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21巻
21-3
†
リオンたちと別れたシンとシュバイドは、馴染みの宿である穴熊亭に向かった。待ち合わせに使わせてもらったのだ。
払いすぎた宿代は迷惑料としてそのまま納めてもらったので、その代わりに少しくらいは便利に使えと、店主からの計らいである。
シュニーたちと合流し、一行はベイルリヒト王国からクリカラへ向けて出発する。まずは人の目を避けての【転移】だ。
景色が変わり、そこはもうケルンではなくエストだった。
「さて、ここからまたカゲロウの出番だ。任せるぞ」
御者台に座ったシンが声をかけると、カゲロウが一声鳴いてから走り出した。
冥王からもたらされた情報は、シンたちに様々な思いを抱かせるには十分すぎるほど衝撃的だった。
心と体が休息を求めている。早く温泉で癒されたい。手綱を握りながらそんなことを思うシンだった。
【転移】とカゲロウの脚力を駆使した高速移動のおかげで、2週間ほどでシンたちはクリカラに到着した。
シンたちが進む方向からだと、山を背にした都市が見える。山の名前はクリカラ山。その名前が都市名の由来になっているようだ。
「クリカラ山って、もしかして活火山ですか?」
「はい。10年ほど前にも、小さな噴火があったようです」
クリカラ山を見ながら言ったミルトに、シュニーが答えた。
ミルトが確認したのは、周囲に火の精霊が散見されたからだという。シンには見えないが、活火山の近くは火の精霊が集まりやすい傾向にあるようだ。
精霊の影響か、モンスターから得られる魔石には火属性が付与されていることが多く、それを鍛冶や生活の一部で活用していると、シュニーが教えてくれた。
「シンさんの鍛冶場も魔石を使ってたんだっけ?」
「大まかには、そうだな。俺のところはいろんなタイプのいいとこ取りをしているから、一言でどのタイプっていうのは難しい。上位の鍛冶師の炉は大体そうだった。ただ温度を上げるだけじゃ、溶けない金属とか素材もあるからな。武器一つとっても、ゲーム時代は鍛冶師ごとにやり方が違ったりして、けっこうおもしろかったぞ。答えは一つでも、そこに至るまでのルートがいくつもある感じで」
まだ鍛冶初心者だったころ、金属の配合から炉の温度、鉄の打ち方に至るまで、よくここまでプログラムしたものだと、他のプレイヤーと一緒に呆れていた――シンは、そう当時を懐かしんだ。
「でもまあ、魔石由来の火が一番扱いやすいのは間違いない。よほどおかしな炉でないかぎり、火の温度がすごく安定するからな。料理用のコンロみたいな、火力の調整がきく道具は大体このタイプだ」
月の祠のコンロも魔石を使ったタイプだ。周囲の魔力を自動で魔石に溜め、それを用途に合わせて使う。
「言われてみれば、僕の使ってる野外用のミニコンロも、魔石を使うタイプだ」
自分のアイテム一覧を見ていたミルトは、他にもあったっけとリストをスクロールしている。
教会での奉仕中は他のメンバーもいたので、使わなかったらしい。
「それにしても、思ったより並んでるな。やっぱり、人気の観光地だからか?」
周囲を見回すシンに、シュニーが答える。
「商人には見えない人が多いですし、催し物でもあるのかもしれません」
クリカラを囲む防壁の入口へと続く馬車の列。商人とその護衛というわかりやすいものから、普通の冒険者パーティ、鍛冶師の集団なんてのもいる。
ジョブが商人でない一般人は観光だろうが、今まで見てきた都市と比べても列が長いように思えた。
「こりゃ時間がかかりそうだな」
「一台一台しっかり確認してるみたいよ」
シンのつぶやきに反応して、ティエラが馬車の上から列の先を確認した。どうやら、荷物のチェックがかなり入念に行われているようだ。
「荷物検査をするってことは、何かの式典でも開かれるのかね」
「『錬鉄武闘祭』が開かれるんですよ」
意外にも、シンの言葉に答えたのは、パーティメンバーとは違う男性の声だった。
シンは返事があった方に目を向ける。
人が近づいて来ていたのはわかっていたが、話しかけてくるとは思わなかったのだ。
振り向いた先には、髪を短く刈り込んだ若い男が立っていた。
外見から判断すると、種族はヒューマン、ドワーフ、ロードのうちのどれか。身長はシンよりも頭一つ低いが、半袖の服から伸びる腕のたくましさを見れば、一般人ではなさそうだと予想できる。
「突然すみません。戸惑っているようでしたので。あ、自分はクリュックといいます」
お節介でしたかと謝る男に、シンはとんでもないと返す。
「何かあったのかと思っていたところです。俺はシンです。それで、『錬鉄武闘祭』? というのは、どんな催し物なんですか?」
