始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

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新たなる世界

旅立つ朝に

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翌朝早くに。
虎牢関から一隻の宇宙艇が飛び立った。
「行かせろ。あーさっさと消えてくれマジで!にどとくんな、って言いたいわ!」
報告を受けた郭嘉は不機嫌そのものの口調でそう部下に告げた。
「…ま、あいつらが何かこっちに仕掛けて来る目も無いか…」
布団を被り直し、郭嘉は二度寝を決め込んだ。

華雄の宇宙艇は、それから程なくしてワープに入る。
天文学的数値の距離と時間を飛び越える光と闇の渦。大河の中の小さな木の葉ひとひらのような宇宙艇。だがその小躯からは考えられないような推力を放ち、光よりも速く、宇宙を飛び越える。
「なあ、最初から電車じゃなくてこういうのの方が」
「あくまでも華雄ちゃんのご厚意ですからね。普通は電車しかないし、それだってタイミングが悪ければ今回のように戦に巻き込まれたりだってあるんです。その時々で、宇宙は様々に瞬きますから…」
「…平和に行けりゃそっちがいいな」
「もちろんそうです。華雄ちゃんだってそうでしょう?」
「そう…かもな。ただ旅をしたい、ってだけならそりゃあその方が良い」
「…ま、そう出来るならそうするし」
わたしは、
「出来なけりゃ剣を振るうだけだわ。理想を語って死んじまうにはまだ若い…若い?んだよなわたしは。わからんけど」
「とりあえず見た目は若いから良いんじゃないですか?あなたも華雄ちゃんも」
マイナは笑った。
そういやマイナも年齢不詳勢だわな。
そして…
光と闇のマーブルが、唐突に終わる。
宇宙の漆黒の中、視界に広がる巨大な青い星。
「上野駅ですね」
「星なのか駅なのかわかんねぇなこれ」
「まあ、良いだろうよ。着陸許可を求めるぞ」
宇宙艇の操縦者である華雄が手早く上野駅側の航宙管制に手続きの通信を送ると、程なくして呆気なく許可が下りた。
京浜東北だか山手だかわからんがあの猛烈に大気圏再突入のショックが掛かる電車よりは、余程スムーズに大気圏内へと舞い降りる。
華雄の腕か、宇宙艇の性能か。
いずれにせよ旅の目的地、上野への最後の着陸はこれまでの中で最も緩やかなものになった。
「…董卓軍の所属として降りたから、おそらく董卓軍の『御出迎え』が来るはず」
スペースポートでの手続きを手早く終え、建造物の外へ出た所で華雄はそう言い足を止めた。
「死ぬ気はないが、付き合わせるつもりもなくてな。ま、虎牢関を落とされ、胡軫殿の手前もある…ま、その辺はこっちで引き受けんとな」
「華雄…」
流石にこのまま一緒に旅を、とはいかないか。
「…華雄ちゃん…」
マイナの方が華雄には肩入れしているようだったからか、思う所はあるようだ。
だが、
「しがらみがあるうちは仕方ないですね。…気が済んだら、秋葉原へ来て下さい。わたしたちが帰るのはそこですので。」
…まあ、そうかな?わたしはちょっと首を捻るところではあるが。
マイナはそう言って微笑んだ。
華雄も満足気に笑顔を作り、
「さ、行け」
わたしたちの歩む道は、そこで分かたれた。

スペースポートは規模こそかなりなスケールで違えど、いわゆる上野駅の位置関係にあり…大きな道路向かいにこれまたアメ横に相当するであろう商店街が展開されていた。この方向を真っ直ぐ進めば記憶の中ではさほども歩かずに御徒町の駅だが、どうなっているんだろうか。
とりあえず見通せる限りは商店街、というよりは商業街区と呼んだ方が良さそうな程度には未来的なビル群が並んでいた。
そのうちの一つにマイナは真っ直ぐ向かう。来慣れている感があり、わたしも後に続いた。
そこは玩具店だった。本来のこの場所もそうだったように思う。
入り口横にエレベーターがあり、マイナが上行きパネルを押すとやや古めかしいエレベーターがゆっくりと扉を開く。
「模型フロアか?」
わたしの問いにマイナは笑顔で頷き、該当フロアのパネルに触れ、その後扉が閉まる。
程なく、エレベーターは目的のフロアに到着する。扉が開き、わたしたちは降りた。
そこはプラモの箱が店内狭しとひしめく空間。ショーウィンドウには作例やらコンテスト上位者の作品やらが賑々しく並んでいる。
「あ」
そんな中に赤いバー…マイナがこないだ優勝したやつのカラーリング赤!版が鎮座ましましていた。
「やはりそうきましたか…まあ想定内ですが、あまり良い気分ではないですね」
「どう言う事だ、マイナ?」
マイナも当然のように同じものに目線を送り、意味ありげに呟いていた。
「つまり、決着を付ける時が来たと言う事です…ね」
マイナの目線がケース内のプラモから、奥の商品棚の陰から現れた人影に移る。
そこには。
マイナが。もう一人マイナが立っていた。
「…よくもまあこれだけ荒れてる時期に来たものね。ある意味尊敬するわ」
声音も一緒であったが、どこか寒々しい響きのようにも思えた。
「ふふ。まああなたと違ってこちらには頼れるパートナーがいるしねぇ」
こっちのマイナは何故かこれまで以上にご機嫌だ。勝ち誇ってさえいるようでもある。
「…確かに。永遠に墓守やってそうだったのにここまで来るなんて、一人だったら考えられなかったでしょうね」
上野のマイナ(仮)は勝ち誇られたのに、さほど悪い気もしなさそうに笑って返した。
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