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34 情けは廻る
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地の底から突き挙げるような鯨波が、役務室の小部屋を揺らした。
慶長五年(一六〇〇年)八月二十四日。
雲一つない秋晴れの中、宇都宮城に留め置かれた徳川江戸中納言秀忠が三万の軍勢を率い侵攻を開始したのだ。
小山での評定よりひと月が経っている。
満を持しての出陣だった。
「あのぉ、人見殿、江戸中納言様が出立されましたぞ。ここはどうだろう、ひとつ」
卑屈な笑みを浮かべ近づいてくる侍は、荷駄頭取を務める同輩だった。
見に行くぞと言えば逆らうつもりは毛頭ない。
必要の無くなった書面を睨めているだけの暇つぶしだったのだ。
部下たちも机に向かっているもののすることがないのだろう、荷駄頭取の話に聞き耳を立て、期待を募らせそわそわしていた。
「留守居では仕事もないし、話の種に見物致しましょうか」
人見太郎左衛門高義の返答に、荷駄頭取は相好を崩し部下たちは歓声をあげた。
土浦より結城に移って六年が経った。
出世を重ね勘定頭取として五百石を食んでいた。
「誰か残した方が良いか? もぬけの殻ではまずいのではないかな」
荷駄頭取は、家老の一族で家中屈指の名門の出である。
本来なら一軍を率い戦場で采を振るうほどの家柄だ。
荷駄などの事務方に就いているのは、この気弱な性格ためだ。
ただ、権柄は備わっているようで、残される部下の気持ちなど微塵も感じていないのだ。
「御屋形様もご重臣らも見送り出ている。事務方など居なくても支障はありますまい。たまの息抜きを咎めることも無いでしょう。さっ、さっ、行きましょうぞ」
高義は部下を引き連れ廊下に出た。
宇都宮城の二の丸には、結城家の他に牧野家や高力家、酒井家など徳川の諸将が入っていたが、出陣して静まり返っていた。
明日は本丸に移動することになっていた。
御屋形様は上杉の備えの総大将として城に留まるのだ。
留守居部隊とはいえ蒲生秀幸、佐野信吉、水谷勝俊ら諸将六千人が配置されている。
事務方とはいえ忙しくなるのは必定だった。
高義らは裏道を使い城外の街道に向かった。
さすがに城門前で見送る御屋形様や重臣に混ざることは憚れたのだ。
中山道に向かう軍勢は城下外れで大きく右に曲がる。
その先に近回りして見物することにした。
城外には関東の覇者徳川江戸中納言を一目見ようと街道脇には多くの人々が集まっていた。
圧巻である。
流々と旌旗を靡かせ、徳川の長い軍列が山蔭まで続いていた。
遥か遠くに陽の光をうけ輝く金扇は江戸中納言秀忠の大馬印だ。
どうやら、本隊は通り過ぎてしまったようだ。
「もそっと、近くで見ましょうぞ」
高義らは見物人を押しのけ街道の縁にでた。
見物人は迷惑そうな顔を浮かべるも、二十人からの武士団に関わりになるのを避け距離を取った。
歓声が聞こえて来た。
朱の丸を三つ連ねた陣旗、馬印は金の鳥籠の上に黒鳥の毛出しが乗っている。
酒井宮内大輔家次の軍勢だ。
朱塗りの突ぱい形兜に金の鹿角の前立て、胴は複数の糸色を使った色々絲縅、馬印に負けていない煌びやかなものだ。
武者や足軽に至るまで誇らしげに行進してくる。
高義は主君秀康の悔しそうな表情を思い出した。
上杉押さえの総大将とはいえ、留守居役である。
結城の精鋭を率い朱の丸の大馬印と黒毛笠銀筒の馬印掲げ、大軍を引き連れ征討に向かう。
徳川大納言家康の次男で、総大将の秀忠の兄なのだ。
最高の栄誉だったろう。
主君秀康の胸中を思い遣る瀬無い気持ちになった。
槍隊が通り過ぎると、すこし間を開け荷駄隊が来た。
荷馬が二列縦隊で眼の前を通り過ぎる。
馬を引くのは陣夫だ。
家臣ではない。
領地の百姓か、手間賃取の人足である。
高義は途端に現実に引き戻された。
五十頭いる馬の荷は、兵士らの兵糧だ。
俵を左右に二つ、背には釜を着けられた馬もいる。
酒井の兵数は千人ぐらいだった。
兵士一人が一日五合の米を食うと十二俵半必要になる。
それだけではない。
塩も味噌も豆類なども必要なのだ。
五十頭分の荷駄がわずか十六日と持たず無くなってしまうのだ。
それを防ぐのには空馬を領地に戻し兵糧を送り続けなければいけない。
そのため人足らの手間賃は大変なものになる。
一日六十文に値切りに値切って、百人で一日六百文。
千人なら銭一貫だ。
安すぎると文句をいう者もいるだろうし、人足にも飯を食わせなければならない。