クリュックによると、『錬鉄武闘祭』は鍛冶師による作品の品評会である『錬鉄祭』と、武器も身分も問わない『武闘祭』の合同イベントだという。
4年に一度開かれ、エスト中の腕利きだけでなく、場合によってはケルンからも参加者がやってくるほどだそうだ。
4年に一度の大祭と聞き、シンはオリンピックを連想した。
錬鉄祭は、同じ素材と設備を使って出来上がった作品を比べる『数打の部』と、素材や道具の持ち込み自由で、とにかく最高の一品を作り上げる『真打の部』に分かれている。
『数打の部』の優勝作品はクリカラの宝物殿に奉納され、『錬鉄武闘祭』が開催している間だけ一般公開される。
武闘祭は、シードを除いてバトルロイヤルから勝ち残った選手でトーナメントを行い、優勝者を決める。優勝者は『真打の部』で入賞した作品の中から好きなものをもらうことができる。ちなみに、その代金はクリカラが負担し、製作者に支払う。
なお、製作者側はこの売買を拒否できない。『真打の部』に関しては選ばれたら売るという契約になっているのだ。
このように、『錬鉄武闘祭』は二つの大きなイベントを組み合わせたものであるが、メインは鍛冶師の作る武具の方だ。
力を競う武闘祭や武闘大会は、各国が隠れた実力者や将来性のある者を見つけるために、ある程度の頻度で開催している。場所も闘技場を用意すればいいので、開催する国は多い。
しかし鍛冶の大会となると、鍛冶場や材料の調達、燃料の問題など、武闘祭とは比べ物にならない手間がかかる。
そのため、この『錬鉄武闘祭』のような、勝てば質の良い武器が手に入り、そうでなくても腕の良い鍛冶師と伝手ができるかもしれないというイベントは、盛り上がり方が他とは一味違う。
クリュックの説明を聞き、シンが感想をこぼす。
「『数打の部』には、少し興味がありますね」
「もしや、その腰のものも?」
「ええ、自分で打ちました」
クリュックの目は、シンが腰に吊っている希少級の刀に向けられていた。その視線の鋭さは、話していた時の穏やかさとは程遠い。
移動中も盗賊やモンスターに襲われないわけではない。
とはいえ、古代級や神話級の武器を街中で持ち歩くのは、いらぬトラブルを招く可能性があったので、シンたちはあえて等級を下げたものを装備していた。
「おわかりかもしれませんが、自分も鍛冶師でして。本音を言いますと、その刀に興味があって話しかけたんです」
最初はシンが纏っている雰囲気から錬鉄祭に参加する鍛冶師かと思ったらしい。しかし、シンが疑問を口にしたので、たまたまやってきたのだと悟り、ならばと声をかけたようだ。
シンも【分析】でクリュックが鍛冶師とわかっていたから、話に乗ったところがある。
「それでですね。もし差し支えなければ、互いに作品を見せ合いませんか? そちらの刀の纏っている魔力の均一さ。外から見ただけでも驚嘆に値します」
真剣だった目は一転。おもちゃを見つけた子供のような表情になるクリュック。
あ、これはあれだ、エルクントで出会ったヴァルガンやヒノモトの金塚のような人だ……と、シンは察した。物作りが楽しくて仕方がない。それでいて、いざ作るとなれば最高のものを目指す。そんな職人の気配だ。
会って間もない相手だが、シンはクリュックが作った作品を見てみたいと思い、彼の提案に同意した。
「では、こちらを」
返答を聞いたクリュックが、素早い動きで腰に下げていた剣を差し出してくる。言い出しっぺが先にということらしい。
それを受け取りながら、シンも腰に吊っていた刀『白雲』を差し出す。
「……美しい」
刀身を3分の1ほど出して見つめるクリュックが、放心した様子でつぶやいた。
それを尻目に、シンも受け取った剣に目を向ける。
鞘は木で作った本体を金属でコーティングした、シンプルな構造で、飾りなどはない。クリュックと同様に刀身を3分の1ほど抜き出してみると、鈍い輝きが姿を現す。
(スキルで見る限り、ゲームに登録されているような『名』を持つ武器じゃない。シンプルなロングソード。素材は魔鋼鉄と……普通の鉄を混ぜてる? それでいて、等級は希少級――しかも伝説級に近い)
こちらに来てからも鍛冶を続けたことで、シンはゲームにない武器の鑑定を、スキルに頼らずにできるようになっていた。
もちろん、見ただけで素材から付与効果まで明らかにするような反則的なものではない。どのくらいの等級か、大まかな素材は何か、感覚的にわかるくらいだ。
とはいえ、そうした個人の感覚は説明が難しく、曖昧なものでもある。
ゆえに、シンは店や露店で売られている武具をスキルに頼らずに鑑定して、この感覚は間違いないと確信が持てるレベルになっているのを確かめた。あまり露骨に商品を鑑定して回ると不審がられるので、【隠蔽】で姿を隠して行う徹底ぶりだ。
そして、その感覚が今、この剣の作り手はシンが今まで出会った中でもトップクラスの技量を持っているとささやいていた。
