始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

文字の大きさ
48 / 57
新たなる世界

夜討♪朝駆け♪朝湯が大好きで♪

しおりを挟む
早朝四時。
唐突なガラスの破砕音。
そのまま…襲撃者はキングサイズのベッドへ駆け寄り、掛け布団を勢い良く剥ぎ取った。
その襲撃者の側頭部目掛けて虹色の分銅が飛ぶ。
超人的な回避と言うべきか。
剥いだ布団の中身がもぬけの殻だったからこそ瞬時に判断出来た事か。
襲撃者は左手の拳の甲で分銅を受けた。
頭で受ければ即死だったろうからそれは好判断ではあるが、同時に左手を犠牲にしたとも言える悪手でもあった。
なぜならそのまま、左手に鎌を構えたわたしの強襲を受ける事になるのだから。
分銅は初撃で使い捨て、後は鎌の超接近戦で首を撥ねる!
この黒靴の機動力を以ってすればこそのコンボ(あえてコンボと言うと限りなく陳腐だな)!
正に瞬時に駆け抜け、わたしの左手の鎌が斜め上へと刃先を斬り上げ、敵の首を叩き落とす…はずだった。
残念ながら、叩き落とせたのは腕だけに留まる。襲撃者の左腕、頭部を守ろうとしていた部位の肘から先を斬り飛ばし、血が吹いた。
腕を落とされた襲撃者に対し、わたしはキングオブソーズを右手に構え、剣化させざまに斬撃を加える。
しかし襲撃者はそれにさえ応じ、腰元に佩いた剣を右手で抜きざまにわたしの剣撃に刃先を合わせた。
わたしは合わせられた刃先をふわりと脱力してそのまま流し、体をくるりと回して胴へと回転斬撃を加えようとしたが、それは見透かされたか刃先を流された時点で襲撃者は後方へ跳ねており、わたしの斬撃は空を切る。
だが相手はもはや隻腕。一気に押し切る。
左手は鎌、右手はキングオブソーズの二刀で、わたしは再び間合いを詰めた。
剣と鎌ではリーチが違いすぎるが、鎌には剣には無い利点がある。
襲撃者の斬撃が飛んで来る…
それをわたしはは左手に握った鎌の刃先で受ける。斬撃の衝撃は思いの外軽い。
(この鎌は防具代わりで受け・流しに使えば相手の攻撃の勢いを削ぐ加護が込められているよ)
あれから寝るまでの間に少し扱いの練習をしているときに、チュートリアルよろしくサンラプンラのアドバイスが脳内に流れてきたのだ。
重いはずの一撃は、ただ触れた程度にまで勢いを殺され、わたしはそのまま鎌を振り抜く。
襲撃者の右手の剣は大きく外に流され、正面がガラ空きになった。
そこへ体を捻り、右からの突剣を勢い良く叩き込む。
キングオブソーズが襲撃者の胸板を深々と貫き、命を奪う瞬間の脈動が確かに右手から感じられた。
そしてわたしは同時に、
(こいつは…思い切りこそ良かったが昼間のアレとは別か…厄介者を始末出来たと思ったんだがな)
と、敵の見定めを終えていた。
「マイナ、フロントにクレームを。外敵侵入の対策が甘々だ、って言ってこっちが悪く無いように」
「ですね。…あ、もしもしフロントですか?二八五一号室ですけど窓割られて襲撃されたんですけどおたくのセキュリティレベル低過ぎませんか?宿泊料の割に!」
バスルームから出てくるや否や、フロントへ苦情の電話をトゲトゲしく入れ始めるマイナ。その間にもわたしは倒した襲撃者の身ぐるみを剥…ではなく所持物の確認を始める。あくまでも身分などを確かめる目的でやはり財布なんかは無いかしけてんな。
外観は全身黒装束に目出し帽という近代の泥棒みたいな感じだったが、鍛え上げられた肉体が、コイツをコソ泥などではなく立派な強盗(?)であるとこれ以上なくアピールしてくる。
武器は右手に握ったままの片手剣…小ぶりなのは襲撃用だったからだろう。飾りの類も無い簡素な、だが刀身はしっかりとした造りのようだった。
身分証の類も一切見当たらない。なかなかに徹底された、嫌なプロフェッショナルだ。
マイナとのやりとりでフロントが来、それから程なくして昼間も見た治安維持部隊がやって来て現場検証みたいな事を始めた。
とりあえず被害者ヅラしながら、仕留めた事は有耶無耶にし(勝手に転んで死んだ事にしよう、そうしよう)、現場検証の連中の言葉に耳を傾ける。
「…やっぱこいつら、昼間も乱闘騒ぎを起こしたのの同類ですかね」
「…て事は宇宙海賊か…何か狙うようなものでもあるって事か」
「宇宙海賊?なにそれそんなのもいるの?」
「なんだ知らんのか…そういやあんたたちは旅行者だったか。最近はこの一帯の星域は政情不安定でな。貨物船やら商船狙いの海賊が増えたのさ」
なるほど…と言いたい所だが、
「わたしらそんな海賊様にホテルで寝てるとこ襲われる謂れはないんですけど?」
「そりゃそうだよな…あんたら、なんか財宝でも載ってる船に乗ってたとかか?」
質問に質問が返って来たが、まあそれもそうか。大体、狙われる理由は正直こっちが知りたいくらいだ。
こうなると一旦この治安維持部隊?とやらに保護を求めて、ある程度襲撃者を撃退した方が良いのかも知れない。流石にただのホテルと違って余程の刺客でもなきゃ返り討ちにしてくれそうだし。
と、考えているとマイナがわたしの背中から小声で、
「…ここから出ましょう?お話しておかなければならない事が出て来ました」
と、急に訳有りぽい事を言い出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

処理中です...