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新たなる世界
スシ!
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御徒町スペースポートだ、と言うのだから当然起こり得る事ではあったが…
見た目がわたしたちとは著しく異なる、いわゆる宇宙人があちこちに散見されたのである。とはいえこれはこの辺りでは普通の事だろうし、あまりジロジロ見るのも失礼だろうし…
「わー凄いですねあの人!白いふわふわ毛皮のあちこちからキノコみたいなのが生えてる!」
「マイナ!指さすんじゃない!失礼でしょ!…すみませんうちの田舎者が…地下幽閉期間が長くて…」
「あ、そ…そうなの?」
言われた宇宙人の方が萎縮するようなマイナの遍歴だった。
「なかなか他天体のヒューマノイドを見かける機会も無いので…」
少しするとどうやら、普段のそれなりに普通なマイナに戻ったようだ。
だが見掛けが幾分特殊な宇宙人が通り掛かると思わず目を持っていかれてしまうのはこちらも同じだった。
…なんだ今の孔雀みたいな羽根をビラビラに広げた奴は…求愛行動中とかなのか?
あ!メジャーななんとかグレイ…本当にいるんだ…
「…あなたも変わんないじゃないですか。失礼ですよ、あまり見てると」
「確かに。ここへは食事に来たのであって…で、結構色んな店があったけどどれが良かったorマイナのオススメはどれ?」
話ぷりだけを聞いているとマイナもパーティ追放したアレも何度かは来ているのだろうし、なんか意見があるかもと期待していた。
「そうですね…他天体のは流石に避けるとして、お寿司とか海鮮丼系が良いかな」
そこはなんとなくアメ横イメージを残すのか…あ、ケバブ屋もあるんだ…
「海鮮系が良いかな」
「呑みますか!」
「あー…確かにそうしたいけど、だとするとせめて今日のホテルを確保しときたいねぇ…」
一杯ひっかけた後に宿を探すような事態は避けたい。
疲れているのもあるが、電車への襲撃や謎の男の襲撃など奇襲目白押しだったのも気になる。
きちんと状況が落ち着くまでは迂闊に酔うのも危険かと思われて滅入る。
「じゃー回る方の寿司…ってあればだけど。…あるか、ここまでの経緯を考えれば」
「勿論です」
しかも手軽に回れる範囲で数件あった。
マイナが前に来て結構良かった、という店へ入る。
手狭な店舗スペース内をぐるりと回転レーンが回り、内側で職人が握り、外側で客が食べるオーソドックスなスタイルだ。
店内の客、職人ともに宇宙人が混交でなければ、見慣れた風景と言えた。
流れているネタは見慣れた物が多いのでほっとした。
店員のおばちゃんに通され、わたしとマイナは小さな丸椅子の座席に座る。まあまあ混んでいる時間帯だったか、両脇に大柄で毛むくじゃらのヒューマノイドが大量の空皿を積み上げ、ご機嫌に食事中った。
おばちゃんにアオサの味噌汁を二人前注文し、わたしは目の前のレーンに目をやる。レーンぎっしりに寿司皿が居並ぶ様は壮観だ。これがスッカスカだともう帰りたくなる。何が回転寿司だ、何も回って来ねえよ、ぶち◯すぞ…と、これまで何度思った事か。
大体、いちいち注文しなけりゃならんのでは回転寿司に来た意味がない。
…謎の感慨がわたしの中を通り抜けたあと、わたしは目の前に流れてきたサーモン二貫が乗った皿を手に取った。
なんとなく頭の中にある知識がそうさせているのは分かっているが、近々で回転寿司に行った記憶がそもそもないのだから仕方ない。大体一番最初に降り立ったのはかなり型通りのファンタジー世界的な場所でこんな気軽に食事が取れるような環境ではなかった訳だし。
野趣あふれる肉料理もそれはそれで旨かったが、まあ自分的にはあまり慣れの無かったというか、普段はこういう食生活じゃなかったよなー、という違和感があったものだ。
サーモンの握りを一口で放り込み、口内に広がる魚の旨味と一抹の安っぽさこそが、頭の中の食事のイメージと合致するあたりが、自分が一体どういうところから来たのか、を如実に示しているのだろうと思った。
一方マイナはイクラばかり貪っていた。魚卵が好きなのだろうか。
「バランスよく食べなさいな」
「お寿司の時点で偏ってますよぅ」
マイナは目の前の給湯器に湯呑みを押し付け、湯を注ぎながら笑う。
「まぁねぇ…あー、ビール行くかどうか迷うわ」
壁に貼られたメニューの中には生ビールの文字。
「いいんじゃないですか?後はまあホテル取るだけだし、わたしだけで出来ますし」
「そうそう、酒呑んで嫌な事は忘れちゃいなさいよ」
急に会話に割り込んできた横の客。
何故気付かなかったのか、それとも気付かせない何か神の奇跡でも起こしたのか。いやそんな大物でもあるまいが。
「どうした、神様。たまには奢ってくれるんかい?」
わたしは横の丸椅子にちょこんと座って茶碗蒸しの器に嬉しそうにスプーンを差し入れる神…サンラプンラに声を掛けた。
「この店の会計くらいなら別に良いけど、それ以上の情報知りたくない?」
サンラプンラの前には二十皿以上は空き皿が積まれている。こいつまさか逆にたかるつもりで声を掛けてきた…?