「気を悪くしたらすみません。もしかして、生まれつきスキルを持っている方ですか?」
周りに聞こえないように声を潜めて尋ねたシンに、クリュックが小声で答える。
「たまに聞かれますが、違います。私は『黒の派閥』所属の鍛冶師なのです。ドワーフの組合のようなものだと思っていただければ」
「黒の派閥……ですか。噂は聞いたことがありましたが、実際に所属している人に会うのは初めてです」
聞こえてきた名前に、シンは少しだけ動揺してしまう。
黒の派閥は『黒の鍛冶師』を信奉しているという六大派閥の一つ。失われた技術の復活や新技術の開発に注力しているという話だが、手に持つ剣の出来を見れば、それも納得である。スキルを持って生まれたがゆえの作品ではなく、己の技術を磨いて作り上げた一品は、クリュックの積み上げてきた努力を物語っている。
「こちらから尋ねておいてなんですが、それを言ってしまってよかったんですか?」
「はい。あなたとはここだけの関係で終わらせるにはあまりに惜しい。できるなら、この場で鍛冶談義をしたいほどです」
このクリュックという男は、本当に鍛冶が好きなのだろう。
普通なら、派閥への勧誘を考えるところだろうに、そんな話に誘導しようという雰囲気はまるでない。
鍛冶師の中には金や名誉のために武器を作る者もいるが、クリュックはそういったものとは無縁に思えた。
「私からも聞いていいですか? あなたは選定者ですかと」
あまり一般的な呼称ではない選定者という言葉をクリュックは知っていた。
黒の派閥の構成員というからには、その方面の選定者にも知り合いがいるのだろう。
生まれつきスキルが使える、ステータスが高いといった、先天的強者。それがこの世界の選定者の定義だ。
シンはそれには当てはまらないが、能力的には並の選定者など相手にならない。
力を見せた時の言い訳として、選定者ということにしておくのが無難だった。
ただ、鍛冶の方も生まれつきの能力だと思われるのは少し嫌だったので、そちらは自力でやったとにおわせておく。
「そんなところです。まあ、鍛冶の方は師匠が優秀でして」
シンの答えを聞いたクリュックは、ますます興味をそそられた様子を見せる。
「そのお師匠様の名前を伺っても?」
「すみません。名前を言うのは禁じられていまして。ただ、神話級の武器を鼻歌交じりに打つような人でしたよ」
「……にわかには信じがたいですが、あなたの刀を見た後では信じざるを得ませんね。私も教えを乞うてみたいものです」
この世界の鍛冶師からすれば、伝説級を打てるだけでも国に重用される。さらにその上となれば、鍛冶師にとっては怪物のようなものだ。
シンは信じてもらえないだろうと思いながら言ったのだが、クリュックはまるで疑っていない様子だ。
それだけ、シンが見せた『白雲』は、クリュックに衝撃を与えたのだろう。
彼が残念がっているのは間違いなく、そこに技術のある師に恵まれたことへの妬みはない。むしろ、高い技術への関心と尊敬の念があった。
話したのはほんのわずかな時間だったが、シンはクリュックを気に入っていた。
真剣に鍛冶をする者に悪い奴はいないというのが、シンの持論だ。もちろん、世の中にはそうでない場合もある。だが、シンは自分の感覚を信じた。
別の試作品について意見をもらうのもありか? とシンが考えていると、人の気配が近づいてきた。
「おい、クリュック。あんた、また人の武器を見せてもらってたのか? そっちの兄さんもすまないね。こいつの〝これ〟は、病気みたいなもんなんだ」
そう話しかけてきたのは、ショートにした青い髪と、青い切れ長の目をした女性だった。外見は人に近い。後頭部へと伸びる角と尻尾、さらに所々にある鱗から、彼女の種族がドラグニルであることがわかる。
身を包む軽鎧と左手に持つショートスピアは、どちらも先ほどのロングソードと変わらない業物だ。
「その言い方はひどくないですか?」
慣れた様子で応えるクリュックの態度を見ると、二人は知り合いのようだ。
「目を離した隙に、通りすがりの冒険者の武器を見せてもらおうと交渉してたことが、今まで何度あったと思ってんだい。今回ばかりは控えてくれって言ってあったよな?」
女性はゴゴゴゴッと効果音でも聞こえてきそうな迫力で、クリュックに詰め寄る。表情は笑顔なのに笑っていない。
「こ、今回だけは見逃してもらえませんか。ちょっとやそっとじゃお目にかかれないものでして」
額に汗を垂らしながら、それでも譲らないクリュック。傍目には、駄々をこねる子供と、それをたしなめる母親に見える。普段から彼女がクリュックの保護者役なのだろう。
「ええと、俺も良いものが見られたから、ここはお互いさまってことにしませんか。あ、俺はシンって言います」
