始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

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プレボを開けよう

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「嘘だろッ!?」
硬い掛け布団を剥いで、上半身を起こし飛び出さんばかりに起きた。
…夢?
さっきまでサンラプンラ幼女と話をしていたと思っていたが、あれは全て夢…?
しかもなんだキングオブソーズは最上級レアリティアイテムじゃない?
あんなに凄いのに?
俄然、プレボのカバンの中身が気になって来た。
よし、出してみるか…
カバンを開け、中を覗き込む。

「誰か」が「カバンの中」から見つめ返して来た。
暗闇に眼だけが輝いていた。
ペガ公の時とも違う。人間の両目だった。

反射的に全身総毛立ち、カバンから手を勢いよく引っ張り出し、部屋の反対側まで飛びのく。
だからなんでたまにファンタジーじゃない方の異世界感出すんだよ!
したたかに腰を打ち付けた。酷く痛む。正直この世界に来て初の痛烈なダメージかも知れない。
腰をさすりながらゆっくり身を起こす…
と。
カバンの脇に、何かが置かれている事に気付いた。
黒い鉄の塊…金属製の、膝までの黒いブーツ、のようであった。
重厚感はあるが、ただ靴でしかない。
こんなもんだけ置かれてもなあ。
まあ色合いから何から明らかにただのレア、といったところだろう。
なんなら呪われたりしてる、までありそうだ…
などと考えながらも、わたしはブーツを履いた。
お。
凄くフィットする。
なんだ、そんなに重くもないな。
まあ靴はそこそこ良いものを履いておくに越した事はないし、しばらくこのままでいるか。
締め付け感も無いし、これは良いな…
プレボ大開封大会は無期延期となり、わたしはとりあえず履き心地の良いブーツを得た。
そのまま馬房へ足を運び、ペガ公の様子を見…
軍馬と交尾している様子なのが見えたので、桶で水をぶっかけてから立ち去る。
そのまま砦の外へ散策に出た。
南を見たが、海は見えない。
地図だと近そうだったが実際の距離はそれなりにあるというところか。
暇があれば騎士団内で地図を描けそうなのを借りてペガサスの背に括って空へ上げ、地図を描かせてもいいかなと思った。
どうせドラゴンどもは己が力を過信し、人間ごとき虫けらくらいに思っているだろう。
ならこっちは人間の知恵で抵抗してやる…というよりは駆逐し尽くしてやる。
とはいえ、昨日の感じだと戦闘時間的にも敵の数的にもあれ以上を相手には出来ないだろう。
やはり特訓イベントが必要か…
面倒臭いな…
なんか適当なアイテムを素材に手軽に強くなれたりしないだろうか。
しかし…そういうのは実際のところどうすれば良いんだろう。食べるのだろうか。
宝石的なものをムシャムシャ食べてレベルアップ!大成功なら獲得経験値は更に倍!
完全に絵面がバケモノだったので、我ながら吐き気がした。
とりあえず何かそういう便利な経験値アップアイテム的なものがないか、後で誰かに聞いてみよう。
努力はしたくないが強くなる必要はある。
「あれぇ…おかしいな」
思索を巡らせていると、そんな声が聞こえてきた。少年のやや甲高い声だった。
見ると、南の森の方角から来たと思しき十代半ばくらいであろう金髪碧眼の少年が、わたしをしげしげとまるで珍しい物でも見るような目で見てきた。
南の方…
「何がおかしいんだいボク?」
「いやあ、前の勇者はボクがこの手で殺したから、まさかこうも早く次が来るなんて思いも寄らなくてさ。」
「見るからに細くて生っ白いのに、随分言うじゃん」
わたしにも分かる、明確な敵。
しかし、なんだ?ドラゴン以外にも…
人間の中にも敵がいるって事なのか?
しかも、そいつの手にはあのトランプ…キングオブソーズに似たカードが握られている。
わたしも反射的にキングオブソーズを手に取り、その力を解き放つ…!
次の瞬間。
そいつもわたし同様に姿が変わり、剣を振りかざして襲いかかってきた。
わたしが青赤の長衣であるのに対し、そいつは青い蝶ネクタイに黒スーツという正装なのかふざけているのか分からない服装であった。
手にある剣はわたしのキングオブソーズと同形に思えた。
わたしの足が軽やかに動く。
敵の攻撃を余裕を持って剣で受け、流し、弾いた後にこちらからの斬撃を浴びせる。
間一髪の間合いでその横薙ぎを躱して、そいつも間合いを離して体勢を整えようとしたと見えた。
足が先に動く。自分でも思いもよらないほどに一息で間合いを詰め直し、斬撃の雨を降らせた。
青蝶ネクタイはそれらを受け、躱し、流し…だが躱しきれぬ分を腕に足に負い、それでも諦める事なく後退しようとした。
信じられないほど俊敏な敵だと思えた。蝶ネクタイにスーツ姿の猿、なんとなくそう思えた。
だが信じられないのはそんな野生的な体捌きを見せる相手に対してぐんぐん間合いを詰め、次撃次撃を確実に加え続けている自分自身の技量だ。
昨日との比較…は単純には出来ないシチュエーションだが、それでも戦いの勘みたいなものは研ぎ澄まされているのだろうか。
「ちぃ…なんで!こんな手練れとは!」
蝶ネクタイ猿はとても悔しそうに歯を見せる。心の中でウッキー!とアフレコしてやる。
「ガキが!剣を向ける相手を間違えたな!よくは分からんが貰った!」
わたしの勢いを乗せた刺突が飛ぶ。
切っ先は猿ネクタイの剣を構える手を打った。
剣が落ちる、血が飛沫をあげる。
猿ネクタイの姿が最初に見たふつうの地味な姿に戻った。
「かっこ悪いな、顔見せのつもりで捕まってやんの」
猿ネクタイは悔しそうに顔を歪ませ、わたしは一人勝ち誇っていた。
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