始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

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穴蔵の底へ

ダンジョン漁るも益少なし

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そうは言っても。
わたしもただただ漫然と電気街メシ食べ歩記をやってりゃいいってわけでもない事は分かっている。
…地上…地上?には、多分わたしを待っているであろう連中もいるのだ。
実際、墓所へ闖入した狼藉者もいた訳だし、とりあえず事態の収拾を図る必要はある。
具体的には「犯人を捕まえ、王の前に突き出す」というような明確な幕引きが可能なシチュエーションを作れればOKだろう。実際、小物中の小物レングスくんはこの地下になにがしかの目的を持っていたんだろうし。
アレが黒幕な訳も無し。
…いや、アレを黒幕に仕立て上げて事態の収拾を図るのもアリだったかな?
正直、バレるかどうかもよく分からないし。
推測が過ぎたようにも思え、わたしは作業…地下のマッピングを再開した。
大学ノートとサインペンを両手に、歩幅ベースでなんとなーくの測量ゴッコのように、この広大な墓所内を探索するのだ。
黄泉葉原のコンビニでペンとノートが買えた時は何かの冗談かなとも思ったが、思った以上に「普通」の道具が買えてしまうのだ。アイスやらフィギュアやら買うだけではなく、普通に便利な物を買えてしまう辺りはこれはチートなのだろうか。ただ売っているだけのアイテムを買って現地人(マイナ)に「いや…買うのは止めませんけど、日記でも書くんですか?PCとかタブレットの方が良くないですか?」と、テクノロジー的に実も蓋もない事を言われる始末であった。
マッピングに使うにしても手描きツールでメモでも走らせれば良さそうか、とも思ったが、一応は敵性生物がウロウロしているダンジョンで、急襲されて落としてヒビとか泣きそうなのでやめた。
…と思ってノートとペンで地下へ歩みだしたのだが、良く良く考えるとデジカメくらいは買っておいて写真バシャバシャ撮って、画像を組み合わせてPC作業でマップ作った方がよくね?と考え直し始めていた。
やはり面倒な事をすると、その面倒な事をどうすればやらずに済むか?について真剣に考え始めるものだ。案ずるより産むが易し…ともまた違うな。
たまに出てくるルームガーダー・スケルトンを軽くあしらいながら、地下を歩き回る。
レアエンカウントでまた「我こそは!大アルカナ!いやーっ」という切り株とウサギのような展開も期待したが、探索初日はごくごく平穏に終わってしまった。
十七時にセットした腕時計のアラームを聞きながら、マイナ宅への帰路に就く。
「おかえりなさい、ご飯にしますか、それともお風呂?…それとも」
何故かエプロン姿のマイナが出迎えた。
「じゃあお風呂で」
「はい、ここの地下露天は源泉掛け流し!二十四時間いつでも入れますのでいってらっしゃーい」
「…いや、知ってるけどさ…」
ついでに言えば風呂場周りの清掃メンテナンスは地下陵墓のルームガーダー(スケルトン)が警らのついでに実施している。
どういう行動ルーチンが組み込まれているのか謎だったが、スケルトンによって掃除の上手い下手があるのは面白かった。生前(?)の職とかの影響が出たりするのだろうか…
さっ、とひとっ風呂浴びてしまおうかと思って脱衣所で服を脱いでいると、背後から足音が近づいてきていた。
間も無く、脱衣所にマイナも入ってきた。
「お背中流します」
そして無言でエプロン含めて全て脱ぎ捨てた。
色々とアレなシチュエーションだったが、そもそも今のわたしは肉体が少女なせいもあるのだろうが、いわゆる「そういう気にならなかった」。
…まあ気になったところでナニをするでも無いのだが。
「断るでも受け入れるでもないけど…サービス満点だね」
「ええ…わたし、嬉しいんです。久しぶりにこうして人と触れ合えるのが」
そう言われて、気になっていた事が頭を過ぎった。
「ね…マイナ、あなた陵墓の世話をするためにここに居るって言ってたけど、正直どうして…って感じなんだけど。どういう理由で、居なきゃならなくなったの?」
背中に柔らかいバススポンジの感触を感じ、(ほんと大概売ってるな…)と思いながら、わたしはマイナに訊いた。
「…それは、今の段階ではお答えしかねるわ…いずれ分かる話ではあるけど。ただ、今のところはわたしはあなたがこの地下陵墓にいる間の下宿の大家さん…みたいな?ものだと思ってもらえれば」
スポンジ越しに感じる手の動きはどこまでも優しい。
「ただ、」
そこで一呼吸置いて、
「逆に聞きたいんだけど、あなたはあなたで、目的はなんなの?やっぱり王墓の副葬品?」
「あ、それはないわ。わたしは上…地上でここの入り口が開いちゃってたのが怪しかったから飛び込んで、犯人捕まえてやろうって思っただけで…まさかこんな別世界が開けてるとは」
背中でマイナが噴き出すのが聞こえた。
「ホントに呆れた…でも今の地上には、この地下陵墓の正確な姿を知る人もいないでしょうから仕方ないか」
「まあ少なくともこの規模とか、異世界っぽい秋葉っぽいとこに繋がってるとは思わない…思わなかったよ」
マイナの言葉を肯定し、わたしも力なく笑った。
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