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穴蔵の底へ
ククク、我こそは選ばれし二十二大アルカナ中最弱がひとり!
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切っ先を向けて、
「いきなりってのは順序としてどうなのさ。まずは挨拶から、とか教わらなかった?」
まずは誰何の声を上げる。
だが敵はそれには応じず、剣で斬り掛かって来た。既にこちらも態勢万全…とは左手にランタンを持っている状態では言いづらい部分もあったが、まあ普通程度の相手ならキングオブソーズひとふりで十分だろう。
速いとも重いとも言えない程度の斬撃を数度振るわれたが、キングオブソーズで軽くいなしながら相手を観察する。
暗がりで分かりづらかったが…
いわゆる骸骨が剣を振るっていた。
ただこういう局面だとホラーというよりただの雑魚感の方が強い。一瞬の見た目のインパクトはそれなりではあるのだが。
せいぜいが王の墳墓の「防衛システム」といったところか。
敵の剣を弾いたところで、頭へ一撃見舞うと軽い音を立てて頭蓋骨が派手に爆ぜた。
そのまま全身の骨も崩れ落ちる。
とりあえず地下での戦いの輝かしい緒戦は勝利で飾れたようだ。
だだっ広い空間に、壊れた骸骨戦士と自分一人だけ。
ランタンを周囲に向け、かざして見たが特に何も見えない。仕方ない、とりあえず壁?でも探すか。ここが屋内である事に変わりはない…筈。
あまりにも広大なスペース過ぎてよく分からんと言うのが本音だが。
とりあえず、方向もわからないがとりあえず真っ直ぐ歩く。
元々、上…王城自体も当然それなりに広い敷地ではあったから、その地下ともなればやはりそれなりに広い事は想定してはいたが、その思いよりも少し、広く感じた。
少し、としたのはランタンの灯光の先に壁…それこそ上へランタンを翳しても果てが見えないほど高い、白い壁がそびえ立つのを見たからだ。
さて。
これまで以上に勢いだけで地下へダイヴ!してしまったのだが、なにかあるだろうと思って予想以上に何もなかったこの現状…どうしよう。
「…あの?」
唐突に声を掛けられ死ぬほど驚いたが、ランタンを翳すと、そこには質素な服装だが美しい、肌の白い美少女がいた。
「上から棺以外のものが落ちてきたり、ルームガーダーが破壊されたり、どうしたのかと思ったら可愛らしいお客様でしたか。…どのような御用がこの地の底にお有りで?」
少女は微笑んで問いかけてきた。
少女はマイナと名乗った。このフロア(?)内に家があるからとりあえずそちらへと言われ、ついていく事にした。
「で、マイナこそなんでこんなとこ住んでるの?」
「ええ、ここは貴人の陵墓ですので、世話をする者が必要なのです」
「…自由に地上へは出られるの?」
「いいえ、まさか。お日様なんてしばらく目にしてませんわ」
「やっぱそうか…飛び込んだのは早計すぎたか」
「…普通、棺を落とすだけの穴に飛び込む人は居ないと思いますが…」
マイナはなんとも言えない表情でわたしを見ていた。
すっかり空気も弛緩しきっていたそんな中、わたしの足元に緊張感が走る。
レーダー兼接近警報か。なんでもアリだな。そう考えながらわたしはマイナを急に抱き寄せ、右手にキングオブソーズを現し、地下の闇の中から急に現れた刺客の一撃を弾いた。
その鋭さはさっきの骸骨などとは比較にならない。しかも弾いた、と言っても敵のコントロールを完全に失わせるには足りず、すぐに二撃、三撃目が襲い来たのをなんとか凌ぐので手一杯だ。
「剣の王、如きカス札がやるじゃねぇか」
闇の中から獰猛な獣のような声が低く、唸るように聞こえてくる。
「だが終わりだ。この…ストレングスの前にはな!」
「名乗るの早く無い?大丈夫?」
「なんの心配してんだっ!」
ストレングスを名乗る男の右手に握られた剣が、更に苛烈にわたしを追い込むように連続攻撃を列ねて来る。
「いやぁ…もうちょっとホラ、我こそは四天王の中で最も最弱ゥ!…とか、前口上が欲しいかも、ってさっ!」
軽口を叩きながらいなしてこそいるが、なかなかこのストレングスくんは強い。ストロングスタイルくんである。
直線的で重量感のある攻撃が連続で繰り出されるのは中々に恐怖だ。
これでこいつがフェイントなんかかまして来たらやられかねない。
…つまりその程度には読みを立てやすい敵だった。
闘牛の牛でも多分もうちょいトリッキーだろうに。
相手の攻撃をリズミカルに弾き続ける。
そもそも一発くらい攻撃通してみて巨赤龍の加護を試してみるという考えも頭をよぎったが、何かの間違いで頭を割られてもカッコ悪いので真面目に受け続けた。
余裕なさげに続ける事がポイントである。
あと一息で倒せる…そう思わせればベストである。
もっとも肉体の膂力の限界とでも言うべきか。わたしは既に息が荒くなっていた。
相手もこの応酬に目が慣れ始めていたであろう。
マイナを抱いていた左手をフリーにし、ペイジオブソーズを現し、そのままそれで攻撃を弾く。
「なっ!?」
驚愕の表情を浮かべたストレングスくんの顔面中心を、キングオブソーズで深く、穿った。
