それでもシンたちとは比べものにならないほど少ないはずだ。
 なので、むしろそういうものかと受け取ってくれるのではないか、とシンは考えていた。

「確かに、昔より技術レベルはかなり下がってるもんね。当たり前にあった街灯の話で驚かれるくらいだし。まあ、昔が栄えすぎてたっていうのもあるけど」

 街に着いた直後にしていた話を思い出したのか、セティが視線を上に向けながら言った。

「かつてのようになるのは、おそらく不可能でしょう。今とは様々なものが違いますから」

 昔のことを思い出しているのだろう、シュニーが表情を変えずに言う。

「どちらにしろ、まずは戻ってからだな。一応、ユズハには心話で先に伝えておこう」

 周囲に目をやりながら、めぼしいものはないことを入念に確認してからシンたちは走り出す。
 シンは素の能力のまま。
 シュニーとフィルマは身体強化を使ってそれを追う。
 そして、セティは地面をすべるように移動してついてきた。

「飛行じゃないな。移動系スキルのアレンジか?」

 ホバー移動にも見えるそれは、フィルマの鎧に付与されている魔力を噴射して跳躍の補助をする機能とは少し違う様子だ。

「これは無系統と風術を組み合わせた私のオリジナル、と言いたいところだけど、実際は自分を浮かせながら風術を推進力にしているだけよ。前々から練習してたんだけど、結構速いでしょ?」

 全力ではないとはいえ、シンについてこられるあたり、魔導士の出す速度ではなかった。
 セティのステータスは魔術の威力や制御に重点を置いているので、シンやシュニーのように、残像を残すくらいの高速移動をすることはできない。
 それを、自分なりのやり方で克服しようとした結果らしい。
 ちなみにフィルマの鎧は、単純に魔力を放出して跳んでいるわけではないので、セティの使うものとは少し原理が違う。
 セティは、炎術を自分にぶつけて空を飛ぼうとしたプレイヤーを見て、イメージを思いついたという。しかし制御が難しく、空を飛ぶまではいかないようだ。
 運次第で、多少は飛行に近いことができるらしいが、いつ地面に叩きつけられるかわからない。

「制御できれば空が飛べるかもしれないのか。あとで詳しく教えてくれ」

 詳細を聞いたシンは、目を輝かせながら言う。
 空中を飛び跳ねることができるスキル【飛影】の回数制限がなくなって、似たようなことができるようになったシン。
 しかし、あれはあくまでジャンプ。空中にある足場を蹴って跳んでいるに過ぎない。
 ファンタジーの魔法では自由自在に空を飛べるのも珍しくなかったので、少し憧れていたのだ。

「私が苦戦するくらいだから、シンにできるかしら?」
「ロマンのためなら、人は限界を超えられる」

 シンはそれっぽいことを言って格好を付けてみる。やる気が出ているのは事実だ。
 問題があるとすれば、セティの説明はとてもわかりにくいこと。またシュニーに解説してもらう必要があるかもなと思うシンだった。

「2人とも、そろそろ着くのでおしゃべりはそのくらいで」

 速度が馬の数倍は出ているので、パッツナーに戻るのもそう時間はかからなかった。
 門の外で待っていたユズハと合流し、シンたちはパッツナーの門をくぐる。
 ユズハに心話で情報を伝えて、それをさらにガロン経由で上層部に伝えてもらってあるので、すでにパッツナーに向かっていたモンスターが撃退されたことも知られている。
 厳重に閉じられていた門も開放されていた。

「本当にどうにかしちまうとはなぁ」
「ここからも魔術の光が見えたよ。あれじゃあ、モンスターのほうが災難だろうね」

 あきれたように言うガロン。リーシャもやれやれといった風に話す。
 城壁の上に詰めていた兵士たちも、シンたちがガルマージとキキューズを倒す際に使った魔術の光を見たらしい。
 魔導士の中には、衝撃とともに伝わってくる魔力の強さに震えていた者もいたようだ。

「上層部の人に話しておかなければならないことがあります。今から大丈夫ですか?」
「ライザー殿の言うことなら、聞かんわけにはいかんだろうて。もともと戻ってきたら詳しい話を聞けんか尋ねてくれと言われとるしの」
「それは助かります」

 シンたちはシュニーを先頭に王城へと向かった。ガロンとリーシャ以外のメンバーはすでに王城にいるようだ。
 王たちが待っているという部屋に着くと、すでに重役とおぼしきメンバーとともに、グラフィオルが待機していた。

「お待たせしたようですね」
「いえ、恩を受けているのはこちらのほうです。むしろ、ここまでご足労いただいて申し訳ない」

 そう言って頭を下げるグラフィオル。他のメンバーも、シュニーたちが何をしたのか理解しているようで、そろって頭を下げている。

「すでにドゥーギン撃退の報は伝わっていると思います。皆さんが気になっていることだろうと先にお伝えしましたが、他にも情報があります」
「他にも、というと?」
「今回のできごとですが、人為的なものである可能性があります」
「っ!? ……詳しい話をうかがっても?」

 うなずきを返し、シュニーは話し出す。実際に目にしたのはシンとフィルマだが、詳しいことはすでに伝えてある。
 ドゥーギンを操っていたアイテム、モンスターに変化した元プレイヤーについて、シュニーの話を聞いたグラフィオルたちの表情は一様にけわしい。
 強大なモンスターを従えるアイテムの存在もそうだが、人がモンスターへと変わることのほうが重く受け止められているようだった。

「これは、軽々しく話せる情報ではありませんな。変貌したモンスターの強さも尋常ではない様子。下手におおやけにすれば、国民に無用な混乱を招くだけでありましょう」
「同意見です。こちらとしても、まずは国の上層部の方だけで共有したほうがいいと考えています」

 この世界では、元の世界のように、簡単に情報が手に入らないし、伝わりにくい。
 国が大々的に告知すればある程度は伝わるが、それでも人づてに伝わっていくうちに内容がゆがんでいく。首都を離れれば情報が正反対に伝わっていることすらあった。

「対策は……難しいですな」
「そうですね。こちらとしても、有効な手段は今のところ見当がつきません」

分析アナライズ】があれば、憑依ひょうい状態であることはわかる。しかしスキルを使用できる者が少ない現状では、見つけるのは難しい。
 シンたちとしても、そんなわかりやすいところにはいないだろうと思っている。
 人の状態ではモンスターと認識されないならば、モンスターけの結界でも防ぐことができないはずだ。

「ふむ、我が国と協力関係にある国の王に伝えてもかまいませんか? 対応ができるかどうかはわかりませぬが、それでも知っていたかどうかで何か変わるやもしれませぬ」
「はい。こちらも信頼できる者には伝えるつもりですので」

 実力と信頼。そういったものを併せ持つ者たちとは情報を共有する。
 それはシンたちの共通意見だった。
 具体的には、ファルニッド獣連合のウォルフガング、ベイルリヒトのヴィルヘルム、元プレイヤー、『六天ろくてん』メンバーのサポートキャラクターたちも入っている。

「対策か」

 グラフィオルたちとの会談を終え、あてがわれた部屋で、シンたちは今回のことについて話し合っていた。シュニーがグラフィオルに言った通り、現状では打つ手がない。

「結界に出入りするときに、状態異常を解除する機能を付与したらどうにかできないか? いや、でも相応の材料を使ってないと付与に耐えられないしな」

 ゲーム時代なら、街に近づいただけでも瞬時に見つけられて、討伐なり解除なりされている案件だ。現状では、全ての場所を守りきることなどできない。

「我々だけで対処することは不可能でしょう。戦力を分散させても守れる場所は限られていますし、守りきれるとも限りません」
「やっぱり、そうだよなぁ……」

 そもそも、相手の規模も戦力も不明だ。憑依されたプレイヤーへの対策をしたところで、高レベルモンスターを大量に引き連れて攻撃されれば意味はない。
 今の世界は高レベルのプレイヤーや選定者を大量にそろえることは不可能。もしモンスターの大部隊が現れれば、大国ですら滅ぶだろう。

