112 / 112
六章 オネエの騎士に溺愛されています
112.オネエの騎士に溺愛されています-2
しおりを挟む
捕まえた常闇の一味から事情聴取してヘレナについていくつかの事がわかった。
ディアナたち常闇が襲ったとあるヤドナの村で、魔力があるからと無理矢理に視力を月に捧げられ魔術士として働かされていたヘレナをディアナが見つけ連れ出したらしい。
ヘレナは自分を助け出してくれたディアナを崇拝していた、と。
「私はアレクが拾ってくれたから、今はこんなに恵まれているけど、拾ってくれた人が悪い人で、それでもその人しか縋るものが無かったら同じようになっていたかもしれない」
だからできるだけの事をしてあげたいの、と真子は呟く。
「マーコの希望を叶えてあげる約束だもの。いくらでも協力するわ。でも、もし助けてあげられなくても、それはあなたのせいじゃないからね」
アレクサンドラは真子をふんわりと抱きしめて、ベッドに横たえた。
「マーコが傷つかないか心配よ」
「ふふ、それはアレクがいれば大丈夫」
相変わらず真子を心配して甘やかすアレクサンドラに、真子は嬉しくなって笑ってしまう。
真子はベッドの隣に横になったアレクサンドラに擦り寄ると、アレクサンドラの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
アレクサンドラが真子の手を取る。
その手首にはフェリシアからもらったバングルと、新しいブレスレットが着けられていた。
以前のブレスレットはもうボロボロになってしまったので、小さな袋に入れてお守りにしている。
アレクサンドラがブレスレットに口づけをすると、ブレスレットが赤く光った。
こうしてブレスレットに加護を与えるのが、今では日課になっている。
アレクサンドラのあたたかい魔力に包まれながら、真子は安心して眠りに落ちた。
*****
救助活動にも目処がつき、真子とアレクサンドラは魔術士団よりも先に王都に戻ることになった。
王都に帰る途中で宿に泊まると、ふたつの月が夜空に綺麗に並んでいた。
あまりにも月が綺麗だったので二人は寝る前に少しだけ散歩することにした。
手を繋いで歩きながら、アレクサンドラが真子に尋ねた。
「色んな国の魔術について調べたら、いつかマーコの世界に戻る方法も見つかるのかしら」
「うーん、フェリシア様はそれが一番可能性があるって言っているけどね」
真子が星見の塔所属の魔術士になると決めた時、何の研究をするかをフェリシアと一緒に考えた。
真子は各地の魔術について調べて元の世界に戻る方法について探ると決めた。
「元の世界に戻りたいわけじゃないけど、勝手に連れ戻されたら嫌だしね」
しばらくそのまま黙って歩き続けると、アレクサンドラが真子の手をギュッと握って立ち止まった。
「ねぇ、マーコ。あなたがもし元の世界や別の世界に飛ばされたとしても、アタシが必ずあなたを探し出すから」
真子は驚いて少しだけ目を見開いてから、満面の笑みを浮かべた。
「うん。ふふ、前もちゃんと見つけてくれたもんね。私も絶対アレクのところに帰るよ」
「それにね、もし元の世界に戻る方法がわかってマーコが戻りたくなったら、アタシがあなたについていくからね」
「え?」
「あなたの希望を叶えてあげる約束だもの。この手を離さないわ」
「……いいの?」
「えぇ」
少し潤んだ目で真子がアレクサンドラを見上げる。
「ねぇ、『マーコはどうしたい?』って聞いて」
「マーコはどうしたい?」
「アレクとずっと一緒にいたい」
真子はぽふんとアレクサンドラに抱きついた。
真子の背中を優しく撫でながらアレクサンドラもそっと囁いた。
「マーコ。アタシにもどうしたいか聞いてくれる?」
真子は顔を上げてアレクサンドラの金色の目を見つめながら尋ねる。
「アレクはどうしたい?」
「この命が尽きるまであなたを愛したいわ、マーコ」
アレクサンドラは真子の頬に手を当てて穏やかに微笑んだ。
「あなたの過去も未来もすべてを愛している」
「私も」
重なり合うふたつの影を、金と銀のふたつの月がいつまでもいつまでも照らしていた。
ディアナたち常闇が襲ったとあるヤドナの村で、魔力があるからと無理矢理に視力を月に捧げられ魔術士として働かされていたヘレナをディアナが見つけ連れ出したらしい。
