ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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48.謎の液体と謎の赤毛

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「一旦離れてください!!臭すぎてバロンが死にます!」
「うわぁ、こっちに来るな!今度は馬が暴れるだろうが!」


ロバが悶絶してる姿を初めて見た。

地面に体をこすりつけ、七転八倒に暴れていた。鼻の穴おっぴろげハグキ―出してこれまたぶっさいくこの上も無し・・・ってな状態だ。


生理の匂いを消す為さっき私は、コチバを塗った。
ザルビアの時は皆が私の事を迷い人として国民が見てたから、生理の匂いがしてもおかしくなかった。が、お尋ね者となった以上それを隠さなければいけない。

『私はこの時期になるとロバにも馬にも乗れん。となると歩きしかないんか?
しかも生理痛で歩きたくないのに?』
「くっ、取りあえず、小川で洗い落として下さい!僕が何とかしますから!!」
『魔術で何とかできるんか!』
「魔術ではなく、薬草のたぐいです!くっ・・・」


吉報や!喜び勇んで小川に洗い流しに行く。

私が戻って来ると、鍋で何かを煮炊きしてるポポ。全員がそれを囲んでじっと見てた。


「早かったですね。もう少しで出来ますから……若干協力を渋る人が居て手間取りました」
『ん?協力?渋る?』


疑問を持ちながら鍋を覗く。

『色は薄い黄色か~。それにあんまり匂いしいひんな!』

コチバみたいに臭くないので、嬉しくって鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぐ。
しかし若干マルクス達が、引き気味に見てるのは何故だろう?


『で、これ何の汁や?』


そう言った瞬間、マルクス達が向うの空を見た。
嫌な予感がして、作ってるポポ本人に突っ込んで聞いてみる。

『ポポ・・・、嫌な予感がするねんけど、それの材料は何かな?』
「あぁ、気にしないで下さい。盛りに一番聞く液体に薬草を混ぜたものですから」


今、液体って言うたな、汁って言わんと液体って言うたな!

あたりを見廻して、液体と言われるモノを探す。該当するもの無し・・・。


もう一度ポポに聞く。

『・・・何の液体かな?』
「・・・。」
『・・・。』
「トーカさん2択です。1つは皆がずさる肥溜め臭のコチバ。もう一つはこれ。どっちにします?」

話を変えるように選択を迫るポポ。

『むむむむ・・・言い渋るポポが気になる!この皆の空気が気になる!そして一番気になるのが、健太のあのにやけた顔は何や!!』

びしっと健太に指を指す。
マルクスが慌ててその健太の頭を叩いた。それでもにやけ顔をやめない健太。段々腹も立って来た。

その様子を察知し、ポポが巧みに話しかけてきた。

「自然なモノ・・がベースですし、体に害はありません。コチバのように直に塗らなくっていいんですよ?服全体に香水のように振りかけるだけです。どうです、いいと思いませんか?」
『マジか!服にかけるだけでいいんか?!』
「ええ、簡単でしょ。それに大量に作れ、元がタダ・・。すごいでしょ?」


乗せ上手なポポに大人全員が絶賛した。しかし、これで騙されるのかと全員が見守る中、バカは騙された。


『タダか!それまたすごいな!!さっきの選択こっちに決まりやな!』


乗せられたトーカにマルクス達が可哀想な顔で見ていた。健太は笑いを堪えるのに必死である。
後にこれが何をベースに作っているかを知った時の、トーカの暴れようは言うまでもない。


そして皆のガン見の中、トーカがその液体を服の上からかける。ポポが一言付け加えた事で、それを見守る全員が顔を真っ赤にして生唾を飲んだ。


「顔にかけても、口に入れても害はありませんよ。存分に体全体にかけて下さい。その方が効力がありますから」



正直に言おう。皆、アブノーマルな性癖が芽生えた瞬間だった。

自分の○○○○・・・・を嬉しそうに顔にかけている姿に少し欲情した。


『こ、これで、生理の匂い無くなったんか?』


自分では分からないため傍に居たマルクスに匂いを嗅いでもらう。
クンクンと私を匂ぐマルクス。

「すげぇな、これ!(俺達の匂いしかしねぇ!)」


マルクスが大絶賛で褒めたことに、嬉しそうにポポに礼を言うトーカ。
しかし、俺等はつけたくねぇけどなとぽそっと皆が言ったのをトーカは知らない。

気の利くポポが生理痛に効くせんじ薬も作ってくれ、私の準備も出来て次の国に向かう。

「じゃ、先を急ぐぞ。次に入る国は、気をつけろ。3国間で揉めてる国だ。迂回してぇとこだが時間がねぇ。一気に突っ走る気で・・って、分かってんのかこのバカ猿!!」

食べ歩きマップを広げる私の頭を叩くマルクス。

『通過するのに、どっかで1回は食事するんやろ?それやったら、こん中のどっかに入ってもええんちゃうんか?』
「一気に突っ走る意気込みで行けって話してる時に、どっちに向いてんだよ!お前が違う所に突っ走ったら皆クラッシュしちまうだろうが!!」
『む・・・。分かった意気込みは持とう。でも、ランチは譲らん!!』


