秘密のルームシェア-君の素顔を教えて-

雨季

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第三話 夜の声

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これは、数日後の深夜1時頃のことだった。ガチャっと扉が開いた音がした。
一瞬、マンションの同じ階の違う部屋からの音かと思った。いや、でもこれは違う。
隣の部屋から、ドタっと何かが倒れる音がした。少し心配したが、仕事で寝不足なのもあって俺はもう一度寝ることにした。けど、寝られそうになかったため、スマホを触った。Xのトレンドに華蜜というタグがあった。それを見てみると、数日前に俺が見た黒のミニスカートの写真があった。
(え……?偶然だよな……?)
考えれば、考えるほど眠れなくなってきた。

「はぁ……はぁ……んぁっ」

スマホを見ながら、悶々としていると、隣からこの前の"あの"声が聞こえてきた。

「んんっ……おかしくなりそう……」

俺は気になって、左隣の部屋に少し耳を澄ませる。

「はぁ……これ、気持ち良すぎ……」

明日の朝、さすがに文句を言ってやろう。これのせいで余計に寝不足になるのは、さすがに迷惑だと思った。俺はイヤホンをしてその場をやり過ごし、布団に潜り無理矢理眠ることにした。

イヤホンのおかげで、いつの間にか眠れていたらしく、起きると陽が射していた。スマホの時計を見ると朝の6時だった。
寝覚めが悪く寝癖がひどかったため、シャワーを浴びることにした。シャワーを浴びるとやっぱりスッキリする。下はズボンを履き、肩にタオルをかけてドライヤーで髪を乾かしていく。その時、ガチャっと扉が開かれる音がした。

「え……?」
「悪かった……」
洗面所の扉の鍵が開いていたらしく、波岡さんが開けてしまったらしい。その扉はすぐに閉められた。波岡さんを引き止めないと話せないと思って、急いで服を着て声をかけた。

「波岡さん、もう俺ここ出るので使ってください」
「いや、あとで良い……。それよりも晃さんは?」
「そこの連絡ボードに一日急用で不在って書いてますけど、何か急ぎですか?」
「……そうなんだ」
「俺じゃできないことですか?」
「君に頼むのはちょっと……」
「できることだったらやりますよ」
「……じゃぁ、背中に日焼け止め塗ってほしいんだけど……。嫌だったら断ってくれていいんですけど……」
(背中に日焼け止め……?何かアウトドアでもするのか?)
「ああ、良いですよ」
「じゃぁ、日焼け止めとってくるので、待っててもらってもいいですか……?」
「波岡さん、俺がそっち(部屋)行ってもいいですか?」
「え、いや……散らかってるし」
「そうですか、じゃぁ待ってます」
「うん」

そう言うと、波岡さんは部屋に日焼け止めを取りに行った。
少しするとリビングに戻ってきて、日焼け止めを手渡した。

「これ、よろしくお願いします……」
「あの、それと敬語なしでもいいですか?俺達年齢も近いし、堅苦しいの苦手だから」
「わかった……」
「俺のことは叶太で良いよ。あと、上の服脱いでもらわないと背中に塗れないんだけど」
「え、ああ……」

そう言って服を脱ぐと見えたのは、華奢で陶器のような肌、でもしなやかさもあって、特に背中から腰にかけてのラインが綺麗だと思った。(なんで俺、こんなふうに思ってるんだろう……目の前にいるのは男なのに……)

リビングのイスに隣同士に座って、日焼け止めを塗っていく。
手に日焼け止めを取り、背中全体を滑らせていくように塗っていく。

「充さんって、アウトドアとかするんだ?」
「え?」
「いやだって、背中に日焼け止め塗るとかプールとか海以外で思いつかないから」
「ああ、まあそうだね、似たような感じかな……」
「なんか意外だね。肌が白いからインドアっぽいのに」
「焼けないように気をつけてるから」
(コスプレイベントでコスプレするからとかそんなこと言えない……)
「そうなんだ。だから、肌がこんなに綺麗なのか」
「そう、かな……」
「うん、てかアウトドア行くなら背中だけじゃなくて前も日焼け止め塗った方がいいよね?」
「え?いや、大丈夫。自分でやるから」
「あ、もう塗ってたわ」

そう言って日焼け止めを充さんのお腹や胸、腕に塗り広げていく。

「んぁっ……胸さわんなって……」
「へぇ~胸気持ちいいんだ?」
俺は充さんの胸の先端を優しく撫でたり上下に擦っていく。
「やめろって……んぁっ……無理ぃっ……」
「嫌じゃないでしょ。夜一人でこういうことやってるくせに」
「え、なんで……」
「だって全部聞こえてたから」
充さんの反応を見ながら俺は弾いたり引っ張ったり緩急をつけるようにいじめていく。
「んあぁっ…だめ……それ以上は……」
「ここでイっていいよ?」
「んぅっ…はぁ……イっ……くっ……」
「やばい……充さんかわいい好き……」
「ふざけんなよ、何言って……」
「本気だから。最初見た時から好きだったと思う」
「なにそれ。急に言われても今は無理……てか、体気持ち悪いからシャワーしてくる」
「ああ……うん」

充さんは、俺から目を背けて席を立ち、シャワーに向かって行ってしまった。前髪に隠れて表情は見えなかった。
(やりすぎて、嫌われた……?)
俺は、一人リビングに取り残される。充さんへの気持ちも取り残されたまま、スマホを眺めて待つことにした。スマホで何を見ても目に入ってこない。気を紛らわすためにテレビを見ても気が紛れない。そんなことをしていると30分程時間が経っていた。
(充さん、遅いな……)

その時、洗面所の扉から充さんが出てきた。シャワーの後だからか、いつもより無造作の髪に触れたいと思ってしまう……。でも、さっきみたいなことをして、嫌われるのは辛い。そう思っていると、気まずい空気を割くように、充さんは口を開く。

「悪いけどこの後用事あって、準備したら出かけるから」
「うん、わかった。俺こそさっきはごめん」
「別に、怒ってないから」
充さんは、そのまま目もあわせず部屋に入り支度を済ませた後、家を出て行ってしまった。
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