現代短編集

青伽

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おまえが決めた最期(後編)

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おまえがボクに憧れているのは知っていた。

何も無い空間で自由に羽ばたくボクと、かごの中で閉じ込められてるおまえ。

出してやりたい気持ちはあるけれど、虫も取れないおまえでは、今更外では生きられないだろう。

そんなふうによく様子を見に来ていたら、ボクは油断して、小さなカラスに捕らえられ、連れ去られてしまった。

小さなカラスの爪からはなんとか逃げ延びた。

安心し、捕らえられた時のおまえの様子を思い出して、再び恐怖に見舞われた。

おまえはボクが嫌いだったのだ。

ボクの危険を気にもとめずに、与えられた安全と、いつも充分にある種を食べながら。
自由に羽ばたくだけのボクのことが。

おまえはボクが死んだと思ったのだろう。

あんなカラスでも、大きな怪物に見えたのだ。

だから隠しもせずにあれほど喜んだのだ。

こっそりおまえを見に行った。
もしかすると落ち込んでいるかもそれないとボクは期待した。

何も飛んでいない空間へ、おまえは喜びの詩を歌っている。

悲しみのあまり泣き声を上げた。

喜びの歌が止む。

それを最後におまえの姿を見るのはやめた。

時折声が聞こえるが、聞かないふりをした。

詩はやがて叫びに変わっていたが、聞こえないふりをした。 

おまえがボクの死を喜ばなければ、すぐさま助けていただろう。
ボクはおまえを仲間だと思っていたから。

腹をすかせたおまえの断末魔を、ボクは屋根の上に止まり聴き続けた。

最期まで。
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