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穴蔵の底へ
神代の記録、そして伝説へ
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マイナはあれ以降ずっと上機嫌で早口、サンラプンラは目線も、話す歯の音も合わないほどのダメージ…
ゲーセンを出てわたしたちはなんちゃら劇場の前で分厚い牛串を頬張っていた。喜色満面のマイナはそんなに食わねぇだろ、という本数の牛串を握り、
「いやーホント今日はなにを食べても美味しいですね!加えていくらでも入りますね!あなたもそうでしょう!さあガンガン食べましょうね!」
まあ、確かに牛串美味しいけど。
わたしは先程起きた悪夢のような出来事を思い出す。
キャラ選択を終えたサンラプンラ。
可愛らしい女性キャラを選んでいた。武器のリーチも短めだ。
一方マイナは。
なんだろう…ボスキャラ?
控えめに言って体格も武器も何もかも、見るからに有利そうなキャラを選んでいた。
ふと気になって台に貼ってあるインストをチラ見したが、そもそもそんなキャラいねーじゃねーか。さては隠しボスかなんかか…
あとは。
えげつなかった。
始まってすぐ終わったパーティだった。
一戦目はサンラプンラのキャラが振り上げ攻撃で浮かされた後、空中コンボで落ちてくる前に死んでいた。
二戦目は一戦目で溜めたゲージ使用の必殺技が二回ほど飛んだら、もうサンラプンラのキャラは瀕死だった。最後の一撃が弱パンチだったのはおそらく計算ずくの嫌がらせだろう。
かくて、戦いはマイナの完勝だった。
まさかマイナが格ゲーやりこみ派だったとは…サンラプンラは死ぬほど絶望していたが、
『あなたなんかを奴隷に頂いたところで、とくに何かの役に立つ訳でも無いですし…強いて言えば二度とわたしの視界に現れないで頂けると…は、流石に言い過ぎでしょうから、こちらの方に最上位レア確定ガチャチケットでもあげて下さい』
サンラプンラはしばらく呻いていたが、血涙でも流しそうな眼差しのまま、無言で頷いた。
神が敗北した日だった。
そういやその敗北した神は蕭然と自分たちについて来てるが、何か用でもあったのだろうか?
まあログボ渡しに来てくれたのは間違いないが。
ログボ渡したんならさっさと帰れよ…
とも言えた義理でも無い。
「ね…なんかまだ用あったりするの?ここにいてもマイナにこき下ろされるだけだし、帰った方良くない?」
流石に少し気の毒にも思えたのでわたしにしては大分気を遣ってそんな言葉を掛けた。
「ん…でもせっかくあなたと遊べそうなチャンスだったし…あの文明レベルが低い地上よりはこの黄泉の方が色々あって楽しいから」
「遊びたかったんか…そうか。じゃ、カラオケ行ってハニトーでも食べよか」
と、女の子(?)三人でカラオケに入り、めいめい食べたいもの飲みたいものを片っ端から頼む。なにしろ金は札束であるのだ。豪遊し放題も黄泉の国ならでは、だ。
「おお…これがハニトー…」
サンラプンラが食パン一斤丸々のハニトーを興奮の面持ちで迎える。
「看板では見てましたけど、入った事無かったから…わたしも初めて見ます…なんかスゴイですね!」
マイナも興味津々だ。
サンラプンラがスプーンを入れ、一口すくう。
「甘っ…ふわぁ…これは…」
サンラプンラが、マイナとわたしにも食べるようジェスチャーをする。
マイナとわたしもパクつく。
「これは…」
「ぅぉおぅ…」
ハチミツ、クリーム、アイスクリームなどの甘味が混然と口の中に襲い来る!
暴力的なまでの甘味に、わたしは…
「これ完食はちょっと…て、あれ?」
わたしには甘過ぎると思えたが、サンラプンラは満面の笑顔のまま、スプーンを動かし続けていた。凄いペースで塔のようなハニトーが崩されていく。
「いけちゃうんだ神様…見直したかも」
どうやらマイナもわたしと同じく、そんなには食べられない組だったようだ。
わたしは口直しにグラスビールを煽ったあと、さっき予約入れたアニソンを歌い上げる。マイナにすれば当然知らない歌だろうと思ったが、
「ネット放送局のアプリで見てたやつです」
と、興味津々であった。
「大きな声で歌うのって、楽しいですね!」
マイナが屈託無く笑うのを見て、わたしも自然と楽しくなっていた自分を感じていた。
まーそりゃあの文明レベルでカラオケだのアニメだのはそりゃないだろうしな。
ていうかネット偉大だわ。墓守しかする事ないならそりゃアニメ見たりゲームしたりするよね。
「ね…ハニトーておかわりしてもいいもんなの?」
サンラプンラに目を向けなおすと完食してやがった。
「カミサマひとりで食べるんでしたら…まあ」
「ん~いけなくもないけどこの後やる事あるしなぁ。ん。ま、今回はいいか。また付き合ってね?」
「カラオケは全然いいけどハニトーはまあ考えさせて頂けますかね」
わたしの言葉にマイナも神妙に頷いていた。
二時間ほど過ぎていたのでカラオケから出る。黄泉葉原の日も西に傾き始めていた。
「じゃ、また来るわ」
神は現れた時同様、唐突に消えた。
黄昏時には少し早かったが、一緒に遊んだ相手がいなくなった寂寥感に押されたか、マイナの口からも帰りましょうか、という言葉が出て、わたしもそれに頷いた。
ゲーセンを出てわたしたちはなんちゃら劇場の前で分厚い牛串を頬張っていた。喜色満面のマイナはそんなに食わねぇだろ、という本数の牛串を握り、
「いやーホント今日はなにを食べても美味しいですね!加えていくらでも入りますね!あなたもそうでしょう!さあガンガン食べましょうね!」
まあ、確かに牛串美味しいけど。
わたしは先程起きた悪夢のような出来事を思い出す。
キャラ選択を終えたサンラプンラ。
可愛らしい女性キャラを選んでいた。武器のリーチも短めだ。
一方マイナは。
なんだろう…ボスキャラ?
