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第4章
何も出来ない日々と、決意
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こちらへ戻って、五日が過ぎた。
結界の修正と補強は、毎日一時間。
それ以上は、情けないけど、私の力がもたない。
無理をしたところで、翌日の結界の修正と補強に影響が出るだけだ。
「……今日は、ここまでで」
私の力の限界を感じ取って、リエット様がそう告げる。
その一言を聞くたび、
頭では納得しているはずなのに、
胸の奥に、うまく説明できないものが残った。
結界は、最初に来た時のひどい状態は、ぎりぎり脱している。
私が触れた分だけは、確かに少し持ち直している。
だから私は、
明日に備えて休むしかない。
――分かっている。
それでも。
結界の外では、今日もクロトさんたち騎士が戦っている。
脆くなった境界の縁で、
魔と向き合い、
剣を振るい、
傷を負いながら。
私が部屋に戻って、
何もせずに時間をぼんやり過ごしている間も、
彼らは、結界の弱い場所を埋めるように、
命を危険にさらして、仕事を続けている。
私にしかできない仕事がある。
それは、分かっている。
でも、その仕事は一時間で終わる。
残りの時間、
私は、安全な場所にいて、
何もしていない。
胸の奥に、
罪悪感が、少しずつ募っていく。
部屋に戻っても、
やることがない。
こちらの文字は読めないから、
本を開いても意味がない。
散歩だって、護衛の方たちの負担を考えたら、
頻繁にはできなかった。
私が必要とされている仕事は、
きちんとこなしている。
それでも、
どうにも落ち着かなかった。
――――――――――
金曜日の夜に日本へ戻り、
土曜日は、看護師として仕事をした。
救急外来は相変わらず慌ただしくて、
次から次へと患者が運ばれてくる。
声をかけて、
判断して、
手を動かしているうちに、
気づけば一日が終わっていた。
疲れていたはずなのに、
充実感が、はっきりと残った。
――ああ、私、ちゃんと人のために働いてる。
そんな実感を、
久しぶりに、はっきりと感じていた。
――――――――――
そして、日曜日の夕方。
またこちらへ戻る時間が近づくと、
正直、心が重くなった。
行きたくないわけじゃない。
戻りたくないわけでもない。
ただ――
戻ったあと、
私は、何をしていればいいのだろう。
また、あの罪悪感と向き合うのだろうか。
鏡の前に立つと、
向こうの世界では見せることのできない、ため息がこぼれた。
鏡に手を伸ばし、
静かに足を踏み入れる。
――――――――――
月曜日。
いつも通り、結界に触れる。
一時間、
縫って、補強して、
慎重に力を流す。
問題なく終わる。
――終わってしまう。
そのあと、
私はしばらく、その場を動けずにいた。
結界の外で戦う気配が、
かすかに伝わってくる。
……私、
何か、できないのかな。
答えは出ないまま、
廊下に出ると、
クロトさんが扉の前で待機していた。
「……あの。
クロトさんがお暇なときでよいので、
少しだけ、お話しする時間をいただけませんか?」
思い切って、
私は自分の現状について、相談する決意をした。
クロトさんは、一瞬だけ私の顔を見てから、静かに言った。
「……部屋で、お話ししますか」
断られなかったことに、
胸の奥で小さく息を吐く。
「はい。お願いします」
移動は短かった。
それでも、扉の前に立ったとき、
なぜか、心臓の音だけがはっきり聞こえた。
部屋に入ると、クロトさんは私の部屋にある椅子の背を引く。
「どうぞ。座ってください」
「……ありがとうございます」
椅子に腰を下ろしながら、
私はしばらく、言葉を探していた。
腰をおろして話したほうがいいと判断したのだろう。
クロトさんも、テーブルの向かいの椅子へと腰を下ろす。
相談したいことは、はっきりしている。
でも、なかなか声が出せない。
「……あの」
声が、少しだけ震える。
「結界の修正と補強は……
一日、一時間が限界ですよね」