「力押しで勝てる相手としか戦った事が無かったか?残念だな!お前さんに必要なのは力よりは知恵だ」
わたしは剣を引き抜きながら、そう言った。
「いきなりってのは順序としてどうなのさ。まずは挨拶から、とか教わらなかった?」
まずは誰何の声を上げる。
だが敵はそれには応じず、剣で斬り掛かって来た。既にこちらも態勢万全…とは左手にランタンを持っている状態では言いづらい部分もあったが、まあ普通程度の相手ならキングオブソーズひとふりで十分だろう。
速いとも重いとも言えない程度の斬撃を数度振るわれたが、キングオブソーズで軽くいなしながら相手を観察する。
暗がりで分かりづらかったが…
いわゆる骸骨が剣を振るっていた。
ただこういう局面だとホラーというよりただの雑魚感の方が強い。一瞬の見た目のインパクトはそれなりではあるのだが。
せいぜいが王の墳墓の「防衛システム」といったところか。
敵の剣を弾いたところで、頭へ一撃見舞うと軽い音を立てて頭蓋骨が派手に爆ぜた。
そのまま全身の骨も崩れ落ちる。
とりあえず地下での戦いの輝かしい緒戦は勝利で飾れたようだ。
だだっ広い空間に、壊れた骸骨戦士と自分一人だけ。
ランタンを周囲に向け、かざして見たが特に何も見えない。仕方ない、とりあえず壁?でも探すか。ここが屋内である事に変わりはない…筈。
あまりにも広大なスペース過ぎてよく分からんと言うのが本音だが。
とりあえず、方向もわからないがとりあえず真っ直ぐ歩く。
元々、上…王城自体も当然それなりに広い敷地ではあったから、その地下ともなればやはりそれなりに広い事は想定してはいたが、その思いよりも少し、広く感じた。
少し、としたのはランタンの灯光の先に壁…それこそ上へランタンを翳しても果てが見えないほど高い、白い壁がそびえ立つのを見たからだ。
さて。
これまで以上に勢いだけで地下へダイヴ!してしまったのだが、なにかあるだろうと思って予想以上に何もなかったこの現状…どうしよう。
「…あの?」
唐突に声を掛けられ死ぬほど驚いたが、ランタンを翳すと、そこには質素な服装だが美しい、肌の白い美少女がいた。
「上から棺以外のものが落ちてきたり、ルームガーダーが破壊されたり、どうしたのかと思ったら可愛らしいお客様でしたか。…どのような御用がこの地の底にお有りで?」
少女は微笑んで問いかけてきた。
少女はマイナと名乗った。このフロア(?)内に家があるからとりあえずそちらへと言われ、ついていく事にした。
「で、マイナこそなんでこんなとこ住んでるの?」
「ええ、ここは貴人の陵墓ですので、世話をする者が必要なのです」
「…自由に地上へは出られるの?」
「いいえ、まさか。お日様なんてしばらく目にしてませんわ」
「やっぱそうか…飛び込んだのは早計すぎたか」
「…普通、棺を落とすだけの穴に飛び込む人は居ないと思いますが…」
マイナはなんとも言えない表情でわたしを見ていた。
すっかり空気も弛緩しきっていたそんな中、わたしの足元に緊張感が走る。
レーダー兼接近警報か。なんでもアリだな。そう考えながらわたしはマイナを急に抱き寄せ、右手にキングオブソーズを現し、地下の闇の中から急に現れた刺客の一撃を弾いた。
その鋭さはさっきの骸骨などとは比較にならない。しかも弾いた、と言っても敵のコントロールを完全に失わせるには足りず、すぐに二撃、三撃目が襲い来たのをなんとか凌ぐので手一杯だ。
「剣の王、如きカス札がやるじゃねぇか」
闇の中から獰猛な獣のような声が低く、唸るように聞こえてくる。
「だが終わりだ。この…ストレングスの前にはな!」
「名乗るの早く無い?大丈夫?」
「なんの心配してんだっ!」
ストレングスを名乗る男の右手に握られた剣が、更に苛烈にわたしを追い込むように連続攻撃を列ねて来る。
「いやぁ…もうちょっとホラ、我こそは四天王の中で最も最弱ゥ!…とか、前口上が欲しいかも、ってさっ!」
軽口を叩きながらいなしてこそいるが、なかなかこのストレングスくんは強い。ストロングスタイルくんである。
直線的で重量感のある攻撃が連続で繰り出されるのは中々に恐怖だ。
これでこいつがフェイントなんかかまして来たらやられかねない。
…つまりその程度には読みを立てやすい敵だった。
闘牛の牛でも多分もうちょいトリッキーだろうに。
相手の攻撃をリズミカルに弾き続ける。
そもそも一発くらい攻撃通してみて巨赤龍の加護を試してみるという考えも頭をよぎったが、何かの間違いで頭を割られてもカッコ悪いので真面目に受け続けた。
余裕なさげに続ける事がポイントである。
あと一息で倒せる…そう思わせればベストである。
もっとも肉体の膂力の限界とでも言うべきか。わたしは既に息が荒くなっていた。
相手もこの応酬に目が慣れ始めていたであろう。
マイナを抱いていた左手をフリーにし、ペイジオブソーズを現し、そのままそれで攻撃を弾く。
「なっ!?」
驚愕の表情を浮かべたストレングスくんの顔面中心を、キングオブソーズで深く、穿った。
「力押しで勝てる相手としか戦った事が無かったか?残念だな!お前さんに必要なのは力よりは知恵だ」
わたしは剣を引き抜きながら、そう言った。
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