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2巻
2-3
予想外な答えが返ってきたが、要するに力負けするということだろう。ユズハを取り巻いている集団に飛び込むには、ミリーの体格では少々不安が残る。
そんなことを考えていると、さすがに耐えきれなくなったらしく、ユズハが子どもたちの間をくぐりぬけてシンに駆け寄り、頭の上によじ登った。興奮しているのか、心持ち毛が逆立っている。
「ユーちゃん、おいで」
「……クゥ」
ミリーが呼ぶと、ユズハは少しばかり間を置いてから一声鳴き、広げられた腕の中に収まった。一足先に会っていたからか、比較的警戒心が薄れているようだ。
あだ名はユーちゃんらしい。
「これでもふもふひとりじめ」
「まさかの策士っ!?」
「ろうせずに、かつ」
「なんかそれっぽいこと言った!?」
どうやらユズハが堪えかねて逃げてくるのを見越していたようだ。
「ミリー、恐ろしい娘っ!」と突っ込んでしまうシン。そんなやりとりの中、ふと視線を感じて顔を上げると、シンのほうを遠巻きに見る子どもたちの姿。
わりと真面目に「さて、どうしたものか」とシンが考えていると、年長者と思われる女の子がシンの前に立った。こういうときの度胸は女子のほうがあるようだ。シンとしては「おい男子!」と言いたいところだが。
灰色の髪を肩ほどのラインで切りそろえた少女。ユズハに群がっていたのが小学校低学年くらいなのに対し、その少女は中学生になりたてくらいに見えた。緑色の瞳には緊張の色がうかがえる。
「……こんにちは」
「こんにちは。トリアさんから聞いてるだろうけど、俺はシン。冒険者をしてる。よろしくな」
「クア、です。よろしくお願いします」
念のため、あらためて自己紹介もしておく。怖がらせないように意識した成果か、多少つっかえながら少女も名乗り返してくれた。
「ちなみにこいつはユズハ。俺の相棒だから、あまり髭とか尻尾を引っ張るのは勘弁してやってくれ」
「あなたが私たちを助けてくれる人?」
「ん? どういうことだ?」
「シスターを助けてくれる人」ならばシンにもわかる。だが「私たちを」とはどういうことか。
「ここがなくなっちゃうかもしれないって、シスターが話してたから」
「教会がなくなるのか?」
「ううん。孤児院だけ」
「孤児院だけ?」
教会と孤児院はセットになっているものだと思っていたシンは、クアの言葉に驚く。
孤児院がなくなればここに住む子どもたちはどうなるのだろうか。クアの様子からは、あまりいい予感はしない。
「とりあえず話を聞いてもいいか? 俺も詳しいことは知らないんだ」
「……わかった」
シンの真剣さが伝わったのか、クアは静かに話し出した。
まず、この教会はある程度実力のある神官でなければ管理を任されず、トリアはその資格を有していないらしい。この場合の「神官」は職業を指しており、神父やシスターも呼び方が違うだけで同じ神官となる。
このままだと他の神官が管理を引き継ぐことになるのだが、どうやらその候補となる男が孤児院を取り壊すと言っているそうだ。本当に神官かと疑いたくなる。
ただし、同じ資格保有者の場合は前管理者の親類、縁者であるほど引き継ぎ順位が高い。
そしてこれが、トリアが自分ではなくラシアというもう1人のシスターを押す理由だった。ラシアがこの教会を引き継ぐことができれば当面の問題は解決される。
まさか子どもがここまで事情に詳しいと思わなかったシンは、少々驚きながら話を聞いていた。
「にしても、なんでその神官は孤児院を続けようとしないんだ? 同じ教会の人間なのに」
トリアやラシアの働きぶりからすれば、教会は人々の助けになることを行う組織ではないかという推測が立つ。だが、引き継ぎの有力候補であるその男の行動は明らかにおかしい。
「私たちは、あの男が嫌いです」
クアの言葉に後ろにいた子どもたちもうなずいている。
「どんな奴なんだ?」
聞いておいてなんだが、シンにはクアの答えがなんとなく読めた。
「お金に目がくらんだ、豚」