「はい」
即答だった。
「それ以上は、負担が大きすぎます」
否定も、評価もない。
事実だけを告げる声。
「……分かっています」
一度、息を吸う。
「でも、そのあと……
私、何もしていなくて」
言葉が、少しずつほどけていく。
「騎士の方たちは、
毎日、結界の外で戦っているのに……
私は、安全な場所にいて、
待っているだけで」
クロトさんは、何も言わない。
遮らない。
視線も逸らさない。
「私にしかできないことがあるのは、分かっています。
それでも……」
そこで、言葉に詰まった。
無理を言おうとしている自分を、
はっきり自覚しているからだ。
それでも。
「……お願いがあります」
顔を上げる。
「王宮診療所で、
働くことはできないでしょうか」
一拍、間が落ちる。
「看護師として、です。
巫女としてではなく」
慌てて、言葉を足す。
「もちろん、結界の修正を最優先にします。
体調が悪いときは、無理もしません。
短時間でも……制限があっても構いません」
言えば言うほど、
自分が必死なのが分かる。
「ただ……
何もしない時間が続くのが、
少し、つらくて」
正直すぎたかもしれない、と思った。
「……それを、
上層部の方たちに、
伝えていただくことは……
できますか」
最後は、
ほとんどお願いだった。
クロトさんは、すぐには答えなかった。
視線を落とし、
ほんのわずか、考えるような間。
それから、静かに口を開く。
「判断は、私にはできません」
胸が、きゅっと縮む。
「ですが――」
一瞬、言葉を切る。
「あなたの希望を、
正確に伝えることはできます」
「ただ、条件や懸念点も含めて、
話し合いの場が必要でしょう」
私は、思わず頷いていた。
「……はい。それで、十分です」
クロトさんは、少しだけ姿勢を正す。
「ひとつ、確認させてください」
「はい」
「これは、
義務感からですか」
その問いに、
すぐには答えられなかった。
でも、やっぱり正直に答える。
「……違います」
少し考えてから、そう言った。
「皆さんの役に立ちたい、というのも嘘ではありません。
でも、何もしていないと、
私自身の居場所というか……
なんて言っていいのか、ない気がして」
自分勝手な理由だと、分かっている。
それでも、口にした。
クロトさんは、その言葉を聞いて、
短く告げた。
「分かりました」
「私から、神殿長へ話を通します。
正式な場で、検討してもらいましょう」
それ以上のことは、言わない。
でも、その一言で、
胸の奥に溜まっていたものが、
少しだけ、軽くなった。
「……ありがとうございます」
深く頭を下げると、
クロトさんは静かに答えた。
「礼を言われることではありません。
あなたが、ご自身で考えて出した希望です」
――――――――――
クロトさんが部屋を出ていったあと、
私はしばらく、その場から動けずにいた。
胸の奥に残っていた重たいものが、
完全に消えたわけじゃない。
でも、少しだけ形が変わった気がした。
――言えた。
それだけで、今日は十分かもしれない。
――――――――――
午後。
部屋でじっとしていると、
どうしても考えが内側に沈んでいく。
結界の修正は、もう終わっている。
次にやるべきことも、
今の私には、まだない。
その時、扉がノックされる。
「少し、よろしいでしょうか?」
クロトさんの声だった。
「はい、どうぞ」
扉が開いて、
クロトさんが入り口付近にそのまま立つ。
「……大丈夫ですか」
いつも通りの、静かな確認。
「はい。話したら、少しすっきりしました」
ほんの一瞬、間があってから、
クロトさんが言った。
「短時間でしたら……
散歩に出ますか?」
意外で、思わず瞬きをする。
「え……いいんですか?」
「城内の回廊までなら。
警備の動線上ですし、問題ありません」
“気分転換”という言葉を使わない、
クロトさんの気遣いが、ありがたかった。
「……お願いします」
――――――――――
並んで歩き出す。
外気は、さわやかで、
城の中庭に続く回廊は、人の気配が少なく、
風の音だけが、静かに流れている。
クロトさんが、
私のノロノロとした歩幅に
