THE NEW GATE

風波しのぎ

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21巻

21-2

『彼ら彼女らも人なのは当たり前で、今更なんだけどね』

 こちらに来てからのことを話したシンに、ミルトはそう返した。

『考えさせられる話でもあったのか?』
『認識を改めさせられたって感じ。特別なエピソードとか、そういう話があったわけじゃないんだ。ただ、セティさんもいろいろ考えててさ。普段の様子も、そういうのを知ってる状態で見ると、少し見方が変わるっていうか』
『普段の様子?』

 はて何かあったか? とシンは考えるが、思いつかなかった。

『ほら、セティさんは妹的な立ち位置のキャラクターとして設定したって言ってたじゃない。彼女としては、無意識にそうふるまっている時と、意識的にふるまってる時があるらしくてさ。最初は悩んだみたいだけど、今はどっちが本当の自分なのかって悩むんじゃなくて、どっちも自分だって受け入れてる。自分で自分の存在にきっちり答えを出してる。僕にはそれが、少しまぶしく見えたよ』
『そんな風に考えていたのか』

 ミルトの話を聞いて、シュニーたちも同じように悩んだのだろうかとシンは思う。
 ゲームの設定として与えられた性格キャラクターと、この世界の自意識の摩擦まさつ。ミルトよりも長く行動を共にしているはずなのに、シンはそういった悩みをシュニーたちが抱えているとは気づかなかった。
 単純に、500年の歳月の中で彼女たちが自己解決したから、シンが気づくほど表面に出てこなかっただけかもしれないが。
 セティのことだって、ミルトに聞かなければ知らないままだっただろう。
 そういう意味では、長く眠っていたフィルマが心配なところだが、一番隠すのがうまそうなので、シンは見抜く自信がなかった。

『500年は伊達だてじゃないって感じ。僕ももっと大人にならなきゃ』
『まぁ、年齢って意味じゃ、ミルトもこっちでなが――』

 ヒューマン換算だとすでに老人の領域では、とシンが考えていたところに、無言のボディブローが打ち込まれる。


 たとえ気の置けない仲であろうと、女性に歳の話はタブーということだ。ミルトに圧のある笑顔を向けられて、シンは素直すなおに謝った。
 近づいてきたセティが、あきれ気味に尋ねる。

「二人とも、何やってるのよ」
「俺がちょっと失言をな。ところで何か決まったのか?」

 行き先が決まって呼びに来たのかと、シンは尋ねた。

「いくつか候補が決まったから、シンたちにも意見を聞こうと思って」

 テーブルの上には何枚か地図が広げられており、その上に1セメルほどの楕円形だえんけいのガラス玉がいくつか置かれている。

「青いガラス玉が置かれているのは、観光を売りにしてる国や都市。赤い方はちょっと他とは違う景色が見られるとか、おいしいものがあるとか、そういう場所よ。あとは、何がしたいかで行き先が決まるわ」

 地図に手をやりながら、セティが大まかに説明してくれた。

「ふむふむ、観光地の内容を教えてもらえるか?」

 一口に観光地と言ってもいろいろある。地図の上に置かれた青いガラス玉は六つ。大陸を上下で分けた地図のうち、上部のエスト側に四つ、下部のケルン側に二つ置かれている。
 情報提供はシュニーのようで、彼女が説明してくれる。

