いつか死ぬのだから

ひゅん

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七月・私の高校時代の恋人みゆきとの再会

複雑な感情

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  私は、電車の到着を待っている間、スマホを取り出して、美由紀に蒲田駅への到着時間をラインで報せた。
 電車の到着を待っている間、ジンワリと額に汗をかいて痒くなって、左手で掻きむしった。この一連の動作が何とも情けないような気がしてやっきりしたが、誰も私のことを気にしてる者などいやしないのだということに気づき安堵する。

「私も十二時には着きそう」という美由紀からのラインメッセージが届いた。それを目にして、私はどこか満たされたような幸福な気持ちなった。と、同時に心にある感情が兆した。胸の奥でキラキラ光るものであった。
 美由紀から「久しぶりに会わない?」という誘いを受けたのが四日前であった。ちょうど大学の前期試験が終了する前の日のことだった。
 少し迷ったが、私は結局彼女と会うことにした。
 正直なところ、私には未練があった。陽子という彼女がいるにも関わらず、私は、美由紀との復縁をどこかで望んでいた。
 どちらの方が好きかというと、それは自分でもわからなかった。こういうことを言うと世間からバッシングに合いそうだが、好きにもいろいろある。美由紀とのことは、誰が何と言おうと途中なのだ。
 もちろん陽子とはこれまで供に道を歩んできた訳だけど、美由紀との関係の方が進んでいたのは事実である。殊にセックスに関しては……ただ、かなり複雑な感情を私は抱いている。みゆきは私を高校卒業間際に振ったのだ。自分がされたことを彼女にも味あわせてやりたい気持ちが正直あった。非常に妙な感情だけど、私は美由紀のことを、まだ愛している。
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