安全第一異世界生活

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コルドナ辺境拍領

183話 討伐作戦決行と後方支援の調理隊

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山の頂からは、徐々に陽が昇り、太陽の光が山肌を照らし始める。
そんな早朝に、コルドナの街の門前で大勢の人たちが集まり5つの隊に分かれている。
冒険者や騎士たちが整列して、皆一様にキリッとしている、気合いが入った顔。戦う前の戦士の顔だ。
街の住民たちは今日は外壁の上からの応援が出来る様になっている。ただし飛び道具や魔法を使うモンスターが出る場合は外壁上の観覧は中止になるが、今回は、街を覆う外壁越しの結界を起動しているので外壁内は安全と言える。
そうこれからスタンピード、魔物の大反乱を崩す作戦を決行するのだ。もちろん街にも騎士や、冒険者を残し対処するようになる。

今回の討伐は5つの隊に別れている。
まず先行隊、先に森に入り情報を伝えながら魔物の間引きをある程度終わらす隊。トーさんは先行隊に入っている。スキル的に最適だと思う。
次に、討伐隊。メイン戦力、メイン火力はココ。パワー重視、脳筋が集まる。腹黒はここに入っているらしい。そうか…まぁそうだろうな。本部の方には副ギルドマスターのリオーナさんが居るんだって。
そして、辺境名物らしい回収解体隊。討伐された魔物をササッと回収して、素材が傷まないうちに解体し、素材、食材にきれいに振り分ける。そこで分けられた食材が次の、調理隊に来る。私は此処に配属された。
調理隊はスタンピードに出ている、冒険者、騎士達皆の胃袋を掴みにかかる!街中に店を出している各お店の店主、調理スタッフたちがこの隊には集結している。もちろん、女性も多くて宿屋『青葉のウサギ』の店主のマアサさんもいた。
後方支援隊、けが人の治療、武具の破損修理修繕、新たな武器の提供、出来上がった料理の運搬。ここにナギ師匠と、マルシェで知り合った道具屋の親父さんが居る。ナギ師匠は治癒、治療班、道具屋の親父さんは武具の破損修理班に配属されている。隊分けの確認をしていると、声がかけられた。

「カナメ!行ってくる。ウハハ、コー、カナメの事頼むな」

私の頭を大きな手でグリグリなでて笑ったトーさんは、三角巾に変化しているウハハとコーくんに声を掛け

「ウハハ」

「トーも気を付けるのだぞ」

元気よく返事をした二人にも手を振り、少人数の先行隊は森に入って行った。先行隊からの連絡が入り次第今度は討伐隊が森に入っていく。
先行隊は、冒険者でも斥候を担当している人が主に構成されている。後は諜報活動にたけている辺境伯の私兵の方も此処に居るが、問題なく皆強いらしい、あくまで先行隊は森の情報を見てどこから入るのか、予定通り行けるのか、モンスターの種類によって人数の振り分けの確認の為である。トーさんに至ってはスキルを使ってモンスターを回収して、物理的に数を減らすことが出来るチートスキルがあるので、討伐隊の負荷になり過ぎない数に調整できる。トーさん最強説が私の頭の中で出来上がっている。
いつもより肌が泡立つ感じのジャルノ森を見据え、私も気合を入れ、調理隊へと向かった。

***

辺りにはパン屋さんから仕入れてきたバンズの良い匂いが広がっている。第一陣で出た討伐隊と、第ニ陣討伐隊との入れ替えがもうすぐ行われる。一陣の討伐隊が戻ってくる前に一気に仕上げていく。
仮設の青空食堂みたいな感じで、各担当者が長机をはさんでトレーに食事を渡していく。食べるところも長机と折り畳みの出来る椅子が設けられ、どこかのイベントでの大きな食堂みたいになっている。
もちろん青空食堂に入る前に、水魔法使いが、討伐隊を水洗いして、風魔法使いが乾かすという荒業で皆をきれいにしていっている。

武具の調整や修繕が必要な者は、食事の前にその班に預けに行ってから食事に並ぶ。
そして参加者がトレーをもって入口から並ぶと、保水ポーション入りのドリンクを担当者が必ず置いて水分補給を促す。次に柔らかい丸パンとハードタイプの丸パン。好きな方を選んで、食べれる数言ってトレーに置いてもらえる。次に生野菜サラダ、ポテトサラダ、野菜マリネがあり、好きなサラダが小皿に入れられているのでお好みのお皿をトレーに置いていく。メインはオーク肉のミルクシチュー。
シチューの中にはゴロゴロと第一陣の討伐隊が狩ったオーク肉が入ったミルクシチュー。今回は冒険者が良くいく食堂『筋肉亭』の店主さんが味を調整したのでお代わり必須になっている。何べん並んでも大丈夫。全部お代わり自由。 ただし休憩後また討伐に行くので動けないような食べ方はやめる事!というのが暗黙の了解らしい。
私は今日の晩御飯の為のコッコ鳥の唐揚げの仕込みをしながら、ベテランの料理人たちの動きに感動していた。無駄がない。

「凄い皆さんかっこいい」

私がついつい漏らしてしまった、その言葉は思ったより周りに聞こえていたらしく、少し離れていた所に居たマアサさんと目が合って、笑われてしまった。恥ずかしい。
私が照れて真っ赤になった頬を冷ますように、ニンニクのすりおろしに集中している時、周りの料理隊の皆は、微笑ましく私を見る姿の人と、拳を上げて「よっしゃお前らやるぞぉ!!」っと大きな声で気合いを上げてる方々に分かれていた。
その声をBGMにしながら、皆さん元気だな。私も見習おうと再度気合いを入れたのであった。
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