ダンマス(異端者)

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第282話 レッツピクニック

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 ピクニックに行くことが決まりお弁当を作りにキッチンへ向かう。中では慌ただしくシルキーやブラウニーたちが料理を作っていた。

「スカーレット、ちょっといいかな? これからこの娘達と山の中腹にある綺麗な花が咲いてるところにピクニックに行くから、お弁当作りに来たんだけどキッチンを少し借りていいかな?」

「お弁当ですか? ちょうど試作していた料理でよければいくらでも持っていけますよ? あ、試作とはいえ完成に近いものたちですので、ご主人様の期待を裏切らない味に仕上がっていると思います」

「あ~それも魅力的ではあるんだけど、この娘たちと一緒にお弁当を作って行きたいなって、思ってるんだよね。ちなみに、どんな料理があるのかな?」

「えっと、唐揚げにチキン南蛮、肉巻きアスパラ、ポテトサラダにひじきの煮物、きんぴらごぼうあたりがお弁当として持っていくのに問題ないかと思います。ほうれん草の胡麻和えや卵焼きに竹輪キュウリ、サンドイッチをみんなで作ってはいかがですか? お米も炊いてありますのでおにぎりも作れますね」

「そうだな。手の込んだものを一から作るのは時間がかかるもんな。おかずの方は今言ったのを詰めてもらっていいかな? 提案してくれたのをみんなで作ることにするよ。

 サンドイッチなら色々挟めるからバリエーションも豊富だしな。他にも簡単に作れそうな物があったら、こらないでいいからパパッと作ってもらっていいかな?」

「かしこまりました。後、マリー、ライラ、メアリーからシーチキンで納得する味ができたので、試作品が送られてきてます。ぜひ使って料理をお願いします」

 あの三人、そんなものまで作っていたのか? んっ? ちょっとまてよ。缶詰を作ったってことか? 誰がどうやって? 俺だって一応作り方は知ってるよ。でもな、機械で作ってるあれしか知らないんだよ。そもそも機械もなしに手作りでできるもんなのか?

 年少組の妻たちとサンドイッチの具材を色々決めながら作っている時に、詳しそうだったみどりに話を聞いてみると、色々教えてくれた。

 まずは、無い胸を張ってシーチキンは私が主導でこの土地にあった魚を使って作ったんです!と言って最後にドヤ顔をしていた・・・小さい体なのでとっても微笑ましいドヤ顔だな。グリエルとかがドヤ顔したら張り倒す自信がある。

 で、シーチキンができたなら缶詰は必須でしょうと三人娘が缶詰を作ることを提案したそうだ。ミドリのシーチキンはすぐに食べる事を前提に作られているため、缶詰のシーチキンとは違ったようで、納得いく味になるように試行錯誤をしていたようだ。

 試作をしている合間に缶詰を作る機械の開発を行ったそうだ。筒状にするところは問題が無かったが蓋をつける際にかなりの苦労をしたそうだ。缶詰をDPで召喚しても分からなかったそうで、小型の缶詰を作る機械を召喚して研究を行って手動でてこの原理を利用して作れるようにしたとの事だ。

 空気を入れないようにするのに苦労したそうだがしっかり完成にこぎつけたのだからすごいとは思う。DPで缶詰を作る機械を召喚したなら、それを基に魔道具を作ればいいのではと思ってしまった。

 みどりからそんな疑問を持っている顔をしていますねと、ドンピシャで突っ込まれて冷や汗をかいた。一応魔道具でも作ったけど、油の量や加工する際に魔道具だとどうしても空気が入ってしまうため断念して、今は缶詰が作れることを優先したという事を聞いて、なるほど! と納得してしまった。

 お弁当もできたので出発をしようとしたところ、アマレロにあそこに行くのでしたら近くに、ハニービーの巣があるので一つ取ってきてほしいと言われた。巨大蜜蜂か、ビジュアル的に虫の大きいのってサブイボが出てしまう程生理的に嫌な奴もいるのだ。

 このハニービーはビジュアルよりその羽音がきついタイプだった。頼まれたものは仕方がないのでみんなと一緒にハチの巣取りに行ってこよう。

 ガッツリ戦闘することになりそうだったので、装備を準備しているとシュリもやってきて試食が終わったのでついていきますと同行することになった。お前さん、十五分前くらいに食堂で十人前くらいある料理を目の前にしてたよな?

