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第1話(B)
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ここはスピカの泊まっている宿屋の一室。
部屋に「ピロンポン」と音が鳴る。
木製の机と白いクローゼットがあり、黄緑色のカーテンが閉まった部屋でベッドに腰を下ろしていて、ベージュ色のスリッパは履かずに下にあって、青色のペディキュアをした素足でおり、白いレースにフリルの付いてるネグリジェを着て、ストレートロングヘアーの艶やかな銀色の髪を下ろしているスピカ。
彼女は右手に持つ黒いシマートホンを見ている様子。
そのシマートホンに映っているトーク画面には、可愛い小熊のキャラクターアイコンでチャットが届いていた。
〈明後日、ライブをするので10時に
良ろしければジュリアーヌ広場に
見に来て頂けたら嬉しいです! 〉
画面に「ポン」と書き込まれた返信。
〈見に行くわ。楽しみにしてるわね〉
*
翌日の広場では、衣装を着てヘッドセットマイクを付けたポラリスが歌っており、衣装はピンクのラナンキュラスの花をモチーフにした髪飾りと腰回りの花の装飾で、ピンク色のティアードスカートに白いニーソックスと白のブーツを履いている。
広場にはファンと言い応援してくれているカペラと、アイドルに憧れている幼女のラナに付き添う母親クルサの親子の姿、ライブを見学している人達は男女合わせて15人広場に集まって居て、その中にスピカの姿もある。
そしてポラリスが次の曲を歌い始める。
「憧れて歩き始めた夢の道
それは遠くて長く果てしなく
同じ景色がずっと巡ってた」
スピカは思い出す、桜散る春にお屋敷の門を出て旅を始めた頃は、まだ道も分からなくて町でよく迷っていた記憶。
「私がどこに居てどこへ向かうのか
誰に訊いてもわからない
確かな事はただ一つ
歩いていれば進んでる」
これから先どうなるのかわからない不安を抱えながら一人で旅をして、広場で毎日行商して、通りを歩く親子に母の面影を浮かべては、曇り空の下で泣いていたスピカの記憶。
「今日までの日々は宝物
夢に近付く一歩踏み出そう
諦めなんて辞めないで
続けたその先に光がある」
母との日々は宝物、迷った旅路も諦めずに歩き続けた。
カペラ、ラナ、クルサ、スピカが、観客の前で明るい歌声とダンスを披露するポラリスを見つめ、スピカは瞳をキラリと潤ませる。
「憧れを目指し進む夢の道
理想通りにはいかなくて
何度も挫けて心見失い
悔し涙に足を止めていた」
ピンク色の衣装を両手で握って、部屋の床に座り込んで泣いていたポラリスの記憶。
「それでもみんなの声がする
一人じゃないから進めるよ」
脳裏に浮ぶのはアイドルを応援してくれたお母さんとお父さん、勇気をもらえたと町で声を掛けてくれたカペラ、憧れてくれたラナと見守ってくれているクルサ、そして自信の無かった自分に言葉をくれたスピカの顔。
「今日までの日々にありがとう
夢を目指して元気を届けよう
一人一人の応援で
繋げたその先に未来がある」
「続けたその先に光がある」
ポラリスは思った。
自分に魅力がないなんて思わなくていい、
一人一人に魅力があって、傍に居てくれる人がいる。
例え今が辛くても、明日へ歩き続けたら、その先の出会いが待っている。
もしかしたらそこには、喜びも新しい発見もあるかも知れない、
だから前に向かって、今を生きよう。
高々と晴れた青い空に、人指し指を上げるポラリス。
その表情は1番星、
満天の笑顔が輝いていた。
第1話(完)
部屋に「ピロンポン」と音が鳴る。
木製の机と白いクローゼットがあり、黄緑色のカーテンが閉まった部屋でベッドに腰を下ろしていて、ベージュ色のスリッパは履かずに下にあって、青色のペディキュアをした素足でおり、白いレースにフリルの付いてるネグリジェを着て、ストレートロングヘアーの艶やかな銀色の髪を下ろしているスピカ。
彼女は右手に持つ黒いシマートホンを見ている様子。
そのシマートホンに映っているトーク画面には、可愛い小熊のキャラクターアイコンでチャットが届いていた。
〈明後日、ライブをするので10時に
良ろしければジュリアーヌ広場に
見に来て頂けたら嬉しいです! 〉
画面に「ポン」と書き込まれた返信。
〈見に行くわ。楽しみにしてるわね〉
*
翌日の広場では、衣装を着てヘッドセットマイクを付けたポラリスが歌っており、衣装はピンクのラナンキュラスの花をモチーフにした髪飾りと腰回りの花の装飾で、ピンク色のティアードスカートに白いニーソックスと白のブーツを履いている。
広場にはファンと言い応援してくれているカペラと、アイドルに憧れている幼女のラナに付き添う母親クルサの親子の姿、ライブを見学している人達は男女合わせて15人広場に集まって居て、その中にスピカの姿もある。
そしてポラリスが次の曲を歌い始める。
「憧れて歩き始めた夢の道
それは遠くて長く果てしなく
同じ景色がずっと巡ってた」
スピカは思い出す、桜散る春にお屋敷の門を出て旅を始めた頃は、まだ道も分からなくて町でよく迷っていた記憶。
「私がどこに居てどこへ向かうのか
誰に訊いてもわからない
確かな事はただ一つ
歩いていれば進んでる」
これから先どうなるのかわからない不安を抱えながら一人で旅をして、広場で毎日行商して、通りを歩く親子に母の面影を浮かべては、曇り空の下で泣いていたスピカの記憶。
「今日までの日々は宝物
夢に近付く一歩踏み出そう
諦めなんて辞めないで
続けたその先に光がある」
母との日々は宝物、迷った旅路も諦めずに歩き続けた。
カペラ、ラナ、クルサ、スピカが、観客の前で明るい歌声とダンスを披露するポラリスを見つめ、スピカは瞳をキラリと潤ませる。
「憧れを目指し進む夢の道
理想通りにはいかなくて
何度も挫けて心見失い
悔し涙に足を止めていた」
ピンク色の衣装を両手で握って、部屋の床に座り込んで泣いていたポラリスの記憶。
「それでもみんなの声がする
一人じゃないから進めるよ」
脳裏に浮ぶのはアイドルを応援してくれたお母さんとお父さん、勇気をもらえたと町で声を掛けてくれたカペラ、憧れてくれたラナと見守ってくれているクルサ、そして自信の無かった自分に言葉をくれたスピカの顔。
「今日までの日々にありがとう
夢を目指して元気を届けよう
一人一人の応援で
繋げたその先に未来がある」
「続けたその先に光がある」
ポラリスは思った。
自分に魅力がないなんて思わなくていい、
一人一人に魅力があって、傍に居てくれる人がいる。
例え今が辛くても、明日へ歩き続けたら、その先の出会いが待っている。
もしかしたらそこには、喜びも新しい発見もあるかも知れない、
だから前に向かって、今を生きよう。
高々と晴れた青い空に、人指し指を上げるポラリス。
その表情は1番星、
満天の笑顔が輝いていた。
第1話(完)
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