自分も鍛冶師だと伝えながら、シンは女性をなだめる。
「名乗り忘れていたか。すまないね。あたいはエラメラ。こいつの護衛兼お目付け役さ」
「ちょ、痛いですって」
クリュックの頭をぐりぐりとこねくり回しながら、エラメラは笑った。クリュックも本気で嫌がっている様子ではない。
そんな二人のやり取りは、付き合いの長さを感じさせる。
二人を眺めていると、馬車の中からシュニーが出てきた。
「シン。列の様子はどうですか?」
「この様子だと、あと1時間、いや、2時間はかかるか。『錬鉄武闘祭』っていうイベントをやっているらしい。そのせいで混んでるみたいだ」
「『錬鉄武闘祭』、ですか?」
どうやら、シュニーはこのイベントを知らないようだった。
シンが尋ねると、彼女は首を横に振る。
「武器はシンにもらったものがありましたし、武闘祭にも興味がありませんでしたから」
『錬鉄武闘祭』には、名のある鍛冶師も参加する。
しかし、素材さえあればほとんど失敗することなく古代級を打てる鍛冶師など、まずいない。
よくて伝説級、稀に神話級――それにしたって、下位レベル――が出てくる程度である。
シュニーの目に留まるには、シンと同レベルが求められるのだ。
この世界の住民にはあまりにも高い壁だった。
「しかし、そうなると今夜の宿を探すのが大変そうですね」
「あー、確かにな」
少し見ただけでもわかる人の多さだ。いくら観光地として栄えていても、宿の数は有限である。城門の横に目をやると、馬車ではなく、テントやゲルのような簡易住居まで並んでいた。列に並ぶ人を相手に商売をしているようだ。
シュニーとシンのやり取りを聞いていたクリュックが、説明を加える。
「今は本戦開催前の予選中ですし、まだ余裕はあると思いたいですね。一応、『錬鉄武闘祭』の予選を突破すると、そのパーティメンバーや所属するグループ分は国側で宿を用意してくれるとのことです」
「なるほど。いざって時は、それを狙いますかね」
シンとしては本気で優勝を狙う気はないが、名のある鍛冶師の技を見たいというのは偽らざる本音だ。予選くらいなら参加してもいいかと思っていた。
「私も予選に挑戦します。もしかすると、隣で作業をする、なんてこともあるかもしれませんね」
そう言って、クリュックはニヤリと笑う。
「隣でというと?」
「文字通りの意味です。『数打の部』では、不正がないように国の監視のもと一斉に作業をするんです。なので、各自が見せてもいいと思う範囲で技術を披露することになります」
それは技を盗み放題なのでは? と、シンは眉をひそめる。
思っていることが顔に出ていたのだろう。クリュックは、高度すぎる技術は見ても真似できないので、上位入賞するような鍛冶師は大抵本気でやるらしい、と補足してくれた。
「確かに、見ただけじゃあ何をやっているのかわからないものって、結構ありますしね。でも、技術がある人なら、見ただけでどうやっているか見当がついちゃうんじゃないですか?」
「ええ、正直に言えば、私もそう思いました。前回参加した人によると、上位陣は技量が高すぎて、真似られるものならやってみろという感じだったらしいです。あと、技を盗んでいるような余裕はないとか」
技を盗んでいる暇があったら、その時間を鉄と向き合うために使う。それくらいしないと、技量を競う『数打の部』では優勝できないようだ、とクリュックは続けた。
「自分の作品に没頭してこその職人ってわけですか」
「ええ、そういうことです」
ふふふ、と二人の口から笑いが漏れる。
よそ見をしている暇がないほどの真剣勝負。戦う相手は、他の鍛冶師ではなく自分自身。どこまで自分の技量を発揮することに集中できるかの勝負なのだ。
武器の良し悪しなど、品質が上がるほど曖昧になってくる。
クリュックの話を聞いたシンは、上位入賞者たちは、審査員のつける順位に、実はあまり興味がないのではないかと思った。
シンもゲーム時代に似たようなイベントに出た際、「これって順位つける必要なくない?」と感じたことが何度かある。
他にも同じようなプレイヤーがいて、順位がついた後も、お前のあれどうやっただの、こいつはこうすればいいだのと、鍛冶談義に花を咲かせたものだ。
「いやあ、俄然やる気が出てきました。良い情報をありがとうございます。では、縁があったら、また」
「お互い頑張りましょう」
話をしているうちに、いつの間にか列は進み、シンたちの番になっていた。
クリュックはすぐ後ろだが、鍛冶の道具や荷物があるので検査に時間がかかりそうだった。
彼らとはここでお別れである。
シンたちがチェックされるのは、食材と本人だけだ。野宿のための道具はアイテムカードにしてあるので、絵柄を見ればどういうものかはすぐにわかる。Aランク冒険者ともなれば、持っていても何らおかしくないのは、事前に確認済みだ。
