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第二話 気になる彼は
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次の日の朝、俺は洗濯をしようと洗濯物を持って、洗面所にある洗濯機の方へ向かった。
初めて見る顔の男とすれ違った。
(もしかして、もう一人のルームメイトの人なのかな……)
「おはようございます」
「……」
彼は少し振り向いたが、寝ぼけていたのか何も言葉を交わすこともなく、自分の部屋に向かっていった。
俺は寝ぼけていたのだろうと思い、気にせず洗濯をしようと服を入れてスイッチを押した。不意に視界に入ってきたのは、洗濯機の横に黒い服のようなものが落ちていた。
「なにこれ?」
掴んでみると、黒のフレアのついた女性用のミニスカートだった。
もしかして、さっきの男の人の彼女のものかもしれない、そう思った俺は彼の部屋の扉をノックする。
「はい」
「あの、さっき洗濯物忘れませんでしたか?」
「え……?」
少し会話を交わした後、扉が開かれた。
やっぱりさっきの男の人が出てきた。
「間違ってたらすみません。これ、忘れてませんでしたか?」
俺は洗濯機の横に落ちていた、そのスカートを手渡した。
「……すみません」
彼は、困ったような恥ずかしがっているような表情をしていた。
「いえ、それと俺は隣に引っ越してきた、北次叶太です。よろしくお願いします」
「ああ……俺は波岡充です。お願いします。じゃぁ、ありがとうございました」
そう言うと、すぐに扉が閉められた。一言文句を言ってやろうと思ったのに、言う前に扉が閉められてしまった。でも、その波岡充というルームメイトは、なぜか既視感があった。
黒髪の少し癖っ毛のような髪にメガネ、一瞬だったけど、特に目の下のほくろに見覚えがあったからだ。
あと、昨日隣から聞こえた声に少し似ていたような……。
でも、似たような人はいくらでもいるだろうし、そんなことはないと思った。
洗濯を待つ間に、昨日買った惣菜パンを温め、目玉焼きを作った。それとインスタントのコーヒー。
リビングにあるテレビを見ながら、食事を済ませていく。
その時ガチャっと扉が開かれた。
「おはよ~」
「晃さん、おはようございます」
「おいしそうなもの食べてるね~」
「ああ、この惣菜パン初めて買ったんですけど、美味しいです」
「い~な~、俺何食べようかな」
「良かったらもう一個あるんで良かったら食べますか?」
「嬉しい~、朝ごはん買いに行こうかなって思ってたんだよね、助かる~」
「トースターで焼くので、待っててください。あと、インスタントで良かったらコーヒー飲みますか?」
「うん、ありがと~」
リビングには大きめのテーブルと4席分の椅子が置いてあり、晃さんは、俺の向かいの席に座った。
このテーブルとイスは晃さんの知り合いの人がインテリア会社に勤めていて、サンプルとしてもらったらしい。薄いベージュの木目が綺麗な木造りで落ち着きのあるテーブルとイス。
「お待たせしました」
「ありがと~。いただきます」
「口に合いますか?って自分が作ったわけじゃないんですけど笑」
「おいしいよ~!いやいや、叶太君のトースターの焼き方が上手なのもあるよ!」
「晃さんって褒めるの上手いっすね笑」
「そうかな~、本当に思ったこと言っただけなんだけどな~笑」
「そういえば晃さんって、どんな仕事してるんですか?」
「フリーの不動産業かな。でも、そんな大層なものじゃなくて、前に不動産会社に勤めてたツテで、その時の知り合いの人達から、何軒か依頼されて管理してるぐらいだけどね」
「そうなんですね」
「叶太君は、フリーのサウンドクリエーターだっけ?」
「そうです、曲も作ったりもしますけど、例えばCMのBGMとか作ってますね」
「そうなんだ~、すごいね!音楽関係の仕事するようになったきっかけとかってあるの?」
「大した理由はないんですけど、学生の時から音楽が好きで、あとインドアなんで一人で家でできる仕事がいいなって」
「僕もインドアだからわかる~!笑」
「そうなんですね笑」
「うん。あと朝早いのとかも苦手だから笑」
