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二
正しい道
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「僕のお父さんが歴史好きで、僕に色々な本を買ってきてくれるんだ」
「星崎君のお父さん?」
「そう、僕のお父さんは宇宙工学の研究者なんだ」
「ケンキュウシャ?」
「そう、大学の先生なの」
あとで藤浪は両親に星崎のお父さんが大学で宇宙工学の教授であることを話すと「じゃあ、あの大学教授の星崎さんかな」と父親が言った。母親は「公務員住宅からいつもこの子のことを迎えに来てくれるのよ、星崎さんちのお子さん」と言った。藤浪は両親の口振りから星崎君のことがますます誇らしく思えてきた。
「お父さんが言っていたんだ。人間はね、強い人が生き残るんだって」
「強い人?」藤浪のイメージのなかに戦国無双のキャラクターが浮かんできた。
「そう、でも強い人はただ力こぶがあって全ての敵を打ち負かすことができる人じゃないんだって」
「どういうこと?」
「強い人は強運がある人だってお父さんが言っていた。強運がある人は精神が間違った方向に行かない人なんだって」
「間違った方向?」
「強くても織田信長や豊臣秀吉はどこか間違った方向に向かっていたのかもしれないって、最後に生きぬいた人は心が強くて最後のところで力が発揮できる人のことだって」
藤浪には若干難しくて、よくわからなかった。
「星崎君は歴史に詳しいんだなあ」と藤浪は感心した。
「ねえ今度、うちに遊びに来ない?」と星崎は言ってくれた「藤浪君のことをお父さんに紹介したい」
そういってもらえて藤浪はますます自信を持つことができた。自分は受け入れられている、という承認欲求が満たされて藤浪は自分の内面にも誇れるものがあるのだと思った。しかしそれが果たしてどういったものなのか藤浪にはよくわからなかった。それは実体がないもの、不確かなものであり星崎の藤浪への敬意によって藤浪は自分の中に何があるのかを考えることができた。それは自我の芽生えと共に自分を模索するきっかけともなった。
「星崎君のお父さん?」
「そう、僕のお父さんは宇宙工学の研究者なんだ」
「ケンキュウシャ?」
「そう、大学の先生なの」
あとで藤浪は両親に星崎のお父さんが大学で宇宙工学の教授であることを話すと「じゃあ、あの大学教授の星崎さんかな」と父親が言った。母親は「公務員住宅からいつもこの子のことを迎えに来てくれるのよ、星崎さんちのお子さん」と言った。藤浪は両親の口振りから星崎君のことがますます誇らしく思えてきた。
「お父さんが言っていたんだ。人間はね、強い人が生き残るんだって」
「強い人?」藤浪のイメージのなかに戦国無双のキャラクターが浮かんできた。
「そう、でも強い人はただ力こぶがあって全ての敵を打ち負かすことができる人じゃないんだって」
「どういうこと?」
「強い人は強運がある人だってお父さんが言っていた。強運がある人は精神が間違った方向に行かない人なんだって」
「間違った方向?」
「強くても織田信長や豊臣秀吉はどこか間違った方向に向かっていたのかもしれないって、最後に生きぬいた人は心が強くて最後のところで力が発揮できる人のことだって」
藤浪には若干難しくて、よくわからなかった。
「星崎君は歴史に詳しいんだなあ」と藤浪は感心した。
「ねえ今度、うちに遊びに来ない?」と星崎は言ってくれた「藤浪君のことをお父さんに紹介したい」
そういってもらえて藤浪はますます自信を持つことができた。自分は受け入れられている、という承認欲求が満たされて藤浪は自分の内面にも誇れるものがあるのだと思った。しかしそれが果たしてどういったものなのか藤浪にはよくわからなかった。それは実体がないもの、不確かなものであり星崎の藤浪への敬意によって藤浪は自分の中に何があるのかを考えることができた。それは自我の芽生えと共に自分を模索するきっかけともなった。
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