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9巻
9-1
ヒノモトを揺るがす反乱を無事に平定したシンは、天下五剣の一振り、三日月宗近との約束を果たすべく、霊峰フジへ向かうことにした。
九条の領地を出たシン一行は、馬車を走らせ街道を進んでいる。走ったほうが早く着くとはいえ、それほど急な用事があるわけではない。
反乱鎮圧のため、二葉や四條に向かったときほどではないとはいえ、普通の馬車よりははるかに速度が出ていた。
「――それで、なんで天下五剣なんて物騒な相手が話したがってるのよ?」
御者台に座るシンにフィルマが問いかける。
ゲーム時代、天下五剣とサポートキャラは戦えなかったので、フィルマだけでなく、シュニーやシュバイドも宗近の強さは知らない。
しかし、そのレベルと装備をシンから聞けば、危険度を測るくらいはできた。
レベルは900を超え、古代級の装備で身を固めている。この世界で圧倒的強者であるシュニーたちにとっても、決して油断していい相手ではない。
「正直に言って、理由はわからない。でも、『栄華の落日』より前からいるわけだし、何か重要な話があるのかもしれないだろ」
「危険はないのでしょうか?」
「実際に話をして、腕試しに剣を合わせたけど、とくに気になるところはなかったな。本気で戦いたいって欲求もあるなか、自制できてたし」
以前戦ったときに、宗近が本気になる前に太刀を引いたことを思い返しながら、シンはシュニーに返答した。
戦闘意欲がないとは言えなかったが、宗近は武力だけで話を通すタイプではない。
花梨たちと薬草を求めて訪れたときも、シンがいなければ腕試し以外の対価を要求したか、対価なしでも薬草を恵むくらいはしただろう。
「念のために聞いておくけど、花梨ちゃんみたいにシンに惚れてるとか言わないでしょうね」
「おいフィルマ。お見合いの話は、花梨さんの母親の勇み足でだな……」
「それは聞いてるわよ。でも、彼女の目はどう見ても恋する乙女の目だったわよ? まさかとは思うけど、気づいてなかったわけじゃないわよね?」
「それは……気づいてたけどさ」
あそこまで態度に出されれば、普通の人は気づく。シンとて例外ではなかったが、同時に変だなと思ってもいた。
「花梨さんの態度が変わったのって、お見合いの話を断ってからなんだよ。その辺がよくわからなくてな。何で断られた後に惚れたような態度になるんだ。逆じゃないのか?」
そこがシンにはわからなかった。
「自分の気持ちに気づくのが遅かっただけでしょ。見た感じ、剣一筋って感じだったし」
「……やっぱりよくわからん」
人を好きになる気持ちはわかるシンだったが、花梨の件はどうにも理解できない。
「過ぎたことを蒸し返すのはやめましょう。それで、宗近さんというのはどのような方なのですか?」
「俺もそんなに詳しく知ってるわけじゃないんだ。初めて会ったのは――」
シンは花梨たちを連れてフジに登ったことや、薬草のために宗近と戦ったことを話した。
「強かった」
「ああ、ユズハの言うとおり、剣術の腕は半端じゃなかったな。純粋な剣の勝負じゃ勝てない。もちろん、なんでもありなら話は別だが」
手合わせをした時のことを思い出してシンは言う。魔術もスキルもありならば、負ける要素はなかった。
「ふむ、確かに枷を取り払ったシンならば、剣の技術で劣っていようとどうにでもできるだろう」
「そもそもシンは負けたりしません」
シンの能力を冷静に分析したシュバイドに対して、シュニーは心外だと言わんばかりに口を挟んだ。少し意地を張っているようにも見えて、ティエラが声をかける。
「あの、師匠?」
「……こほん。もうすぐフジです」
誤魔化すように咳払いをして、シュニーが言った。
馬車の前方には、フジが見上げるほどの威容を誇っている。
