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Sortie-01:黒翼の舞う空
エピローグ:十センチ差の比翼連理/04
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「回せ回せ回せ! レッド・アラートだ、分かってんのか!? 慌てず、急いで、正確にだ!!」
――――国連統合軍・極東方面司令基地『H‐Rアイランド』。通称……蓬莱島。
地下基地の格納庫に、南の怒号が木霊する。相変わらず一人だけオレンジ色のツナギを着ているから、ぶんぶんと忙しなく腕を振り回す彼の後ろ姿はやたらと目立つ。
そんな彼の怒号が響き渡る中、アリサと翔一はそれぞれパイロット・スーツに身を包んだ格好で格納庫を駆け抜けていた。
格納庫を走り抜ける二人、アリサが着ているのは、いつも通りに赤と黒を基調としたパーソナル・カラーのパイロット・スーツで。対して翔一が身に纏っている物は、グレー系の没個性的な普及品……ではなく。寧ろ黒を基調とした感じの、アリサと同じようにパーソナル・カラーをあしらった特別製の物だった。
本来はエース・パイロット用の特別誂えな代物を、彼が身に纏っている理由。そんなものは、たったひとつだ。
――――彼が、彼女にとって唯一無二の相棒であるから。紛う事なきエース・パイロットの一人、アリサ・メイヤードの相棒であるから。ただそれだけの理由だ。それだけで、彼も特別誂えのスーツを纏う資格がある。孤高の赤き薔薇の乙女、その心を解きほぐし……唯一無二の相棒となった彼には、その確たる資格があるのだ。
「おう、アリサちゃんに翔一か! もう準備出来てる、クロウ隊の連中はさっき上がったばっかだ!」
二人が駆けていけば、バタバタとした足音に気付いた南が振り返り、ニヤリとしながら呼び掛けてくる。その間にも二人は傍にあった自分の機体。その機首に駆けられたラダー(はしご)を駆け昇り、複座式のコクピットにアリサと翔一、前後の位置で飛び乗っていた。
「了解! ちゃあんと整備しといてくれたんでしょうね!?」
「あたぼうよ! 俺様を誰だと思ってやがる!?」
「アンタだから安心して飛べるのよ! ……翔一、準備は!?」
「出来てる、兵装チェックも完了した。いつでも行ける」
「オーケィ……さあ、お楽しみの時間よ!!」
双発の主機、プラズマジェットエンジンに火が入り、漆黒の機体が甲高い独特な爆音を奏で始める。動翼の動作状態を目視で確認、機体全システム異常なし。YSF‐2/A≪グレイ・ゴースト≫、いつでも出撃可能。
二人が飛び乗った≪グレイ・ゴースト≫がゆっくりと動き始め、誘導員の指示に従いタキシングを開始する。格納庫と通路を隔てていた分厚い隔壁が開き、アリサたちを乗せたゴーストはそのまま、地上に続く巨大なエレヴェーターに大きな身体を乗せる。
『フォースゲート・オープン! フォースゲート・オープン!』
鳴り響く警報音、そして木霊する通告音声。機体を乗せたエレヴェーターは、地上を目指しぐんぐんと上昇していく。
そんな中、前席コクピットでアリサは闘志剥き出しのギラギラとした笑みを浮かべながら、手のひらに拳をパンッと叩き付けていて。かたや後席の翔一はといえば、計器盤の脇から引き出した小振りなキーボードを冷静な面持ちで叩きつつ、機体の細かなコンディションを今一度チェックし直していた。
やがて、機体を乗せたエレヴェーターは上昇を終え。そうすればアリサは開いた隔壁の向こうへと……綺麗な蒼穹の下、ギラギラとした日差しが照り付ける外界へ、その漆黒の翼をゆっくりと晒していく。
『イーグレット1、滑走路への進入を許可』
管制塔と交信し、目の前の滑走路への進入許可を得て。アリサはゆっくりと機体を動かし、≪グレイ・ゴースト≫を滑走路の上へと進ませる。