「……あー、うん。もうそれだけで十分だわ」
子どもにこれだけの暴言を吐かせる時点で、どういう人物か簡単に想像できてしまった。一方の視点だけで判断するのは早計だと理解しているが、それを差し引いても好意的には見れない。
組織って必ずどっか腐るんだよな、と遠くを見る目をしてしまう。人である以上、どんな世界でもその軛からは逃れられないらしい。
「つまり、ラシアが引き継ぐためには【浄化】の習得が必須ってわけか」
ギルドのエルスが言っていたように、神官にとって【浄化】というスキルは相当に特別なもののようだ。
「シンにぃがたすけてくれるから、だいじょうぶ」
「こればかりはそう断言はできないぞ」
やけに自信満々に言うミリーに注意をしておく。今回は『秘伝書』を使わずに、本来の方法で習得させることになる。この場合本人が頑張らなければ、いくらシンが助けたところで意味はない。
『秘伝書』を使わないのは、『秘伝書』がこの世界でどういう位置づけなのかわからないのと、伝授ついでにラシアを鍛えて、多少の荒事に慣れさせようという意図があるからだ。
クアの話から考えて、【浄化】を身につけただけでこの教会が抱える問題がすべて解決するとは思えない。十中八九、いざこざの起こる予感がする……ヴィルヘルムが暴れれば解決しそうではあるが。
「でも、ミリーちゃんが言うなら、大丈夫かな」
クアのつぶやきにシンが尋ねる。
「ミリーの言うことはよく当たるのか?」
「うん、ときどきしか教えてくれないけど。どこのお店が安いとか、どこにおやつがしまってあるとか」
「いや待て、それはなんか違う」
あまり勘がよすぎると、変な目で見られはしないかと心配したシンだが、予想外すぎる答えに肩すかしを食らってしまう。ミリー自身、話す相手と内容は意外と考えているらしい。
「へん?」
ミリーがシンを見上げている。
「変じゃないが。いや、むしろいい……のか?」
隠すべきことは隠しているのだし、その程度なら記憶力のある子どもという印象で済むだろう。
精神的に大人びているように感じたが、それは『星詠み』の力でさまざまなものを見てきたせいなのだろうとシンは思った。
「まあ、無理してないならいい」
そう言ってミリーの頭を撫でる。はじめは不思議そうな顔をしていたミリーも、心地よさが勝ったのか、後はされるがままだった。
「なでられるの、すき」
気持ちよさそうにするそんなミリーを、羨ましそうに見るビーストの子どもたちがいたとかいなかったとか。
ミリーに仲介してもらいながら、シンが子どもたちと仲良くなって一緒に遊ぶこと数時間。トリアが孤児院に戻って来るころには、数人の年長組を残して彼らは夢の中にいた。
「面倒を見ていただいてすいま……」
言いかけた言葉が止まる。すやすやと眠る子どもたちに気づき、トリアも肩の力が抜けたようだ。
さすがに今日会ったばかりのシンに相手をしてもらうのは気が引けていたのだろう。
「……この子たちも、すっかり気を許したようですね」
「そうだといいんですけど」
トリアの後ろにはラシアと呼ばれていた少女の姿があった。灰色の髪をトリアと同じくシニョンにしている。茶色の目がシンを捉えるが、先ほどのクアと同じく緊張しているのが見て取れた。
「あなたがラシアさんですか?」
「は、はい! この度はよろしくお願いしま゛うっ……いひゃい」
舌を噛んだらしい。
「えっと、大丈夫ですか?」
「ちょっと、そそっかしいところはありますが。頑張りやさんなのは保証します」
フォローするトリアも苦笑気味だ。
「うう、すいません。お見苦しいところを……」
「まあ、気楽にいきましょう。俺はシン。冒険者です。【浄化】スキルを会得するための指導をします。ですが、会得できるかどうかはラシアさん次第です。それをお忘れなく」
「はい!」
今度はハッキリと返事をする。その瞳は真剣そのものだった。
「では細かいところを詰めていきましょう。まずお聞きしたいんですが、レベルの高いアンデッド系のモンスターが大量に出現するような場所に、心当たりはありませんか? なければ俺がギルドで調べてきますけど」