さりげなく合わせてくれているのが分かる。
「……あの」
私の方から、声を出していた。
「お忙しいのに、ありがとうございます」
「職務の範囲です」
即答だった。
「……それでも、です」
そう言うと、
クロトさんは否定しなかった。
中庭の端で、足を止める。
遠くで、訓練の音がかすかに聞こえた。
剣と剣がぶつかる、乾いた音。
思わず、そちらを見る。
「……皆さん、すごいですよね」
「はい」
「私、ああいう現場を見ると……
どうしても、自分は何もしていない気がしてしまって」
言葉にした途端、
少し恥ずかしくなる。
クロトさんは、しばらく黙っていた。
それから。
「何もしていない、ということはありません」
淡々とした声だった。
「あなたが結界を保っているから、
私たちは、あそこに立てている」
評価でも、慰めでもない。
ただの事実として告げる声。
それなのに、
胸の奥が、少しだけ温かくなった。
「……ありがとうございます」
そう言うと、
クロトさんは、わずかに視線を逸らした。
「そろそろ、戻りましょう」
「はい」
来た道を、並んで戻る。
会話はほとんどないけれど、
部屋に閉じこもっていたときより、
気分はずっと楽だった。
扉を開きつつ、
クロトさんが言う。
「無理は、なさらないでください」
また、その言葉だ。
私は、少しだけ笑った。
「……はい。ありがとうございます」
=天秤の上で=
その日の夕刻、
私は神殿からの正式な呼び出しを受けた。
理由は、分かっている。
分かっているからこそ、
足取りは自然と重くなった。
神殿長の私室ではなく、
指定されたのは――王城内の会議室だった。
これは、「相談」ではない。
「検討」の場だ。
________________________________________
会議室には、すでに人が揃っていた。
中央上座には、国王レオンハルト陛下。
その隣に、神殿長エルヴィーラ様。
反対側には、宰相マティアス様と軍務卿ローデリヒ様。
そして――
少し離れた位置に、白衣姿の男性が一人。
王宮診療所の責任者、
エルンスト・ハイネ医師。
視線が合った瞬間、
ほんのわずかに、彼の眉が動いた。
驚きでも、戸惑いでもない。
確認するような、落ち着いた目。
私は、軽く頭を下げる。
エルンスト医師も、
それに対して、ほんのわずかに頷いた。
――久しぶりですね。
言葉にしなくても、
それで十分だった。
看護師になってから、
私は何度か、彼と医療の話をしている。
この世界の治療と、
私の世界の医療知識の違いについて。
雑談の延長のようでいて、
どれも、現場では切実な話だった。
________________________________________
「本日の議題は一つだ」
国王陛下が、静かに口を開いた。
「巫女サクラの申し出について」
視線が、私に向く。
私はこの国の礼に則り、静かに頭を下げる。
「王宮診療所において、
看護師として従事したい、という希望が出されている」
神殿長が、淡々と補足する。
「巫女としての職務を損なわない範囲で、
という条件付きです」
_
「前例はないな」
口を開いたのは、宰相マティアス様だった。
感情の乗らない、事実確認の声。
「巫女は、国家管理下の存在だ。
職務外行動には、明確な線引きが必要になる」
「だが、現場の負担は確実に増えている」
軍務卿ローデリヒ様が続ける。
「負傷者は増加傾向だ。
診療所の人手が足りていないのも事実」
「まずは、前提を整理しよう」
宰相マティアス様が、落ち着いた声で続けた。
「サクラ殿は、
魔力による治癒や回復を行えない」
「はい」
私は、はっきりと答える。
「私にできるのは、
元の世界で行っていた、
魔力を伴わない医療行為のみです」
宰相は、わずかに頷いた。
「つまり、
巫女としての力を持ち込むものではない」
「であれば、診療所での立場は、
一般医療従事者、という認識でよいな」
「はい」
それは、私自身が強く望んでいることでもあった。
ここで、エルンスト医師が一歩、前に出た。
「補足を、よろしいでしょうか」
神殿長が、静かに頷く。
「サクラ殿とは、以前から面識があります」
「彼女が看護師になって以降、
異界の医療知識について、
何度か意見を交わしてきました」
一瞬、視線がこちらに向く。
「彼女の知識は、
魔力治療を前提とする我々の医療とは、
異なる視点を持っています」
「特に、戦傷者の初期対応や、
治療後の管理においては、
現場で有用と判断しています」
評価は簡潔で、
過剰な持ち上げはなかった。
「医療面での価値は、理解した」
軍務卿ローデリヒ様が、腕を組んだまま言う。
「だが――」
そこで、言葉を切る。
「問題は、そこではない」
会議室の空気が、
わずかに引き締まった。
「巫女が診療所に常駐する場合、
護衛体制をどうするか」
「結界外では、
騎士団が常に戦力を割かれている」
「城内警備にも、
余裕があるとは言えん」
視線が、
私ではなく、
クロトさんへ向けられる。
_
その視線を受けて、
クロトさんが一歩、前に出た。
「発言を、許可願います」
低く、よく通る声。
国王陛下が、短く頷く。
「述べよ」
クロトさんは、私を見ることなく、
正面を見据えたまま口を開いた。
「巫女サクラ殿の護衛は、
現在、私の管轄です」
「診療所勤務となれば、
移動回数、滞在時間、
接触人数が増える」
「その結果、
護衛負担が増大するのは事実です」
否定はしない。
言い訳もしない。
現場を預かる者としての、
率直な認識だった。
「ただし」
そこで、一拍置く。
「運用次第で、
負担を最小限に抑える余地はあります」
軍務卿ローデリヒ様が、眉を動かす。
「具体的には?」
「第一診療所を、
巫女専用の限定区域に設定し、
強固な結界を張ります」
「第一診療所から他の診療所への移動は、
原則として事前申告制とします」
「また、診療所滞在中は、
常時随行ではなく、
固定配置による警備体制へ切り替えます」
「結界を併用すれば、
一名の騎士の固定配置が可能と判断しています」
「それであれば、
護衛の増員は最小限に抑えられます」
会議室に、短い沈黙が落ちる。
制度。
現場。
安全。
負担。
すべてを天秤にかけている時間だった。
神殿長エルヴィーラ様が、静かに私を見る。
「サクラ様」
「これらの制限を受け入れた上で、
それでも、王宮診療所での従事を望まれますか」
私は、深く息を吸う。
「はい」
声は、思ったよりも落ち着いていた。
「自由に行動できる立場だとは、思っていません」
「制限があることで、
誰かの負担が少しでも減るなら、
なおさらです」
軍務卿ローデリヒ様が、
小さく息を吐いた。
「……覚悟は、あるようだな」
国王レオンハルト陛下が、ゆっくりと口を開いた。
「よろしい」
その一言で、
会議室の空気が、わずかに変わる。
「条件付きで、
巫女サクラの
王宮診療所での従事を認める」
会議室を出ると、
張りつめていた空気が、ようやく緩んだ気がして、やっと息ができた。
廊下に出たところで、
自然な流れのように、クロトさんが護衛につく。
「……お疲れさまでした」
労いというより、確認に近い声だった。
「ありがとうございます……正直、かなり緊張しました」
「でしょうね」
短く、それだけ。
歩き出すと、足音が静かに重なる。
城内の回廊は、もう夕暮れに差しかかっていた。
「制限が、多い判断になりました」
前を向いたまま、クロトさんが言う。
「……十分すぎるくらいだと思っています」
少し、間が空く。
「無理は、しないでください」
いつもの言葉に、自然に笑みがこぼれる。
「はい。気をつけます」
そう答えると、
クロトさんは、それ以上、何も言わなかった。
部屋の前に着く。
いつも通り、
護衛としての位置で立ち止まる。
「……今日は、ありがとうございました」
そう言うと、
クロトさんは、ほんの一瞬だけ視線をこちらに向けた。
「いえ」
それだけ。
扉を開け、振り返る。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
扉が閉まる。
部屋に戻ると、
どっと疲れが押し寄せた。
そのまま、ベッドに倒れこむ。
あれだけの重臣たちに囲まれれば、さすがに精神的な消耗もある。