見た目がわたしたちとは著しく異なる、いわゆる宇宙人があちこちに散見されたのである。とはいえこれはこの辺りでは普通の事だろうし、あまりジロジロ見るのも失礼だろうし…
「わー凄いですねあの人!白いふわふわ毛皮のあちこちからキノコみたいなのが生えてる!」
「マイナ!指さすんじゃない!失礼でしょ!…すみませんうちの田舎者が…地下幽閉期間が長くて…」
「あ、そ…そうなの?」
言われた宇宙人の方が萎縮するようなマイナの遍歴だった。
「なかなか他天体のヒューマノイドを見かける機会も無いので…」
少しするとどうやら、普段のそれなりに普通なマイナに戻ったようだ。
だが見掛けが幾分特殊な宇宙人が通り掛かると思わず目を持っていかれてしまうのはこちらも同じだった。
…なんだ今の孔雀みたいな羽根をビラビラに広げた奴は…求愛行動中とかなのか?
あ!メジャーななんとかグレイ…本当にいるんだ…
「…あなたも変わんないじゃないですか。失礼ですよ、あまり見てると」
「確かに。ここへは食事に来たのであって…で、結構色んな店があったけどどれが良かったorマイナのオススメはどれ?」
話ぷりだけを聞いているとマイナもパーティ追放したアレも何度かは来ているのだろうし、なんか意見があるかもと期待していた。
「そうですね…他天体のは流石に避けるとして、お寿司とか海鮮丼系が良いかな」
そこはなんとなくアメ横イメージを残すのか…あ、ケバブ屋もあるんだ…
「海鮮系が良いかな」
「呑みますか!」
「あー…確かにそうしたいけど、だとするとせめて今日のホテルを確保しときたいねぇ…」
一杯ひっかけた後に宿を探すような事態は避けたい。
疲れているのもあるが、電車への襲撃や謎の男の襲撃など奇襲目白押しだったのも気になる。
きちんと状況が落ち着くまでは迂闊に酔うのも危険かと思われて滅入る。
「じゃー回る方の寿司…ってあればだけど。…あるか、ここまでの経緯を考えれば」
「勿論です」
しかも手軽に回れる範囲で数件あった。
マイナが前に来て結構良かった、という店へ入る。
手狭な店舗スペース内をぐるりと回転レーンが回り、内側で職人が握り、外側で客が食べるオーソドックスなスタイルだ。
店内の客、職人ともに宇宙人が混交でなければ、見慣れた風景と言えた。
流れているネタは見慣れた物が多いのでほっとした。
店員のおばちゃんに通され、わたしとマイナは小さな丸椅子の座席に座る。まあまあ混んでいる時間帯だったか、両脇に大柄で毛むくじゃらのヒューマノイドが大量の空皿を積み上げ、ご機嫌に食事中った。
おばちゃんにアオサの味噌汁を二人前注文し、わたしは目の前のレーンに目をやる。レーンぎっしりに寿司皿が居並ぶ様は壮観だ。これがスッカスカだともう帰りたくなる。何が回転寿司だ、何も回って来ねえよ、ぶち◯すぞ…と、これまで何度思った事か。
大体、いちいち注文しなけりゃならんのでは回転寿司に来た意味がない。
…謎の感慨がわたしの中を通り抜けたあと、わたしは目の前に流れてきたサーモン二貫が乗った皿を手に取った。
なんとなく頭の中にある知識がそうさせているのは分かっているが、近々で回転寿司に行った記憶がそもそもないのだから仕方ない。大体一番最初に降り立ったのはかなり型通りのファンタジー世界的な場所でこんな気軽に食事が取れるような環境ではなかった訳だし。
野趣あふれる肉料理もそれはそれで旨かったが、まあ自分的にはあまり慣れの無かったというか、普段はこういう食生活じゃなかったよなー、という違和感があったものだ。
サーモンの握りを一口で放り込み、口内に広がる魚の旨味と一抹の安っぽさこそが、頭の中の食事のイメージと合致するあたりが、自分が一体どういうところから来たのか、を如実に示しているのだろうと思った。
一方マイナはイクラばかり貪っていた。魚卵が好きなのだろうか。
「バランスよく食べなさいな」
「お寿司の時点で偏ってますよぅ」
マイナは目の前の給湯器に湯呑みを押し付け、湯を注ぎながら笑う。
「まぁねぇ…あー、ビール行くかどうか迷うわ」
壁に貼られたメニューの中には生ビールの文字。
「いいんじゃないですか?後はまあホテル取るだけだし、わたしだけで出来ますし」
「そうそう、酒呑んで嫌な事は忘れちゃいなさいよ」
急に会話に割り込んできた横の客。
何故気付かなかったのか、それとも気付かせない何か神の奇跡でも起こしたのか。いやそんな大物でもあるまいが。
「どうした、神様。たまには奢ってくれるんかい?」
わたしは横の丸椅子にちょこんと座って茶碗蒸しの器に嬉しそうにスプーンを差し入れる神…サンラプンラに声を掛けた。
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