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Sortie-02:騎士たちは西欧より来たりて
第八章:This moment, we own it./02
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眩しい昼前の日差しが容赦無く照り付け、その強烈な熱気にジリジリと路面を焦がされるハイウェイ。時間帯的な兼ね合いなのか、大して混んでおらず。しかしガラ空きとまではいかないぐらいには交通量のあるそんなハイウェイを、漆黒のダッジ・チャージャーが重低音を響かせながら走っていた。
真っ黒のボディにキツい日差しを反射させ、大排気量の440マグナム・エンジンのバリバリとしたやかましいOHVサウンドを響かせて。そんなチャージャーを、アリサは左肘を窓枠に置くラフな片手ハンドルのスタイルで走らせていた。ギアは四速トップ・ギアに入れっ放し、低中回転域での完全な巡航でだ。
「まだ随分先よね、翔一」
「そうだね。暫くは道なりに真っ直ぐだ」
「こうもタラタラ流してるだけってのも、何だか眠たくなっちゃって仕方ないわ……」
「だからって、あんまり飛ばさないでくれよ? 一応はゲストも一緒なんだ」
「分かってるわよ、アタシはそこまで非常識じゃあないっての」
「一応だよ、一応」
助手席で地図帳に視線を落とす翔一の指示に従い、後部座席に宗悟とミレーヌを乗せたアリサが年代物のチャージャーを走らせていく、その目的地は――――とある港湾地帯だった。
見ての通り、高速道路を使わなければならない程度には天ヶ崎市からは距離がある。翔一の家からだと、時間的には……出発前にアリサが口走っていたように、ざっくり一時間と十五分ぐらいの距離だ。混雑具合なんかにも左右されるが、まあ多めに見積もったとして一時間半もあれば着いてしまう。
そんな目的地の港湾地帯だが、どういう場所かといえば……身も蓋もない言い方をしてしまうと、いわゆるデートスポットのような場所だ。
海沿いにある賑やかな一帯で、水族館だとか小規模の遊園地だとかもあり、かなり大きなショッピングモールも併設されているらしい。海に面しているからか眺めもそれなりに良く、夜景は結構綺麗だと噂に聞いている。家族連れだとかにも人気のある場所だが……時間帯が遅くなれば遅くなるほど、当然デートスポットとしての顔が強くなる。そんな賑やかな港湾地帯が、今日のアリサたちが目指す目的地だった。
当然、そこに行こうと言い出したのは宗悟だ。彼に何の意図があってのチョイスなのかはさておき……まあ、行ってみるのも悪くないと翔一もアリサも思っていた。だからこそ、今日こうして車を走らせて向かっているワケなのだが。
「にしても、今日もいい天気だわ……」
ひとりごちながら、アリサは右手でチャージャーのステアリングを握り締めつつ、チラリと視線を軽く上に向けてみる。
本当に、今日はいい天気だ。暑いことは暑いが、しかし見上げる蒼穹は透き通っていて。何というか、ずっと眺めていたくなるような……今日は、そんな清々しい空模様だ。
「一応訊いておくけれど……アリサ、ガスはまだ大丈夫なのか?」
「……ねえ翔一、アタシを誰だと思って?」
「一応だよ、一応。ただでさえこの年代のアメ車は燃料バカ食いの大飯喰らいだから、万が一ってこともある」
「そんなの、アタシが一番よく分かってるわよ……仮にもオーナーなんだし、これでも結構気を遣ってるのよ?」
心配性にも程がある翔一の確認に、アリサはやれやれと肩を竦めつつ。前方に迫ってきたトロいトラックを追い越すべく、軽く吹かしながらギアを一段下の三速へと叩き落とし、右の追い越し車線へと出て行けば、アクセルをグッと踏み込み。そのトラックを横から一気にブチ抜いてやる。
そんな操作を手早く行うアリサの横顔は実に涼しげで、手つきにも淀みがない。随分と慣れたものだ。流石にチャージャーは乗り慣れているだけあって、彼女にとってはまさに手足のような存在らしい。
アリサは空の上だけでなく、地上でステアリングを握らせてもエース級のようだ。カーステレオから流れる、サヴェージ・ガーデンの『Tears of Pearls』を聴きながら……彼女はブチ抜いたトラックから多少距離を取った後で、またギアを四速トップ・ギアに上げつつ、元の左車線へと戻っていく。
「にしてもよ」
そうしてチャージャーが元通りに左車線へと戻り、またトップ・ギアに突っ込んだままの巡航に入ると。その頃になってふと、後部座席の宗悟が何気なく口を開いていた。
「なんつーか、今更ながら……これって、まるでダブルデートみたいだよな」
とすれば、彼はニヤニヤとしながらそんなことを口走る。それに翔一が「言われてみれば、それっぽい状況だ」といつもの平静とした調子で言葉を返していると、すると彼の横ではアリサが……何故か頬を朱に染めていて。チラリと横目に見た翔一と目が合ってしまうと、彼女はそのままぷいっとそっぽを向いてしまった。まるで、照れ隠しでもするかのような仕草で。
「…………ふふっ、宗悟らしいや」
そして、ミレーヌといえば――――いつも通りの飄々としたクールな調子を貫いていたが。しかしその顔も、呟く独り言も。宗悟の隣にちょこんと収まる後ろの彼女は、何処か嬉しそうな感じだった。宗悟が今の状況をダブルデートだと喩えたのが、彼女は嬉しく思っていたのだろう。ポーカー・フェイスを気取っているつもりのようだが、色々とダダ漏れだ。