それに兵士の寝泊りは夜陣で済ますばかりではない。
寺や農家を借りたら、これまた幾許かの銭の支払いが必要になる。
兵站事務は、これを滞りなく行わなければいけないのだ。
気の利かぬ荷駄頭取と兵站を受け持つことなど、考えただけで卒倒しそうになった。
(御屋形様に悪いが、留守居で良かった)
ほっと胸を撫で下ろす高義を尻目に、荷駄頭取は通り過ぎる軍勢の評判を部下に得意気に話していた。
心底、留守居で幸運だったと高安は思った。
「おお、次は徳川先手四衆の榊原様だ。これも見事な軍容だ」
白地に黒の源氏車の陣旗、金の唐人笠の馬標を先頭に掲げ馬上に揺られ進んでくる。
武者は、黒毛出しの二枚胴に金縁の黒紗の陣羽織、六十四間筋兜に特大の金の三鈷剣である。
榊原康政だ。
派手さはないが、正に徳川屈指の猛勇にふさわしい重厚なもので、後ろに二十騎ほど続く武者も昨今流行りの奇抜な前立ては少なく、獅子噛みや家紋、輪貫など小ぶりな物が多い。
恐ろしいほど実戦的な形だ。
高義の眼に光が差し込んだ。
最後尾の騎馬武者の前立てだった。
金の揚羽蝶の前立てである。
銀の桃形兜を覆い隠すほどの大きな揚羽蝶で、長くのびた触角が角ように見えた。
平氏血流を誇る武士は多い。この武者多分そうなのだろう。
気品のある顔立ちに、切れ長の鋭い眼。平氏の公達を思わせる。
「ああっ、ああっ」
高義はフラフラと前に出てしまった。
騎馬武者らが何事かと立ち止まる。
騎馬武者らの視線に高義は我に返った。
軍列を止める事などあってはならないのだ。
「申し訳ござらん。それがしは結城左近少将が臣、人見太郎左衛門と申す者。他意はありませぬ。平に御容赦くだされ」
真っ青になりながら、頭を下げた。
一門の名を出され無用の争いを避けたのだろう、騎馬武者は無言で馬を進めていく。
高義は頭を下げたまま通り過ぎる馬の脚を見つめていた。
「やはり、南方三十三館衆であったか」
忘れて久しい呼び名が頭上から聞こえて来た。
高義は頭を上げた。
いつの間に馬を寄せたのか、揚羽蝶の武者が目の前にいた。
武者は高義の顔を見て、にこりと微笑んだ。
「三村大掾左近将監春虎。人見殿の情けによりこうして生きながらえております。感謝申し上げる」
そう言うと馬を煽り軍列に戻っていった。
高義は突然のことに動転していまい、何も言えなかった。
ただ、去り行く背中を茫然と見送った。
慶長五年(一六〇〇年)八月二十四日。
雲一つない秋晴れの中、宇都宮城に留め置かれた徳川江戸中納言秀忠が三万の軍勢を率い侵攻を開始したのだ。
小山での評定よりひと月が経っている。
満を持しての出陣だった。
「あのぉ、人見殿、江戸中納言様が出立されましたぞ。ここはどうだろう、ひとつ」
卑屈な笑みを浮かべ近づいてくる侍は、荷駄頭取を務める同輩だった。
見に行くぞと言えば逆らうつもりは毛頭ない。
必要の無くなった書面を睨めているだけの暇つぶしだったのだ。
部下たちも机に向かっているもののすることがないのだろう、荷駄頭取の話に聞き耳を立て、期待を募らせそわそわしていた。
「留守居では仕事もないし、話の種に見物致しましょうか」
人見太郎左衛門高義の返答に、荷駄頭取は相好を崩し部下たちは歓声をあげた。
土浦より結城に移って六年が経った。
出世を重ね勘定頭取として五百石を食んでいた。
「誰か残した方が良いか? もぬけの殻ではまずいのではないかな」
荷駄頭取は、家老の一族で家中屈指の名門の出である。
本来なら一軍を率い戦場で采を振るうほどの家柄だ。
荷駄などの事務方に就いているのは、この気弱な性格ためだ。
ただ、権柄は備わっているようで、残される部下の気持ちなど微塵も感じていないのだ。
「御屋形様もご重臣らも見送り出ている。事務方など居なくても支障はありますまい。たまの息抜きを咎めることも無いでしょう。さっ、さっ、行きましょうぞ」
高義は部下を引き連れ廊下に出た。
宇都宮城の二の丸には、結城家の他に牧野家や高力家、酒井家など徳川の諸将が入っていたが、出陣して静まり返っていた。
明日は本丸に移動することになっていた。
御屋形様は上杉の備えの総大将として城に留まるのだ。
留守居部隊とはいえ蒲生秀幸、佐野信吉、水谷勝俊ら諸将六千人が配置されている。
事務方とはいえ忙しくなるのは必定だった。
高義らは裏道を使い城外の街道に向かった。
さすがに城門前で見送る御屋形様や重臣に混ざることは憚れたのだ。
中山道に向かう軍勢は城下外れで大きく右に曲がる。
