【R18/完結】私のことは忘れてください〜できそこないの魔女は俺様な侯爵令息に溺愛される〜

河津ミネ

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四章 青空と太陽

3.-4

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 メモリアに大きな声で名前を呼ばれ、思わず肩がびくりと固まる。

「は、はい!」

「私はソフィア様がお強くなられたと感じたので、このことをお伝えしました。きちんと受け止められると思ったからです」

「……はい」

「ソフィア様のお力のおかげで事態が変わったのです。必要以上にご自分を卑下するものではありません」

「はい」

 久しぶりにメモリアに怒られて、ソフィアは身を縮こまらせてから、ふっと笑った。

(そうよ、できない事を嘆いていても仕方ない。今できる事をやらなければ)

 今のソフィアなら受け止められると、そう考えてくれたメモリアの信頼に応えたい。
 ソフィアは大きくひとつ息を吐いて、しっかりと気持ちを立て直した。

「メモリアさん、ありがとうございます。では私がいま何をすれば良いか、教えてもらえますか?」

「ソフィア様にできることは、一刻も早くお身体を回復させることです。そうすれば、レオルド様が戻ってきた時にすぐに動き出せます」

「はい」

 レオルドの足手まといにならないように、まずは体調を万全に治そうと決める。

「例えソフィア様にできることが少なくても、レオルド様ならソフィア様のために何でもしてくださいます」

「え? えぇと……?」

「ですからソフィア様は、レオルド様をうまく動かせるようになればいいのですよ」

「そんな……!」

 メモリアのあんまりな言い分に驚いたが、黒い目の奥にからかうような光があった。
 それで、メモリアが元気づけてくれていることに気づく。

「もう、メモリアさんったら。私、早く身体を回復させますね。ありがとうございます」

「そうしてください」

 それからソフィアは自身の体調を回復させることに専念した。
 そしてその合間に、メモリアやマリアからイムソリアに伝わる魔女の伝承や領地内の様々なことを教えてもらった。

 そのまま数日を過ごし、いよいよ王宮から帰還を催促する使者が来そうな頃、なんだか屋敷の外の空気があわただしくなった。
 すぐに屋敷の玄関が騒がしくなり、ソフィアの耳に待ち望んでいた人の声が聞こえてくる。
 ソフィアは部屋から飛び出すと玄関に向かって走った。

「戻ったぞ!」

「レオルド様!」

「ソフィア!!」

 よっぽど大変だったのかレオルドの鮮やかな金髪は少しうす汚れてくすんでおり、その騎士服も泥に塗れていた。
 ソフィアは自分の服が汚れるのも構わず、レオルドの胸に向かって思いきり飛び込んだ。

「レオルド様、おかえりなさい」

「一人にしてすまなかった。ちょうど王宮からの馬車と一緒になったのでここまでお連れした。俺もすぐに身を整えるので、ソフィアも準備しろ」

「え?」

 とうとう王宮から帰還を催促する使者がきたのだろうか。
 それにしてはレオルドの声が明るいのと、わざわざ身を整えるように言われたのが不思議だった。
 馬車から人が降りてきたので顔を向けると、そこには肖像画で何度も見たことのあるカネス王太子殿下の姿があった。
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