とまあ、そんな風な取り留めのない会話を交わしつつ、アリサの駆るダッジ・チャージャーR/Tは時代錯誤な重低音とともにハイウェイを突き進んでいく。目的地たる港湾地帯は……もうすぐそこまで迫っていた。
真っ黒のボディにキツい日差しを反射させ、大排気量の440マグナム・エンジンのバリバリとしたやかましいOHVサウンドを響かせて。そんなチャージャーを、アリサは左肘を窓枠に置くラフな片手ハンドルのスタイルで走らせていた。ギアは四速トップ・ギアに入れっ放し、低中回転域での完全な巡航でだ。
「まだ随分先よね、翔一」
「そうだね。暫くは道なりに真っ直ぐだ」
「こうもタラタラ流してるだけってのも、何だか眠たくなっちゃって仕方ないわ……」
「だからって、あんまり飛ばさないでくれよ? 一応はゲストも一緒なんだ」
「分かってるわよ、アタシはそこまで非常識じゃあないっての」
「一応だよ、一応」
助手席で地図帳に視線を落とす翔一の指示に従い、後部座席に宗悟とミレーヌを乗せたアリサが年代物のチャージャーを走らせていく、その目的地は――――とある港湾地帯だった。
見ての通り、高速道路を使わなければならない程度には天ヶ崎市からは距離がある。翔一の家からだと、時間的には……出発前にアリサが口走っていたように、ざっくり一時間と十五分ぐらいの距離だ。混雑具合なんかにも左右されるが、まあ多めに見積もったとして一時間半もあれば着いてしまう。
そんな目的地の港湾地帯だが、どういう場所かといえば……身も蓋もない言い方をしてしまうと、いわゆるデートスポットのような場所だ。
海沿いにある賑やかな一帯で、水族館だとか小規模の遊園地だとかもあり、かなり大きなショッピングモールも併設されているらしい。海に面しているからか眺めもそれなりに良く、夜景は結構綺麗だと噂に聞いている。家族連れだとかにも人気のある場所だが……時間帯が遅くなれば遅くなるほど、当然デートスポットとしての顔が強くなる。そんな賑やかな港湾地帯が、今日のアリサたちが目指す目的地だった。
当然、そこに行こうと言い出したのは宗悟だ。彼に何の意図があってのチョイスなのかはさておき……まあ、行ってみるのも悪くないと翔一もアリサも思っていた。だからこそ、今日こうして車を走らせて向かっているワケなのだが。
「にしても、今日もいい天気だわ……」
ひとりごちながら、アリサは右手でチャージャーのステアリングを握り締めつつ、チラリと視線を軽く上に向けてみる。
本当に、今日はいい天気だ。暑いことは暑いが、しかし見上げる蒼穹は透き通っていて。何というか、ずっと眺めていたくなるような……今日は、そんな清々しい空模様だ。
「一応訊いておくけれど……アリサ、ガスはまだ大丈夫なのか?」
「……ねえ翔一、アタシを誰だと思って?」
「一応だよ、一応。ただでさえこの年代のアメ車は燃料バカ食いの大飯喰らいだから、万が一ってこともある」
「そんなの、アタシが一番よく分かってるわよ……仮にもオーナーなんだし、これでも結構気を遣ってるのよ?」
心配性にも程がある翔一の確認に、アリサはやれやれと肩を竦めつつ。前方に迫ってきたトロいトラックを追い越すべく、軽く吹かしながらギアを一段下の三速へと叩き落とし、右の追い越し車線へと出て行けば、アクセルをグッと踏み込み。そのトラックを横から一気にブチ抜いてやる。
そんな操作を手早く行うアリサの横顔は実に涼しげで、手つきにも淀みがない。随分と慣れたものだ。流石にチャージャーは乗り慣れているだけあって、彼女にとってはまさに手足のような存在らしい。
アリサは空の上だけでなく、地上でステアリングを握らせてもエース級のようだ。カーステレオから流れる、サヴェージ・ガーデンの『Tears of Pearls』を聴きながら……彼女はブチ抜いたトラックから多少距離を取った後で、またギアを四速トップ・ギアに上げつつ、元の左車線へと戻っていく。
「にしてもよ」
そうしてチャージャーが元通りに左車線へと戻り、またトップ・ギアに突っ込んだままの巡航に入ると。その頃になってふと、後部座席の宗悟が何気なく口を開いていた。
「なんつーか、今更ながら……これって、まるでダブルデートみたいだよな」
とすれば、彼はニヤニヤとしながらそんなことを口走る。それに翔一が「言われてみれば、それっぽい状況だ」といつもの平静とした調子で言葉を返していると、すると彼の横ではアリサが……何故か頬を朱に染めていて。チラリと横目に見た翔一と目が合ってしまうと、彼女はそのままぷいっとそっぽを向いてしまった。まるで、照れ隠しでもするかのような仕草で。
「…………ふふっ、宗悟らしいや」
そして、ミレーヌといえば――――いつも通りの飄々としたクールな調子を貫いていたが。しかしその顔も、呟く独り言も。宗悟の隣にちょこんと収まる後ろの彼女は、何処か嬉しそうな感じだった。宗悟が今の状況をダブルデートだと喩えたのが、彼女は嬉しく思っていたのだろう。ポーカー・フェイスを気取っているつもりのようだが、色々とダダ漏れだ。
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