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9. 心臓が止まる程の驚き
しおりを挟む「もう少しで、WNCシステムを使った新しい世界を創り終わるからね。そしたら、家の中では、リードも、護衛もいらなくなるよ。」
「うん…??」
普通は、そうだよね?よく分からない。
「もう少し待ってて。」
向かい合って抱きしめられて、ほっぺとほっぺを合わせスリスリされた。
「ふふふ、くすぐったい。楽しみに待ってるね。」
内容は分からないけど、僕の為に、色々してくれているのは分かったから、「ありがとう。」と言っておいた。
「僕ばかり、たくさん貰っているから、僕からも陽ちゃんに、何かプレゼントしたいなぁ。」
「うふふ、それは楽しみだなぁ。じゃあ、学校を卒業したらお願いしようかな?」
二人で、抱き合い、僕は、顔を陽ちゃんの胸の辺りに押し付け、心臓の音を聞く。
陽ちゃんは、僕の頭にキスを何度も何度も落とす。愛しい気持ちが、溢れて、満たされていった。
そして、本当に、僕の番は、規格外に優秀な人だったんだ。ホント優秀過ぎるよぉ。
まさか、約束通り「世界」を創れるとはね。
Oh Fantasy(ネイティブっぽく発音してね。僕には出来ないけど。)
本当に、陽ちゃんは頭が良いんだね。びっくりしたよ。
行動力も、すごいんだよ。しかも、穏やかで優しくてカッコいい。
規格外に、優秀なアルファさんなんだ。
自由な世界をプレゼントするって、約束したけどさぁ。
将来、法律を変える運動をするのかなぁとか、そんな事考えてたよ。僕……。
***
今日は陽ちゃんが、仕事なので、朝から実家に帰って来ました。
久しぶりの、ママンのお食事を楽しんでいます。
食事中、壁の、スクリーンにニュースを付けた、僕と、ママンは、一瞬目を合わせ、無表情になり、しばらく食事の手を止めて、固まってしまった。
手だけじゃ無く心臓も止まるかと思ったよ。
ドーンと、スクリーンいっぱいに、陽ちゃんが写し出され、テロップには、「一の瀬社長生出演」と書いてあった。
『この度、スペースW社で開発された世界初の新素材を使ったーーーWNCシステムによる、番の為の 新空間の開発に、成功されましたが、新空間の家の販売は、番の為と言い切りーーーとの報道が入って来ました、この件に関して一の瀬社長は、販売にに際して条件をつけてーーー』
かっこいい。けど、難しい話をしているなぁ。チャンネルを変える事にする。
『こんなに自由に、ファッションを楽しめるのは「ICHINOSE」の、mugiシリーズのおかげでーーー』
「あっ、知ってる、この子、オメガの有名なインフルエンサーの子だ。」
夏のコーディネートを紹介しているインフルエンサーさんは、陽ちゃんのお母さんの、ファッションブランドの新シリーズ『mugi』を着て、何度も『mugi』を口にする。
「・・・。」
朝の情報番組は、どの局も、この二つの話題で持ちきりだった。
腐ってしまう病の乙女も言っていた。
『驚き過ぎると、冷静に成るよね。』って
『まさか、今日から、夏服だったとは。朝の学校の最寄り駅で気付いたんだけど、時既に遅し、でも、慌てていない風に取り繕った。』って。
この話にはまだ続きがあって、『ヤラカシちまった物は仕方ない、けれども、クラスで私とクソチーズの2人だけが冬服のままだった事が、何より辛い。』って。
冷静に、2人が並ばない様に一対にならない様、1日を過ごしたって。
驚き、焦り、そして冷静過ごしたって事だよね?
100年くらい前の乙女の世界では、言葉が独特なんだよね。「死ぬ」ってなったり、「爆死した」って成ることもあるし、嬉しくて「ハゲる」事もあるんだよ。
でもみんな安心して、このクソチーズとは、後でとても仲良くなるから。卒業後も、交流があったくらいね。
ええっと、現実逃避しちゃった。
あの日、陽ちゃんが、開発してあった素材を使って作った、オメガセット内蔵型の衣料シリーズは、主に、陽ちゃんのお母さん、百合子さんの、経営のブランドや、流通大手のお店で売り出しているらしい。
お問い合わせ殺到らしいよ。
オメガの皆んな、こんなの欲しかったよね。
全人口のおよそ2%未満しか存在しないオメガ性の人だけど、全人口の2%……えっと、つまり……まあまあいる。
いくら、少数派の性別の人向け商品でも、全オメガが欲しがれば?
そこそこ大きなマーケット(市場)なんだよね。
なのに今まで、誰も手掛けて来なかった分野なんだって。不思議だね。
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