相変わらず、頂上付近には濃い靄がかかっていた。
「靄は消えないって聞いてるけど、森は落ち着いた雰囲気なのね」
靄を見てから、森に視線を向けたティエラがぽつりとつぶやく。
「そうなのか?」
「世界樹の森に近いですね。何か特別な力が働いているのでしょう」
シンの疑問に、ティエラと同じくフジの麓に広がる森を見ていたシュニーが答えた。
「レベルの高いモンスターもいると聞くが、どうなのだ?」
「平均500くらいなのは変わらずだな。ただ、頂上にいるヤツクビオロチは別格だ。レベルは833」
シンの答えを聞いたシュバイドが唸る。
「宗近より低いとはいえ、油断できる相手ではないな」
「戦いに行くわけじゃないから大丈夫だと思うぞ。前にフジに行ったときも、好戦的な感じじゃなかったし」
興味深そうに見てきた首やマイペースに寝ていた首など、8本の首それぞれに個性があった。強力なモンスターなのだが、そんな仕草だけを見ていたせいか、シンとしては危機感よりも愛らしさを覚えてしまう。
「とりあえず登ろう。この面子ならモンスターを心配する必要はないだろうけど、油断はしないようにな」
「では、私が先頭を行きましょう」
シュニーが先頭を歩き、その後ろをシンたちが歩く。上から見るとティエラを中心にシンが右、フィルマが左でシュバイドが殿のひし形を形成していた。ユズハはシンの左肩の上だ。
カゲロウがいるのでティエラを集中して守る必要はないのだが、自然とその形になった。
ティエラは弓をメイン武装としている。シンたちは後衛を中心に陣形を組むのが当たり前だと半ば刷り込まれているのだ。
「靄に入ります」
陣形を保ったまま、一行は靄の中を進む。
花梨たちと一緒に来た時と違い隠密行動はとっていないが、シュニーの先導は的確で、モンスターに遭遇することなく靄を抜けた。
シンたちが接近していたことに気づいていたようで、靄を抜けた先ではヤツクビオロチが鎌首をもたげて待ち構えていた。
「お、大きい……」
その威容を見上げて、ティエラが驚く。ヤツクビオロチは前回同様、興味深そうにシンたちを見つめていた。
人数が多いからか、メンバーのレベルの高さを感じ取ったからか、今回は8本の首のすべての視線が向けられている。
「確かに、威圧感や敵意はないですね」
「ふむ、警戒はしなくてもよさそうだな」
ヤツクビオロチの様子を見て、シュニーとシュバイドが警戒を解く。
「それよりも、あたしはあっちのほうが気になるけど」
シュニーたちとは違い、フィルマは祠の奥に目を向けていた。
そのつぶやきから数分と経たないうちに、祠の奥に光る物が見える。
「思っていたより早く来たな。シン」
「長くは待たせないといいましたから」
その正体は、宗近の身につけている具足だ。兜を左腕で持ち、シンたちに近づいてくる。
「畏まる必要はない。私とシンの仲だろう」
シンの肩に手を置きながら、宗近は顔を近づけてくる。妙に距離が近い。
「えっと……手合わせをしたくらいしか記憶にないんですけど」
ここまで親しげにされることに心当たりのないシンは、困惑しながらも言葉を絞り出す。妖狐を倒すのを手伝ったことは記憶に新しいが、それだけで親しくされるとは思えなかったのだ。
「ああ、そういえばまだ言ってなかったな。さんざん転がされただの、運で勝ったと言わせないだのと、先日手合わせしたときに言っていただろう? シンが去ってから、そのことについて考えたのだ。数日かかったが、しっかりと思い出したぞ」
「まさか、ゲーム時代のことを覚えていた、んですか?」
なにせ500年以上前のことだ。覚えていられるものなのか、という疑問が浮かぶ。
「きっかけがなければ無理だったろうがな。私自身、これほどはっきり思い出せるとは思わなかった」
手合わせの際、姿を見ただけでは思い出さなかったと宗近は言う。シンの言葉がきっかけになったようだ。
