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六章 愛の歌
79.結婚式-1
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その日は朝から快晴だった。
アイラナの国中がこのめでたい日を祝ってにぎわい華やいでいる。
町のいたるところには花が飾られ、立ち並ぶ屋台の店先では酒やごちそうが安価でふるまわれ、子どもたちには甘いお菓子が配られた。
道行く人はすれ違うたびにみな笑顔で祝いの言葉を述べている。
町中どころか島中がお祭り騒ぎで、さらにそれはマラマ島だけでなくアイラナの島すべてで今日は巫女の婚礼を祝う祭が行われていた。
今日の主役である花嫁のルルティアは青い婚礼衣装を身につけていた。
青は神聖なる巫女のための色で、これを身につけられる者は限られている。
衣装はハーフトップと腰から下のラインをしっかりと出した足首まである巻きスカートからできていて、巫女の舞いのおかげでくびれた白くしなやかな腰をより美しく見せていた。
美しい光沢のある青い生地には金糸や銀糸でたっぷりと刺繍がほどこされていてアクアさまのウロコのように華やかにきらめいていた。
ルルティアの胸元のウロコもしっかりと見えるように襟ぐりは大きく開いている。
婚礼衣装の仮縫い姿を見た時、肌を出しすぎなんじゃないかとアミルはぶつぶつと文句をつぶやいていた。
編み上げられたオレンジの髪にはアイラナ特有の色鮮やかな花々が飾られている。
その上にふわりと白いレースで編まれたベールがかけられた。
アイラナの婚礼衣装にベールは無いのだが、このベールはラムールの風習を知るノウスが特別に贈ってくれたものだった。
ルルティアが鏡の中の自分の姿を見てまずまずの出来なんじゃないかと満足していると、部屋のドアが叩かれた。
開いたドアからアミルが顔をのぞかせる。
「ルー、準備できたか?」
「アミル! どうかな?」
ルルティアがベールを軽く握り、身につけた婚礼衣装を見せつけるようにその場でくるりと一周回る。
白いベールが風をはらんでふわりと広がった。
「ん、キレイだ」
「ふふ、アミルもカッコいいよ!」
ルルティアが自分の髪を飾る花と同じものをアミルの胸元にも飾った。
花婿のアミルは白いシャツに濃い青のズボンを身につけておりどちらも銀糸で細かく縁取られている。
ルルティアのドレスにほどこされている刺繍と合わせて複雑な模様のひとつひとつがどれも二人の永遠の繁栄と安寧を言祝いでいた。
アミルがルルティアを抱きしめて額に軽くキスを落とす。
世界に自分たちだけしかいないかのように見つめあう二人をウラウが手を叩いてせかした。
「ほら急ぎなさい、二人とも」
「はぁい」
「ん、行くぞ、ルー」
これから二人で舟に乗りカプ島の祠の前で婚礼の誓いを行う。
アミルの差し伸べた手をルルティアが取り、二人はアリイとウラウに先導されながら町中を並んで歩いて海まで向かった。
沿道には今日の主役を一目見ようと人々が集まってきていた。
立会人と共に舟に乗ってカプ島まで渡り、祠の前で結婚の誓いの言葉を述べる。
「見て、アミル」
アクアさまがカプ島を包むように恵みの雨を降らせ、祠の側の泉と滝はキラキラと宝石のように輝いていた。
「あぁ、キレイだな。アクアさまありがとう」
アクアさまはプクプクと音を立てながらひらりひらりと二人の周りを泳ぎまわった。
バズもくるくると楽しそうに飛び跳ねている。
アミルはルルティアを見つめるとその手を強く握りしめた。
アイラナの国中がこのめでたい日を祝ってにぎわい華やいでいる。
町のいたるところには花が飾られ、立ち並ぶ屋台の店先では酒やごちそうが安価でふるまわれ、子どもたちには甘いお菓子が配られた。
道行く人はすれ違うたびにみな笑顔で祝いの言葉を述べている。
町中どころか島中がお祭り騒ぎで、さらにそれはマラマ島だけでなくアイラナの島すべてで今日は巫女の婚礼を祝う祭が行われていた。
今日の主役である花嫁のルルティアは青い婚礼衣装を身につけていた。
青は神聖なる巫女のための色で、これを身につけられる者は限られている。
衣装はハーフトップと腰から下のラインをしっかりと出した足首まである巻きスカートからできていて、巫女の舞いのおかげでくびれた白くしなやかな腰をより美しく見せていた。
美しい光沢のある青い生地には金糸や銀糸でたっぷりと刺繍がほどこされていてアクアさまのウロコのように華やかにきらめいていた。
ルルティアの胸元のウロコもしっかりと見えるように襟ぐりは大きく開いている。
婚礼衣装の仮縫い姿を見た時、肌を出しすぎなんじゃないかとアミルはぶつぶつと文句をつぶやいていた。
編み上げられたオレンジの髪にはアイラナ特有の色鮮やかな花々が飾られている。
その上にふわりと白いレースで編まれたベールがかけられた。
アイラナの婚礼衣装にベールは無いのだが、このベールはラムールの風習を知るノウスが特別に贈ってくれたものだった。
ルルティアが鏡の中の自分の姿を見てまずまずの出来なんじゃないかと満足していると、部屋のドアが叩かれた。
開いたドアからアミルが顔をのぞかせる。
「ルー、準備できたか?」
「アミル! どうかな?」
ルルティアがベールを軽く握り、身につけた婚礼衣装を見せつけるようにその場でくるりと一周回る。
白いベールが風をはらんでふわりと広がった。
「ん、キレイだ」
「ふふ、アミルもカッコいいよ!」
ルルティアが自分の髪を飾る花と同じものをアミルの胸元にも飾った。
花婿のアミルは白いシャツに濃い青のズボンを身につけておりどちらも銀糸で細かく縁取られている。
ルルティアのドレスにほどこされている刺繍と合わせて複雑な模様のひとつひとつがどれも二人の永遠の繁栄と安寧を言祝いでいた。
アミルがルルティアを抱きしめて額に軽くキスを落とす。
世界に自分たちだけしかいないかのように見つめあう二人をウラウが手を叩いてせかした。
「ほら急ぎなさい、二人とも」
「はぁい」
「ん、行くぞ、ルー」
これから二人で舟に乗りカプ島の祠の前で婚礼の誓いを行う。
アミルの差し伸べた手をルルティアが取り、二人はアリイとウラウに先導されながら町中を並んで歩いて海まで向かった。
沿道には今日の主役を一目見ようと人々が集まってきていた。
立会人と共に舟に乗ってカプ島まで渡り、祠の前で結婚の誓いの言葉を述べる。
「見て、アミル」
アクアさまがカプ島を包むように恵みの雨を降らせ、祠の側の泉と滝はキラキラと宝石のように輝いていた。
「あぁ、キレイだな。アクアさまありがとう」
アクアさまはプクプクと音を立てながらひらりひらりと二人の周りを泳ぎまわった。
バズもくるくると楽しそうに飛び跳ねている。
アミルはルルティアを見つめるとその手を強く握りしめた。
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