「わかります、一緒っすね」
不意にテレビで、昨日見たネットニュースが流れてきた。
「晃さんって、この華蜜って人知ってますか?」
「え……?あんまり知らないかな~。SNSとか疎くて」
「そうなんですね~」
(今、変な間があったよな……?気になるけど、知らないって言ってるし、気のせいか)
「叶太君は知ってる?」
「いや、詳しくは知らないんですけど、何となくルームメイトの波岡さんに似てません?」
「叶太君、充君に会ったんだね。でも、充君がその人と似てる、かな……?わかんないや」
(やっぱりなんか引っかかる言い方が気になるけど、聞いていいのかがわからない)
「変なこと言ってすみません。俺、洗濯してたの思い出したんで、干してきます。ゆっくり食べててくださいね」
「うん、ありがとう~」
俺は、食器を洗って片付けた後、洗濯物を取り入れて部屋に戻った。
さっきのことは、聞かない方が良かったのか……でも、まあ人のプライベートなことを他の人に聞くのは良くなかったのか……。そんなことを考えながら洗濯物を干していく。洗濯物を干し終えた後、パソコンを開き仕事を始めた。
「晃さん、おはようございます」
「充君、おはよ~」
食器を洗って片付けていると、さっきまで話してた彼がリビングに入ってきた。
僕は充君の秘密を知っているけど、口外しないでほしいと彼から頼まれていて、どうしても叶太君にはそのことを話せなかった。でもおそらく気づき始めていると思う。
「今日は仕事休みなの?」
「はい、久しぶりに日曜休みな気がします」
「そうなんだ、いつもお疲れさまだね~」
「ありがとうございます。土日は休みなはずなんですけど、トラブルがあれば駆り出されるし、休みなんてあってないような気がします……」
「大変だね……でもたしかにシステムって動かなくなったら、お店回らなくなっちゃうからね。重要な仕事なんだろうなと思うよ」
「ですかね~……」
そう言って、充は冷蔵庫からヨーグルトを取り出し、食べ始めた。
「じゃぁ、僕部屋戻るね~。今日はせっかくの休みだし、ゆっくり休みなよ~」
「はい、ありがとうございます」
俺達はそれぞれの一日を過ごして、その日は顔を合わせることはなかった。
初めて見る顔の男とすれ違った。
(もしかして、もう一人のルームメイトの人なのかな……)
「おはようございます」
「……」
彼は少し振り向いたが、寝ぼけていたのか何も言葉を交わすこともなく、自分の部屋に向かっていった。
俺は寝ぼけていたのだろうと思い、気にせず洗濯をしようと服を入れてスイッチを押した。不意に視界に入ってきたのは、洗濯機の横に黒い服のようなものが落ちていた。
「なにこれ?」
掴んでみると、黒のフレアのついた女性用のミニスカートだった。
もしかして、さっきの男の人の彼女のものかもしれない、そう思った俺は彼の部屋の扉をノックする。
「はい」
「あの、さっき洗濯物忘れませんでしたか?」
「え……?」
少し会話を交わした後、扉が開かれた。
やっぱりさっきの男の人が出てきた。
「間違ってたらすみません。これ、忘れてませんでしたか?」
俺は洗濯機の横に落ちていた、そのスカートを手渡した。
「……すみません」
彼は、困ったような恥ずかしがっているような表情をしていた。
「いえ、それと俺は隣に引っ越してきた、北次叶太です。よろしくお願いします」
「ああ……俺は波岡充です。お願いします。じゃぁ、ありがとうございました」
そう言うと、すぐに扉が閉められた。一言文句を言ってやろうと思ったのに、言う前に扉が閉められてしまった。でも、その波岡充というルームメイトは、なぜか既視感があった。
黒髪の少し癖っ毛のような髪にメガネ、一瞬だったけど、特に目の下のほくろに見覚えがあったからだ。
あと、昨日隣から聞こえた声に少し似ていたような……。
でも、似たような人はいくらでもいるだろうし、そんなことはないと思った。
洗濯を待つ間に、昨日買った惣菜パンを温め、目玉焼きを作った。それとインスタントのコーヒー。
リビングにあるテレビを見ながら、食事を済ませていく。
その時ガチャっと扉が開かれた。
「おはよ~」
「晃さん、おはようございます」
