蒼空のイーグレット

黒陽 光

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Sortie-02:騎士たちは西欧より来たりて

第八章:This moment, we own it./10

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 で、お化け屋敷を出た四人が続き向かった先は、遊園地の敷地内でも割と中心近くにある大きなメリーゴーラウンドだった。
 これも宗悟の提案だ。定番はやっぱり外せないっしょという彼の口車に乗せられるがまま、皆そのメリーゴーラウンドに乗り込んでいくことになった。
 まあ、これに関しても特筆すべき点はない。ターンテーブルの上に馬を模ったものが幾つも並んでいて、それに乗るというだけのアレだ。
 一応ターンテーブルの外側には、二人乗り用の馬もあるにはあったが……どうやらこれは大人一人と子供一人が二人乗りする為のものらしく、残念ながらこの四人がそれぞれ二組に別れて仲良く二人乗り、というのは出来なかった。当然といえば当然の話だ。
「ほらほら、翔一! アタシに追いついてみなさいよっ!」
「無茶言わないでくれ、追いつきたくても追いつけないって!」
「あははっ! 分かって言ってんのよっ!」
「それに! ……先頭に立つのは僕より、アリサ! 君の方がよく似合う!」
「……っ!? こ、こんな時に何言ってんのよ、この馬鹿っ!」
「いつだって言うさ! 伝えたいと僕が思ったこと、思ったその時に伝えないと……二度と伝えられなくなるかもしれない! だから!」
「はいはい、分かったって! ……だったら、付いて来なさい! 何処までも、アタシに!」
「ああ、仰せのままに……!」
「……あー、ほんっとにあの二人は平常運転だわ」
「宗悟も似たようなものだけれどね。楽しいかい?」
「そりゃあもう。何せ隣にミレーヌが居るからな。楽しくないワケがねえ」
「ふふっ……それは良かったね、宗悟」
 こんな感じで、翔一とアリサ、それにミレーヌと宗悟。二人と二人はそれぞれがそれぞれの楽しみ方で、ターンテーブルが止まるまでこのメリーゴーラウンドを満喫していた。


 …………更に色々とアトラクションを堪能した後で、四人が訪れた先。そこは射的のアトラクションだった。
 これに関してはアリサが目を付けて、皆に行ってみようと提案したものだ。射的そのものは普通というか、ありがちな感じの構造。木製の曲銃床を有するライフル型のコルク銃を使って、棚に並んだ標的を叩き落とすといった感じだ。
「さあてと、ミレーヌ? ちょっとアタシと勝負しない?」
「ふっ、良いだろう。受けて立つよアリサ」
「先攻は……言い出しっぺだし、アタシが取らせて貰うわね」
「構わないよ。さてさて、お手並み拝見だ」
「見てなさい……!」
 そうして射的場にやって来るや否や、何やらアリサとミレーヌが勝負することになっていた。
 落とした標的の数で競うというのは、まあ別に敢えて説明するまでもなく明らかなことだ。アリサとミレーヌはそれぞれ百円硬貨を係員に支払うと、規定のコルク弾六発が乗った皿を受け取り……まずは先攻、アリサから撃つことになった。
「さあてと、どんなもんかしらね……!?」
 最初にコルク弾を銃口に一発詰めてから、コルク銃の右側から生えるコッキング・ハンドルをグッと引き、内部のエアピストンに仕込まれたバネを圧縮させる。
 そうしてアリサは銃把を右手で握ると、やたら堂に入った構えで狙いを定め……そして、引鉄を絞った。
 バンッと、玩具っぽい見た目以上の派手な銃声が木霊する。まあ銃声というより、圧縮空気の破裂音なのだが。とにかくそんな発砲音とともに飛んだコルク弾は――――しかし、彼女の狙い定めていた標的の斜め右上に逸れてしまう。
「ふふっ、一発外れだね」
「なーに言ってんのよ、一発はライフルの癖を掴む為に敢えて捨てたのよ」
「へえ? だったら次は当てると?」
「当然。見てなさい、これからが本番よ……!」
 皮肉っぽく笑むミレーヌの横で、アリサはコルク弾を再装填。そうしてまた狙いを定めて……静かに引鉄を絞る。
 爆ぜる圧縮空気の銃声。銃口から飛んだコルク弾は――――今度は、標的にしていたラムネ菓子の容器のド真ん中へと命中。凄い勢いでラムネ菓子を棚から叩き落としてみせた。
「ふぅーっ……」
「やるじゃないか、アリサ」
「当然。ワンショット・ワンキルがアタシの信条よ」
 三発目を再装填しながら、翔一にニヤリとした不敵な笑みを返すアリサ。流石にこの辺りは合衆国出身、実弾射撃の経験者というだけのことはある。
 その調子でアリサは続けて二つ目、三つ目と標的を叩き落とし……最初に銃の癖を掴む為に捨てた一発以外、全弾命中をキメた。
 そうして五つの標的を叩き落としたアリサが、景品としてそれらを係員から受け取る。その中には落としにくいだろう大物の、結構大きなシャチのぬいぐるみも含まれている辺り……何というか、彼女らしい。
「アタシは五つ、しかも大物狩りよ。さあて、今度はミレーヌのお手並み拝見ね」
「悪いけれど、僕も射撃は得意なんだ。手加減はしないよ……?」
 そうしてアリサが撃ち終えると、今度は入れ替わりでミレーヌが射場に立つ。
 とすれば、ミレーヌはやはりアリサと同様、銃の弾道の癖を掴む為に最初の一発を敢えて捨てて……射撃が得意だという言葉に嘘偽りなく、その後の五発を全て標的に命中させてみせた。
 勝負の結果は、互角。その後も再戦だと言って二人が何度も挑戦しては、棚ごと吹き飛ばす勢いで標的を撃ち落としまくるから……最後の方になると、係員がもう勘弁してくれと半泣きになっているぐらいだった。流石は本職、恐るべし…………。
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