「あの日話をしたいと思ったのは、無意識のうちにシンのことを思い出していたからかもしれん」
「俺のこと、どの程度知っているんですか?」
「お前自身のことはもともとあまり知らない。だが、交わした刃の熱さは覚えているぞ?」
肩に置かれていた手が、シンの顔へと移動する。
「私を倒した者は、お前以外にもいる。だが、お前ほど私に挑み続けた者はいない。思い出せば出すほど、胸が熱く――まったく、それは無粋というものだろう?」
突然目の前に現れた相手に、やれやれとでも言いたげに宗近が肩をすくめた。
段々と距離が近づいていたシンと宗近の間に割り込んだのは、シュニーだ。
「申し訳ありませんが、それ以上シンに近づかれては困ります」
「困ります、か。羨ましい、の間違いではないのか?」
「…………」
宗近の挑発するような物言いに、シュニーの目が細まった。
「はいストップ、ストオーップ! シュニーも落ち着けって、向こうは本気じゃない。宗近もそういう冗談はやめてくれ!」
「ふふ、いやなに。私がお前の肩に手を置いただけで、ずいぶんと物騒な視線を向けられたのでな。からかいたくもなるというものだ。それに、お前の畏まった口調も直っただろう?」
「勘弁してくれよ……」
シュニーの両肩に手を置いてなだめながら、シンは溜め息をつく。険悪になるのはよしてほしいと心底思った。
「なんというか、イメージとだいぶ違うわね」
「うむ、シンに聞いていた話とも少し違うな」
シンたちのやり取りを見て、フィルマとシュバイドが困惑していた。
レベルは確認できており、強いことは間違いないと確信している。ただ、強者にありがちな威圧感が鳴りを潜めているので、ついそんなつぶやきが漏れたのだ。
「えっと、シン? そろそろ手を離したほうがいいと思うわよ」
「ん? っておわ! わ、悪い!」
ティエラに指摘を受けてシンが視線を戻すと、顔を真っ赤にして固まっているシュニーがいた。
「……別に、大丈夫です」
赤くなった顔を見られるのが恥ずかしいのか、シュニーは俯いたままぼそぼそとしゃべった。
「くく、お主らは見ていて飽きぬな」
「誰のせいだ、まったく。で、話の続きをしたいんだが?」
「いやすまぬな。こんなに愉快なのは久方ぶりだったのだ。さて、では本題だが、シン。私はお前の戦闘力はもとより、人となりもわかっているつもりだ。そんなお前を見込んで、頼みたいことがある」
はじめこそ微笑を浮かべていた宗近だったが、本題に入ると表情は一変、真剣な顔で話し始めた。
「それは俺の仲間も聞いていいことですか?」
「ああ、問題ない。それに、エレメントテイルを従えているなら、シン自身もあながち無関係とも言えん」
宗近はユズハに視線を向けながら言った。エレメントテイルがらみと聞いて、シンは霊脈に関係していることだろうかと推測する。
「ついて来い。お前たちに見せておくものがある」
そう言って身を翻す宗近に続いて、シンたちは祠の奥に進んだ。
5分ほど歩くと、前方から赤い光が漏れているのが目に映る。
「これが、本来のフジの主、カグツチだ」
「これは……」
そこにあったものを見て、誰もが言葉を失った。
漏れていた光の発生源。それは、不死鳥の姿をした深紅の結晶だった。
何かを包み込むように大きく翼を広げた状態で結晶化しているカグツチから赤い光が漏れ、部屋を明るく照らしている。
「どうなってるんだ? これ」
「以前、霊脈に瘴気が流れ込むことがあってな。霊脈を安定させるためにこうなった。こんな状態ではあるが、カグツチは死んではいない。もう出てきても大丈夫だ! こいつらに危険はない!」
結晶に向かって叫ぶ宗近。何をしているのかとシンたちが疑問に思っていると、結晶の陰で何かが動いた。
拳ほどの大きさの何かはカグツチの頭の部分から飛び降りると、パタパタと小さな翼を上下させて宗近の頭の上に着地する。
「ぴぃ!」
「こら、頭ではなく肩に乗れ、といつも言っているだろう」
宗近の頭上で翼を広げて存在を主張しているのは、全身が赤い羽毛で覆われた雛鳥だった。
雛にしては少々大きいが、ヒヨコをそのまま大きくして全身を赤く染めたような、ふわふわもこもことした姿をしている。
「ぴぃ!!」
「よく来た、エレメントテイルの友よ、って言ってる。2回も」
ただ鳴いているようにしか聞こえていなかったシンたちに、2度の「ぴぃ!」は同じことを言っていたとユズハが伝えた。
「言ってることがわかるのか?」
「なんとなく」
霊脈に干渉できる者同士だからか、意思疎通ができるとユズハは言う。
「こんな姿だが、一応これがカグツチだ。分身したようなものだな」
「そんなことができるのか」
「力なぞほとんどないがな。意思を伝えるくらいしかできん」
「ぴぃ! ぴぃー!!」
丸っこいくちばしの先でヒヨコカグツチが宗近の頭をつついた。宗近はこれといって痛がる様子はない。
「わかっている。それよりも恒次と光世はどうした? 奴らにも言っておかねばならんだろう」
宗近もカグツチの言っていることはわかるようだった。
会話に出てきた恒次と光世は、宗近と同じ天下五剣に名を連ねる名刀の名前だ。
「他にも天下五剣がいるのか?」
「2人だけだがな。事情は話す。――来たか」
結晶化したカグツチの横にある通路から、2人の人物が姿を現した。
1人は見た目60は越えているだろう老人だ。
オールバックの髪はすべて灰銀色。無精ひげを撫でつけながらシンたちを観察する姿に、一切の隙はない。具足のうち、肩を守る大袖と、足や腰回りを守る草摺や佩楯を装備している。
もう1人は宗近と同じく、兜以外の具足を身につけた10代後半くらいの少女だ。
背丈はあまり高くなく体つきも華奢。ツインテールの髪と整った顔つきは実に可愛らしいが、鋭い目つきがそれを台無しにしていた。
幼く見えながらも好戦的な印象で、黒に黄色の縁取りをされた具足は、宗近とはまた違ったデザインだった。
「ほほう、なにやらカグツチに呼ばれて来てみれば、客人が来ていたか」
「ちょっと宗近。私たちに断りもなく、ここに人を入れるとはどういうことよ!」
「安綱と国綱に関することでな。それと、光世はもう少し殺気を抑えろ。危険な相手なら、私がいようといるまいと、カグツチがこうして姿を現すことはないだろうに」
「ぴぃっ!」
登場して早々に剣呑な雰囲気を撒きちらす少女。シンの【分析】には大典太光世と表示されていた。
少女と一緒に姿を現した老人のほうは、数珠丸恒次とあった。
光世がレベル908。恒次がレベル941。どちらも名前の由来となった太刀を佩いている。
「そこの男――シンの肩に乗っているエレメントテイルを見ろ。霊脈を乱そうという者に、エレメントテイルが従うわけがないだろう。以前話した協力を頼めそうな者たちだよ。ちなみにシンに関しては皆初対面ではない。光世なぞ、一度負けているからな。よく思い出せ」
すでに話は通してあったようで、宗近に言われてエレメントテイルを見た光世は、唸りながらも漏れていた殺気を消した。
しかし、最後の言葉にシンに向けられた視線が鋭くなる。
「邪な考えはないっていう点は、確かに信憑性があるわね。カグツチも同じことを言っているし、そこは信じる。でもひとつ聞き捨てならないことがあるわ。私が負けているですって!? どういうことよ!」
「大声を出すな光世。まったく、我々の中で負けていないのは、恒次くらいだぞ」
「儂か? 確かに負けたことなど片手で数えるくらいしかないが。ふむ、小僧、少し殺気を飛ばしてみろ」
「え?」
突然殺気を出せと言われて、シンには意味がわからなかった。
「この老人は人の顔や名前を覚えんのだ」
「そういうことですか、わかりました。じゃあいきますよ」
シンはわずかな殺意を込めて恒次を見る。殺気に反応したのは恒次だけでなく、光世も目を見開いていた。