「エストの上側の二つ。これは温泉がある国です。実際に足を運んだことがあるので、間違いありません。片方は鍛冶かじも盛んでしたね。地熱を利用したプールもありました」

 以前、シュニーは火山の調査協力を要請されて、現地に行ったらしい。
 次いで、シュバイドがガラス玉を指さす。

「残りの二つのうち、こちらが珍しい植物を集めた植物園がある国。そっちが火と氷の木がある国だ」
「火と氷の木?」

 聞き慣れない単語に、シンはつい聞き返してしまった。

「シンがまだいたころ、文字通り木全体がそれぞれ火と氷でできた植物があっただろう? 周囲に与える影響も少なく、素材として貴重なものだったはずだ」
「ああ、あれか」

 詳しい内容を聞いて、シンはゲーム時代の記憶の中から該当するものを引っ張り出す。
 正式名称は聖炎樹せいえんじゅ聖氷樹せいひょうじゅ。根、幹、枝、葉にいたるまでが、片方は火、もう片方は氷でできた植物で、本物の樹木と同じように成長する。
 氷はともかく、実体のある火がどういうものか、シンにはうまく説明できないが、聖炎樹は燃えていても中心部分に柔らかいしんのようなものがある木だ。
 ゲーム時代は、エリアのどこかにランダムに出現する素材アイテムという扱いだった。
 周りが燃えたり、凍ったりすることもなく、何の変哲もない林の中にポツンと一本えているというのが、発見者の見る光景だ。

「まさかあれが何本も生えてるのか? 確かに見ごたえはありそうだ」

 聖炎樹は時間帯によって火の色が変わり、聖氷樹は日の当たり加減で七色に輝く。その様子はとても美しいと有名なのだそうだ。

「話をさえぎって悪かった。残りはどうなんだ?」
「ケルン側の一つは、ドラゴンが守っている国。ドラゴンがお姫様を気に入っているらしくて、配下の小型ドラゴンに乗って空の旅が楽しめるらしいわ。海も近いからクルージングもできるって話よ。で、最後の一つが、遊園地ね」
「遊園地?」

 こちらではまず聞くことがないだろう単語に、シンは思わずフィルマに聞き返した。

「『栄華の落日』前の施設が生きているみたいなの。情報提供はセティよ」

 セティがピクシーの集落である『その』の外の情報も集めていたというのは、本当らしい。
 そして彼女は、ティエラのフォローに回りながら、並行して【心話】で話し合いに参加していたようだ。

「規模はどのくらいなんだ、セティ?」
「ちょっとした都市並みね。王族は中央に立っている城に住んでるみたい。レールの上を高速で動くかごとか、一瞬でいろんな国に行ったような気分になる乗り物とか。よくわからないものもあるそうよ」

 また、遊園地を囲んでいる外壁も過去の技術で作られているため、モンスターの群れが突っ込んできても安全というみだ。
 その国は遊園地を内部に抱え込む形で自前の防壁を築いている。人の住む国土という点では、大陸でも一、二を争う規模らしい。

「『ゆめくに』か『フィクション=ノンフィクション』あたりが造りそうなやつだな」

 シンが口にしたのは、生産系ギルドの中でもアトラクション施設を造らせたらここだろうと名が挙がる、有名ギルドだ。
『夢の国』の方は、オブジェクトの基礎となるデータをいじり倒し、ゲーム内に本物と見紛みまごうばかりの遊園地を造ってみせるというはなわざをやってのけた。そのあまりの出来栄できばえに、運営が賞賛したほどである。
 ただ、あまりにも現実の遊園地に似すぎていて、どう言い訳しても著作権的な問題でアウト。
 あわや訴訟かというところで、まさかのオリジナル側から声がかかり、宣伝も兼ねて一部の施設の存続が許されるという事態に発展した。
 もう一方の『フィクション=ノンフィクション』は、現実では不可能な、魔法を組み込んだアトラクション施設の製作がメイン。
 両ギルドの特徴から判断して、セティが言う遊園地を造ったのは、『夢の国』だろうとシンは思った。

「俺は行くなら温泉かなって思うけど、皆はどうだ?」
「私は賛成です。体だけでなく、心もいやされますし」
「うむ、あれはいいものだ」

 シンが問うと、シュニーとシュバイドはすぐに同意した。
 月の祠の風呂もこの世界では最上級クラスだが、それとこれとは話が別。仮に湯の成分が同じでも、温泉となると、癒され度が違うのだ。
 ミルトも同感とうなずきながら、【心話】で話しかけてくる。