『アイランド・タワーよりイーグレット1、クリアード・フォー・テイクオフ。……今回の相手は結構な数だと聞いている。厳しい戦いになるかもしれん……。
……だが、必ず此処に戻ってこい。幸運が君たちの空の上にあらんことを』
「了解、精々暴れてくるわよ」
管制塔より離陸を許可されると、アリサは管制官の言葉にニヤリと不敵な笑みで返し。そうしながら、左手をそっとスロットル・レヴァーに沿わせ……ほんの少しだけ、後ろの彼の方に振り向いた。
横目の視線をチラリと後席に向ける、そんな彼女の横顔。ヘルメットに包まれていない彼女の横顔にあったのは、今までのように重い十字架を感じさせる影色ではなく。背中越しに気配を感じる相棒を信頼しきった、そんな……安堵と自信に満ち溢れた、彼女らしい色だった。
そんな彼女の視線に、翔一もまた視線を交錯させる。同じようにヘルメットを捨てた彼にあるのもまた、己が相棒に……アリサに対する、深い信頼と親愛の眼差しだった。
「…………行くわよ翔一、覚悟は?」
「アリサとなら、どんな空だって僕は飛んでいけるさ」
「はいはい、アンタも口が減らないわね。
…………じゃあ、行くわよ! イーグレット1、クリアード・フォー・テイクオフ!!」
スロットル全開、最大加速での滑走開始。甲高い爆音とともに物凄い勢いでゴーストは加速し、すぐさま主脚タイヤを滑走路の路面から離してしまう。
ギア・アップ、主脚収納。フルスロットルのまま機首をグッと急角度に上げ、全開加速でのハイレート・クライムを開始。≪グレイ・ゴースト≫が、アリサ・メイヤードと桐山翔一を乗せた黒翼が、次なる戦闘空域を目指し急上昇していく。
そうして、今日もまた漆黒の翼が大いなる蒼穹へ舞い上がっていく。二人を乗せた、漆黒の翼が――――。
(Sortie-01『黒翼の舞う空』完)
――――国連統合軍・極東方面司令基地『H‐Rアイランド』。通称……蓬莱島。
地下基地の格納庫に、南の怒号が木霊する。相変わらず一人だけオレンジ色のツナギを着ているから、ぶんぶんと忙しなく腕を振り回す彼の後ろ姿はやたらと目立つ。
そんな彼の怒号が響き渡る中、アリサと翔一はそれぞれパイロット・スーツに身を包んだ格好で格納庫を駆け抜けていた。
格納庫を走り抜ける二人、アリサが着ているのは、いつも通りに赤と黒を基調としたパーソナル・カラーのパイロット・スーツで。対して翔一が身に纏っている物は、グレー系の没個性的な普及品……ではなく。寧ろ黒を基調とした感じの、アリサと同じようにパーソナル・カラーをあしらった特別製の物だった。
本来はエース・パイロット用の特別誂えな代物を、彼が身に纏っている理由。そんなものは、たったひとつだ。
――――彼が、彼女にとって唯一無二の相棒であるから。紛う事なきエース・パイロットの一人、アリサ・メイヤードの相棒であるから。ただそれだけの理由だ。それだけで、彼も特別誂えのスーツを纏う資格がある。孤高の赤き薔薇の乙女、その心を解きほぐし……唯一無二の相棒となった彼には、その確たる資格があるのだ。
「おう、アリサちゃんに翔一か! もう準備出来てる、クロウ隊の連中はさっき上がったばっかだ!」
二人が駆けていけば、バタバタとした足音に気付いた南が振り返り、ニヤリとしながら呼び掛けてくる。その間にも二人は傍にあった自分の機体。その機首に駆けられたラダー(はしご)を駆け昇り、複座式のコクピットにアリサと翔一、前後の位置で飛び乗っていた。
「了解! ちゃあんと整備しといてくれたんでしょうね!?」
「あたぼうよ! 俺様を誰だと思ってやがる!?」
「アンタだから安心して飛べるのよ! ……翔一、準備は!?」
「出来てる、兵装チェックも完了した。いつでも行ける」
「オーケィ……さあ、お楽しみの時間よ!!」
双発の主機、プラズマジェットエンジンに火が入り、漆黒の機体が甲高い独特な爆音を奏で始める。動翼の動作状態を目視で確認、機体全システム異常なし。YSF‐2/A≪グレイ・ゴースト≫、いつでも出撃可能。
