3 / 7
第三話 夜の声
しおりを挟む
これは、数日後の深夜1時頃のことだった。ガチャっと扉が開いた音がした。
一瞬、マンションの同じ階の違う部屋からの音かと思った。いや、でもこれは違う。
隣の部屋から、ドタっと何かが倒れる音がした。少し心配したが、仕事で寝不足なのもあって俺はもう一度寝ることにした。けど、寝られそうになかったため、スマホを触った。Xのトレンドに華蜜というタグがあった。それを見てみると、数日前に俺が見た黒のミニスカートの写真があった。
(え……?偶然だよな……?)
考えれば、考えるほど眠れなくなってきた。
「はぁ……はぁ……んぁっ」
スマホを見ながら、悶々としていると、隣からこの前の"あの"声が聞こえてきた。
「んんっ……おかしくなりそう……」
俺は気になって、左隣の部屋に少し耳を澄ませる。
「はぁ……これ、気持ち良すぎ……」
明日の朝、さすがに文句を言ってやろう。これのせいで余計に寝不足になるのは、さすがに迷惑だと思った。俺はイヤホンをしてその場をやり過ごし、布団に潜り無理矢理眠ることにした。
イヤホンのおかげで、いつの間にか眠れていたらしく、起きると陽が射していた。スマホの時計を見ると朝の6時だった。
寝覚めが悪く寝癖がひどかったため、シャワーを浴びることにした。シャワーを浴びるとやっぱりスッキリする。下はズボンを履き、肩にタオルをかけてドライヤーで髪を乾かしていく。その時、ガチャっと扉が開かれる音がした。
「え……?」
「悪かった……」
洗面所の扉の鍵が開いていたらしく、波岡さんが開けてしまったらしい。その扉はすぐに閉められた。波岡さんを引き止めないと話せないと思って、急いで服を着て声をかけた。
「波岡さん、もう俺ここ出るので使ってください」
「いや、あとで良い……。それよりも晃さんは?」
「そこの連絡ボードに一日急用で不在って書いてますけど、何か急ぎですか?」
「……そうなんだ」
「俺じゃできないことですか?」
「君に頼むのはちょっと……」
「できることだったらやりますよ」
「……じゃぁ、背中に日焼け止め塗ってほしいんだけど……。嫌だったら断ってくれていいんですけど……」
(背中に日焼け止め……?何かアウトドアでもするのか?)
「ああ、良いですよ」
「じゃぁ、日焼け止めとってくるので、待っててもらってもいいですか……?」
「波岡さん、俺がそっち(部屋)行ってもいいですか?」
「え、いや……散らかってるし」
「そうですか、じゃぁ待ってます」
「うん」
そう言うと、波岡さんは部屋に日焼け止めを取りに行った。
少しするとリビングに戻ってきて、日焼け止めを手渡した。
「これ、よろしくお願いします……」
「あの、それと敬語なしでもいいですか?俺達年齢も近いし、堅苦しいの苦手だから」
「わかった……」
「俺のことは叶太で良いよ。あと、上の服脱いでもらわないと背中に塗れないんだけど」
「え、ああ……」
そう言って服を脱ぐと見えたのは、華奢で陶器のような肌、でもしなやかさもあって、特に背中から腰にかけてのラインが綺麗だと思った。(なんで俺、こんなふうに思ってるんだろう……目の前にいるのは男なのに……)
リビングのイスに隣同士に座って、日焼け止めを塗っていく。
手に日焼け止めを取り、背中全体を滑らせていくように塗っていく。
「充さんって、アウトドアとかするんだ?」
「え?」
「いやだって、背中に日焼け止め塗るとかプールとか海以外で思いつかないから」
「ああ、まあそうだね、似たような感じかな……」
「なんか意外だね。肌が白いからインドアっぽいのに」
「焼けないように気をつけてるから」
(コスプレイベントでコスプレするからとかそんなこと言えない……)
「そうなんだ。だから、肌がこんなに綺麗なのか」
「そう、かな……」
「うん、てかアウトドア行くなら背中だけじゃなくて前も日焼け止め塗った方がいいよね?」
「え?いや、大丈夫。自分でやるから」
「あ、もう塗ってたわ」
そう言って日焼け止めを充さんのお腹や胸、腕に塗り広げていく。
「んぁっ……胸さわんなって……」
「へぇ~胸気持ちいいんだ?」
俺は充さんの胸の先端を優しく撫でたり上下に擦っていく。
「やめろって……んぁっ……無理ぃっ……」
「嫌じゃないでしょ。夜一人でこういうことやってるくせに」
「え、なんで……」
「だって全部聞こえてたから」
充さんの反応を見ながら俺は弾いたり引っ張ったり緩急をつけるようにいじめていく。
「んあぁっ…だめ……それ以上は……」
「ここでイっていいよ?」
「んぅっ…はぁ……イっ……くっ……」
「やばい……充さんかわいい好き……」
「ふざけんなよ、何言って……」
「本気だから。最初見た時から好きだったと思う」
「なにそれ。急に言われても今は無理……てか、体気持ち悪いからシャワーしてくる」
「ああ……うん」
充さんは、俺から目を背けて席を立ち、シャワーに向かって行ってしまった。前髪に隠れて表情は見えなかった。
(やりすぎて、嫌われた……?)
俺は、一人リビングに取り残される。充さんへの気持ちも取り残されたまま、スマホを眺めて待つことにした。スマホで何を見ても目に入ってこない。気を紛らわすためにテレビを見ても気が紛れない。そんなことをしていると30分程時間が経っていた。
(充さん、遅いな……)
その時、洗面所の扉から充さんが出てきた。シャワーの後だからか、いつもより無造作の髪に触れたいと思ってしまう……。でも、さっきみたいなことをして、嫌われるのは辛い。そう思っていると、気まずい空気を割くように、充さんは口を開く。
「悪いけどこの後用事あって、準備したら出かけるから」
「うん、わかった。俺こそさっきはごめん」
「別に、怒ってないから」
充さんは、そのまま目もあわせず部屋に入り支度を済ませた後、家を出て行ってしまった。
一瞬、マンションの同じ階の違う部屋からの音かと思った。いや、でもこれは違う。
隣の部屋から、ドタっと何かが倒れる音がした。少し心配したが、仕事で寝不足なのもあって俺はもう一度寝ることにした。けど、寝られそうになかったため、スマホを触った。Xのトレンドに華蜜というタグがあった。それを見てみると、数日前に俺が見た黒のミニスカートの写真があった。
(え……?偶然だよな……?)
考えれば、考えるほど眠れなくなってきた。
「はぁ……はぁ……んぁっ」
スマホを見ながら、悶々としていると、隣からこの前の"あの"声が聞こえてきた。
「んんっ……おかしくなりそう……」
俺は気になって、左隣の部屋に少し耳を澄ませる。
「はぁ……これ、気持ち良すぎ……」
明日の朝、さすがに文句を言ってやろう。これのせいで余計に寝不足になるのは、さすがに迷惑だと思った。俺はイヤホンをしてその場をやり過ごし、布団に潜り無理矢理眠ることにした。
イヤホンのおかげで、いつの間にか眠れていたらしく、起きると陽が射していた。スマホの時計を見ると朝の6時だった。
寝覚めが悪く寝癖がひどかったため、シャワーを浴びることにした。シャワーを浴びるとやっぱりスッキリする。下はズボンを履き、肩にタオルをかけてドライヤーで髪を乾かしていく。その時、ガチャっと扉が開かれる音がした。
「え……?」
「悪かった……」
洗面所の扉の鍵が開いていたらしく、波岡さんが開けてしまったらしい。その扉はすぐに閉められた。波岡さんを引き止めないと話せないと思って、急いで服を着て声をかけた。
「波岡さん、もう俺ここ出るので使ってください」
「いや、あとで良い……。それよりも晃さんは?」
「そこの連絡ボードに一日急用で不在って書いてますけど、何か急ぎですか?」
「……そうなんだ」
「俺じゃできないことですか?」
「君に頼むのはちょっと……」
「できることだったらやりますよ」
「……じゃぁ、背中に日焼け止め塗ってほしいんだけど……。嫌だったら断ってくれていいんですけど……」
(背中に日焼け止め……?何かアウトドアでもするのか?)