 シュリがついてくることになったので、壁を任せられるようになったので準備した意味がなくなったねと年少組に言うと、ご主人様は私たちが絶対守るから何の問題もないと言われてしまった。年下の女の子に守られる男、外から見たらゲスの極みに思われてもしょうがない事案が発生していた。

 山を上っていくと微かにかかっていた雲が完全に消えて晴天となった。いい陽気だな、ハニービーを倒しに行かないといけないのは若干憂鬱だけど、おいしいお菓子に使える甘味が手に入るのだ我慢できるってもんだ。

 ただ今回はハチミツではなく巣蜜としてハニカム構造をしているあの部分まで余さず使うために巣をとってくることになっているのだ。巣蜜は喉に良いと言われているプロポリスが多く、ハチミツとは違った食感と味わいの物が作れるそうなのだ。

 食事の前にハニービーの巣を取りに行くのはさすがに嫌だったので、山の中腹についたら景色をしばらく楽しんで、大きめの木の下の日陰に行って弁当を広げて昼食をすることになった。みんなと作った事もあるし、シルキーに胃袋を把握されているためめっちゃうまかった! やっぱりあの精霊色々怖いな。

 腹ごなしの運動も終わったので本日のメインディッシュ、あれ? いつの間にハニービーの巣がメインになったんだ?

 休憩していたところから五キロメートル程奥に行ったところに巣はあった。食事している時もちらほらハニービーを見ていたが、基本的には日本ミツバチと一緒で温厚な魔物なのだが、巣に危険が及ぶと集団で襲ってくるためとてつもなく危険な魔物なのだ。

 見た目は三十センチメートル程の大きさなので、一匹一匹ならFランクの冒険者でも問題ないほど弱いのだが、それが数千匹も襲ってくるので危険度はBランクを超えAランクに匹敵することもあるのだ。

 毒針も魔石も他の素材も大したことが無いため人気のない魔物だが、巣だけは危険以上に見返りの多い戦利品になるので、見つけたら複数のパーティーで共同して採取することがあるようだ。

 だけど俺たちの場合は最硬の盾であるシュリがいるのだ、何も怖れる事はない!

 シュリの装備している防具は、金属鎧で頭以外の全身を隙間なく覆っているドレスアーマーなのだ。軽量化のエンチャントを着けているのだが、動きも阻害されておらず早く動けるうえに固いシュリにダメージを与えられるハニービーはまずいないだろう。

 相手にする魔物が単体ではFランクの魔物になるので盾は必要ないと判断して片手剣の二刀流にしていた。

 シュリが挑発をするタイミングに合わせて、俺とイリアは事前に決めておいた、ウォーターネットをシュリの周りに展開して、抜けようとすると絡みつくような性質の魔法にしている。

 その結果シュリに近付くこともできずに不時着する形でハニービーたちが地面に転がった。あれ? これってわざわざ殺す必要なくね? ってことで、シュリに挑発を維持してもらい、ウォーターネットに引っかかってもらい地面へ転がしておく。

 しばらく進むと巣が見えてきた。ハニービーの巣を初めてみたが、三十センチメートもある蜂なんだから巣もでかくなって当たり前だよな。直径十メートル以上ある巣が複数存在していた。

 ただウォーターネットに絡まれて俺たちに絡んでくるハニービーは極わずかであった。巣には女王蜂、クイーンハニービーがいるので、ついでに拉致してダンジョン農園へ連れて帰ることにした。

 思った以上に楽な仕事だったな。今回はイリアの提案からのウォーターネットだったので、知らない所で知識を蓄えて成長を実感した日だったな。
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