それでも。
要望が通ったことで、これは――
どこか充実感のある疲れだと思えた。
結界の修正と補強は、毎日一時間。
それ以上は、情けないけど、私の力がもたない。
無理をしたところで、翌日の結界の修正と補強に影響が出るだけだ。
「……今日は、ここまでで」
私の力の限界を感じ取って、リエット様がそう告げる。
その一言を聞くたび、
頭では納得しているはずなのに、
胸の奥に、うまく説明できないものが残った。
結界は、最初に来た時のひどい状態は、ぎりぎり脱している。
私が触れた分だけは、確かに少し持ち直している。
だから私は、
明日に備えて休むしかない。
――分かっている。
それでも。
結界の外では、今日もクロトさんたち騎士が戦っている。
脆くなった境界の縁で、
魔と向き合い、
剣を振るい、
傷を負いながら。
私が部屋に戻って、
何もせずに時間をぼんやり過ごしている間も、
彼らは、結界の弱い場所を埋めるように、
命を危険にさらして、仕事を続けている。
私にしかできない仕事がある。
それは、分かっている。
でも、その仕事は一時間で終わる。
残りの時間、
私は、安全な場所にいて、
何もしていない。
胸の奥に、
罪悪感が、少しずつ募っていく。
部屋に戻っても、
やることがない。
こちらの文字は読めないから、
本を開いても意味がない。
散歩だって、護衛の方たちの負担を考えたら、
頻繁にはできなかった。
私が必要とされている仕事は、
きちんとこなしている。
それでも、
どうにも落ち着かなかった。
――――――――――
金曜日の夜に日本へ戻り、
土曜日は、看護師として仕事をした。
救急外来は相変わらず慌ただしくて、
次から次へと患者が運ばれてくる。
声をかけて、
判断して、
手を動かしているうちに、
気づけば一日が終わっていた。
疲れていたはずなのに、
充実感が、はっきりと残った。
――ああ、私、ちゃんと人のために働いてる。
そんな実感を、
久しぶりに、はっきりと感じていた。
――――――――――
そして、日曜日の夕方。
またこちらへ戻る時間が近づくと、
正直、心が重くなった。
行きたくないわけじゃない。
戻りたくないわけでもない。
ただ――
戻ったあと、
私は、何をしていればいいのだろう。
また、あの罪悪感と向き合うのだろうか。
鏡の前に立つと、
向こうの世界では見せることのできない、ため息がこぼれた。
鏡に手を伸ばし、
静かに足を踏み入れる。
――――――――――
月曜日。
いつも通り、結界に触れる。
一時間、
縫って、補強して、
慎重に力を流す。
問題なく終わる。
――終わってしまう。
そのあと、
私はしばらく、その場を動けずにいた。
結界の外で戦う気配が、
かすかに伝わってくる。
……私、
何か、できないのかな。
答えは出ないまま、
廊下に出ると、
クロトさんが扉の前で待機していた。
「……あの。
クロトさんがお暇なときでよいので、
少しだけ、お話しする時間をいただけませんか?」
思い切って、
私は自分の現状について、相談する決意をした。
クロトさんは、一瞬だけ私の顔を見てから、静かに言った。
「……部屋で、お話ししますか」
断られなかったことに、
胸の奥で小さく息を吐く。
「はい。お願いします」
移動は短かった。
それでも、扉の前に立ったとき、
なぜか、心臓の音だけがはっきり聞こえた。
部屋に入ると、クロトさんは私の部屋にある椅子の背を引く。
「どうぞ。座ってください」
「……ありがとうございます」
椅子に腰を下ろしながら、
私はしばらく、言葉を探していた。
腰をおろして話したほうがいいと判断したのだろう。
クロトさんも、テーブルの向かいの椅子へと腰を下ろす。
相談したいことは、はっきりしている。
でも、なかなか声が出せない。
「……あの」
声が、少しだけ震える。
「結界の修正と補強は……
一日、一時間が限界ですよね」
「はい」
即答だった。
「それ以上は、負担が大きすぎます」
否定も、評価もない。
事実だけを告げる声。
「……分かっています」
一度、息を吸う。
「でも、そのあと……
私、何もしていなくて」
