始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

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穴蔵の底へ

サービスシーンのサービスシーンたる由縁

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大浴場でのコミュニケーションは続く。
理屈は不明だが泡風呂もある。
そもそもマイナしか使う者もいないだろうに、無駄に設備が良い。
「副葬品目当てじゃないのなら、その…誰かは知らないけど別の墓荒らしを退治出来たら帰っちゃうの?」
「…まあ…帰る方法も謎なんですけどね」
わたしは偽らざる現状認識を口にする。
…本当にいよいよとなったら「サンラプンラーッ、早く来てくれーッ!」とか適当に呼び出してなんとかしてもらおうとは考えていたが。
現状、独力での地上への復帰は不可能であろう。
「…それともあの靴、実は登攀機能も付いてて壁から横向きに立ったり出来たり…」
「まさか」
マイナは笑って、
「それは無理ですよ。浮遊機能は有りますけど」
「落下対処みたいなやつね」
「それもですけど、一応…凄くふわっとですけど飛べますよ」
本当になんでもアリだな!
とか考えていると、湯加減がちょうど良いのと泡が気持ちいいので、眠気が襲って来た。
「わたし上がるわ…眠い」
「ええーっ。ご飯食べないんですか?」
せっかく準備したのになぁ、とかマイナが可愛い事を言っているのが聞こえる。
だが今は空腹よりは眠気が先に立った。
わたしは勢いよく浴槽から立ち上がり、大浴場をそのまま出る。
「ずっと…居てくれても良いんですよ?」
背中からそんな声が掛かったが、わたしは聞こえなかったフリでそのまま浴場を出た。
疲労が蓄積した中、なおかつ心地の良い湯船に浸かったりしてしまったので眠気MAXだったはずなのだが、食堂にはきっちりとした夕食が準備されていた。
センターに盛り盛りに盛られた唐揚げを見てしまうと、空腹感が眼を覚ます。
「あれ?食べるんですか…良かった。一人だと確実に残す量だったから…」
「ごめんごめん。見たらやっぱお腹空いたわ。食べてから寝る」
わたしはきっちり食卓に就いてマイナが風呂から上がるのを待ち構えていた。
「美味しそうだったから、ですか?」
「うん、かなり」
わたしの回答にマイナは満足気に微笑み、
「それなら良かったです。いっぱい食べて下さいね」
かくして豪勢な夕食が始まった。
上の世界の、あからさまな異世界…というか前時代的な、荒々しい味付けとは違い、黄泉葉原の店で食べるような現代日本準拠の味付けの料理はわたしの好みにも良く合っていた。肉体年齢…具体的に幾つくらいなのかは分からないが、まあ十代であろうこの肉体が食べる分には脂の量も適量と感じる。
…つまりどこかで(脂っこいメニューだな)とは思うのだが、舌や胃やらは素直に美味しいと受け取れている…
理想的だった。
「ほんと美味いわマイナ」
「表情でわかります。嬉しいものですね、作った料理を美味しいって言ってもらえるのって」
醤油!塩!カレー!などの味付けの唐揚げを頬張りながら、掛け値無しにマイナを褒める。
合間合間にキャベツの千切りをモミュモミュ嚥下しながら、キャベツに甘味があるな、材料調達は秋葉…黄泉葉原なのかな?とか妙な事に気が回る。
「ね、明日はまた黄泉葉原に行きませんか?駅ビル全体でソシャゲコラボをする初日なんですよ」
「…いーけどそういうのすっごく並んだりしないの?」
「わたしはエンジョイ勢なんでそこまでは…入りきれなくてもどんなものなのか外側からでも見たいかな、って」
「なるほど。まあ興味はあるかもね。わたしも買いたいもの思いついたし、いいよ。行こう」
墓所内撮影に使うデジカメもしくはタブレット…そして、なんならドローン買ってきて飛ばして、正にゲーム感覚でダンジョン攻略してやるぜ…と、考えていたところだからちょうど良かった。
晩御飯が終わり、わたしもマイナも床につく。すぐに猛烈な眠気が襲って来たので、まったく抵抗せずにわたしは眠りに落ちた。

薄く白く、靄のかかったような中にわたしは立っていた。
まあ、夢なのだろうとは思う。
さらに言えばサンラプンラがログボ配布にでも来るんだろうな、と思えた。
「…サプライズしがいのない感じねぇ、相変わらず」
靄の中からサンラプンラが現れた。
「せやろか」
「そういうとこやで」
サンラプンラは右手に持っていた虹色に輝く紙片をわたしに差し出し、
「はい、御約束のSSR確定チケ。」
「あー、マイナとの勝負のやつか。」
「SSRとはいえピンキリだからせいぜいピン…?、キリ…の、方を引けばいいんだわ!」
「それどっちが良いんだっけ?」
「わたしの世界由来のワードじゃないから知らないし」
「…まあいいわ。じゃ、引かしてよ確定ガチャ」
「あいよー。…ムムム、これは凄い奴が出そうなふいんきだよ…」
「なにその確定演出ぽいのふざけてるの?」
そして世界が白い靄から黄金の輝きに包まれる。
よく知らだけど、レインボーカラーに包まれるよりは格下なんだろうな、と思った。
「言うな言うな!演出よりは中身やで!」
サンラプンラの声が耳に残るまま、
わたしはベッドで目を覚ました。
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