【浄化】の取得には必要な条件だ。その場所次第で効率性が左右される。
「有名なのはやはり亡霊平原だと思います」
「亡霊平原?」
トリアの口から出た聞いたことのない地名に、シンは首をかしげる。
「はい。王都を出て北に進んだ先にある平原です。もとはダンジョンがあった場所らしいんですが、かつての天変地異によってその一部が地上に出てしまったらしく、平原一帯にアンデッド系モンスターが徘徊しているそうなのです」
「ダンジョンが地上に? そんなことがあるんですか」
「他にも似たようなケースはあるらしいのですが、詳しくは……」
「まあ、今回用があるのはアンデッド系モンスターなので、お誂え向きと言えます」
都合がよすぎる気もするが、この際気にしないことにした。いちいちそういう場所を探す手間が省けたと考えよう。話を聞いた限り、あまり時間をかけるわけにもいかなそうだ。早いに越したことはないだろう。
「で、亡霊平原にはどれくらいで着くんですか?」
「さすがにそこまでは――」
「馬車で5日か6日ってとこだな」
トリアの言葉をさえぎったのは、入口から姿を見せたヴィルヘルムだった。その手には魔槍『ヴェノム』を携え、静かに闘気を高めている。
「……あら、ヴィル。帰っていたのですか」
「よっ、お邪魔してる」
シンはトリアに続いて軽く声をかけた。
「お前が例の依頼を受けた冒険者ってわけか」
表面上は平静に見えるヴィルヘルムだが、シンからすればあからさまに戦闘態勢になっているのがわかる。
「ああ。報酬はもらったから【浄化】については任せてもらって構わない」
「……何を聞いた?」
シンの返事に、報酬が金品の類でないことを見抜くヴィルヘルム。「嘘は許さないぞ」とその瞳が語っていた。
シンは1呼吸おいて返す。
「ミリーの称号について、どんな力を持っているのか。他には、孤児院出身の冒険者が協力して、情報が漏れないようにしているという話も」
「信用しすぎじゃねぇのか?」
言葉を向けられたのはトリアだ。孤児院の面子を見れば誰が交渉したかなど考えるまでもない。
ラシアに交渉役が務まるとはシンも思えなかったので、ある意味当然と言える。
「大丈夫。悪い人には見えないわ。それにミリーが断言したのよ、大丈夫って」
ヴィルヘルムは「まさか」とミリーを見る。
「……見えた……のか?」
「うん」
「……そうか」
一瞬口を閉ざしてからぽつりと答えるヴィルヘルム。一応は納得したようだ。
「あー、話はまとまったか?」
「ああ、ミリーがそう言う以上、信用はしてやる」
この反応にはシンも肩をすくめるしかない。
「俺は聞いたことを言いふらしたり、ミリーの力を悪用しようとかは考えてないからな」
「たりめぇだ。んなことしてみろ、こいつで吸い殺すぞ」
軽口を叩くように『ヴェノム』を振るヴィルヘルムだが、目が完全に本気だ。いつでも槍が飛んできそうな気配である。
「む~、けんか、だめ!」
そんな刺々しい雰囲気を察して、ミリーが仲裁に入った。
「おっと」
「けっ」
ヴィルヘルムもこれ以上どうこうする気はないらしく、撒き散らしていた闘気を収める。
「ヴィルにぃ、せっかち」
「すいません、どうも昔から気が短くて」
「ヴィルは堪え性がないんですよ」
さりげなくフォローを入れるのはトリアとラシアだ。フォローと言うより、こき下ろしているようにも聞こえる。
「何かいろいろ言われてるぞ」
「てめぇら……」
常人なら怯えてしまうほどの闘気を受けてなお平然としているあたり、トリアたちも一般人とは言えない気がしてきたシンである。
「ちっ、まあいい。そっちがいろいろ聞いたんなら、こっちも【浄化】について情報をもらおうじゃねぇか」
「他言無用だぞ?」
「安心しろ。教会の秘法についての情報なんざ、誰かにしゃべったらそれこそやべぇ」
ヴィルヘルムの言葉に他の面々も大きくうなずいている。
どうやらシンが思っている以上に、教会というのは勢力が大きいらしい。