言葉が、少しずつほどけていく。
「騎士の方たちは、
毎日、結界の外で戦っているのに……
私は、安全な場所にいて、
待っているだけで」
クロトさんは、何も言わない。
遮らない。
視線も逸らさない。
「私にしかできないことがあるのは、分かっています。
それでも……」
そこで、言葉に詰まった。
無理を言おうとしている自分を、
はっきり自覚しているからだ。
それでも。
「……お願いがあります」
顔を上げる。
「王宮診療所で、
働くことはできないでしょうか」
一拍、間が落ちる。
「看護師として、です。
巫女としてではなく」
慌てて、言葉を足す。
「もちろん、結界の修正を最優先にします。
体調が悪いときは、無理もしません。
短時間でも……制限があっても構いません」
言えば言うほど、
自分が必死なのが分かる。
「ただ……
何もしない時間が続くのが、
少し、つらくて」
正直すぎたかもしれない、と思った。
「……それを、
上層部の方たちに、
伝えていただくことは……
できますか」
最後は、
ほとんどお願いだった。
クロトさんは、すぐには答えなかった。
視線を落とし、
ほんのわずか、考えるような間。
それから、静かに口を開く。
「判断は、私にはできません」
胸が、きゅっと縮む。
「ですが――」
一瞬、言葉を切る。
「あなたの希望を、
正確に伝えることはできます」
「ただ、条件や懸念点も含めて、
話し合いの場が必要でしょう」
私は、思わず頷いていた。
「……はい。それで、十分です」
クロトさんは、少しだけ姿勢を正す。
「ひとつ、確認させてください」
「はい」
「これは、
義務感からですか」
その問いに、
すぐには答えられなかった。
でも、やっぱり正直に答える。
「……違います」
少し考えてから、そう言った。
「皆さんの役に立ちたい、というのも嘘ではありません。
でも、何もしていないと、
私自身の居場所というか……
なんて言っていいのか、ない気がして」
自分勝手な理由だと、分かっている。
それでも、口にした。
クロトさんは、その言葉を聞いて、
短く告げた。
「分かりました」
「私から、神殿長へ話を通します。
正式な場で、検討してもらいましょう」
それ以上のことは、言わない。
でも、その一言で、
胸の奥に溜まっていたものが、
少しだけ、軽くなった。
「……ありがとうございます」
深く頭を下げると、
クロトさんは静かに答えた。
「礼を言われることではありません。
あなたが、ご自身で考えて出した希望です」
――――――――――
クロトさんが部屋を出ていったあと、
私はしばらく、その場から動けずにいた。
胸の奥に残っていた重たいものが、
完全に消えたわけじゃない。
でも、少しだけ形が変わった気がした。
――言えた。
それだけで、今日は十分かもしれない。
――――――――――
午後。
部屋でじっとしていると、
どうしても考えが内側に沈んでいく。
結界の修正は、もう終わっている。
次にやるべきことも、
今の私には、まだない。
その時、扉がノックされる。
「少し、よろしいでしょうか?」
クロトさんの声だった。
「はい、どうぞ」
扉が開いて、
クロトさんが入り口付近にそのまま立つ。
「……大丈夫ですか」
いつも通りの、静かな確認。
「はい。話したら、少しすっきりしました」
ほんの一瞬、間があってから、
クロトさんが言った。
「短時間でしたら……
散歩に出ますか?」
意外で、思わず瞬きをする。
「え……いいんですか?」
「城内の回廊までなら。
警備の動線上ですし、問題ありません」
“気分転換”という言葉を使わない、
クロトさんの気遣いが、ありがたかった。
「……お願いします」
――――――――――
並んで歩き出す。
外気は、さわやかで、
城の中庭に続く回廊は、人の気配が少なく、
風の音だけが、静かに流れている。
クロトさんが、
私のノロノロとした歩幅に
さりげなく合わせてくれているのが分かる。
「……あの」
私の方から、声を出していた。
「お忙しいのに、ありがとうございます」
「職務の範囲です」
即答だった。
「……それでも、です」
そう言うと、