そう言って、俺にチェックマークをしてる場所を見せる。仕方なく食べ歩きマップを受け取り、次の国ジャージルに向かった。


***


3国間で揉めてるだけあって、雇われの傭兵がうじゃうじゃ居た。あんまり治安はよくねぇな・・・女が1人も歩いていねぇ。がぁー、これじゃモンキー娘が目立つじゃねぇかよ!と心で叫ぶ。

案の定、数人の傭兵に捕まった。

「おい、お前等どこ行くんだ?」
「こいつ等、そっちの男は傭兵みてぇだが子供と女連れっておかしくないか」
「お前等、怪しいな・・。ちょっと馬から降りろ!女は俺が直々に訊問してやる」
「「「俺等も混ぜろ!」」」

スタート地点で一気に突っ走る案は無くなった。どうすんねん?ってな感じでマルクスを見ると、後ろに下がってガントを前に出してた・・・。この場はガントに任せんのかと納得する。では、私はポポと高みの見物やな。


「お前等、そこを退け!一銭も特にならない戦いで、死にたくはないだろう」
「何だこいつ。1人で前に出やがってこれだけの人数1人でやるってか?」
「お前達、やめといた方がいいぞ。絶対死ぬぞ」

グランが笑いながら絡んできた傭兵にそう言うと、

「その言葉、お前の連れに言いやがれ!」

そう言ってガントに数人が向かって行った。
剣を抜いたガントに私が声を掛ける。

『殺さん方向で頼むわ』
「「なっ!今頃言うな!」」

ガントとグランの両方が突っ込んだ。
仕方なく剣を交えながら、柄で殴るなど殺さずに気絶させるガント。

そして、息を切らせる1人を残すのみとなった。


ポポと2人食べ歩きマップで暇を持て余してたら、集まった野次馬の中から1人の赤毛の男が出て来た。ラムスのおっさんばりではないが、でっつい男やった。

「よう、面白れぇ遊びしてんな。俺も混ぜてくれよ」
「ジル!てめぇは・・はぁ、はぁ、関係ねぇ・・。引っ込んでろ1人で十分だ」
「1人で十分なら、お前が引っ込めよ」

そう言ったかと思うと、辺りが真っ赤に染まる。

「ぎゃあぁぁぁ・・・」

あと1人と言っていた男が斬られた。
その瞬間、ガントが剣を握る手に力がこもるのが見えた。

「ということで、今度俺が相手な。よろしく!!」

そう言って、ガントに剣を振りあげる赤毛。

『じゃ、こっちも選手交代ってことで、よろしくなっと!!』
「あっ!バカ猿!!勝手に交代すんなーーー!!」


マルクスの声が聞こえる前に赤毛の男を殴り飛ばした。その隙に、ポポが斬られた男の所に行って、私に首を振るのが見えた。


「いってぇ・・」


そう言って起き上がる赤毛。炎のように赤い目にドキリとした。人種は赤・・・。
起き上がった赤毛を見据える。

「お前・・それでも女か?」
『・・・お前、何でそいつを斬った?』
「邪魔なもんは、普通どかすだろう」

何言ってんだってな顔で見られた。

『お前のどかすは、殺すって事か』
「女の場合は、どかさねぇで体に貫通・・させるがな」

にやりと私を見てそう言った赤毛。ガントが私の前に来る。
ガントの肩を叩いて退いてもらう。

『貫通する前に、へし折ったる。根性曲がってるお前と同等の曲がりち○こにしたる』
「ぎゃははは・・・スプラッタっす!もうそれ、一生勃たないっすよ?!」

もうお前は黙ってろ!とマルクスに叩かれる健太。


「ふ~ん・・気に入った。連れて帰る」


ぽそりとそう言って手を挙げた瞬間、野次馬の中から大勢の男どもが出て来て、
私以外の面子に動くなとばかりに、剣先が突き付けられた。




【後書き】
おさらい。。。
1.液体の色は薄い黄色
2.元がタダ
3.協力を渋る人あり
4.簡単にそして大量に作れる
5.周りの男どもの反応と心の中のマルクスの独り言
6.その液体は、自然なモノ
7.アブノーマルな性癖に分類
8.これは作者からの大ヒント。自然界でよくマーキングに使われる液体です

以上謎の液体の説明でした。
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