ヘレナは自分を助け出してくれたディアナを崇拝していた、と。
「私はアレクが拾ってくれたから、今はこんなに恵まれているけど、拾ってくれた人が悪い人で、それでもその人しか縋るものが無かったら同じようになっていたかもしれない」
だからできるだけの事をしてあげたいの、と真子は呟く。
「マーコの希望を叶えてあげる約束だもの。いくらでも協力するわ。でも、もし助けてあげられなくても、それはあなたのせいじゃないからね」
アレクサンドラは真子をふんわりと抱きしめて、ベッドに横たえた。
「マーコが傷つかないか心配よ」
「ふふ、それはアレクがいれば大丈夫」
相変わらず真子を心配して甘やかすアレクサンドラに、真子は嬉しくなって笑ってしまう。
真子はベッドの隣に横になったアレクサンドラに擦り寄ると、アレクサンドラの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
アレクサンドラが真子の手を取る。
その手首にはフェリシアからもらったバングルと、新しいブレスレットが着けられていた。
以前のブレスレットはもうボロボロになってしまったので、小さな袋に入れてお守りにしている。
アレクサンドラがブレスレットに口づけをすると、ブレスレットが赤く光った。
こうしてブレスレットに加護を与えるのが、今では日課になっている。
アレクサンドラのあたたかい魔力に包まれながら、真子は安心して眠りに落ちた。
*****
救助活動にも目処がつき、真子とアレクサンドラは魔術士団よりも先に王都に戻ることになった。
王都に帰る途中で宿に泊まると、ふたつの月が夜空に綺麗に並んでいた。
あまりにも月が綺麗だったので二人は寝る前に少しだけ散歩することにした。
手を繋いで歩きながら、アレクサンドラが真子に尋ねた。
「色んな国の魔術について調べたら、いつかマーコの世界に戻る方法も見つかるのかしら」
「うーん、フェリシア様はそれが一番可能性があるって言っているけどね」
真子が星見の塔所属の魔術士になると決めた時、何の研究をするかをフェリシアと一緒に考えた。
真子は各地の魔術について調べて元の世界に戻る方法について探ると決めた。
「元の世界に戻りたいわけじゃないけど、勝手に連れ戻されたら嫌だしね」
しばらくそのまま黙って歩き続けると、アレクサンドラが真子の手をギュッと握って立ち止まった。
「ねぇ、マーコ。あなたがもし元の世界や別の世界に飛ばされたとしても、アタシが必ずあなたを探し出すから」
真子は驚いて少しだけ目を見開いてから、満面の笑みを浮かべた。
「うん。ふふ、前もちゃんと見つけてくれたもんね。私も絶対アレクのところに帰るよ」
「それにね、もし元の世界に戻る方法がわかってマーコが戻りたくなったら、アタシがあなたについていくからね」
「え?」
「あなたの希望を叶えてあげる約束だもの。この手を離さないわ」
「……いいの?」
「えぇ」
少し潤んだ目で真子がアレクサンドラを見上げる。
「ねぇ、『マーコはどうしたい?』って聞いて」
「マーコはどうしたい?」
「アレクとずっと一緒にいたい」
真子はぽふんとアレクサンドラに抱きついた。
真子の背中を優しく撫でながらアレクサンドラもそっと囁いた。
「マーコ。アタシにもどうしたいか聞いてくれる?」
真子は顔を上げてアレクサンドラの金色の目を見つめながら尋ねる。
「アレクはどうしたい?」
「この命が尽きるまであなたを愛したいわ、マーコ」
アレクサンドラは真子の頬に手を当てて穏やかに微笑んだ。
「あなたの過去も未来もすべてを愛している」
「私も」
重なり合うふたつの影を、金と銀のふたつの月がいつまでもいつまでも照らしていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
139
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
完結おめでとうございます!
二人ともどうしたいか言えるようになって、よかった。
異世界転移ものって、離れ離れになっちゃう可能性が消えないけど、アレクだったら、マーコをどこまでも追いかけて見つけてくれるね!と安心しました。
アレクはしつこいですからね。執念でマーコを探し出してずっと一緒にいると思います。
感想ありがとうございます!