リオンたちと別れたシンとシュバイドは、馴染みの宿である穴熊亭に向かった。待ち合わせに使わせてもらったのだ。
払いすぎた宿代は迷惑料としてそのまま納めてもらったので、その代わりに少しくらいは便利に使えと、店主からの計らいである。
シュニーたちと合流し、一行はベイルリヒト王国からクリカラへ向けて出発する。まずは人の目を避けての【転移】だ。
景色が変わり、そこはもうケルンではなくエストだった。
「さて、ここからまたカゲロウの出番だ。任せるぞ」
御者台に座ったシンが声をかけると、カゲロウが一声鳴いてから走り出した。
冥王からもたらされた情報は、シンたちに様々な思いを抱かせるには十分すぎるほど衝撃的だった。
心と体が休息を求めている。早く温泉で癒されたい。手綱を握りながらそんなことを思うシンだった。
【転移】とカゲロウの脚力を駆使した高速移動のおかげで、2週間ほどでシンたちはクリカラに到着した。
シンたちが進む方向からだと、山を背にした都市が見える。山の名前はクリカラ山。その名前が都市名の由来になっているようだ。
「クリカラ山って、もしかして活火山ですか?」
「はい。10年ほど前にも、小さな噴火があったようです」
クリカラ山を見ながら言ったミルトに、シュニーが答えた。
ミルトが確認したのは、周囲に火の精霊が散見されたからだという。シンには見えないが、活火山の近くは火の精霊が集まりやすい傾向にあるようだ。
精霊の影響か、モンスターから得られる魔石には火属性が付与されていることが多く、それを鍛冶や生活の一部で活用していると、シュニーが教えてくれた。
「シンさんの鍛冶場も魔石を使ってたんだっけ?」
「大まかには、そうだな。俺のところはいろんなタイプのいいとこ取りをしているから、一言でどのタイプっていうのは難しい。上位の鍛冶師の炉は大体そうだった。ただ温度を上げるだけじゃ、溶けない金属とか素材もあるからな。武器一つとっても、ゲーム時代は鍛冶師ごとにやり方が違ったりして、けっこうおもしろかったぞ。答えは一つでも、そこに至るまでのルートがいくつもある感じで」
まだ鍛冶初心者だったころ、金属の配合から炉の温度、鉄の打ち方に至るまで、よくここまでプログラムしたものだと、他のプレイヤーと一緒に呆れていた――シンは、そう当時を懐かしんだ。
「でもまあ、魔石由来の火が一番扱いやすいのは間違いない。よほどおかしな炉でないかぎり、火の温度がすごく安定するからな。料理用のコンロみたいな、火力の調整がきく道具は大体このタイプだ」
月の祠のコンロも魔石を使ったタイプだ。周囲の魔力を自動で魔石に溜め、それを用途に合わせて使う。
「言われてみれば、僕の使ってる野外用のミニコンロも、魔石を使うタイプだ」
自分のアイテム一覧を見ていたミルトは、他にもあったっけとリストをスクロールしている。
教会での奉仕中は他のメンバーもいたので、使わなかったらしい。
「それにしても、思ったより並んでるな。やっぱり、人気の観光地だからか?」
周囲を見回すシンに、シュニーが答える。
「商人には見えない人が多いですし、催し物でもあるのかもしれません」
クリカラを囲む防壁の入口へと続く馬車の列。商人とその護衛というわかりやすいものから、普通の冒険者パーティ、鍛冶師の集団なんてのもいる。
ジョブが商人でない一般人は観光だろうが、今まで見てきた都市と比べても列が長いように思えた。
「こりゃ時間がかかりそうだな」
「一台一台しっかり確認してるみたいよ」
シンのつぶやきに反応して、ティエラが馬車の上から列の先を確認した。どうやら、荷物のチェックがかなり入念に行われているようだ。
「荷物検査をするってことは、何かの式典でも開かれるのかね」
「『錬鉄武闘祭』が開かれるんですよ」
意外にも、シンの言葉に答えたのは、パーティメンバーとは違う男性の声だった。
シンは返事があった方に目を向ける。
人が近づいて来ていたのはわかっていたが、話しかけてくるとは思わなかったのだ。
振り向いた先には、髪を短く刈り込んだ若い男が立っていた。
外見から判断すると、種族はヒューマン、ドワーフ、ロードのうちのどれか。身長はシンよりも頭一つ低いが、半袖の服から伸びる腕のたくましさを見れば、一般人ではなさそうだと予想できる。
「突然すみません。戸惑っているようでしたので。あ、自分はクリュックといいます」
お節介でしたかと謝る男に、シンはとんでもないと返す。
「何かあったのかと思っていたところです。俺はシンです。それで、『錬鉄武闘祭』? というのは、どんな催し物なんですか?」
クリュックによると、『錬鉄武闘祭』は鍛冶師による作品の品評会である『錬鉄祭』と、武器も身分も問わない『武闘祭』の合同イベントだという。