「念のため盗聴防止の魔術スキルをかけておくか……よし、じゃあ本題だ。【浄化】の習得方法は【祈りの聖玉】っていうアイテムを持った状態で、レベル150以上のアンデッド系モンスターを200体倒すことだ。1人で相手をしなくてもとどめを刺すだけで1体にカウントされるから、俺が弱らせたところをラシアさんが延々と倒しまくればいい」
「……おいそりゃあ、マジなのか?」
さすがのヴィルヘルムも驚きを隠せていない。
「マジだ。本当は【祈りの聖玉】を手に入れるほうが大変なんだが、それは俺が持ってるから今回はいいだろ」
なんでもないことのように告げるシン。
一方のラシアは、魂が抜けたように呆然としている。
「おい、ラシア!」
「はひっ!!」
「おいおい大丈夫かよ、お前……」
呆けていたラシアの肩をヴィルヘルムが揺すって正気に戻す。他に方法がない以上、彼女が頑張るしかないのだ。
「おいシン。今回は俺も同行するぞ」
「ああ、かまわないぜ。知り合いがいたほうが気も楽だろうし」
むしろ俺と2人っきりのほうが酷だろ、とラシアの心境を慮るシン。
ラシアの反応を見て気づいたが、この世界でシンが言った試練をクリアするのは冒険者であっても難しい。ついゲーム時代を基準に考えてしまう自分に、シンは自重、自重とつぶやいた。
「ではラシア、頑張ってきなさい」
「はい、がんばります!」
トリアの励ましにラシアが応じる。
シンが考え事をしている間に彼女も何とか立ち直ったようだ。教会を背負って立つ以上、これくらいは乗り越えるしかない。
ラシアの覚悟が決まった後は、細々としたことを話し合ってお開きとなった。
早いに越したことはないということと、各自が旅支度を整える時間を考慮し、出発は明朝。集合場所は東門前ということで決まった。
†
シンが教会を去った後、残された面々はそれぞれ明日に向けての準備を行っていた。
ラシアとトリアは荷物をまとめつつ子どもたちの相手をしている。
ヴィルヘルムは旅に必要な食料や物資を買いに出ていた。
大通りを歩きながら必要なものを購入する傍ら、孤児院出身の信頼できる冒険者に声をかけていく。孤児院をつぶそうとしている神官が、自分がいない間に動く可能性もあるからだ。
孤児院出身の冒険者であってもミリーの力を知っている者は限られている。長期不在になる可能性があるので、その全員に警戒するよう伝えなければならないだろう。
そうして忙しくしながらも、ヴィルヘルムはある男のことを考え続けていた。
言うまでもなく、シンのことだ。
初めて会ったのは行きつけの料理店で、たまたま相席になった。
冒険者になったばかりだというのに、『ヴェノム』を持つ自分に臆することなく話しかけてきたのには驚いた。だから、孤児院で再会したときもすぐに思い出すことができたのだ。
教会でトリアがミリーの力のことをシンに話したと聞いて、いくらなんでも信用しすぎだと思ったが、ミリーまでもが大丈夫だと断言したので一応は納得しておいた。
それにミリーは「見えた」と口にしていた。
何が、とは言っていないが、少なくともシンが危険な存在でないことは確かだ。そうでなければミリーが擁護しないだろう。
だが、得体が知れないということだけは変わらない。
よくよく考えてみれば、おかしなところが多々あることに気づく。
『ヴェノム』を前にしたときの、「鑑定はしたのか」という言葉。そしてわざわざ鑑定者のスキルレベルを聞いたこと。今思えば、そのときシンの表情は、まるで「それじゃあ無理だな」と言っていたような気がする。
【浄化】の取得条件についてもそうだ。シンは「レベル150以上のアンデッド系モンスターを200体以上倒すこと」と言った。そしてその後に「自分が弱らせたところをラシアがとどめを刺せばいい」と続けたのだ。
シンの口ぶりからして、戦力としてヴィルヘルムを頭数に入れていたとは思えない。
あの発言が嘘でないなら、それはつまり、レベル150以上のモンスターを1人で相手にできる実力を有しているということだ。それも、足手まといであるラシアを連れた状態で、だ。
(本当に冒険者になったばかりだってのか?)
