SIX RULES

黒陽 光

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第六条(上):この五ヶ条を破らなければならなくなった時は――――

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「はぁ……っ!!」
 満面の笑みを浮かべていたウォードッグが確かにベランダの下へと落ちていくのを見送った後で、ハリーは大きく肩を落としながら、あまりに大きすぎる息をついていた。
 これで、終わった――――。
 今度こそ、間違いなくウォードッグは仕留めた。やり過ぎなぐらいに痛めつけた末に、限界まで9mmパラベラム弾を叩き込んでやり、そして最期は転落死だ。殺しても死なないぐらいにタフな男の死に様としては、これ以上無いぐらいのシチュエーションだろう。最後はあんな一方的に痛めつけるだけだったが、アレでもハリーは最大限の敬意を以て殺したつもりだ。
「落ちて死ぬ、か」
 グロック34の弾倉を新しい物と入れ替えながら、ハリーはひとりごちる。
「何度殺しても蘇ってくる、ターミネーターみたいな野郎の死に様としちゃあ、最高の幕引きじゃないか?」
 なぁ、ウォードッグ――――。
 たった今仕留めたばかりの、あまりに純粋だった屈強な戦士の名を呼びつつ、しかしその名を虚空に霧散させながら。ハリーは傷付いた身体に鞭打ち、再び立ち上がる。
 立ち上がると、ズタボロになった部屋に転がる自分の武器を出来る限り回収しておいた。とはいえ回収できたのはベンチメイド・9050AFOのナイフだけで、バックアップ用のグロック26は何処へ吹っ飛んでいったのかも分からず、探している暇も無かったから泣く泣く捨て置くしかなかった。
 そして、ハリーはグロック34を片手に提げながら、静かにヴァレンタインの私室を後にしていく。懐からランボルギーニのキーを、クララから渡されたそれを取り出し、固く左手の中で握り締めながら。
「和葉……!」
 凄まじい強敵との、ウォードッグとの最後の戦いは、こうして幕を下ろした。
 しかし、男の戦いが終わったワケではない。まだ男には、ハリー・ムラサメにはやるべきことが残っていた。
 だからこそ、ハリーは歩き出す。傷付いた身体にも構わぬまま、次なる戦いの場へと赴いていく。
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