「本格的にモンスターが何かしようとしてるってことかしら」
「あのアイテムも、モンスターが作ったってこと? 確かに、モンスターの中には人かそれ以上に頭のいいのもいるけど」

 セティとフィルマが思案顔で意見を出す。

瘴魔デーモンや悪魔の暗躍を疑ってしまいますね」
「ぱっと思いつくのは、やっぱりそれだよな。あとは、あれだ。『いただきの派閥』」

 かつて聖女を生贄いけにえにしようとしていた教会の司教も、『頂の派閥』の構成員だった。
 計画の裏では瘴魔デーモンが暗躍していたが、そうでなくてもあまりほめられた活動はしていない、とシンたちは聞いている。

「そういえば、プレイヤーではないとはいえ、人がモンスターに変わったときにも『頂の派閥』が関わっていましたね。瘴魔デーモンも関わっていたので断定はできませんが、モンスターだけが敵というわけではないということでしょうか」
「それだよな。自分の意思で協力してるってやつが一番厄介やっかいだ」

 シュニーの推測にシンは苦々しい表情で相槌を打つ。
 スキルやアイテムで操られているわけでも、人質をとられて協力させられているわけでもない。自分から破滅に突き進む人間が何より厄介なのだ。
 周りに迷惑しかかけないあたり、一層性質たちが悪い。

「この後はどうするの?」
「まずはシュバイドたちと合流しよう。念のため、バルたんの様子も見ておきたい。結局あの宝玉は使わなかったからな」

 ユズハの問いにシンは考えていたことを話す。
 ドゥーギンとの戦いで必要になるのかと予想していたバオムルタンの宝玉だが、とくに使うような場面はなかった。
 ドゥーギンを操っていたアイテムは宝玉なしで外せたので、あれは何に使えばいいのかと、シンは首をひねるばかりなのだ。

「あの綺麗きれいな石は、そのうち使うと思う」
「使い道がわかるのか?」

 むむむ、と眉根を寄せていたところにそんなことを言われて、シンはすぐにユズハに問い返した。

「そんな気がする!」
「具体的に何かわかるわけじゃないのか」
「……くぅ、ごめんなさい」
「あ! いやすまん、悪かった! ユズハを責める気はないんだ。ただ、もらったのがいかにもなタイミングで、これからの戦いで必要になるんだろうって身構えてたからつい、な?」

 しゅんと耳を伏せてしまったユズハに、シンは慌てて謝った。子狐モードだったので、機嫌を取る意味もこめて優しく撫でる。
 少しして、心地よさそうにしだしたのを見て、ほっと息を吐く。


「……私も撫でていい?」
「……くぅ」

 シンが撫でていたのを見て、セティが近づいてきた。
 ユズハは数秒セティを見つめ、OKとでも言うように一声鳴いて、シンの膝の上に頭を戻す。

「おおお、ふわふわさらさら。いつまでも撫でてられそう」
丁寧ていねいに手入れしてるからな」

 ブラッシングは主にシンの仕事だ。グルーミング用の最高級ブラシ、『グルーマイスター』によって、ユズハの毛並みは近頃ますますつやを増している。

「話がれてるわよ。シュバイドたちのところに行くにしても、すぐってわけじゃないんでしょ?」
「ああ。モンスターは撃退したけど、まだ何かあるかもしれないからな。仕掛けとかがないか念のため調査させてもらおうと思ってる。場所が場所だから、難しいかもしれないけど」

 王城ともなれば、秘密の抜け道や隠し部屋の一つや二つあるだろう。シンが本気で調査すればそういったものも発見できる。
 できるが、持ち主であるグラフィオルたちからすれば見つけてほしくはないだろう。秘密通路や隠し部屋は知られていないことに意味があるのだから。

「王や騎士たちでは手に余りますから、今回は大丈夫でしょう」
「ま、訳のわからないものが仕掛けられてるかもしれないとなればな」

 調べた後で改装するのだろうか。さすがにそのままにはしないだろうと思うシンである。

「じゃあ、さっそく行くか。一瞬で、とはいかない作業になるからな」

 シュニーが言った通り、シンからの提案にグラフィオルたちは二つ返事でうなずいた。
 数名難しい顔をしていたが、反対はしていない。
 城の内部を外部の者に調べられることより、仕掛けが残っている可能性を排除するほうを優先したのだろう。

「なんだ? これ」

 緊急時に使うのだろう、城の外にある森の中へと繋がる隠し通路の中に、対象を麻痺まひさせて動けなくする装置が仕掛けられていた。
 シンが気になったのは、仕掛けが発動すると噴出する麻痺ガスが入っているタンクがほぼからだったことだ。これでは、人を麻痺させるほどの効果はない。

「他には仕掛けはないようです」
「……あいつなりの抵抗だったのかもな」

 モンスターとなる前に、自分のことを殺してくれと言った男。仕掛けをしたのはあの男なのではないかとシンは思った。
 その後はとくに目立つものもなく、調査は2日で終了した。
 王城を去る際に、城内の隠し通路などについてはくれぐれも内密にしてほしいと言われたのは仕方のないことだろう。


         †


「飛ばしていくぞ」

 馬車を出して門を出たシンたちは、少し進んで門から姿が見えなくなったのを確認すると、スキルで姿を消した。馬車で爆走するよりも、自分たちで走ったほうが速い。
 ユズハは長時間シンたちと同じ速度で走るのはまだつらいようなので、シンの肩につかまっている。振り落とされそうなものだがそこは神獣、大丈夫らしい。

「くぅ! 浮いてる!」

 セティがスケートでもするように地面を移動するのを見たユズハが、興奮しながら尻尾しっぽを振った。
 ガルマージたちを駆除したときに、ユズハには念のためパッツナーに残ってもらっていたのでセティの移動を見るの初めてなのだ。
 モンスターの中には浮いているものや飛んでいるものも珍しくない。なのでそう驚くことでもないように思えたが、ユズハにとってはそうでもないらしい。

「ふっふっふ、あとで教えてあげてもいいわよ!」

 ユズハの素直な反応に、セティはドヤ顔である。
 最終的には空が飛べるようになるかもしれないと聞いたユズハは、やる気満々だ。背中で尻尾がばっさばっさと振られているのが、シンにはよくわかった。
 はたしてセティの独特のセンスによる説明をユズハが理解できるのだろうか。そんなことを考えるシンである。

「お、見えてきたな」

 馬車とは比べ物にならない速度で移動した甲斐があって、その日のうちにローメヌンに戻ることができた。

「ん? バルたん以外のモンスター反応?」

 ローメヌンに隣接する毒エリアの端に、出発するときにはなかった複数の反応を見つけた。
 マップ上の反応がある方向へ視線を向け、シンは【千里眼】のスキルを発動させる。
 そこにいたのは5匹のガルマージだった。シンたちの攻撃から逃げ延びた個体がここまで辿たどり着いたのだろう。
 シンたちは2日半ほどパッツナーにいたので、ガルマージのスピードならばその間に到着していてもおかしくはない。

「倒しておくか?」
「ここはある意味で汚染エリアのようなものですから、ガルマージにとっては棲息域とも言えます。それに、ここには放置して被害を受けるものはいませんからね」

 毒エリアの存在によって、周囲に集落はなく動物も寄り付かない。ここにとどまるのならば、無理に狩る必要もなかった。
 ガルマージたちからすれば、やっとのことで辿り着いた安住の地のようなもの。
 えさとなる死骸しがいがあるのかはわからないが、身を寄せ合うガルマージたちを見て、ついでに倒すという気になれないシンだった。
 すでにせ細っているので、他の場所に移動するだけの余裕はないだろうというのもある。

「ハイドロたちに話をしてみるのはどうかしら? データ集めになるって言って飼っちゃいそうだけど」
「そうだな。そうしてみるか」

 ここを離れ、人のいるほうへ向かうなら倒す。
 そう決めたシンは、ローメヌンへと足を動かした。さほど時間もかからず、シンたちはドゥーギンの沈む湖へ到着する。
 湖のほとりではいつもの位置にバオムルタンが座り、その隣にティエラとシュバイドがいた。オキシジェンたちは何かサンプル採取をしているようだ。


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