『実は僕、温泉って初めてなんだよね。風呂上がりといえば卓球と聞いたけど』
『温泉はいいぞ。卓球はわからん』

 リアルではほとんど寝たきりだったミルトは、漫画やゲームの知識が元なので、温泉といえば卓球というイメージらしい。

「私はドラゴンが気になったけど、今のシンが行くと、ひと騒動そうどうありそうよね」

 フィルマの表情や声音こわねから悪意ではなく悪戯いたずらごころからくる発言だとわかるので、シンも少しオーバーリアクションで返した。

「人を疫病神やくびょうがみみたいに言うなよ」
「何もないって断言できる?」
「ぐぬぬ……か、確実とは言えないだろぅ」

 トラブルが起こる確率が高いことは間違いないので、シンも弱々しい反論しかできない。

『ティエラちゃんは温泉でいいって。でも私は遊園地が気になるー』

【心話】経由で、セティがティエラの意見を代弁した。
 情報提供したセティ自身も遊園地に行ったことがあるわけではないらしく、好奇心が刺激されるようだ。一方ティエラの方はシンの話を聞いた時の動揺が落ち着いてきたようで、できれば動き回るようなものは遠慮したいらしい。

『今回は温泉にしよう』

 全員に意見を聞いて、シンが決めた。
 もともと温泉は多数派であり、妥当だとうな判断だった。
 他のところは別の機会、場合によっては温泉の後に行ってもいい。
 フィルマ、セティの両名も行き先に固執こしつすることはなかったので、まずは目的が決まった。あとは候補に挙がったうちのどちらに行くかだ。

「規模はどっちが大きいんだ?」
「こちらですね。国としての大きさもかなりのものです」

 シュニーの細い指が指し示したのは、大陸の中央からやや北西に位置する、『クリカラ』という、多民族国家だ。商業の国であり、王はいるが絶対的な権力者というわけではないようで、有力な商会の代表や優秀な技術者なども国政に取り込んでいるという。
 もう一方は、大陸中央から北東にある『マデレニ』という、こちらも商業の国。規模はクリカラの3分の1ほどで、まだまだ発展途上らしい。もともとクリカラの商人たちが出資して行われた開拓の成功例であり、温泉が見つかったのは偶然のようだ。

「そうなると、行くのはクリカラかな。名前の感じが日本っぽいけど、何か知ってるか?」
「ヒノモトのようにどこかのギルドハウスがあったという話は聞いたことがないので、最初の代表者がシンと同じプレイヤーだったのかもしれません」

 シンは言葉の意味はわからなかったが、倶利伽羅くりからという言葉があるのは知っていた。しかし、有名どころで同じ名前のギルドに覚えはない。

「では、次の行き先はクリカラに決定だ」

 メンバーからの反対はなく、行き先が決まった。
 次はおおよその移動ルートの検討だ。ああでもないこうでもないと意見を交わしているうちに、夜はけていった。


         †


 亡霊平原のダンジョンから出て、数日。
 以前と変わりない状態に戻ったと判断し、シンたちはベイルリヒト王国に戻った。
 現場の騎士からも、モンスターの減り具合を見て、問題ないだろうとお墨付きをもらっている。
 シンたちがギルドに調査終了の報告をするとすぐに、ギルドマスターのバルクスからお呼びがかかった。
 原因を解決したのがシンたちだとわかっているかのようなスムーズさだ。
 報告するだけならシンだけでも十分なので、シュニーたちは先に宿に戻ってもらう。ただ、今回はとある理由でシュバイドもシンに同行した。
 ただ、通された部屋にはバルクスや、アイテム鑑定を受け持つアラッドといったギルドのメンバーだけでなく、リオン王女もいた。

