瓦解する甘い盾

流音あい

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七度目の接触、遊戯(※先輩視点)

23、挑戦

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 素肌の手触りが気持ち良い。滑らかな腰を撫でたときの吐息や、甘い首筋に口づけた時のぴくりと跳ねる反応や、柔らかい胸の谷間を指でなぞったときの仰け反る仕草に、どうしようもなく心を奪われる。

 彼女が官能に身体をくねらせる姿や悶える表情は、雄の本能を刺激し、欲望がもっと見せろと訴える。
 暴力的な性衝動と冷静な征服欲が同時に湧き上がり、今すぐ彼女の中に入りたい気持ちと、入れずに与える刺激で果てさせたいという相反する気持ちがせめぎ合い、迷った挙句に選ぶのは、いつも後者だった。
 それが彼女のためにも良いと思った。自分の満足感を得るために荒々しく貫かずに済むと思った。彼女の求める快楽を与えられているのだと、そう思っていた。
 けれどそれは違ったらしい。彼女に言わせれば、それはひどく独善的で、傲慢に他ならない。
 相手は一緒に昇りつめたいと思っているのに、一緒に果てようとせず、彼女だけを絶頂へ導く行為は支配的であるという。
 自分では理性的な判断を選び、気遣ったつもりだったが、それが彼女の心を逆なですることになったらしい。

「ストップ」
 唐突な制止の声に、彼女のブラを押し上げようとしていた手が止まる。得意げに笑う彼女は身を起こし、彼に寝ころぶように促した。跨ってきた彼女は、彼の両手を掴んで顔の横に押し付けると、瞳をのぞき込んでくる。
「始めましょうか、先輩。もう勝手に動いちゃダメですよ」
 以前と同じ光景だ。けれどこの前と違って彼女に怒りの色はない。彼は大人しく受け入れた。

 見上げる彼女はひどく楽しげで、天使のようにも悪魔のようにも見えた。
 濃厚なキスを受けながら、しっとりと胸を撫でられる感触に吐息が漏れる。首や耳を甘噛みされ、彼女の腰が前後に揺れると、下着越しに密着した性器が擦れて、悦びがぞくぞくと駆け巡る。

「っ……はぁ……」
 つい腰が動いてしまうが、彼女からの叱責はない。と思っていると、肩口に軽く歯を立てられた。
「うっ」
 やはり見逃されてはいなかったらしい。痛みを感じるものではないが、急な刺激に声が出てしまった。
「やっぱり腰が動いちゃうんですね、先輩?」
「努力はしてるんだけどね」

 彼女の指が素肌の上を滑っていく。呼吸を乱しながらも耐えるけれど、胸の先端を舌で転がすように愛撫され、優しくちゅうと吸われると、彼女を突き上げるように腰を動かしてしまう。

「やっぱ無理かも」

 ふふ、と笑った彼女は、親指で両胸の先端を押しつぶす。熱い吐息が漏れ、両手がつい彼女の腰を掴んでしまう。面白そうに見つめられ、しぶしぶ両手を元の位置に戻す。
 優越感を滲ませる彼女が、ゆっくりとブラを外す。以前はこの直後に耐えられず、彼女を押し倒したのを覚えている。

 豊満な女の胸が、眼前で揺れる。すぐにでも触れたいし、揉みたいし、口に含みたい。力にものをいわせれば簡単に出来てしまうが、約束のご褒美が頭を過ぎり、耐えることにする。勝負に勝たなければ、ご褒美は得られない。

 彼女が課した勝負とは、イくのを我慢することではなく、暴走しないこと。
 イってもいいし、声を出してもいいし、悶えて動くのも構わない。けれど勝手に彼女に触れたり、性的な刺激を与えようとするのがダメなのだ。つまり彼女に触れている部分をこすりつけるように腰を動かすのもいけない。要するに、大人しくされるがままでいろと言うことだ。

「やっぱりどう考えても不利だよね、これ。好きな子に跨られてる時点で、腰を動かさないとか無理過ぎる」

 これは彼女なりの「お仕置き」らしい。彼女を翻弄し、支配下に置こうとしたことへの罰、ということらしいが、彼女の意地悪そうな笑みを見ていると、それはきっと口実で、そういうプレイを楽しんでいるだけに思える。
 彼女が喜ぶなら、ゲームに付き合うのはやぶさかではないが、これは思った以上に精神力が必要だ。

 彼女が身体を倒し、柔らかい胸が、彼の胸板に押しつぶされて形を変える。ぎゅっと抱き締めて分身をこすりつけたい衝動に駆られるが、ぐっと我慢した。

「私は別にどっちでもいいんですけどね。呼び方なんてそんなに気にならないし。先輩が負けたところで、私には痛くもかゆくもありません」

 彼女が腰を揺らした。快楽の波に襲われて切ない呻きが漏れる。身を起こした彼女の胸に誘惑され、思わず手が伸びそうになる。

「はぁ……きよみちゃんは触って欲しくないの?」
「どうでしょうね。でも触ったら、先輩の負けですよ」

 彼女は自らの両胸を寄せ、持ち上げる。身体の横のラインを確かめるように両手を滑らせ、見せつけるように柔らかい胸を弄ぶ。
 彼は荒い呼吸と共にひじを使って上半身を起こす。今すぐ彼女を自分のものにしたい。胸に指を沈ませ、激しく彼女を貫いて、揺さぶりたい。

「はぁ、ねえ、きよみちゃんも気持ち良くなりたいでしょ」
「そうですね。でも先輩がいなくても気持ち良くなれますから私は」

 彼女は自らの胸の先端をつまみ、腰を前後にゆっくりと揺らした。もどかしい刺激に雄の欲望が昂ってくる。

「そろそろ……避妊具付けた方がよくない?」
 お互いまだ下着を付けたままだ。剥ぎ取りたいのをかろうじて堪え、彼はかすれた声で提案した。
「そうですね」
 彼女は胸を触るのを止め、彼の身体から下りた。
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