「おいしそうなもの食べてるね~」
「ああ、この惣菜パン初めて買ったんですけど、美味しいです」
「い~な~、俺何食べようかな」
「良かったらもう一個あるんで良かったら食べますか?」
「嬉しい~、朝ごはん買いに行こうかなって思ってたんだよね、助かる~」
「トースターで焼くので、待っててください。あと、インスタントで良かったらコーヒー飲みますか?」
「うん、ありがと~」
リビングには大きめのテーブルと4席分の椅子が置いてあり、晃さんは、俺の向かいの席に座った。
このテーブルとイスは晃さんの知り合いの人がインテリア会社に勤めていて、サンプルとしてもらったらしい。薄いベージュの木目が綺麗な木造りで落ち着きのあるテーブルとイス。
「お待たせしました」
「ありがと~。いただきます」
「口に合いますか?って自分が作ったわけじゃないんですけど笑」
「おいしいよ~!いやいや、叶太君のトースターの焼き方が上手なのもあるよ!」
「晃さんって褒めるの上手いっすね笑」
「そうかな~、本当に思ったこと言っただけなんだけどな~笑」
「そういえば晃さんって、どんな仕事してるんですか?」
「フリーの不動産業かな。でも、そんな大層なものじゃなくて、前に不動産会社に勤めてたツテで、その時の知り合いの人達から、何軒か依頼されて管理してるぐらいだけどね」
「そうなんですね」
「叶太君は、フリーのサウンドクリエーターだっけ?」
「そうです、曲も作ったりもしますけど、例えばCMのBGMとか作ってますね」
「そうなんだ~、すごいね!音楽関係の仕事するようになったきっかけとかってあるの?」
「大した理由はないんですけど、学生の時から音楽が好きで、あとインドアなんで一人で家でできる仕事がいいなって」
「僕もインドアだからわかる~!笑」
「そうなんですね笑」
「うん。あと朝早いのとかも苦手だから笑」
「わかります、一緒っすね」
不意にテレビで、昨日見たネットニュースが流れてきた。
「晃さんって、この華蜜って人知ってますか?」
「え……?あんまり知らないかな~。SNSとか疎くて」
「そうなんですね~」
(今、変な間があったよな……?気になるけど、知らないって言ってるし、気のせいか)
「叶太君は知ってる?」
「いや、詳しくは知らないんですけど、何となくルームメイトの波岡さんに似てません?」
「叶太君、充君に会ったんだね。でも、充君がその人と似てる、かな……?わかんないや」
(やっぱりなんか引っかかる言い方が気になるけど、聞いていいのかがわからない)
「変なこと言ってすみません。俺、洗濯してたの思い出したんで、干してきます。ゆっくり食べててくださいね」
「うん、ありがとう~」
俺は、食器を洗って片付けた後、洗濯物を取り入れて部屋に戻った。
さっきのことは、聞かない方が良かったのか……でも、まあ人のプライベートなことを他の人に聞くのは良くなかったのか……。そんなことを考えながら洗濯物を干していく。洗濯物を干し終えた後、パソコンを開き仕事を始めた。
「晃さん、おはようございます」
「充君、おはよ~」
食器を洗って片付けていると、さっきまで話してた彼がリビングに入ってきた。
僕は充君の秘密を知っているけど、口外しないでほしいと彼から頼まれていて、どうしても叶太君にはそのことを話せなかった。でもおそらく気づき始めていると思う。
「今日は仕事休みなの?」
「はい、久しぶりに日曜休みな気がします」
「そうなんだ、いつもお疲れさまだね~」
「ありがとうございます。土日は休みなはずなんですけど、トラブルがあれば駆り出されるし、休みなんてあってないような気がします……」
「大変だね……でもたしかにシステムって動かなくなったら、お店回らなくなっちゃうからね。重要な仕事なんだろうなと思うよ」
「ですかね~……」
そう言って、充は冷蔵庫からヨーグルトを取り出し、食べ始めた。
「じゃぁ、僕部屋戻るね~。今日はせっかくの休みだし、ゆっくり休みなよ~」
「はい、ありがとうございます」
俺達はそれぞれの一日を過ごして、その日は顔を合わせることはなかった。
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