相席したときは、冒険者になる前から戦いの経験はあるような口ぶりだったが、それほどの腕なら何がしかの情報が出回っていてもおかしくない。
冒険者でなくとも腕の立つ者の噂というのは存外早く伝わるものだ。だが、孤児院つながりの情報屋に聞いてもそんな話は1つもなかった。
レベルが150を超えるモンスターを単独で撃破できるとなれば、冒険者のランクは少なくともB以上。Aだとしてもおかしくはない。
そんな人物がこれまで無名だったというのはどういうことか。
(まさか、あいつ……)
思わず足を止めた。
ヴィルヘルムの脳裏にある単語が浮かんだのだ。一部の者だけが知る、ある単語が。
それは通常では考えられないような力を持つ存在を指す言葉。
生まれながらにして多くのスキルと知識を宿し、世間のレベルという概念を逸脱した、選ばれし者たちの総称。
そして、ヴィルヘルム自身とも深く関わりがある。
「選定者……なのか?」
思わずもれたつぶやきは誰に聞かれることもなく、街の喧騒の中に消えていった。
そんなことを考えていると、さすがに耐えきれなくなったらしく、ユズハが子どもたちの間をくぐりぬけてシンに駆け寄り、頭の上によじ登った。興奮しているのか、心持ち毛が逆立っている。
「ユーちゃん、おいで」
「……クゥ」
ミリーが呼ぶと、ユズハは少しばかり間を置いてから一声鳴き、広げられた腕の中に収まった。一足先に会っていたからか、比較的警戒心が薄れているようだ。
あだ名はユーちゃんらしい。
「これでもふもふひとりじめ」
「まさかの策士っ!?」
「ろうせずに、かつ」
「なんかそれっぽいこと言った!?」
どうやらユズハが堪えかねて逃げてくるのを見越していたようだ。
「ミリー、恐ろしい娘っ!」と突っ込んでしまうシン。そんなやりとりの中、ふと視線を感じて顔を上げると、シンのほうを遠巻きに見る子どもたちの姿。
わりと真面目に「さて、どうしたものか」とシンが考えていると、年長者と思われる女の子がシンの前に立った。こういうときの度胸は女子のほうがあるようだ。シンとしては「おい男子!」と言いたいところだが。
灰色の髪を肩ほどのラインで切りそろえた少女。ユズハに群がっていたのが小学校低学年くらいなのに対し、その少女は中学生になりたてくらいに見えた。緑色の瞳には緊張の色がうかがえる。
「……こんにちは」
「こんにちは。トリアさんから聞いてるだろうけど、俺はシン。冒険者をしてる。よろしくな」
「クア、です。よろしくお願いします」
念のため、あらためて自己紹介もしておく。怖がらせないように意識した成果か、多少つっかえながら少女も名乗り返してくれた。
「ちなみにこいつはユズハ。俺の相棒だから、あまり髭とか尻尾を引っ張るのは勘弁してやってくれ」
「あなたが私たちを助けてくれる人?」
「ん? どういうことだ?」
「シスターを助けてくれる人」ならばシンにもわかる。だが「私たちを」とはどういうことか。
「ここがなくなっちゃうかもしれないって、シスターが話してたから」
「教会がなくなるのか?」
「ううん。孤児院だけ」
「孤児院だけ?」
教会と孤児院はセットになっているものだと思っていたシンは、クアの言葉に驚く。
孤児院がなくなればここに住む子どもたちはどうなるのだろうか。クアの様子からは、あまりいい予感はしない。
「とりあえず話を聞いてもいいか? 俺も詳しいことは知らないんだ」
「……わかった」
シンの真剣さが伝わったのか、クアは静かに話し出した。
まず、この教会はある程度実力のある神官でなければ管理を任されず、トリアはその資格を有していないらしい。この場合の「神官」は職業を指しており、神父やシスターも呼び方が違うだけで同じ神官となる。
このままだと他の神官が管理を引き継ぐことになるのだが、どうやらその候補となる男が孤児院を取り壊すと言っているそうだ。本当に神官かと疑いたくなる。
ただし、同じ資格保有者の場合は前管理者の親類、縁者であるほど引き継ぎ順位が高い。
そしてこれが、トリアが自分ではなくラシアというもう1人のシスターを押す理由だった。ラシアがこの教会を引き継ぐことができれば当面の問題は解決される。
まさか子どもがここまで事情に詳しいと思わなかったシンは、少々驚きながら話を聞いていた。
「にしても、なんでその神官は孤児院を続けようとしないんだ? 同じ教会の人間なのに」
トリアやラシアの働きぶりからすれば、教会は人々の助けになることを行う組織ではないかという推測が立つ。だが、引き継ぎの有力候補であるその男の行動は明らかにおかしい。
