THE NEW GATE

風波しのぎ

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1巻

1-4

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 そう言いつつも、ティエラは迷うことなくアイテムカードから素材を実体化させ、鑑定し始めた。ちゃんと使い方は知っているようだ。

「テトラグリズリーにツインヘッドスネーク、フレイムボアまで。どれも森の奥まで行かなきゃ出合わないような、凶暴なモンスターの素材ばっかりじゃない。ホントにあなた何者?」
「そう言われてもな……ここに来る途中で倒したんだよ。そんなに凶暴ではなかったと思ったけどな」
「どれも騎士が数人がかりで相手にするようなモンスターなんだけど……もういいわ。いちいち驚いてたらきりがないし」

 初心者用モンスターだと思っていたら、この世界では意外と危険なモンスターらしかった。ほとんど一撃で倒したシンとしては、数人がかりで相手をしなければならない騎士の弱さが心配になってしまう。

「まあ気にするな。それより査定さていの方はどうなんだ?」
「そうね。状態もいいしカード化もできるから、素材は全部でジュール金貨1枚とジュール銀貨27枚で127万ジュール。宝玉は7等級だけど純度が高いから、ジュール金貨25枚で2500万ジュールってとこね」
「単位が俺の感覚と違いすぎて、高いのか低いのかよくわからん……」
「本来はもうちょっと少ないけどね。宝玉はそのときの相場にもよるけど、今は少し値が上がってるの。この等級と純度なら、普通は2000~2300万ジュールくらい」
「おお、ラッキー。200万以上高いな」
「どうする? これでいいなら買い取るわ」
「よろしく頼む。あ、それはやるよ。これからよろしくってことで」

 シンはカウンターの上に置きっぱなしだった金貨を指差した。

「…………冗談?」
「なんでだよ!?」
「だってそうでしょ! さっきの話聞いてた!? どこの世界に、10億以上の価値があるジェイル金貨をただであげるような人がいるのよ!!」
「ここ」

 自分を指差すシン。

「……後になって返せって言われても、返さないわよ?」
「言うか」

 ジト目で怪しむティエラだったが、その魅力には勝てなかったらしく、素早い動きで金貨をつかむと胸元で握りしめた。
 その際、腕に挟まれたことで強調されたティエラの胸にシンの視線が釘付けになったのは、悲しき男のさがである。

「ああ、夢にまで見たジェイル金貨」

 先ほどのジト目から打って変わって、うっとりとした表情のティエラ。その頬がやや赤くなっているせいか、シンは妙な色気を感じてハッとした。いかんいかんと軽く頭を振って邪念を追い払う。

「ふぅ、喜んでもらえて何より。エルフなら魔術を使うことも多いだろうし、役に――」
「ちょっと待って!」

 立つだろう、と続けようとしたシンの言葉を、ティエラは唐突にさえぎった。その表情は信じられないことを聞いたと言わんばかりの驚愕きょうがくに染まっていた。

「……なんだ?」
「今……エルフって言った?」
「ああ、言ったが……あれ? ティエラはエルフじゃなかったか?」

 耳が細くとがっているのはエルフとハイエルフの特徴のはずだ。
 シンは記憶した知識が間違っていないことを確認し、自分の知らない新しい種族でもいるのだろうかと首をかしげた。

「今の私は、赤髪黒眼の猫人族に見えてるはずなんだけど」
「赤髪黒眼の猫人族?」

 猫人族とは、女性プレイヤーと一部の男性プレイヤーに人気の高かったビーストのうち、猫型タイプ・キャットのことだろう。
 ビーストには様々な派生部族があり、同じ猫型タイプ・キャットでもペルシャ猫や三毛猫など多くの種類があった。また、顔や腕などを完全に動物化するプレイヤーと、耳やしっぽ、羽根など一部だけ動物化するプレイヤーとに分かれていた。
 はて? とティエラをあらためて見てみるが、シンの目に映るのは黒髪金眼の美少女エルフ。赤髪黒眼の猫人族などどこにもいない。

