ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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25.嫌な予感がする・・・

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ザルビアまで後1日と言う時、拗ねてると思っていたベルナールの様子がおかしい。

眉間に皺を寄せ、ふぅふぅと息も荒くなってきている・・・。俺も確かに馬車内の空気がおかしくなってきていると感じて来た。

とてつもなく嫌な予感がする・・・


目の前のトーカは自分の世界の歌らしいものを歌っていて、呑気なものだった。
元凶だろうそいつに、俺の予想が間違いであってくれと願いながら聞いてみた。

「なぁ・・、お前、盛りか?」

突然の俺の質問に、言葉の意味が分からずアホな返しをするモンキー娘・・・。

『サカリ?お前ボケてんのか?私はトーカやで』
「・・・」

突っ込めねぇ・・・。もう一度言い方を変えて聞いてみる。

「お前発情期かって聞いてんだ」
『初蒸気?』
「お前・・・、今度は何に変換した?」
『言うてる意味が全く分からん。もっと砕いて説明を求ム!!』
「子作りの季節なのかってことだ!!」
『・・・・・』

今度は黙りやがった。

「お前等猿人って、発情期っていつ頃だ?因みに俺等、竜人は夏から秋にかけてだ。そこで仕込んで春に子を産む。で、どうなんだモンキー娘の方は」
『何でそんな話を振ったかが、まず聞きたいわ!!』
「てめぇの匂いだ!発情期独特の匂いが出てんだよ!!」
『匂い?』

くんくんと自分の脇やらを匂うトーカに焦れて先を急ぐ。

「俺等は発情期に関わらず、普通にセックスは楽しむ。だがな、発情期以外は子供は出来ねぇ。女がそういう体勢じゃねぇからな。それに発情期になったら男が変わる」
『男が変わる?』

見せれば分かるかと思い、離れて座っていたベルナールを掴んでトーカの前に押しやる。
案の定、トーカの匂いに堪らず暴れ出した。ポケットの物を確認して、暴れるベルナールをトーカに押し付け続けた。

途端、理性が本能に負け行動に移したベルナール。


『お、おい!ベルさん、ちょ…っと…ひっ!舐めるなー!!ひー…どこ触ってんねんって…あっ、やめ…!』

トーカの叫びと共に激しい盛りが始まった。

「///すげぇ!」

友人の盛りを目の当たりにし、思わず興奮の声が出た。

『///何が凄いねん!見てんと早よ止めろや!!ぎぁー、今度は噛まれたー!!!!』
「ベルナール・・お前もやっぱり噛むんだ・・・」


そう言って肩に噛みついて愛情表現する友人に、ポケットから出したものをぷすりと刺す。
ふにゃりと、トーカの肩に噛みついたまま寝るベルナール。
そして、やっと静かになった男を脇に寄せ俺に詰め寄ったトーカ。



****


『何やねんこれは!』
「発情期を迎えた雌にもう突進する雄の図だ。実際どんなものか体験した方が、今後のお前の為と思ってやってみた」

いけしゃあしゃあと言うマルクス。

「今お前は雄を呼び寄せる匂いを出しまくってる。ラムス閣下も、誰よりもいち早くこの匂いに反応したのかもしれないな・・・恐るべし野獣」

納得したようにうんうんと頷くマルクスに、何でお前はどうもないねんって聞いてみた。

「それは、俺はお前を番と見てないからな。お前を番と定めた男はこうなる」と言ってグーグー寝ているベルさんを指さした。さっき言ってた匂いに話を戻し、新事実を知るマルクス。

「がぁー、猿は万年発情かよっ!!これからどうすんだよ!!」
『・・・・』

途中から保健体育のような話になり、私等の世界では妊娠はいつでもオッケー体制であると説明した。そして、自分がもう少ししたら生理が近い事も聞きだされた。私から匂っていたのはその生理特有の匂いらしい・・・。28日周期でいつ頃から発せられるのか分からないが、匂いがきつくなるのは生理まじかみたいだ。ただ、私からは、常に匂いが微妙に出てて興奮を呼び起こすみたいだと補足を付けられた。
その根拠はって聞いたら、お前に対する皆の行動は盛りそのものだと言われた。通常は、番へのヤキモチ程度で終わるところベルさんにしても閣下にしても、1匹の雌の取り合いになっていると説明してくれた。

「お前は、こっからターベルに引き返しだ!それでもって、生理が終るまでお前を王宮のどっかに幽閉してもらう」

そう言って、馬車から顔を出し、護衛の騎士に声を掛け一団の歩みを止めさせた。マルクスがゲルの馬車に話に行く。そして、マルクスが護衛を連れたゲルとこちら来るのが窓から見えた。
取りあえずベルさんを抱いて扉から離れる。
マルクスがそっと扉を開けたにもかかわらず、鼻を押さえ後ろにずさったゲル。慌てて剣を馬車内に向けて構える護衛の騎士達。

「くっ!よい!お前等は下がっておれ」

そう言って護衛の騎士を遠ざけた。マルクスがゲルに言う。

「もうお分かりで?」
「///くっ!!」

今だ鼻を押さえ馬車内の空気を吸わないよう距離を取って私を見るゲル。

「・・・悪いがターベルには帰れん。特使としてこいつを歓迎すると言っていた。ここで帰らせたら、こっちの心象とクロード皇太子の立場が悪くなる!このままザルビアに入るぞ。早馬にてこいつの状態を知らせ、"コチバ"を用意してもらう。それならば、匂いがどうので混乱はないだろう・・・」
「コ、コ・・コチバですか!?混乱が違う物に変わるのでは・・・」

2人の男が項垂れる様子から、そのコチバとやらが気になりだした。
じっと2人の様子を見ていたら、ゲルと目が合った。そしてその目線が、私が抱いているベルさんに行く。途端に眉間に皺を寄せた。
マルクスもそれが分かり慌てて、おバカな私に繁殖期のすごさを体験させるため、ベルさんを煽って見せ、その後薬で眠らせたことを説明する。

ゲルが私に何か言いたそうにしたところで、慌ててマルクスが馬車の扉を閉めた。

「はははは・・・。まだ何か?」
「///貴様覚えておけ!」


言いたいことを言えず、扉を閉められた原因の男を睨み付け、そう捨て台詞を残し踵を返した。


向うの方で1人の騎士に指示し、その騎士が離脱したのが見えた。そして足を止めていた一団に出立の合図を出した。



馬車内に戻ったマルクスに気になっていることを聞く。

『なぁ・・・、コチバって何や?』
「・・・・」

私の質問に答えないマルクスに、それがいい物ではないことを悟る。


『・・・・何か嫌な予感がする』
「奇遇だな、俺もだ・・・」

2人して大きな溜息をつき、スース―寝ているベルさんを見た。時々何かをギュッと抱きしめる仕草をするベルさんに、2人して同じことを思った。

多分今、ベルさんは夢の中で私を抱きしめているのだろうと・・・・・・
そう思った瞬間、ベルさんの腰がカクカクと動く。


『・・・・・・・』
「・・・・抱きしめてるだけじゃなさそうだな」
『・・・・・・・』


そして、翌日の夕刻ザルビア国に入った。ベルさんは今だ寝たままだった。
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