「さて、では何があったのか聞かせてもらえるかな?」

 バルクスに報告を求められたシンだったが、話を始める前にリオンに視線を向ける。

「それは構わないんですが、なぜ今回もいるんです?」
「なんとなく、今日お前が来る気がしてな。無理を言って待たせてもらっていた」
「予知能力でもあるんですか」

 本人は勘だと言っているが、シンにはもはや勘が良いというレベルを超えているとしか思えなかった。
 もっとも、リオンの身分はベイルリヒト王国第二王女。王国の騎士も出向いているのだから、ここにいなくともいずれ耳に入る。
 戦闘になれば自ら剣を持って戦うリオンだ。出現するモンスターや今回の異変の原因について、気になることがあるのだろうとシンは考えた。
 彼女に聞かれて困る話でもないので、シンはシュバイドの紹介を済ませてから、話を進めることにした。

「亡霊平原で何があったかについてですが、結論から言えば、うわさのダンジョンは存在しました。しかし、今はもうダンジョン内に入ることはできません」
「ダンジョンは消滅した、ということかな?」

 バルクスが小さく首をかしげる。

「ダンジョン自体はまた出現する可能性があります。亡霊平原のモンスターの出現率や傾向は、今回の騒動より前の状態に戻ったというところです。モンスター自体は出現しますし、中央部分が危険なのは変わりありません。ただ、くだんのダンジョンの入口はもう消えていますし、地下にもそれらしきものは残っていませんでした。ダンジョンの影響と思われる、今まで見かけなかったモンスターの出現もなくなっています。しばらく経過観察は必要だと思いますが、心配はないかと」

 シンたちが数日過ごした際も、モンスターの出現率は亡霊平原に着いた当初よりかなり下がっていた。
 中心部分に高レベルの個体が出現することや、モンスターの種類がアンデッドにかたよっているのは変わりないが、今までいなかった個体は確認できず、騎士からの情報にもそれらしきものはない。中心部分を結界で囲むという、元の対処法に戻しても問題ないと、シンは判断していた。
 冥王が眠りについたことで、以前の状態に戻ったのだろう。

「どのようなダンジョンだったんだい?」
「特定条件下でのみ入口が出現するタイプでした。どうやら、本来いないはずのモンスターがダンジョン内に生まれたことで、外にまで影響が出たんだと思います」

 本当の原因は冥王だが、それを正直に言う気はシンにはなかった。次に同じようなことが起こるとしたら、シンが向こうに戻るか、冥王に何かあった時だ。

「ふむ、君はそのダンジョンのことを知っていたのかい?」
「いえ、それはシュバイドが知っていました。彼の親は旧世代なんです。当時の話をよく聞かされていたらしくて」

 シュバイドが無言でうなずく。彼は身分をいつわっているが、名前については、両親が竜王にあやかってつけたと本人が伝えている。

「……なるほど、旧世代の長命種となれば、我々がおとぎ話と思っているようなことも経験しているか」

 バルクスは月の祠の紹介状をもらうくらいの人物だ。シュニーとどのくらい交流があったのかシンは聞いていないが、少なくとも旧世代がどういうものかはある程度知っているのは間違いない。納得したという表情がそれを物語っていた。

「ダンジョンが出現する条件を聞いてもいいかな」
「夜に出現するというのが条件だ。しかし、夜ならいつでもというわけではないらしい」

 バルクスに問われたシュバイドが、当時はこうだったと伝える。
 ゲーム時代は最初に実装されてから、その評判の悪さで出現条件と期間をゆるめて一度だけ復刻開催されたっきりだ。
 今回は初期の方の出現条件だったので、次にいつ出現するのか、そもそも今後の出現自体あり得るのかもわからない。
 ただ、冥王いわく、自分が干渉しなければ変化はなかっただろうということなので、そのまま最後まで入口が出現しなかった可能性は高い。

「ここに来るまでに確認した。500年以上前に一度、一定の期間だけ入口が出現し、その後はまったく姿を見せなかったようだ。ゆえに、また500年以上音沙汰おとさたがない可能性も否定できん」