4年に一度開かれ、エスト中の腕利きだけでなく、場合によってはケルンからも参加者がやってくるほどだそうだ。
4年に一度の大祭と聞き、シンはオリンピックを連想した。
錬鉄祭は、同じ素材と設備を使って出来上がった作品を比べる『数打の部』と、素材や道具の持ち込み自由で、とにかく最高の一品を作り上げる『真打の部』に分かれている。
『数打の部』の優勝作品はクリカラの宝物殿に奉納され、『錬鉄武闘祭』が開催している間だけ一般公開される。
武闘祭は、シードを除いてバトルロイヤルから勝ち残った選手でトーナメントを行い、優勝者を決める。優勝者は『真打の部』で入賞した作品の中から好きなものをもらうことができる。ちなみに、その代金はクリカラが負担し、製作者に支払う。
なお、製作者側はこの売買を拒否できない。『真打の部』に関しては選ばれたら売るという契約になっているのだ。
このように、『錬鉄武闘祭』は二つの大きなイベントを組み合わせたものであるが、メインは鍛冶師の作る武具の方だ。
力を競う武闘祭や武闘大会は、各国が隠れた実力者や将来性のある者を見つけるために、ある程度の頻度で開催している。場所も闘技場を用意すればいいので、開催する国は多い。
しかし鍛冶の大会となると、鍛冶場や材料の調達、燃料の問題など、武闘祭とは比べ物にならない手間がかかる。
そのため、この『錬鉄武闘祭』のような、勝てば質の良い武器が手に入り、そうでなくても腕の良い鍛冶師と伝手ができるかもしれないというイベントは、盛り上がり方が他とは一味違う。
クリュックの説明を聞き、シンが感想をこぼす。
「『数打の部』には、少し興味がありますね」
「もしや、その腰のものも?」
「ええ、自分で打ちました」
クリュックの目は、シンが腰に吊っている希少級の刀に向けられていた。その視線の鋭さは、話していた時の穏やかさとは程遠い。
移動中も盗賊やモンスターに襲われないわけではない。
とはいえ、古代級や神話級の武器を街中で持ち歩くのは、いらぬトラブルを招く可能性があったので、シンたちはあえて等級を下げたものを装備していた。
「おわかりかもしれませんが、自分も鍛冶師でして。本音を言いますと、その刀に興味があって話しかけたんです」
最初はシンが纏っている雰囲気から錬鉄祭に参加する鍛冶師かと思ったらしい。しかし、シンが疑問を口にしたので、たまたまやってきたのだと悟り、ならばと声をかけたようだ。
シンも【分析】でクリュックが鍛冶師とわかっていたから、話に乗ったところがある。
「それでですね。もし差し支えなければ、互いに作品を見せ合いませんか? そちらの刀の纏っている魔力の均一さ。外から見ただけでも驚嘆に値します」
真剣だった目は一転。おもちゃを見つけた子供のような表情になるクリュック。
あ、これはあれだ、エルクントで出会ったヴァルガンやヒノモトの金塚のような人だ……と、シンは察した。物作りが楽しくて仕方がない。それでいて、いざ作るとなれば最高のものを目指す。そんな職人の気配だ。
会って間もない相手だが、シンはクリュックが作った作品を見てみたいと思い、彼の提案に同意した。
「では、こちらを」
返答を聞いたクリュックが、素早い動きで腰に下げていた剣を差し出してくる。言い出しっぺが先にということらしい。
それを受け取りながら、シンも腰に吊っていた刀『白雲』を差し出す。
「……美しい」
刀身を3分の1ほど出して見つめるクリュックが、放心した様子でつぶやいた。
それを尻目に、シンも受け取った剣に目を向ける。
鞘は木で作った本体を金属でコーティングした、シンプルな構造で、飾りなどはない。クリュックと同様に刀身を3分の1ほど抜き出してみると、鈍い輝きが姿を現す。
(スキルで見る限り、ゲームに登録されているような『名』を持つ武器じゃない。シンプルなロングソード。素材は魔鋼鉄と……普通の鉄を混ぜてる? それでいて、等級は希少級――しかも伝説級に近い)
こちらに来てからも鍛冶を続けたことで、シンはゲームにない武器の鑑定を、スキルに頼らずにできるようになっていた。
もちろん、見ただけで素材から付与効果まで明らかにするような反則的なものではない。どのくらいの等級か、大まかな素材は何か、感覚的にわかるくらいだ。
とはいえ、そうした個人の感覚は説明が難しく、曖昧なものでもある。
ゆえに、シンは店や露店で売られている武具をスキルに頼らずに鑑定して、この感覚は間違いないと確信が持てるレベルになっているのを確かめた。あまり露骨に商品を鑑定して回ると不審がられるので、【隠蔽】で姿を隠して行う徹底ぶりだ。
そして、その感覚が今、この剣の作り手はシンが今まで出会った中でもトップクラスの技量を持っているとささやいていた。
「気を悪くしたらすみません。もしかして、生まれつきスキルを持っている方ですか?」
