SIX RULES

黒陽 光

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エピローグ:六つのルール、それが男の信ずる正義。

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『――――ところで冴子、"スタビリティ"の残党はどうなってるのさ』
「インターポールの方が色々と頑張ってるみたいよ。アメリカの方でも、既に五つの拠点がFBI-SWATの強襲を受けて摘発済み。フランスではRAIDに一件、GIGNに二件が潰されてる。他にも挙げ出すとキリが無いけれど、今じゃもう壊滅寸前って感じよ」
『それは良い知らせだね。やっぱりユーリ・ヴァレンタインが、組織の頭が無くなってしまえば、こんなものか』
「ミリィ・レイス。貴女には呆気なく思えるかも知れないけれど、あの程度の組織ならそんなものよ。頭を撥ねられた蛇は、いずれ死に往くだけってこと」
『ふぅん、勉強になる。……こっちでも何件か"スタビリティ"残党の国内潜伏先と思しき場所をリストアップしておいた。後でそっちに送るよ』
「助かるわ」
 その頃、何処かのビルの屋上では。ヘリポートの端に立ちつつ耳にスマートフォンを当て、吹き付けるビル風に吹かれながら、警視庁公安部の刑事・鷹橋冴子は昔なじみな腕利きの情報屋、コンピュータ関連のプロフェッショナルであるミリィ・レイスとそんな言葉を電話越しに交わしていた。
「ところでミリィ、例の"ワルキューレ・システム"に関して、何かそっちで掴んでることってあるかしら?」
『無い無い、まるで収穫ゼロだ。尤も、システムを構築してた衛星も、システムの要だった代えの効かない光ニューロ・コンピュータも、その全部が自爆して宇宙ゴミになっちゃったからね。園崎優子もこの世に居ない以上、多分計画は頓挫したんじゃないかな?』
「私の方にも全く情報は降りてこないけれど、私もそう思うわ。多分あの代物は、今の私たちにはあまりに過ぎた代物だったのかもしれないわね」
『ユーリ・ヴァレンタインのような存在も、現れるべくして現れたと』
「そういうことね。園崎優子には悪いけれど、きっとこれで良かったのかも知れないわ」
『そうだね……』
 電話越しにミリィと頷き合いながら、冴子はビル風の吹き付ける屋上で独り、ハイライト・メンソールの煙草を吹かす。灰になっていく先端からビル風に紛れて霧散する副流煙の白い煙が、何だか人という存在そのものの儚さすら比喩しているような気がして、思わず冴子は眼を細めた。我ながら、随分詩的なことを言う物だと、小さく自嘲する笑みを浮かべながら。
『そういえば、彼女はあの後どうなったのかな?』
 ミリィ・レイスがふとした時にそんな話題を出すと、冴子はフッと小さく微笑んでみせた。先程までの自嘲めいたものと違う、何処か楽しむような微かな微笑みを浮かべてみせながら、冴子が彼女の問いかけをこんな風に答える。
「園崎和葉のこと? ええ、彼女なら、そうね――――」
 語り掛けながら、ニッと冴子は不敵に微笑む。
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