【心話】による遠距離通信は、長命種ならば使える者もそれなりにいるらしいので、この打ち合わせの際に、シュバイドが確認をとったという形にした。

「城にあった資料も、かろうじて伝わっていたというところですかのう」

 アラッドが顎鬚あごひげでながら言った。彼が話題に出した、ベイルリヒト王国の書庫にあった資料は、プレイヤーかサポートキャラクターあたりが書き残したのかもしれない。

「そうなるか。シン、本来存在しないはずのモンスターというのは、どういうものだったのだ?」
「フェイスマンといって、人の姿を真似まねるドッペルゲンガーというモンスターの上位種がいました。自分と戦うのは妙な気分でしたよ。ただ、倒しても素材のたぐいが残らなかったので、証明のしようがないんですが」

 ダンジョンに出現した人型の装備でも残っていれば話が早かったのだが、何も残さなかったため、モンスターがいたという証拠はない。
 代わりになるかはわからないが、ダンジョンから脱出する際に補給地点の物資や建材などを確保していたので、シンはそれを布袋から取り出してテーブルに載せた。
 ギルドに入る前にアイテムボックスから出して、具現化した状態で布袋に入れて持っていたのだ。

「食器に鉱石かな。ダンジョン内にあったというのは、少々に落ちないが」
「ダンジョンの中は闘技場のような戦う場所と、補給地点のような場所が交互に配置されていた。これは以前出現した時と同じようだ。ただ、聞いていたようなアイテムの類はなかったが」

 バルクスは少しいぶかしがったが、両親から得た情報と前置きして、シュバイドがダンジョンの説明をした。
 実際にダンジョンを探索した者からの情報であり、食器や鉱石もアラッドが鑑定して、ただの鉄や石の類ではないと断言したことで、理解を得られた。

「ところでシン。この後の予定はあるか?」

 話に一区切りついたところで、リオンが話しかけてきた。

「思ったより消耗が激しかったので、少し長い休暇をとる予定です。実はもう具体的な行き先が決まっていまして」

 冒険者が大仕事の後に休暇をとるのは珍しいことではない。シンたちは、騒動の原因であるダンジョンに挑み、半ば攻略している。客観的に見て、今回の一件は休みをとっても何らおかしくないだけの案件だった。

「今更かしこまらずともよい。楽に話せ」

 王族相手にそれはだめじゃないかとシンは思ったが、リオンの期待するような顔を見ると断りづらい。
 バルクスとアラッドは、やれやれと言いたげな表情だ。
 このメンツならいいかと、シンは言葉遣ことばづかいをに戻すことにした。

「で、どこに行くのか聞いても?」
「……まさか、ついてくる気じゃないだろうな」

 リオンならやりかねない。そんな気がして、シンはつい聞いてしまった。

「パーティで休暇をとろうというところに割り込むような真似はしない。純粋に気になっただけだ」
「まあ、そういうことなら。クリカラってところに行く予定だ」
「クリカラ?」

 リオンは初耳だというので、シンは簡単に説明した。

「エスト側の国か。聞き覚えがないはずだ」

 ベイルリヒト王国からだと、ケルンを横断して、かつエストも半分以上踏破とうはする必要がある。この世界では、まず移動することのない距離だ。当然国としての交流もなく、情報も少ない。

「ただの休暇で向かう距離ではないだろう。馬車では気が遠くなるくらい時間がかかるぞ」
「移動には当てがあるんだ。ダメなら別の場所を考える」

 エスト側には転移ポイントがいくつか設定してある。単純な移動スピードも、カゲロウが馬車を引いて爆走すれば、この世界では考えられないほどの時間短縮ができる。
 しかし、リオンはそれを知らないので、シンたちがどうやってそんな遠くまで行くつもりなのか、興味津々きょうみしんしんといった表情をしている。

「当てというのも気になるが、興味本位で聞いていいことではなさそうだ。もしその当てが外れたら私のところへ来い。友としてぐうしよう」
「気が休まりそうにないな」

 少し大仰な仕草で言ったリオンの言葉が本気か冗談か、シンには半々に見えた。

        
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