周りに聞こえないように声を潜めて尋ねたシンに、クリュックが小声で答える。
「たまに聞かれますが、違います。私は『黒の派閥』所属の鍛冶師なのです。ドワーフの組合のようなものだと思っていただければ」
「黒の派閥……ですか。噂は聞いたことがありましたが、実際に所属している人に会うのは初めてです」
聞こえてきた名前に、シンは少しだけ動揺してしまう。
黒の派閥は『黒の鍛冶師』を信奉しているという六大派閥の一つ。失われた技術の復活や新技術の開発に注力しているという話だが、手に持つ剣の出来を見れば、それも納得である。スキルを持って生まれたがゆえの作品ではなく、己の技術を磨いて作り上げた一品は、クリュックの積み上げてきた努力を物語っている。
「こちらから尋ねておいてなんですが、それを言ってしまってよかったんですか?」
「はい。あなたとはここだけの関係で終わらせるにはあまりに惜しい。できるなら、この場で鍛冶談義をしたいほどです」
このクリュックという男は、本当に鍛冶が好きなのだろう。
普通なら、派閥への勧誘を考えるところだろうに、そんな話に誘導しようという雰囲気はまるでない。
鍛冶師の中には金や名誉のために武器を作る者もいるが、クリュックはそういったものとは無縁に思えた。
「私からも聞いていいですか? あなたは選定者ですかと」
あまり一般的な呼称ではない選定者という言葉をクリュックは知っていた。
黒の派閥の構成員というからには、その方面の選定者にも知り合いがいるのだろう。
生まれつきスキルが使える、ステータスが高いといった、先天的強者。それがこの世界の選定者の定義だ。
シンはそれには当てはまらないが、能力的には並の選定者など相手にならない。
力を見せた時の言い訳として、選定者ということにしておくのが無難だった。
ただ、鍛冶の方も生まれつきの能力だと思われるのは少し嫌だったので、そちらは自力でやったとにおわせておく。
「そんなところです。まあ、鍛冶の方は師匠が優秀でして」
シンの答えを聞いたクリュックは、ますます興味をそそられた様子を見せる。
「そのお師匠様の名前を伺っても?」
「すみません。名前を言うのは禁じられていまして。ただ、神話級の武器を鼻歌交じりに打つような人でしたよ」
「……にわかには信じがたいですが、あなたの刀を見た後では信じざるを得ませんね。私も教えを乞うてみたいものです」
この世界の鍛冶師からすれば、伝説級を打てるだけでも国に重用される。さらにその上となれば、鍛冶師にとっては怪物のようなものだ。
シンは信じてもらえないだろうと思いながら言ったのだが、クリュックはまるで疑っていない様子だ。
それだけ、シンが見せた『白雲』は、クリュックに衝撃を与えたのだろう。
彼が残念がっているのは間違いなく、そこに技術のある師に恵まれたことへの妬みはない。むしろ、高い技術への関心と尊敬の念があった。
話したのはほんのわずかな時間だったが、シンはクリュックを気に入っていた。
真剣に鍛冶をする者に悪い奴はいないというのが、シンの持論だ。もちろん、世の中にはそうでない場合もある。だが、シンは自分の感覚を信じた。
別の試作品について意見をもらうのもありか? とシンが考えていると、人の気配が近づいてきた。
「おい、クリュック。あんた、また人の武器を見せてもらってたのか? そっちの兄さんもすまないね。こいつの〝これ〟は、病気みたいなもんなんだ」
そう話しかけてきたのは、ショートにした青い髪と、青い切れ長の目をした女性だった。外見は人に近い。後頭部へと伸びる角と尻尾、さらに所々にある鱗から、彼女の種族がドラグニルであることがわかる。
身を包む軽鎧と左手に持つショートスピアは、どちらも先ほどのロングソードと変わらない業物だ。
「その言い方はひどくないですか?」
慣れた様子で応えるクリュックの態度を見ると、二人は知り合いのようだ。
「目を離した隙に、通りすがりの冒険者の武器を見せてもらおうと交渉してたことが、今まで何度あったと思ってんだい。今回ばかりは控えてくれって言ってあったよな?」
女性はゴゴゴゴッと効果音でも聞こえてきそうな迫力で、クリュックに詰め寄る。表情は笑顔なのに笑っていない。
「こ、今回だけは見逃してもらえませんか。ちょっとやそっとじゃお目にかかれないものでして」
額に汗を垂らしながら、それでも譲らないクリュック。傍目には、駄々をこねる子供と、それをたしなめる母親に見える。普段から彼女がクリュックの保護者役なのだろう。
「ええと、俺も良いものが見られたから、ここはお互いさまってことにしませんか。あ、俺はシンって言います」
自分も鍛冶師だと伝えながら、シンは女性をなだめる。
「名乗り忘れていたか。すまないね。あたいはエラメラ。こいつの護衛兼お目付け役さ」