「私たちは、あの男が嫌いです」
クアの言葉に後ろにいた子どもたちもうなずいている。
「どんな奴なんだ?」
聞いておいてなんだが、シンにはクアの答えがなんとなく読めた。
「お金に目がくらんだ、豚」
「……あー、うん。もうそれだけで十分だわ」
子どもにこれだけの暴言を吐かせる時点で、どういう人物か簡単に想像できてしまった。一方の視点だけで判断するのは早計だと理解しているが、それを差し引いても好意的には見れない。
組織って必ずどっか腐るんだよな、と遠くを見る目をしてしまう。人である以上、どんな世界でもその軛からは逃れられないらしい。
「つまり、ラシアが引き継ぐためには【浄化】の習得が必須ってわけか」
ギルドのエルスが言っていたように、神官にとって【浄化】というスキルは相当に特別なもののようだ。
「シンにぃがたすけてくれるから、だいじょうぶ」
「こればかりはそう断言はできないぞ」
やけに自信満々に言うミリーに注意をしておく。今回は『秘伝書』を使わずに、本来の方法で習得させることになる。この場合本人が頑張らなければ、いくらシンが助けたところで意味はない。
『秘伝書』を使わないのは、『秘伝書』がこの世界でどういう位置づけなのかわからないのと、伝授ついでにラシアを鍛えて、多少の荒事に慣れさせようという意図があるからだ。
クアの話から考えて、【浄化】を身につけただけでこの教会が抱える問題がすべて解決するとは思えない。十中八九、いざこざの起こる予感がする……ヴィルヘルムが暴れれば解決しそうではあるが。
「でも、ミリーちゃんが言うなら、大丈夫かな」
クアのつぶやきにシンが尋ねる。
「ミリーの言うことはよく当たるのか?」
「うん、ときどきしか教えてくれないけど。どこのお店が安いとか、どこにおやつがしまってあるとか」
「いや待て、それはなんか違う」
あまり勘がよすぎると、変な目で見られはしないかと心配したシンだが、予想外すぎる答えに肩すかしを食らってしまう。ミリー自身、話す相手と内容は意外と考えているらしい。
「へん?」
ミリーがシンを見上げている。
「変じゃないが。いや、むしろいい……のか?」
隠すべきことは隠しているのだし、その程度なら記憶力のある子どもという印象で済むだろう。
精神的に大人びているように感じたが、それは『星詠み』の力でさまざまなものを見てきたせいなのだろうとシンは思った。
「まあ、無理してないならいい」
そう言ってミリーの頭を撫でる。はじめは不思議そうな顔をしていたミリーも、心地よさが勝ったのか、後はされるがままだった。
「なでられるの、すき」
気持ちよさそうにするそんなミリーを、羨ましそうに見るビーストの子どもたちがいたとかいなかったとか。
ミリーに仲介してもらいながら、シンが子どもたちと仲良くなって一緒に遊ぶこと数時間。トリアが孤児院に戻って来るころには、数人の年長組を残して彼らは夢の中にいた。
「面倒を見ていただいてすいま……」
言いかけた言葉が止まる。すやすやと眠る子どもたちに気づき、トリアも肩の力が抜けたようだ。
さすがに今日会ったばかりのシンに相手をしてもらうのは気が引けていたのだろう。
「……この子たちも、すっかり気を許したようですね」
「そうだといいんですけど」
トリアの後ろにはラシアと呼ばれていた少女の姿があった。灰色の髪をトリアと同じくシニョンにしている。茶色の目がシンを捉えるが、先ほどのクアと同じく緊張しているのが見て取れた。
「あなたがラシアさんですか?」
「は、はい! この度はよろしくお願いしま゛うっ……いひゃい」
舌を噛んだらしい。
「えっと、大丈夫ですか?」
「ちょっと、そそっかしいところはありますが。頑張りやさんなのは保証します」
フォローするトリアも苦笑気味だ。
「うう、すいません。お見苦しいところを……」
「まあ、気楽にいきましょう。俺はシン。冒険者です。【浄化】スキルを会得するための指導をします。ですが、会得できるかどうかはラシアさん次第です。それをお忘れなく」
「はい!」
今度はハッキリと返事をする。その瞳は真剣そのものだった。
「では細かいところを詰めていきましょう。まずお聞きしたいんですが、レベルの高いアンデッド系のモンスターが大量に出現するような場所に、心当たりはありませんか? なければ俺がギルドで調べてきますけど」
【浄化】の取得には必要な条件だ。その場所次第で効率性が左右される。
「有名なのはやはり亡霊平原だと思います」
「亡霊平原?」
トリアの口から出た聞いたことのない地名に、シンは首をかしげる。
「はい。王都を出て北に進んだ先にある平原です。もとはダンジョンがあった場所らしいんですが、かつての天変地異によってその一部が地上に出てしまったらしく、平原一帯にアンデッド系モンスターが徘徊しているそうなのです」
「ダンジョンが地上に? そんなことがあるんですか」
「他にも似たようなケースはあるらしいのですが、詳しくは……」
「まあ、今回用があるのはアンデッド系モンスターなので、お誂え向きと言えます」
都合がよすぎる気もするが、この際気にしないことにした。いちいちそういう場所を探す手間が省けたと考えよう。話を聞いた限り、あまり時間をかけるわけにもいかなそうだ。早いに越したことはないだろう。
「で、亡霊平原にはどれくらいで着くんですか?」
「さすがにそこまでは――」
「馬車で5日か6日ってとこだな」
トリアの言葉をさえぎったのは、入口から姿を見せたヴィルヘルムだった。その手には魔槍『ヴェノム』を携え、静かに闘気を高めている。
「……あら、ヴィル。帰っていたのですか」
「よっ、お邪魔してる」
シンはトリアに続いて軽く声をかけた。
「お前が例の依頼を受けた冒険者ってわけか」
表面上は平静に見えるヴィルヘルムだが、シンからすればあからさまに戦闘態勢になっているのがわかる。
「ああ。報酬はもらったから【浄化】については任せてもらって構わない」
「……何を聞いた?」
シンの返事に、報酬が金品の類でないことを見抜くヴィルヘルム。「嘘は許さないぞ」とその瞳が語っていた。
シンは1呼吸おいて返す。
「ミリーの称号について、どんな力を持っているのか。他には、孤児院出身の冒険者が協力して、情報が漏れないようにしているという話も」
「信用しすぎじゃねぇのか?」
言葉を向けられたのはトリアだ。孤児院の面子を見れば誰が交渉したかなど考えるまでもない。
ラシアに交渉役が務まるとはシンも思えなかったので、ある意味当然と言える。
「大丈夫。悪い人には見えないわ。それにミリーが断言したのよ、大丈夫って」
ヴィルヘルムは「まさか」とミリーを見る。
「……見えた……のか?」
「うん」
「……そうか」
一瞬口を閉ざしてからぽつりと答えるヴィルヘルム。一応は納得したようだ。
「あー、話はまとまったか?」
「ああ、ミリーがそう言う以上、信用はしてやる」
この反応にはシンも肩をすくめるしかない。
「俺は聞いたことを言いふらしたり、ミリーの力を悪用しようとかは考えてないからな」
「たりめぇだ。んなことしてみろ、こいつで吸い殺すぞ」
軽口を叩くように『ヴェノム』を振るヴィルヘルムだが、目が完全に本気だ。いつでも槍が飛んできそうな気配である。
「む~、けんか、だめ!」
そんな刺々しい雰囲気を察して、ミリーが仲裁に入った。
「おっと」
「けっ」
ヴィルヘルムもこれ以上どうこうする気はないらしく、撒き散らしていた闘気を収める。
「ヴィルにぃ、せっかち」
「すいません、どうも昔から気が短くて」
「ヴィルは堪え性がないんですよ」
さりげなくフォローを入れるのはトリアとラシアだ。フォローと言うより、こき下ろしているようにも聞こえる。
「何かいろいろ言われてるぞ」
「てめぇら……」
常人なら怯えてしまうほどの闘気を受けてなお平然としているあたり、トリアたちも一般人とは言えない気がしてきたシンである。
「ちっ、まあいい。そっちがいろいろ聞いたんなら、こっちも【浄化】について情報をもらおうじゃねぇか」
「他言無用だぞ?」
「安心しろ。教会の秘法についての情報なんざ、誰かにしゃべったらそれこそやべぇ」
ヴィルヘルムの言葉に他の面々も大きくうなずいている。
どうやらシンが思っている以上に、教会というのは勢力が大きいらしい。
「念のため盗聴防止の魔術スキルをかけておくか……よし、じゃあ本題だ。【浄化】の習得方法は【祈りの聖玉】っていうアイテムを持った状態で、レベル150以上のアンデッド系モンスターを200体倒すことだ。1人で相手をしなくてもとどめを刺すだけで1体にカウントされるから、俺が弱らせたところをラシアさんが延々と倒しまくればいい」
「……おいそりゃあ、マジなのか?」
さすがのヴィルヘルムも驚きを隠せていない。
「マジだ。本当は【祈りの聖玉】を手に入れるほうが大変なんだが、それは俺が持ってるから今回はいいだろ」
なんでもないことのように告げるシン。
一方のラシアは、魂が抜けたように呆然としている。
「おい、ラシア!」
「はひっ!!」
「おいおい大丈夫かよ、お前……」