控えめに言って体格も武器も何もかも、見るからに有利そうなキャラを選んでいた。
ふと気になって台に貼ってあるインストをチラ見したが、そもそもそんなキャラいねーじゃねーか。さては隠しボスかなんかか…
あとは。
えげつなかった。
始まってすぐ終わったパーティだった。
一戦目はサンラプンラのキャラが振り上げ攻撃で浮かされた後、空中コンボで落ちてくる前に死んでいた。
二戦目は一戦目で溜めたゲージ使用の必殺技が二回ほど飛んだら、もうサンラプンラのキャラは瀕死だった。最後の一撃が弱パンチだったのはおそらく計算ずくの嫌がらせだろう。
かくて、戦いはマイナの完勝だった。
まさかマイナが格ゲーやりこみ派だったとは…サンラプンラは死ぬほど絶望していたが、
『あなたなんかを奴隷に頂いたところで、とくに何かの役に立つ訳でも無いですし…強いて言えば二度とわたしの視界に現れないで頂けると…は、流石に言い過ぎでしょうから、こちらの方に最上位レア確定ガチャチケットでもあげて下さい』
サンラプンラはしばらく呻いていたが、血涙でも流しそうな眼差しのまま、無言で頷いた。
神が敗北した日だった。
そういやその敗北した神は蕭然と自分たちについて来てるが、何か用でもあったのだろうか?
まあログボ渡しに来てくれたのは間違いないが。
ログボ渡したんならさっさと帰れよ…
とも言えた義理でも無い。
「ね…なんかまだ用あったりするの?ここにいてもマイナにこき下ろされるだけだし、帰った方良くない?」
流石に少し気の毒にも思えたのでわたしにしては大分気を遣ってそんな言葉を掛けた。
「ん…でもせっかくあなたと遊べそうなチャンスだったし…あの文明レベルが低い地上よりはこの黄泉の方が色々あって楽しいから」
「遊びたかったんか…そうか。じゃ、カラオケ行ってハニトーでも食べよか」
と、女の子(?)三人でカラオケに入り、めいめい食べたいもの飲みたいものを片っ端から頼む。なにしろ金は札束であるのだ。豪遊し放題も黄泉の国ならでは、だ。
「おお…これがハニトー…」
サンラプンラが食パン一斤丸々のハニトーを興奮の面持ちで迎える。
「看板では見てましたけど、入った事無かったから…わたしも初めて見ます…なんかスゴイですね!」
マイナも興味津々だ。
サンラプンラがスプーンを入れ、一口すくう。
「甘っ…ふわぁ…これは…」
サンラプンラが、マイナとわたしにも食べるようジェスチャーをする。
マイナとわたしもパクつく。
「これは…」
「ぅぉおぅ…」
ハチミツ、クリーム、アイスクリームなどの甘味が混然と口の中に襲い来る!
暴力的なまでの甘味に、わたしは…
「これ完食はちょっと…て、あれ?」
わたしには甘過ぎると思えたが、サンラプンラは満面の笑顔のまま、スプーンを動かし続けていた。凄いペースで塔のようなハニトーが崩されていく。
「いけちゃうんだ神様…見直したかも」
どうやらマイナもわたしと同じく、そんなには食べられない組だったようだ。
わたしは口直しにグラスビールを煽ったあと、さっき予約入れたアニソンを歌い上げる。マイナにすれば当然知らない歌だろうと思ったが、
「ネット放送局のアプリで見てたやつです」
と、興味津々であった。
「大きな声で歌うのって、楽しいですね!」
マイナが屈託無く笑うのを見て、わたしも自然と楽しくなっていた自分を感じていた。
まーそりゃあの文明レベルでカラオケだのアニメだのはそりゃないだろうしな。
ていうかネット偉大だわ。墓守しかする事ないならそりゃアニメ見たりゲームしたりするよね。
「ね…ハニトーておかわりしてもいいもんなの?」
サンラプンラに目を向けなおすと完食してやがった。
「カミサマひとりで食べるんでしたら…まあ」
「ん~いけなくもないけどこの後やる事あるしなぁ。ん。ま、今回はいいか。また付き合ってね?」
「カラオケは全然いいけどハニトーはまあ考えさせて頂けますかね」
わたしの言葉にマイナも神妙に頷いていた。
二時間ほど過ぎていたのでカラオケから出る。黄泉葉原の日も西に傾き始めていた。
「じゃ、また来るわ」
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黄昏時には少し早かったが、一緒に遊んだ相手がいなくなった寂寥感に押されたか、マイナの口からも帰りましょうか、という言葉が出て、わたしもそれに頷いた。
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