「俺に目の前には、黒髪金眼のエルフしか見えないな、うん」
「そんな……」

 あえて「美少女」の部分を強調してみたのだが、まるで聞こえていないようだ。

「なんで? 師匠が幻影げんえい魔術をかけてくれたはずなのに」
「幻影魔術?」

 幻影魔術とは、相手に幻覚を見せて混乱させたり、罠にかけたりする魔術だ。六天のメンバーに優秀な使い手がいたので、シンの印象に強く残っていた。

「うう……まさか、ばれるなんて……」

 ティエラはまるでこの世の終わりのような顔でうつむいている。
 そんな突然の意気消沈いきしょうちんぶりに、シンは状況を打開するにはどうしたらいいか必死に考える。しかし、いくら考えてもフォローの仕方がまったくわからなかったので、素直にエルフと見破れた理由を話すことにした。

「ええっと、ティエラ?」
「っ! な、なに……?」

 穏やかに話しかけたつもりだったが、ティエラは大きくびくついた。

「俺がティエラをエルフだと見破れたことなんだがな。それは、俺の体質のせいなんだ」
「たい……しつ?」
「そう。幻影魔術ってのは、相手に幻覚を見せて惑わす魔術だ。でも魔術に対して強い耐性を持ってる相手にはかないことがある。だから、俺はティエラの本当の姿が見えていたわけだ」
「でも……いくら強い耐性を持っていたとしても、師匠の魔術が破られるなんて……」

 シンの説明を受けても信じられないという顔のティエラ。
 シンの記憶通りなら、ティエラの師匠であるシュニーはレベル255のハイエルフだ。魔術特化タイプのエルフのさらに上位種族なのだからその魔術はさぞかし強力なはずだ。
 しかしいかんせんシンに比べれば、レベルはともかくそのステータスはまだまだ発展途上に過ぎない。ハイヒューマンの持つ耐性とシンのステータスをもってすれば幻影魔術などあってないようなものである。
 どうしたものかなぁと、シンはため息をついた。

「ねぇ」
「ん?」
「あなた、私の本当の姿が見えてるのよね」
「黒髪金眼のエルフならばっちり見えてるけど?」
「…………」

 返答がなかった。突っ込みがないってつらい……と気落ちするシン。

「……こわく、ないの?」

 慣れないジョークなんか言うべきじゃなかったと後悔していたシンの耳に、ティエラの、ともすれば聞き逃してしまいそうな声が届いた。
 それはまるで何かにおびえる子どものようで――。

「なにが、こわいって?」

 シンは緩んでいた気を即座に引きしめ、ティエラにできる限り穏やかな声で聞き返した。


         †


 自分が恐ろしくないのか。
 ティエラが震える声でそう言ったとき、シンの脳裏のうりにかつての六天メンバーの顔がよぎった。
 シンは純粋にゲームが面白かったので廃プレイをしていたが、彼女がプレイしている理由は、長期間入院しているせいで、時間が有り余っているからだった。
 オフ会をしようという話が出たときにそう告白した彼女から感じた雰囲気を、今のティエラもまとっているような気がしたのだ。
 それはすなわち、を知られるのを恐れているということに他ならない。
 当時はシンを初め、皆が彼女に温かく接したので、彼女を安心させられた。
 そんな経験があったので、シンは動揺することも表情を変えることもなかった。

「……これも知らないのね。髪が黒いエルフっていうのは、呪われた不吉の象徴なのよ」

 うつむいたままのティエラが言った。

「不吉の、象徴か」
「そう。エルフの髪はね、生まれたときは皆白いの。それが成長していく過程で変化して、最終的に金や銀、緑、青といった色になるの。信じられる? 私の髪も、元は銀色だったのよ?」

 そうつぶやくティエラは、自虐的じぎゃくてきな表情を浮かべていた。

「でも、今じゃ呪いのせいで真っ黒。エルフはね、普通、髪が黒くなることはないの」
「黒くならない?」
「うん。それで、黒い髪のエルフはわざわいをもたらすのよ。私もそうだった。呪われてから、強力なモンスターが突然襲ってくるようなことが何度もあったわ。おかげで里からは追放よ」
「…………」
「そして、行くあてもなくてさまよっていたところを、師匠に拾われたの。この店の周りには強力な結界が張られているから、モンスターが来ることはない、って言われて。もう100年以上、店から出てないわ」
「100年か……長いな」
「ええ、でも誰かに迷惑をかけずに生きていられるから、これでいいの」