その先に近回りして見物することにした。
城外には関東の覇者徳川江戸中納言を一目見ようと街道脇には多くの人々が集まっていた。
圧巻である。
流々と旌旗を靡かせ、徳川の長い軍列が山蔭まで続いていた。
遥か遠くに陽の光をうけ輝く金扇は江戸中納言秀忠の大馬印だ。
どうやら、本隊は通り過ぎてしまったようだ。
「もそっと、近くで見ましょうぞ」
高義らは見物人を押しのけ街道の縁にでた。
見物人は迷惑そうな顔を浮かべるも、二十人からの武士団に関わりになるのを避け距離を取った。
歓声が聞こえて来た。
朱の丸を三つ連ねた陣旗、馬印は金の鳥籠の上に黒鳥の毛出しが乗っている。
酒井宮内大輔家次の軍勢だ。
朱塗りの突ぱい形兜に金の鹿角の前立て、胴は複数の糸色を使った色々絲縅、馬印に負けていない煌びやかなものだ。
武者や足軽に至るまで誇らしげに行進してくる。
高義は主君秀康の悔しそうな表情を思い出した。
上杉押さえの総大将とはいえ、留守居役である。
結城の精鋭を率い朱の丸の大馬印と黒毛笠銀筒の馬印掲げ、大軍を引き連れ征討に向かう。
徳川大納言家康の次男で、総大将の秀忠の兄なのだ。
最高の栄誉だったろう。
主君秀康の胸中を思い遣る瀬無い気持ちになった。
槍隊が通り過ぎると、すこし間を開け荷駄隊が来た。
荷馬が二列縦隊で眼の前を通り過ぎる。
馬を引くのは陣夫だ。
家臣ではない。
領地の百姓か、手間賃取の人足である。
高義は途端に現実に引き戻された。
五十頭いる馬の荷は、兵士らの兵糧だ。
俵を左右に二つ、背には釜を着けられた馬もいる。
酒井の兵数は千人ぐらいだった。
兵士一人が一日五合の米を食うと十二俵半必要になる。
それだけではない。
塩も味噌も豆類なども必要なのだ。
五十頭分の荷駄がわずか十六日と持たず無くなってしまうのだ。
それを防ぐのには空馬を領地に戻し兵糧を送り続けなければいけない。
そのため人足らの手間賃は大変なものになる。
一日六十文に値切りに値切って、百人で一日六百文。
千人なら銭一貫だ。
安すぎると文句をいう者もいるだろうし、人足にも飯を食わせなければならない。
それに兵士の寝泊りは夜陣で済ますばかりではない。
寺や農家を借りたら、これまた幾許かの銭の支払いが必要になる。
兵站事務は、これを滞りなく行わなければいけないのだ。
気の利かぬ荷駄頭取と兵站を受け持つことなど、考えただけで卒倒しそうになった。
(御屋形様に悪いが、留守居で良かった)
ほっと胸を撫で下ろす高義を尻目に、荷駄頭取は通り過ぎる軍勢の評判を部下に得意気に話していた。
心底、留守居で幸運だったと高安は思った。
「おお、次は徳川先手四衆の榊原様だ。これも見事な軍容だ」
白地に黒の源氏車の陣旗、金の唐人笠の馬標を先頭に掲げ馬上に揺られ進んでくる。
武者は、黒毛出しの二枚胴に金縁の黒紗の陣羽織、六十四間筋兜に特大の金の三鈷剣である。
榊原康政だ。
派手さはないが、正に徳川屈指の猛勇にふさわしい重厚なもので、後ろに二十騎ほど続く武者も昨今流行りの奇抜な前立ては少なく、獅子噛みや家紋、輪貫など小ぶりな物が多い。
恐ろしいほど実戦的な形だ。
高義の眼に光が差し込んだ。
最後尾の騎馬武者の前立てだった。
金の揚羽蝶の前立てである。
銀の桃形兜を覆い隠すほどの大きな揚羽蝶で、長くのびた触角が角ように見えた。
平氏血流を誇る武士は多い。この武者多分そうなのだろう。
気品のある顔立ちに、切れ長の鋭い眼。平氏の公達を思わせる。
「ああっ、ああっ」
高義はフラフラと前に出てしまった。
騎馬武者らが何事かと立ち止まる。
騎馬武者らの視線に高義は我に返った。
軍列を止める事などあってはならないのだ。
「申し訳ござらん。それがしは結城左近少将が臣、人見太郎左衛門と申す者。他意はありませぬ。平に御容赦くだされ」
真っ青になりながら、頭を下げた。
一門の名を出され無用の争いを避けたのだろう、騎馬武者は無言で馬を進めていく。
高義は頭を下げたまま通り過ぎる馬の脚を見つめていた。
「やはり、南方三十三館衆であったか」
忘れて久しい呼び名が頭上から聞こえて来た。
高義は頭を上げた。
いつの間に馬を寄せたのか、揚羽蝶の武者が目の前にいた。
武者は高義の顔を見て、にこりと微笑んだ。
「三村大掾左近将監春虎。人見殿の情けによりこうして生きながらえております。感謝申し上げる」
そう言うと馬を煽り軍列に戻っていった。
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