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一章 できそこないの魔女と俺様令息
8.レオルドの心とソフィアの過去-1
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その日の勉強会で、ソフィアは手仕事のための布の山を資料室に持ち込んだ。
「すみません、仕事が終わらなくて」
本当なら仕事に集中してここには来ないほうが良いのだろう。
でも自分のことを忘れられることなくちゃんと見てもらえる喜びを知ってしまってから、どうしても一緒に過ごせるこの機会を逃したくなかった。
するとメモリアは布をひとつ手に取りほんのわずか眉をしかめる。
「あの……ちゃんと手を動かしながらやりますから」
今日の勉強会は中止にしようと言われたくなくて、必死に言い募る。
「ソフィア様。これは他の聖女の分も押し付けられていますね」
「え?」
「これはおひとりでやる量じゃありません。お手伝いします」
「え、そんなの悪いです」
とまどっているうちに、メモリアは机に座りテキパキと準備を整え手仕事を始めてしまった。
あわてて隣に座りソフィアも布を手に取る。
「あの、メモリアさん。ありがとうございます」
「ソフィア様が優秀な生徒でいらっしゃるので、勉強は順調に進んでおりますから」
「だって、それはメモリアさんの大事な時間をもらっているので……」
「ふむ、そうですね。では今日は手を動かす間、ソフィア様が気になることになんでもお答えします」
「え? え?」
「なんでもどうぞ」
メモリアが正確に手を動かしながら聞いてくるので、パッと頭に浮かんだことを尋ねた。
「あ、あの、メモリアさんはレオルド様の知っていることをなんでも知っているんですか?」
以前レオルドは、自分の知っていることはメモリアもほぼすべて知っていると言っていた。
そのようにした、とも。
「なんでもではありません。ただ私は一度読んだものならその内容を忘れません。ですからレオルド様が私に覚えておくように、と紙に書きつけたものをすべて覚えています」
読んだものを忘れないなんて、そんなことがあるのだろうか。
確かに思い返してみれば、これまでの勉強会でも資料などを何も見ずに教えてくれていた。
試しに目の前の本を持ち上げてみる。
「じゃあこの本の内容もすべて覚えているんですか?」
「はい。レオルド様に命じられたので、その本だけでなくこの部屋の本の内容をすべて覚えております」
「これをすべて……!」
資料室を見回すと、狭い資料室ではあるが本棚がいくつもあり全部で何冊の本があるかわからない。
「疑われるようなら、本を一冊出してページ数をおっしゃっていただければそのページを誦んじます」
「えっと、じゃあこの本の二十三ページは?」
適当に開いたページを告げると、メモリアは少し考えるそぶりを見せたあとそのページを誦んじ始めた。
ページを目で追えば、確かに書いてある通りそのままだ。
「え、すごい!」
「まだやりますか?」
「いえ、大丈夫です」
メモリアの言葉に嘘はない。
それはメモリアに色々教わったソフィアが感じていたことだった。
感心しながら手を動かしていると、メモリアが話を続ける。
「この能力のおかげで、私はレオルド様のおそばに置いていただけました。レオルド様はその日にあった事をすべて紙に書きつけ私に覚えさせます」
「すべて……! でも、レオルド様は何のためにそんな事をさせているのですか?」
「私がレオルド様のことを忘れたらすぐにわかるようにです」
「忘れたらわかるように……?」
言葉の意味がよくわからず、ソフィアは小さく首を傾げた。
「すみません、仕事が終わらなくて」
本当なら仕事に集中してここには来ないほうが良いのだろう。
でも自分のことを忘れられることなくちゃんと見てもらえる喜びを知ってしまってから、どうしても一緒に過ごせるこの機会を逃したくなかった。
するとメモリアは布をひとつ手に取りほんのわずか眉をしかめる。
「あの……ちゃんと手を動かしながらやりますから」
今日の勉強会は中止にしようと言われたくなくて、必死に言い募る。
「ソフィア様。これは他の聖女の分も押し付けられていますね」
「え?」
「これはおひとりでやる量じゃありません。お手伝いします」
「え、そんなの悪いです」
とまどっているうちに、メモリアは机に座りテキパキと準備を整え手仕事を始めてしまった。
あわてて隣に座りソフィアも布を手に取る。
「あの、メモリアさん。ありがとうございます」
「ソフィア様が優秀な生徒でいらっしゃるので、勉強は順調に進んでおりますから」
「だって、それはメモリアさんの大事な時間をもらっているので……」
「ふむ、そうですね。では今日は手を動かす間、ソフィア様が気になることになんでもお答えします」
「え? え?」
「なんでもどうぞ」
メモリアが正確に手を動かしながら聞いてくるので、パッと頭に浮かんだことを尋ねた。
「あ、あの、メモリアさんはレオルド様の知っていることをなんでも知っているんですか?」
以前レオルドは、自分の知っていることはメモリアもほぼすべて知っていると言っていた。
そのようにした、とも。
「なんでもではありません。ただ私は一度読んだものならその内容を忘れません。ですからレオルド様が私に覚えておくように、と紙に書きつけたものをすべて覚えています」
読んだものを忘れないなんて、そんなことがあるのだろうか。
確かに思い返してみれば、これまでの勉強会でも資料などを何も見ずに教えてくれていた。
試しに目の前の本を持ち上げてみる。
「じゃあこの本の内容もすべて覚えているんですか?」
「はい。レオルド様に命じられたので、その本だけでなくこの部屋の本の内容をすべて覚えております」
「これをすべて……!」
資料室を見回すと、狭い資料室ではあるが本棚がいくつもあり全部で何冊の本があるかわからない。
「疑われるようなら、本を一冊出してページ数をおっしゃっていただければそのページを誦んじます」
「えっと、じゃあこの本の二十三ページは?」
適当に開いたページを告げると、メモリアは少し考えるそぶりを見せたあとそのページを誦んじ始めた。
ページを目で追えば、確かに書いてある通りそのままだ。
「え、すごい!」
「まだやりますか?」
「いえ、大丈夫です」
メモリアの言葉に嘘はない。
それはメモリアに色々教わったソフィアが感じていたことだった。
感心しながら手を動かしていると、メモリアが話を続ける。
「この能力のおかげで、私はレオルド様のおそばに置いていただけました。レオルド様はその日にあった事をすべて紙に書きつけ私に覚えさせます」
「すべて……! でも、レオルド様は何のためにそんな事をさせているのですか?」
「私がレオルド様のことを忘れたらすぐにわかるようにです」
「忘れたらわかるように……?」
言葉の意味がよくわからず、ソフィアは小さく首を傾げた。
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