「ほうほう、なるほど。これはえらく昔に感じた殺気じゃな。しかし、負けてはおらんが勝ってもおらんな。殺し切れた記憶がない」
「そりゃ、敵わないと思ったら、すぐに逃げてましたからね」
擬人化した武器との戦いでは、動くことさえできれば逃げることができた。設定された戦闘範囲から武器たちは出てこられなかったのだ。
武器に負けて死ねば当然デスペナルティがあるので、それを食らうくらいなら逃げるというプレイヤーは多かった。逃げ切れる者は少なかったが。
「かか! あれは見事な逃げっぷりであったな」
ゲーム時代にシンが手に入れることができたのは、天下五剣の内4本まで。
ギリギリで手に入れたのが『三日月宗近』であり、『数珠丸恒次』は時間切れになっしまったのだ。現在シンが所持している『数珠丸恒次』は、復刻イベントで入手したものである。
3人の話し振りから、復刻イベントの記憶はないらしい。
「ちょっと、私を倒したって言ってるやつが、なんで恒次を倒してないのよ! 最後まできっちり倒しなさいよ!」
「無茶言うな! 宗近でぎりぎりだったんだぞ。何度かは戦えたけど、時間が足りんわ」
自分に勝った相手が、同じ天下五剣の恒次に勝っていないのが気に食わなかったようで、光世がシンに文句を言った。
シンも、ボス攻略と同じく攻撃モーションを研究して対応しようとしたのだが、やり切るだけの時間がなかったのだ。
当時の装備とステータスでは、仮に時間があっても厳しかったかもしれない。シンもまだ今ほどの力はなかったのだ。
「それで、お前のほうは思い出したのか? 光世」
「むぅっ、確かに、戦ったことはあるみたいだけど……」
唸り声とともに光世がうなずく。負けたとは言わないが、その顔には悔しげな表情がしっかりと浮かんでいた。
「でも! 過去がそうだからといって、今も強いとは限らないわ。500年以上前のことじゃない」
「それについては、実際に刃を合わせて確かめてある。鋭さは増し、瘴気に捕らわれそうな濁りは感じなかった。それに、シンに何か異変があったとしたら、そこの者たちが黙ってはいまいよ」
光世の指摘に、視線を動かしながら宗近は答える。
宗近の視線の先には、若干頬の赤いシュニーや宗近たちを無言で観察しているフィルマとシュバイド、状況を必死に理解しようとしているティエラの姿があった。
「ええと、それで結局、俺たちに何をしてほしいんだ? 俺も無関係じゃないって話だけど」
「ああ、すまんな。こちらの意思統一ができていなかったのは私の不手際だ」
「まあ、宗近が大丈夫だと言うなら問題あるまい。ほれ、光世もぐずるのはやめんか」
謝る宗近の横で恒次が納得したとうなずく。同時にぽろっと余計な一言を言ったせいで、光世が怒声を上げた。
「ぐずってなんかないわよ!」
「ぴぃ!」
「むぅ……わかったわよ。話を進めて」
ヒヨコカグツチが諫めたらしく、光世はしぶしぶといった様子で先を促す。
「さて、話の続きだな。シンたちに頼みたいことというのは、私たちの仲間、天下五剣に名を連ねる2振りを探す手伝いをしてほしいのだ」
「ここに5本……いや5人か? が、揃ってるわけじゃないのか?」
出てきたのが恒次と光世の2人だけだったことを、シンも言葉にはしなかったが疑問に思っていた。
その答えは、ここには存在しないからだった。
「おそらく、シンの連れているエレメントテイルなら知っているだろう。今から500年ほど前、地殻変動が起きた時期だな。その頃に、突然霊脈に瘴気が流れ込んだのだ」
霊脈が乱れたところに、瘴魔が何かしたのだろうと宗近は話す。
「モンスターが大量発生したり、特殊なエリアが出来たりしたのか?」
「そうだ。それに我々も巻き込まれた」
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