「ああ、良いですよ」
「じゃぁ、日焼け止めとってくるので、待っててもらってもいいですか……?」
「波岡さん、俺がそっち(部屋)行ってもいいですか?」
「え、いや……散らかってるし」
「そうですか、じゃぁ待ってます」
「うん」
そう言うと、波岡さんは部屋に日焼け止めを取りに行った。
少しするとリビングに戻ってきて、日焼け止めを手渡した。
「これ、よろしくお願いします……」
「あの、それと敬語なしでもいいですか?俺達年齢も近いし、堅苦しいの苦手だから」
「わかった……」
「俺のことは叶太で良いよ。あと、上の服脱いでもらわないと背中に塗れないんだけど」
「え、ああ……」
そう言って服を脱ぐと見えたのは、華奢で陶器のような肌、でもしなやかさもあって、特に背中から腰にかけてのラインが綺麗だと思った。(なんで俺、こんなふうに思ってるんだろう……目の前にいるのは男なのに……)
リビングのイスに隣同士に座って、日焼け止めを塗っていく。
手に日焼け止めを取り、背中全体を滑らせていくように塗っていく。
「充さんって、アウトドアとかするんだ?」
「え?」
「いやだって、背中に日焼け止め塗るとかプールとか海以外で思いつかないから」
「ああ、まあそうだね、似たような感じかな……」
「なんか意外だね。肌が白いからインドアっぽいのに」
「焼けないように気をつけてるから」
(コスプレイベントでコスプレするからとかそんなこと言えない……)
「そうなんだ。だから、肌がこんなに綺麗なのか」
「そう、かな……」
「うん、てかアウトドア行くなら背中だけじゃなくて前も日焼け止め塗った方がいいよね?」
「え?いや、大丈夫。自分でやるから」
「あ、もう塗ってたわ」
そう言って日焼け止めを充さんのお腹や胸、腕に塗り広げていく。
「んぁっ……胸さわんなって……」
「へぇ~胸気持ちいいんだ?」
俺は充さんの胸の先端を優しく撫でたり上下に擦っていく。
「やめろって……んぁっ……無理ぃっ……」
「嫌じゃないでしょ。夜一人でこういうことやってるくせに」
「え、なんで……」
「だって全部聞こえてたから」
充さんの反応を見ながら俺は弾いたり引っ張ったり緩急をつけるようにいじめていく。
「んあぁっ…だめ……それ以上は……」
「ここでイっていいよ?」
「んぅっ…はぁ……イっ……くっ……」
「やばい……充さんかわいい好き……」
「ふざけんなよ、何言って……」
「本気だから。最初見た時から好きだったと思う」
「なにそれ。急に言われても今は無理……てか、体気持ち悪いからシャワーしてくる」
「ああ……うん」
充さんは、俺から目を背けて席を立ち、シャワーに向かって行ってしまった。前髪に隠れて表情は見えなかった。
(やりすぎて、嫌われた……?)
俺は、一人リビングに取り残される。充さんへの気持ちも取り残されたまま、スマホを眺めて待つことにした。スマホで何を見ても目に入ってこない。気を紛らわすためにテレビを見ても気が紛れない。そんなことをしていると30分程時間が経っていた。
(充さん、遅いな……)
その時、洗面所の扉から充さんが出てきた。シャワーの後だからか、いつもより無造作の髪に触れたいと思ってしまう……。でも、さっきみたいなことをして、嫌われるのは辛い。そう思っていると、気まずい空気を割くように、充さんは口を開く。
「悪いけどこの後用事あって、準備したら出かけるから」
「うん、わかった。俺こそさっきはごめん」
「別に、怒ってないから」
充さんは、そのまま目もあわせず部屋に入り支度を済ませた後、家を出て行ってしまった。
1
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる