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一章 精霊の愛し子
18.次の満月までの約束-2
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「ねぇ、アミルは色んな国の言葉を話せるの?」
「うん? 三か……いや五かな。簡単な会話で良いならもっとだし、歌の歌詞だけならもっと歌えるな」
「私も他の国の歌を歌ってみたい!」
「ん……良いけど。じゃあ教えてやろうか?」
「お願い!!」
それからアミルはリュートを弾いて簡単な異国の歌をいくつか教えてくれた。
ルルティアはそのうち楽しくなって歌いながらクルクルとその場で回りだした。
アクアさまが一緒になってふわりと周りをただよい、バズがルルティアの周りをピョンピョンと飛んでいる。
「ふふ、バズ危ないよ~。踏んじゃうから~、あ!」
「あ、おい、危ない!」
「きゃあ!!」
バズを避けた拍子にバランスを崩し倒れそうになったところを、アミルがルルティアの腕を引っ張って受け止めた。
しかし勢い余って二人はそのまま地面にゴロンと転がってしまった。
「あぶねーな」
アミルの上に乗っかる形で抱きしめられて、ルルティアは胸がドキドキ高鳴る。
(これは倒れたのに驚いてドキドキしてるだけで……)
ふわりとアミルの甘い匂いが香ってきた。
「ん……」
アミルの腕の中でルルティアが声を上げながら小さく身震いすると、アミルの抱きしめる手にグッと力が入った。
その腕の力にルルティアの胸がいっそう高鳴る。
しばらくそのまま動けなかった。
バズが心配そうに近づいてきて、ニャア、と鳴いてルルティアに頭をすり寄せた。
ルルティアはあわててゴロンと横に転がってアミルの上から降りると、寝転んだままバズと目線を合わせて頭をなでた。
「ごめんね、バズは平気だった? 明日の昼には連絡船がアイラナを発つからそれまではここに居てね」
明日を過ぎたら、またアイラナ周辺は複雑な海流に阻まれて大型船は行き来ができなくなる。
アミルを狙った男がアイラナから出て行けば、アミルも安心してマラマ島に戻れるだろう。
ルルティアが身体の上から降りて腕の行き場を失ったアミルは、その手をパタンと地面に落とした。
「……そういや、ここにはあんた以外の誰かが来たりしないのか?」
「ここはアクアさまのための場所なの。ここに自由に来て良いのは巫女だけだから大丈夫」
「そんな大事な場所に俺がいて良いのか?」
いつも自信満々なアミルの遠慮している様子がなんだかおかしくてルルティアはクスクス笑った。
「私が連れてきたんだし大丈夫! アクアさまも良いよね?」
ルルティアの問いかけに、祠の白い石の上でヒレをひらひらと揺らしながら休んでいたアクアさまはヒレを大きくふわりと動かしプクプクっと返事をした。
それにしても……とルルティアはアクアさまとバズを見ていて嬉しさが込み上げてきた。
(まさか巫女以外で、アクアさまを見れてこんな風に一緒に話せる人がいるなんて……!)
ルルティアは楽しいふわふわした気持ちが抑えきれず、ふふ、と声を出して笑った。
「なに笑ってんだよ。ルー」
アミルはいつの間にか起き上がり、ルルティアの横に立って見下ろしていた。
「ふふ、なんでもなーい!」
ルルティアはアミルの差し出す手を思い切り引いて勢いよく立ち上がった。
「あ、おい!」
バランスを崩してよろけたアミルが、ルルティアに文句を言った。
「うん? 三か……いや五かな。簡単な会話で良いならもっとだし、歌の歌詞だけならもっと歌えるな」
「私も他の国の歌を歌ってみたい!」
「ん……良いけど。じゃあ教えてやろうか?」
「お願い!!」
それからアミルはリュートを弾いて簡単な異国の歌をいくつか教えてくれた。
ルルティアはそのうち楽しくなって歌いながらクルクルとその場で回りだした。
アクアさまが一緒になってふわりと周りをただよい、バズがルルティアの周りをピョンピョンと飛んでいる。
「ふふ、バズ危ないよ~。踏んじゃうから~、あ!」
「あ、おい、危ない!」
「きゃあ!!」
バズを避けた拍子にバランスを崩し倒れそうになったところを、アミルがルルティアの腕を引っ張って受け止めた。
しかし勢い余って二人はそのまま地面にゴロンと転がってしまった。
「あぶねーな」
アミルの上に乗っかる形で抱きしめられて、ルルティアは胸がドキドキ高鳴る。
(これは倒れたのに驚いてドキドキしてるだけで……)
ふわりとアミルの甘い匂いが香ってきた。
「ん……」
アミルの腕の中でルルティアが声を上げながら小さく身震いすると、アミルの抱きしめる手にグッと力が入った。
その腕の力にルルティアの胸がいっそう高鳴る。
しばらくそのまま動けなかった。
バズが心配そうに近づいてきて、ニャア、と鳴いてルルティアに頭をすり寄せた。
ルルティアはあわててゴロンと横に転がってアミルの上から降りると、寝転んだままバズと目線を合わせて頭をなでた。
「ごめんね、バズは平気だった? 明日の昼には連絡船がアイラナを発つからそれまではここに居てね」
明日を過ぎたら、またアイラナ周辺は複雑な海流に阻まれて大型船は行き来ができなくなる。
アミルを狙った男がアイラナから出て行けば、アミルも安心してマラマ島に戻れるだろう。
ルルティアが身体の上から降りて腕の行き場を失ったアミルは、その手をパタンと地面に落とした。
「……そういや、ここにはあんた以外の誰かが来たりしないのか?」
「ここはアクアさまのための場所なの。ここに自由に来て良いのは巫女だけだから大丈夫」
「そんな大事な場所に俺がいて良いのか?」
いつも自信満々なアミルの遠慮している様子がなんだかおかしくてルルティアはクスクス笑った。
「私が連れてきたんだし大丈夫! アクアさまも良いよね?」
ルルティアの問いかけに、祠の白い石の上でヒレをひらひらと揺らしながら休んでいたアクアさまはヒレを大きくふわりと動かしプクプクっと返事をした。
それにしても……とルルティアはアクアさまとバズを見ていて嬉しさが込み上げてきた。
(まさか巫女以外で、アクアさまを見れてこんな風に一緒に話せる人がいるなんて……!)
ルルティアは楽しいふわふわした気持ちが抑えきれず、ふふ、と声を出して笑った。
「なに笑ってんだよ。ルー」
アミルはいつの間にか起き上がり、ルルティアの横に立って見下ろしていた。
「ふふ、なんでもなーい!」
ルルティアはアミルの差し出す手を思い切り引いて勢いよく立ち上がった。
「あ、おい!」
バランスを崩してよろけたアミルが、ルルティアに文句を言った。
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