触手の館 ユズとの出会い

文字の大きさ
1 / 2

プロローグ

しおりを挟む
すごい雨だな。。

バケツをひっくり返したように、大粒の雨が館の窓を打ち付けている。
その窓辺に立つ、一人の男。この館の主、名を塵(じん)という。

山奥にひっそりと佇むこの洋館は、里の者も気味悪がって近づく者はない。
人とあったことなど、しばらくなかった。


ピカッ!!! ゴゴゴゴゴゴォォォォォ!!
時折光る雷光、低く轟く雷鳴。

(ん?)
その雷光に照らされ、庭の木の上に何かの影を見つけた。
気のせいかとも思った。
目をこらしても、雨でよく見えない。

お前…見えたか?

話掛けるのは、私の後ろで鎌首を上げるようににょろっと立つ
…………一匹の触手。
先端を左右に振り、(え?何もみえなかったよ)と言いたげに、私の方を向く。

ん~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

眉間にシワを寄せ、首をかしげ、深く考え込む。

弾けたように、「傘!!!」と叫び、小走りに階段を降り玄関に向かう。
その後ろを一生懸命に走る触手君。玄関で傘を取ると、器用に傘を開き、私と相合傘状態で庭へ。

…………お前は濡れてもいいんじゃないか?(どうせ、粘液で濡れてるんだし)

(冷たいな、ご主人様は)
というような雰囲気をかもしつつ、一歩後ろへ下がる。

影を見た木の下へたどり着くと、上の方を見上げる。
そこには、まだ年端もいかない少女が、ずぶ濡れで木の枝に腰かけていた。

おーーーい
そんなところで何やってんのー?よかったら、降りてきてくれないかなぁ

声をかけると、少女がすっと下を向き、唇が小さく動く。
・・・・・・やっとあえた

その瞬間、少女の身体がふらつき…………

気が付けば手を伸ばしていた。
少女を受け止めようと、走り出していた。

(でも…………間に合わない………!!!)

ぷにゅんっ

いつの間にか一歩前へ出ていた触手君が、少女の下敷きとなっていた。
(う゛っ  というような顔の)触手君には触れず、少女をやさしく抱きかかえると、

大丈夫かい?

抱きかかえる手が温かい。
少女のぬくもり…?違う……血だ…

全身びしょびしょに濡れていて、さらに背は血で真っ赤に染まっていた。
おでこに手を当てれば、熱い。こんな大けがをすれば、それは熱も出るだろう。

少女を抱え、急いで館に戻る。

いくつかある来客用の寝室の1つに彼女を寝かせ、びしょぬれの服を脱がせてタオルでやさしく拭いてあげる。
白く華奢な身体…
膨らみかけの小さな胸…
あどけなさが残る顔…

(はっきり言って、美少女だ…)
と、心を見透かしてやったようなドヤ顔っぽい表情で、私の顔を見上げる触手君。

コツンと先端を一発殴ってやると、そそくさと部屋から出ていく。

そんなことより……
真剣な表情をし、少女の身体に毛布を掛けながら、少女の身体を横向きにして、血が出ていた背中を見る。
左右の肩甲骨あたりから、腰の上のあたりまで、縦に二本の大きな傷跡。血が滲んでいる。

丁寧に消毒と止血をして、そっと仰向けに戻すと、額や顔の汗を拭きとってあげる。

苦悶の表情を浮かべる少女を見つめながら…
(彼女はいったい…。それにさっき…「やっとあえた」って…)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

姫騎士とオークの新婚家庭に悩みは尽きない

葦原とよ
恋愛
女だてらに王城勤めの近衛騎士であるフレイヤと、生真面目なオークの植物学者のゲルハルト。種族の「普通」から外れた二人は、それはそれは仲の良い夫婦だった。 けれども二人には真剣な悩みがある。 ゲルハルトのものが大きすぎて入らない。 それは当人たちにとっては非常に悩ましい問題だった。 ある日、フレイヤは友人のフレデリカからサキュバスの営む魔法香油店には『夜の魔法香油』があると聞き、喜び勇んでゲルハルトを連れて店に行くことに… ——— オムニバス形式の『魔法香油』シリーズです。 単体でも読めますが、『ヒルダの魔法香油店』を先に読まれると、より楽しめるかと思います。 この作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件

楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。 ※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...