クロトさんは否定しなかった。
中庭の端で、足を止める。
遠くで、訓練の音がかすかに聞こえた。
剣と剣がぶつかる、乾いた音。
思わず、そちらを見る。
「……皆さん、すごいですよね」
「はい」
「私、ああいう現場を見ると……
どうしても、自分は何もしていない気がしてしまって」
言葉にした途端、
少し恥ずかしくなる。
クロトさんは、しばらく黙っていた。
それから。
「何もしていない、ということはありません」
淡々とした声だった。
「あなたが結界を保っているから、
私たちは、あそこに立てている」
評価でも、慰めでもない。
ただの事実として告げる声。
それなのに、
胸の奥が、少しだけ温かくなった。
「……ありがとうございます」
そう言うと、
クロトさんは、わずかに視線を逸らした。
「そろそろ、戻りましょう」
「はい」
来た道を、並んで戻る。
会話はほとんどないけれど、
部屋に閉じこもっていたときより、
気分はずっと楽だった。
扉を開きつつ、
クロトさんが言う。
「無理は、なさらないでください」
また、その言葉だ。
私は、少しだけ笑った。
「……はい。ありがとうございます」
=天秤の上で=
その日の夕刻、
私は神殿からの正式な呼び出しを受けた。
理由は、分かっている。
分かっているからこそ、
足取りは自然と重くなった。
神殿長の私室ではなく、
指定されたのは――王城内の会議室だった。
これは、「相談」ではない。
「検討」の場だ。
________________________________________
会議室には、すでに人が揃っていた。
中央上座には、国王レオンハルト陛下。
その隣に、神殿長エルヴィーラ様。
反対側には、宰相マティアス様と軍務卿ローデリヒ様。
そして――
少し離れた位置に、白衣姿の男性が一人。
王宮診療所の責任者、
エルンスト・ハイネ医師。
視線が合った瞬間、
ほんのわずかに、彼の眉が動いた。
驚きでも、戸惑いでもない。
確認するような、落ち着いた目。
私は、軽く頭を下げる。
エルンスト医師も、
それに対して、ほんのわずかに頷いた。
――久しぶりですね。
言葉にしなくても、
それで十分だった。
看護師になってから、
私は何度か、彼と医療の話をしている。
この世界の治療と、
私の世界の医療知識の違いについて。
雑談の延長のようでいて、
どれも、現場では切実な話だった。
________________________________________
「本日の議題は一つだ」
国王陛下が、静かに口を開いた。
「巫女サクラの申し出について」
視線が、私に向く。
私はこの国の礼に則り、静かに頭を下げる。
「王宮診療所において、
看護師として従事したい、という希望が出されている」
神殿長が、淡々と補足する。
「巫女としての職務を損なわない範囲で、
という条件付きです」
_
「前例はないな」
口を開いたのは、宰相マティアス様だった。
感情の乗らない、事実確認の声。
「巫女は、国家管理下の存在だ。
職務外行動には、明確な線引きが必要になる」
「だが、現場の負担は確実に増えている」
軍務卿ローデリヒ様が続ける。
「負傷者は増加傾向だ。
診療所の人手が足りていないのも事実」
「まずは、前提を整理しよう」
宰相マティアス様が、落ち着いた声で続けた。
「サクラ殿は、
魔力による治癒や回復を行えない」
「はい」
私は、はっきりと答える。
「私にできるのは、
元の世界で行っていた、
魔力を伴わない医療行為のみです」
宰相は、わずかに頷いた。
「つまり、
巫女としての力を持ち込むものではない」
「であれば、診療所での立場は、
一般医療従事者、という認識でよいな」
「はい」
それは、私自身が強く望んでいることでもあった。
ここで、エルンスト医師が一歩、前に出た。
「補足を、よろしいでしょうか」
神殿長が、静かに頷く。
「サクラ殿とは、以前から面識があります」
「彼女が看護師になって以降、
異界の医療知識について、
何度か意見を交わしてきました」
一瞬、視線がこちらに向く。
「彼女の知識は、
魔力治療を前提とする我々の医療とは、
異なる視点を持っています」
「特に、戦傷者の初期対応や、
治療後の管理においては、
現場で有用と判断しています」
評価は簡潔で、
過剰な持ち上げはなかった。
「医療面での価値は、理解した」
軍務卿ローデリヒ様が、腕を組んだまま言う。
「だが――」
そこで、言葉を切る。
「問題は、そこではない」
会議室の空気が、
わずかに引き締まった。
「巫女が診療所に常駐する場合、
護衛体制をどうするか」
「結界外では、
騎士団が常に戦力を割かれている」
「城内警備にも、
余裕があるとは言えん」
視線が、
私ではなく、
クロトさんへ向けられる。
_
その視線を受けて、
クロトさんが一歩、前に出た。
「発言を、許可願います」
低く、よく通る声。
国王陛下が、短く頷く。
「述べよ」
クロトさんは、私を見ることなく、
正面を見据えたまま口を開いた。
「巫女サクラ殿の護衛は、
現在、私の管轄です」
「診療所勤務となれば、
移動回数、滞在時間、
接触人数が増える」
「その結果、
護衛負担が増大するのは事実です」
否定はしない。
言い訳もしない。
現場を預かる者としての、
率直な認識だった。
「ただし」
そこで、一拍置く。
「運用次第で、
負担を最小限に抑える余地はあります」
軍務卿ローデリヒ様が、眉を動かす。
「具体的には?」
「第一診療所を、
巫女専用の限定区域に設定し、
強固な結界を張ります」
「第一診療所から他の診療所への移動は、
原則として事前申告制とします」
「また、診療所滞在中は、
常時随行ではなく、
固定配置による警備体制へ切り替えます」
「結界を併用すれば、
一名の騎士の固定配置が可能と判断しています」
「それであれば、
護衛の増員は最小限に抑えられます」
会議室に、短い沈黙が落ちる。
制度。
現場。
安全。
負担。
すべてを天秤にかけている時間だった。
神殿長エルヴィーラ様が、静かに私を見る。
「サクラ様」
「これらの制限を受け入れた上で、
それでも、王宮診療所での従事を望まれますか」
私は、深く息を吸う。
「はい」
声は、思ったよりも落ち着いていた。
「自由に行動できる立場だとは、思っていません」
「制限があることで、
誰かの負担が少しでも減るなら、
なおさらです」
軍務卿ローデリヒ様が、
小さく息を吐いた。
「……覚悟は、あるようだな」
国王レオンハルト陛下が、ゆっくりと口を開いた。
「よろしい」
その一言で、
会議室の空気が、わずかに変わる。
「条件付きで、
巫女サクラの
王宮診療所での従事を認める」
会議室を出ると、
張りつめていた空気が、ようやく緩んだ気がして、やっと息ができた。
廊下に出たところで、
自然な流れのように、クロトさんが護衛につく。
「……お疲れさまでした」
労いというより、確認に近い声だった。
「ありがとうございます……正直、かなり緊張しました」
「でしょうね」
短く、それだけ。
歩き出すと、足音が静かに重なる。
城内の回廊は、もう夕暮れに差しかかっていた。
「制限が、多い判断になりました」
前を向いたまま、クロトさんが言う。
「……十分すぎるくらいだと思っています」
少し、間が空く。
「無理は、しないでください」
いつもの言葉に、自然に笑みがこぼれる。
「はい。気をつけます」
そう答えると、
クロトさんは、それ以上、何も言わなかった。
部屋の前に着く。
いつも通り、
護衛としての位置で立ち止まる。
「……今日は、ありがとうございました」
そう言うと、
クロトさんは、ほんの一瞬だけ視線をこちらに向けた。
「いえ」
それだけ。
扉を開け、振り返る。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
扉が閉まる。
部屋に戻ると、
どっと疲れが押し寄せた。
そのまま、ベッドに倒れこむ。
あれだけの重臣たちに囲まれれば、さすがに精神的な消耗もある。
それでも。
要望が通ったことで、これは――
どこか充実感のある疲れだと思えた。
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