呆けていたラシアの肩をヴィルヘルムが揺すって正気に戻す。他に方法がない以上、彼女が頑張るしかないのだ。
「おいシン。今回は俺も同行するぞ」
「ああ、かまわないぜ。知り合いがいたほうが気も楽だろうし」
むしろ俺と2人っきりのほうが酷だろ、とラシアの心境を慮るシン。
ラシアの反応を見て気づいたが、この世界でシンが言った試練をクリアするのは冒険者であっても難しい。ついゲーム時代を基準に考えてしまう自分に、シンは自重、自重とつぶやいた。
「ではラシア、頑張ってきなさい」
「はい、がんばります!」
トリアの励ましにラシアが応じる。
シンが考え事をしている間に彼女も何とか立ち直ったようだ。教会を背負って立つ以上、これくらいは乗り越えるしかない。
ラシアの覚悟が決まった後は、細々としたことを話し合ってお開きとなった。
早いに越したことはないということと、各自が旅支度を整える時間を考慮し、出発は明朝。集合場所は東門前ということで決まった。
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シンが教会を去った後、残された面々はそれぞれ明日に向けての準備を行っていた。
ラシアとトリアは荷物をまとめつつ子どもたちの相手をしている。
ヴィルヘルムは旅に必要な食料や物資を買いに出ていた。
大通りを歩きながら必要なものを購入する傍ら、孤児院出身の信頼できる冒険者に声をかけていく。孤児院をつぶそうとしている神官が、自分がいない間に動く可能性もあるからだ。
孤児院出身の冒険者であってもミリーの力を知っている者は限られている。長期不在になる可能性があるので、その全員に警戒するよう伝えなければならないだろう。
そうして忙しくしながらも、ヴィルヘルムはある男のことを考え続けていた。
言うまでもなく、シンのことだ。
初めて会ったのは行きつけの料理店で、たまたま相席になった。
冒険者になったばかりだというのに、『ヴェノム』を持つ自分に臆することなく話しかけてきたのには驚いた。だから、孤児院で再会したときもすぐに思い出すことができたのだ。
教会でトリアがミリーの力のことをシンに話したと聞いて、いくらなんでも信用しすぎだと思ったが、ミリーまでもが大丈夫だと断言したので一応は納得しておいた。
それにミリーは「見えた」と口にしていた。
何が、とは言っていないが、少なくともシンが危険な存在でないことは確かだ。そうでなければミリーが擁護しないだろう。
だが、得体が知れないということだけは変わらない。
よくよく考えてみれば、おかしなところが多々あることに気づく。
『ヴェノム』を前にしたときの、「鑑定はしたのか」という言葉。そしてわざわざ鑑定者のスキルレベルを聞いたこと。今思えば、そのときシンの表情は、まるで「それじゃあ無理だな」と言っていたような気がする。
【浄化】の取得条件についてもそうだ。シンは「レベル150以上のアンデッド系モンスターを200体以上倒すこと」と言った。そしてその後に「自分が弱らせたところをラシアがとどめを刺せばいい」と続けたのだ。
シンの口ぶりからして、戦力としてヴィルヘルムを頭数に入れていたとは思えない。
あの発言が嘘でないなら、それはつまり、レベル150以上のモンスターを1人で相手にできる実力を有しているということだ。それも、足手まといであるラシアを連れた状態で、だ。
(本当に冒険者になったばかりだってのか?)
相席したときは、冒険者になる前から戦いの経験はあるような口ぶりだったが、それほどの腕なら何がしかの情報が出回っていてもおかしくない。
冒険者でなくとも腕の立つ者の噂というのは存外早く伝わるものだ。だが、孤児院つながりの情報屋に聞いてもそんな話は1つもなかった。
レベルが150を超えるモンスターを単独で撃破できるとなれば、冒険者のランクは少なくともB以上。Aだとしてもおかしくはない。
そんな人物がこれまで無名だったというのはどういうことか。
(まさか、あいつ……)
思わず足を止めた。
ヴィルヘルムの脳裏にある単語が浮かんだのだ。一部の者だけが知る、ある単語が。
それは通常では考えられないような力を持つ存在を指す言葉。
生まれながらにして多くのスキルと知識を宿し、世間のレベルという概念を逸脱した、選ばれし者たちの総称。
そして、ヴィルヘルム自身とも深く関わりがある。
「選定者……なのか?」
思わずもれたつぶやきは誰に聞かれることもなく、街の喧騒の中に消えていった。
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