二人が飛び乗った≪グレイ・ゴースト≫がゆっくりと動き始め、誘導員の指示に従いタキシングを開始する。格納庫と通路を隔てていた分厚い隔壁が開き、アリサたちを乗せたゴーストはそのまま、地上に続く巨大なエレヴェーターに大きな身体を乗せる。
『フォースゲート・オープン! フォースゲート・オープン!』
鳴り響く警報音、そして木霊する通告音声。機体を乗せたエレヴェーターは、地上を目指しぐんぐんと上昇していく。
そんな中、前席コクピットでアリサは闘志剥き出しのギラギラとした笑みを浮かべながら、手のひらに拳をパンッと叩き付けていて。かたや後席の翔一はといえば、計器盤の脇から引き出した小振りなキーボードを冷静な面持ちで叩きつつ、機体の細かなコンディションを今一度チェックし直していた。
やがて、機体を乗せたエレヴェーターは上昇を終え。そうすればアリサは開いた隔壁の向こうへと……綺麗な蒼穹の下、ギラギラとした日差しが照り付ける外界へ、その漆黒の翼をゆっくりと晒していく。
『イーグレット1、滑走路への進入を許可』
管制塔と交信し、目の前の滑走路への進入許可を得て。アリサはゆっくりと機体を動かし、≪グレイ・ゴースト≫を滑走路の上へと進ませる。
『アイランド・タワーよりイーグレット1、クリアード・フォー・テイクオフ。……今回の相手は結構な数だと聞いている。厳しい戦いになるかもしれん……。
……だが、必ず此処に戻ってこい。幸運が君たちの空の上にあらんことを』
「了解、精々暴れてくるわよ」
管制塔より離陸を許可されると、アリサは管制官の言葉にニヤリと不敵な笑みで返し。そうしながら、左手をそっとスロットル・レヴァーに沿わせ……ほんの少しだけ、後ろの彼の方に振り向いた。
横目の視線をチラリと後席に向ける、そんな彼女の横顔。ヘルメットに包まれていない彼女の横顔にあったのは、今までのように重い十字架を感じさせる影色ではなく。背中越しに気配を感じる相棒を信頼しきった、そんな……安堵と自信に満ち溢れた、彼女らしい色だった。
そんな彼女の視線に、翔一もまた視線を交錯させる。同じようにヘルメットを捨てた彼にあるのもまた、己が相棒に……アリサに対する、深い信頼と親愛の眼差しだった。
「…………行くわよ翔一、覚悟は?」
「アリサとなら、どんな空だって僕は飛んでいけるさ」
「はいはい、アンタも口が減らないわね。
…………じゃあ、行くわよ! イーグレット1、クリアード・フォー・テイクオフ!!」
スロットル全開、最大加速での滑走開始。甲高い爆音とともに物凄い勢いでゴーストは加速し、すぐさま主脚タイヤを滑走路の路面から離してしまう。
ギア・アップ、主脚収納。フルスロットルのまま機首をグッと急角度に上げ、全開加速でのハイレート・クライムを開始。≪グレイ・ゴースト≫が、アリサ・メイヤードと桐山翔一を乗せた黒翼が、次なる戦闘空域を目指し急上昇していく。
そうして、今日もまた漆黒の翼が大いなる蒼穹へ舞い上がっていく。二人を乗せた、漆黒の翼が――――。
(Sortie-01『黒翼の舞う空』完)
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日月神示は、その難解さから、書記した天明自身も当初は、ほとんど読むことが出来なかったが、仲間の神典研究家や霊能者達の協力などで少しずつ解読が進み、天明亡き後も妻である岡本三典(1917年〈大正6年〉11月9日 ~2009年〈平成21年〉6月23日)の努力により、現在では一部を除きかなりの部分が解読されたと言われているます。しかし、一方では神示の中に「この筆示は8通りに読めるのであるぞ」と書かれていることもあり、解読法の一つに成功したという認識が関係者の間では一般的です。
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