 そんなことない! とシンは叫びたかった。
 100年以上店に閉じ込められているような状態がいいはずがないと、言ってやりたかった。だが、言ったところで何か変わるわけではないと耐えた。握りしめた拳が痛い。
 まだ会ったばかりの少女のために、自分がなぜこんなにいきどおっているのか、シン自身よくわからなかった。しかし、あんな顔をさせたままではいけないことは間違いない。
 この世界が【THE NEW GATE】であるならば、ティエラの髪が黒くなった理由、そしてその解決策が存在するはずだ。
 シンは考える。今の会話の中に手がかりが――。

「ティエラ、1つ確認したいことがある」
「……確認、したいこと?」
「ああ。今の話だとティエラの髪はもともと銀色だったそうだが、どうやって変化したんだ?」

 シンにはそれが解決のヒントになるような気がした。

「ある日突然呪われて、黒くなったのよ」
「突然?」
「そう、突然。いつものように眠りについて、朝目覚めたら真っ黒になっていたわ。あのときは本当に何が何だかわからなくなって、すごく怖かった」

 話をしているうちにそのときのことを思い出したのか、ティエラは自分の体を抱いて震えている。
 そんなティエラをよそに、シンは数ある知識の中から該当する情報を引き出そうと、頭をフル回転させていた。

「突然……髪の色が変わる……呪い……キャラクターの配色が変化……モンスターに襲われる……襲撃は複数回……何度もあった……しかも強い…………キャラクターの配色が変化して……モンスターに襲われやすくなる? そんなことが……っ!!」

 あるだろうかとつぶやきかけたそのとき、シンの脳裏にひらめくものがあった。

「ある……あるぞ!! その条件に合致するかもしれない状態が!!」
「えっ? な、なに?」

 シンが突然大声で叫んだので、ティエラはまたビクリと震えた。
 そんなティエラはおかまいなしに、シンはティエラを見つめる。

「なんで忘れてたかな。でもこれで……ん? おかしい、なんでステータスが表示されないんだ? 発動は自動オートにしておいたはずなのに」

 シンがティエラを凝視していたのは、そのステータスを見るためだった。シンの予想が正しければ、ステータスの方にしっかりとが表れるはずなのである。

「えーと、スキル画面を開いて、【分析アナライズ】……【分析アナライズ】……ああ、あった。表示対象がプレイヤーとモンスター以外オフになってるだけか。これをすべてオンにすれば……」

 設定を直して、再度ティエラを見るシン。
 ティエラからすれば、なにもない空間で指を動かしていたシンは少々危ない人に見えた。

「よし、ステータスは見れるな。あとは……名前にレベル、種族に……っ! よしきたぁぁぁぁあああああーーーーーーー!!」

 予想通りのものを見つけて、思わずガッツポーズを決めるシン。先ほどからシンの奇行きこうを見せつけられ、ティエラはビクビクしっ放しである。

「ティエラ喜べ! 不吉な呪いの正体がわかったぞ」
「へ?」
「へ? じゃない。表示が出ていたから間違いない。お前の髪の色が変わって、モンスターに襲われるようになった原因は、【呪いの称号カースドギフト】だ」
呪いのカースド称号ギフト?」

 意味がわからないらしく、ティエラはぽかんとしている。
呪いの称号カースドギフト】――それは【THE NEW GATE】内で突発的に発生する、文字通りの呪いである。
 本来プレイヤーが手に入れることのできる称号ギフトは、一定の行動やクエストクリア、アイテム入手の結果に手に入るサポートアビリティだ。得た称号ギフトに応じて、微々びびたるものではあるがステータスが強化されたり、新しいスキルが使用可能になったりする。
 それに対してすべてのプレイヤーに突発的に降りかかるのが【呪いの称号カースドギフト】。
 解呪アイテム【浄化じょうかしずく】を使用するか、神術系スキル【浄化】で消滅させない限り、ステータスの低下、解除不能の各種状態異常、強力なユニークモンスターとのランダムエンカウントなどのマイナス効果が付与され続ける。
 どの効果がつくかは完全にランダムだが、【呪いの称号カースドギフト】を受けたプレイヤーは、例外なくキャラクターの配色が変更される。体のどこかが黒くなり、簡易ステータスを表示するとそこに笑う死神のマークが出現するのだ。
 全プレイヤーの中から選ばれる確率は0・1パーセントにも満たず、ネタにできることもあり、ある意味レアな称号ギフトだった。
 そして、シンが見たティエラの簡易ステータスには、笑う死神が確かに表示されていた。

「よし。そうとわかれば話は早い。ティエラ、ちょっとカウンターから出て、店の中央に立ってくれるか?」
「え、ええ……」

 状況がわかっていないティエラは、混乱したまま、シンに言われるがまま移動した。

「じゃあいくぞ。【浄化】発動!!」

 呪いをくため、シンはティエラに向かって右手を突き出し、神術系スキル【浄化】を使う。これは主に神官が使用するスキルだが、運よくシンも取得していたのだ。
 シンの右手が徐々に金色に輝き出す。それと同期してティエラの全身が金色の光に包まれた。

「なに……これ……あったかい……」

 体を包む光に驚いたティエラだったが、光から伝わってくる温かさに危険は感じなかった。体の中から清められているような心地よさを覚えながら、ティエラはその場にたたずんていた。
 5分ほどすると徐々に光が弱まり、やがて消えた。
 ティエラは光が消えてからもしばらく放心したままだったが、ハッと我に返ると、なにがどうなったのかという顔になる。

「……アイコンは消えたが……成功……なのか……?」

 そうつぶやくシンは少々困惑気味だった。
 ティエラの簡易ステータスを見る限り、死神アイコンは消えている。
 しかし、それによって元に戻るはずの髪の色は、ほとんど黒いまま。変わった(元に戻ったと言うべきか)ところは、髪に銀色のメッシュが入ったことくらいだ。
 呪いが消えているのか判断しづらい状況に、2人の間に何とも言えない空気がただよう。

「どう、なったの?」
「む、呪いは消えたんだが……その、なんだ。髪のほうが完全には元に戻らなかった……」

 先ほど1人で大喜びした手前、シンとしてはとても言いにくかった。

「髪?」
「ああ……すまない、髪で元に戻ったのはほん一部分だけだ。一応……確認してくれ」

 気落ちしながら、シンはアイテムボックスから鏡を取り出してティエラに渡す。
 ティエラは「髪」という言葉を聞くと、鏡を引ったくるように奪い取り、自分の眼前にかざした。
 鏡にティエラの顔が映し出される。そこにはいつもと変わらない自分の顔があった。しかし、その顔にかかる髪の一房ひとふさ、そこだけが輝く銀色へと変化していた。
 それは紛れもなく、かつてティエラの髪を彩っていた色だった。

「…………っ……っ」

 それを見たティエラの目がジワリとうるみ、一筋の涙が、その頬を流れた。
 最初の涙が頬を伝わり、しずくとなって宙に舞ったときには、すでにせきを切ったように涙があふれていた。

「ぅぅ……っ……ぇぅ……」

 服のそでで涙をぬぐいながら、ティエラは静かに泣いていた。
 そしてそんなティエラを前に、混乱の極致きょくちにいる男が1人。
 言うまでもなく、シンである。

(ど、どうすればいいんだ……呪いは解けたのは間違いないけど、髪の色は戻ってないし、ティエラは泣いてるし、謝るべきか? 謝るべきだよな? あれだけ騒いどいて、なんて謝ればいいんだぁぁあああああ!?)

 幼い子どもならともかく、肉体的には大人の女性と呼んでも過言ではないほどに成長した少女が、目の前で泣いている。しかも泣いている原因が自分かもしれないという状況に、シンの処理能力は限界を超えていた。
 実際、泣いている少女にハンカチ1つ(そもそも持っていないが)出せずにオロオロするばかりだ。

「ぐすっ……ちょっと……ひっく……待って、て……すぐ……落ち、着くから……」
「わ、わかった。ゆっくりでいいぞ? いくらでも待つ」

 話しかけられたことで我に返ったシンは、いまさらながらタオル(ハンカチというアイテムはそもそも存在しなかったので、アクセサリ用アイテムで代用)を渡す。そしてカウンターから椅子を引っ張り出してティエラを座らせ、泣きやむまでその場に立ち続けた。


 5分ほどって、ようやくティエラはタオルから顔を上げた。涙は残っていなかったが、その目はまだ赤い。

「ごめんなさい、もう大丈夫よ」
「そ、そうですか」
「なんで丁寧語ていねいご?」
「いや、まあ。あれだけ騒いだくせに、髪の色はほとんどそのままだから、申し訳ないというかなんというか……」

 ティエラが泣いている間、シンはずっと針のむしろの上にいる気分だった。
 見たところ、ティエラに怒っているような気配はない。どうなってるんだ……と、今度はシンがビクビクしていた。さっきとは立場が真逆である。

「そんなことで丁寧語使わないでよ……髪のことならいいわ。100年以上この色だったんだもの、むしろ少しだけでも戻ったことのほうが嬉しいわ」

 ティエラは本当に嬉しそうだった。大切なものを取り戻したと言わんばかりの穏やかな微笑みを浮かべている。おびえていたときの面影おもかげなどどこにもない。

「そう言ってくれると、少しは気が楽になるんだが」

 でもなあ、とシンは思う。女性にとって髪は大切なものだと、母や妹、果ては女友達から事あるごとに聞かされていたシンとしては、何とも釈然しゃくぜんとしないのだ。

「本人がいいって言ってるんだから、それでいいのよ。それよりも呪いが消えたっていうのは本当なの?」

 ティエラがこれでいいと言っている以上、自分が騒ぐわけにはいかないと、シンは自身を納得させた。

「ああ、それは間違いないはずだ。店の外に出てもらえればわかると思う」

 ティエラが受けた呪いは『ユニークモンスターとのエンカウント率上昇』なので、モンスター侵入不可の結界が張られている店の外に出なければ、効果が消えたことは証明できない。
 実はこの店の周囲の結界は、シンがかつて張ったものだ。あまりに強力なので、高レベルのユニークモンスターですら侵入できなかった。
【THE NEW GATE】はリアリティを追求したゲームである。
 そのせいか、ゲーム中に破壊不可オブジェクトがほとんど存在しておらず、シンのような店舗持ちのプレイヤーを狙った強盗プレイヤーも存在していた。それに対抗するため、敵の侵入をはばむ結界系のスキルも多く存在している。

「正直、ちょっと怖いわ。呪いが解けてなかったらって思うと」
「それは大丈夫だ。なにせ俺もかかったことがあるからな」
「えっ? ええっ!! あなたも呪われたことがあるの!?」
「ああ、俺も高レベルモンスターが湧いてくるタイプだったからな。【浄化】で間違いなく呪いは消えるぞ」

 シンが呪いにかかったのは、既にステータスが800台半ばに到達していたときだ。
 よってあまり困ることもなく、湧き出るユニークモンスターを片っ端から倒していったためレベルアップがしやすかったというイメージしかない。同時にレア素材や武器が手に入るので、むしろ呪い最高!! という心境だった。

「今まで襲ってきた中で一番レベルの高かったモンスターってなんだ?」
「一番強かったのは、たぶんホーンドラゴン。確かレベルは200くらいだったと思う」
「レッサードラゴンの上位種か」
「知ってるの?」
「ああ、それくらいなら常識。なんの問題もない」

 ホーンドラゴンはレッサードラゴン(羽のない小型のドラゴン)の上位種で、レッサードラゴンより体が2回りほど大きく、額に1本の角が生えている。
 レッサードラゴンは本来レベル100程度のモンスターであるのに対し、ホーンドラゴンはそれを大きく上回り、レベル200くらいが多い。先ほど確認したティエラのレベルは57だったので、まず勝ち目はない。
【THE NEW GATE】では、プレイヤーやサポートキャラクターのレベル上限は255だが、モンスターのレベル上限は1000。プレイヤーのおよそ4倍である。
 これはシンのような転生を繰り返す上級プレイヤーに対応するためだ。
 六天のメンバーのように、ボスモンスターを軽く倒せるプレイヤーも飽きることがないよう、レベル1000のモンスターもしっかり配置されていた。これはシンですら油断できないレベルで、普通のプレイヤーからすれば、攻略不可能である。
 それを相手にしてきたシンにとって、レベル200のユニークモンスターなど敵ではなかった。たとえ呪い状態のまま結界から出ても、ティエラの身の安全は完璧に保障されているのである。
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