「ちょ、痛いですって」
クリュックの頭をぐりぐりとこねくり回しながら、エラメラは笑った。クリュックも本気で嫌がっている様子ではない。
そんな二人のやり取りは、付き合いの長さを感じさせる。
二人を眺めていると、馬車の中からシュニーが出てきた。
「シン。列の様子はどうですか?」
「この様子だと、あと1時間、いや、2時間はかかるか。『錬鉄武闘祭』っていうイベントをやっているらしい。そのせいで混んでるみたいだ」
「『錬鉄武闘祭』、ですか?」
どうやら、シュニーはこのイベントを知らないようだった。
シンが尋ねると、彼女は首を横に振る。
「武器はシンにもらったものがありましたし、武闘祭にも興味がありませんでしたから」
『錬鉄武闘祭』には、名のある鍛冶師も参加する。
しかし、素材さえあればほとんど失敗することなく古代級を打てる鍛冶師など、まずいない。
よくて伝説級、稀に神話級――それにしたって、下位レベル――が出てくる程度である。
シュニーの目に留まるには、シンと同レベルが求められるのだ。
この世界の住民にはあまりにも高い壁だった。
「しかし、そうなると今夜の宿を探すのが大変そうですね」
「あー、確かにな」
少し見ただけでもわかる人の多さだ。いくら観光地として栄えていても、宿の数は有限である。城門の横に目をやると、馬車ではなく、テントやゲルのような簡易住居まで並んでいた。列に並ぶ人を相手に商売をしているようだ。
シュニーとシンのやり取りを聞いていたクリュックが、説明を加える。
「今は本戦開催前の予選中ですし、まだ余裕はあると思いたいですね。一応、『錬鉄武闘祭』の予選を突破すると、そのパーティメンバーや所属するグループ分は国側で宿を用意してくれるとのことです」
「なるほど。いざって時は、それを狙いますかね」
シンとしては本気で優勝を狙う気はないが、名のある鍛冶師の技を見たいというのは偽らざる本音だ。予選くらいなら参加してもいいかと思っていた。
「私も予選に挑戦します。もしかすると、隣で作業をする、なんてこともあるかもしれませんね」
そう言って、クリュックはニヤリと笑う。
「隣でというと?」
「文字通りの意味です。『数打の部』では、不正がないように国の監視のもと一斉に作業をするんです。なので、各自が見せてもいいと思う範囲で技術を披露することになります」
それは技を盗み放題なのでは? と、シンは眉をひそめる。
思っていることが顔に出ていたのだろう。クリュックは、高度すぎる技術は見ても真似できないので、上位入賞するような鍛冶師は大抵本気でやるらしい、と補足してくれた。
「確かに、見ただけじゃあ何をやっているのかわからないものって、結構ありますしね。でも、技術がある人なら、見ただけでどうやっているか見当がついちゃうんじゃないですか?」
「ええ、正直に言えば、私もそう思いました。前回参加した人によると、上位陣は技量が高すぎて、真似られるものならやってみろという感じだったらしいです。あと、技を盗んでいるような余裕はないとか」
技を盗んでいる暇があったら、その時間を鉄と向き合うために使う。それくらいしないと、技量を競う『数打の部』では優勝できないようだ、とクリュックは続けた。
「自分の作品に没頭してこその職人ってわけですか」
「ええ、そういうことです」
ふふふ、と二人の口から笑いが漏れる。
よそ見をしている暇がないほどの真剣勝負。戦う相手は、他の鍛冶師ではなく自分自身。どこまで自分の技量を発揮することに集中できるかの勝負なのだ。
武器の良し悪しなど、品質が上がるほど曖昧になってくる。
クリュックの話を聞いたシンは、上位入賞者たちは、審査員のつける順位に、実はあまり興味がないのではないかと思った。
シンもゲーム時代に似たようなイベントに出た際、「これって順位つける必要なくない?」と感じたことが何度かある。
他にも同じようなプレイヤーがいて、順位がついた後も、お前のあれどうやっただの、こいつはこうすればいいだのと、鍛冶談義に花を咲かせたものだ。
「いやあ、俄然やる気が出てきました。良い情報をありがとうございます。では、縁があったら、また」
「お互い頑張りましょう」
話をしているうちに、いつの間にか列は進み、シンたちの番になっていた。
クリュックはすぐ後ろだが、鍛冶の道具や荷物があるので検査に時間がかかりそうだった。
彼らとはここでお別れである。
シンたちがチェックされるのは、食材と本人だけだ。野宿のための道具はアイテムカードにしてあるので、絵柄を見ればどういうものかはすぐにわかる。Aランク冒険者ともなれば、持っていても何らおかしくないのは、事前に確認済みだ。
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