96 / 111
四章 青空と太陽
3.-4
しおりを挟む
メモリアに大きな声で名前を呼ばれ、思わず肩がびくりと固まる。
「は、はい!」
「私はソフィア様がお強くなられたと感じたので、このことをお伝えしました。きちんと受け止められると思ったからです」
「……はい」
「ソフィア様のお力のおかげで事態が変わったのです。必要以上にご自分を卑下するものではありません」
「はい」
久しぶりにメモリアに怒られて、ソフィアは身を縮こまらせてから、ふっと笑った。
(そうよ、できない事を嘆いていても仕方ない。今できる事をやらなければ)
今のソフィアなら受け止められると、そう考えてくれたメモリアの信頼に応えたい。
ソフィアは大きくひとつ息を吐いて、しっかりと気持ちを立て直した。
「メモリアさん、ありがとうございます。では私がいま何をすれば良いか、教えてもらえますか?」
「ソフィア様にできることは、一刻も早くお身体を回復させることです。そうすれば、レオルド様が戻ってきた時にすぐに動き出せます」
「はい」
レオルドの足手まといにならないように、まずは体調を万全に治そうと決める。
「例えソフィア様にできることが少なくても、レオルド様ならソフィア様のために何でもしてくださいます」
「え? えぇと……?」
「ですからソフィア様は、レオルド様をうまく動かせるようになればいいのですよ」
「そんな……!」
メモリアのあんまりな言い分に驚いたが、黒い目の奥にからかうような光があった。
それで、メモリアが元気づけてくれていることに気づく。
「もう、メモリアさんったら。私、早く身体を回復させますね。ありがとうございます」
「そうしてください」
それからソフィアは自身の体調を回復させることに専念した。
そしてその合間に、メモリアやマリアからイムソリアに伝わる魔女の伝承や領地内の様々なことを教えてもらった。
そのまま数日を過ごし、いよいよ王宮から帰還を催促する使者が来そうな頃、なんだか屋敷の外の空気があわただしくなった。
すぐに屋敷の玄関が騒がしくなり、ソフィアの耳に待ち望んでいた人の声が聞こえてくる。
ソフィアは部屋から飛び出すと玄関に向かって走った。
「戻ったぞ!」
「レオルド様!」
「ソフィア!!」
よっぽど大変だったのかレオルドの鮮やかな金髪は少しうす汚れてくすんでおり、その騎士服も泥に塗れていた。
ソフィアは自分の服が汚れるのも構わず、レオルドの胸に向かって思いきり飛び込んだ。
「レオルド様、おかえりなさい」
「一人にしてすまなかった。ちょうど王宮からの馬車と一緒になったのでここまでお連れした。俺もすぐに身を整えるので、ソフィアも準備しろ」
「え?」
とうとう王宮から帰還を催促する使者がきたのだろうか。
それにしてはレオルドの声が明るいのと、わざわざ身を整えるように言われたのが不思議だった。
馬車から人が降りてきたので顔を向けると、そこには肖像画で何度も見たことのあるカネス王太子殿下の姿があった。
「は、はい!」
「私はソフィア様がお強くなられたと感じたので、このことをお伝えしました。きちんと受け止められると思ったからです」
「……はい」
「ソフィア様のお力のおかげで事態が変わったのです。必要以上にご自分を卑下するものではありません」
「はい」
久しぶりにメモリアに怒られて、ソフィアは身を縮こまらせてから、ふっと笑った。
(そうよ、できない事を嘆いていても仕方ない。今できる事をやらなければ)
今のソフィアなら受け止められると、そう考えてくれたメモリアの信頼に応えたい。
ソフィアは大きくひとつ息を吐いて、しっかりと気持ちを立て直した。
「メモリアさん、ありがとうございます。では私がいま何をすれば良いか、教えてもらえますか?」
「ソフィア様にできることは、一刻も早くお身体を回復させることです。そうすれば、レオルド様が戻ってきた時にすぐに動き出せます」
「はい」
レオルドの足手まといにならないように、まずは体調を万全に治そうと決める。
「例えソフィア様にできることが少なくても、レオルド様ならソフィア様のために何でもしてくださいます」
「え? えぇと……?」
「ですからソフィア様は、レオルド様をうまく動かせるようになればいいのですよ」
「そんな……!」
メモリアのあんまりな言い分に驚いたが、黒い目の奥にからかうような光があった。
それで、メモリアが元気づけてくれていることに気づく。
「もう、メモリアさんったら。私、早く身体を回復させますね。ありがとうございます」
「そうしてください」
それからソフィアは自身の体調を回復させることに専念した。
そしてその合間に、メモリアやマリアからイムソリアに伝わる魔女の伝承や領地内の様々なことを教えてもらった。
そのまま数日を過ごし、いよいよ王宮から帰還を催促する使者が来そうな頃、なんだか屋敷の外の空気があわただしくなった。
すぐに屋敷の玄関が騒がしくなり、ソフィアの耳に待ち望んでいた人の声が聞こえてくる。
ソフィアは部屋から飛び出すと玄関に向かって走った。
「戻ったぞ!」
「レオルド様!」
「ソフィア!!」
よっぽど大変だったのかレオルドの鮮やかな金髪は少しうす汚れてくすんでおり、その騎士服も泥に塗れていた。
ソフィアは自分の服が汚れるのも構わず、レオルドの胸に向かって思いきり飛び込んだ。
「レオルド様、おかえりなさい」
「一人にしてすまなかった。ちょうど王宮からの馬車と一緒になったのでここまでお連れした。俺もすぐに身を整えるので、ソフィアも準備しろ」
「え?」
とうとう王宮から帰還を催促する使者がきたのだろうか。
それにしてはレオルドの声が明るいのと、わざわざ身を整えるように言われたのが不思議だった。
馬車から人が降りてきたので顔を向けると、そこには肖像画で何度も見たことのあるカネス王太子殿下の姿があった。
1
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる