ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第317話 森を越えて見たモノは!

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「うめー!!」

 先ほど釣り上げて倒した魔物を試食していた。鑑定してみた結果、毒性や寄生虫はいないとわかったので刺身で食べてみたのだ。川魚なのに、なぜか美味かった。味の確認のために食べてみただけなのだが、びっくりしたな。

 ドロップ品には毒のものはあるけど、寄生虫は分類すると生物になるのでドロップ品にはついていないのだ。だけど、しばらく放置された生肉、生魚肉には寄生虫がいる事があるので注意が必要だ!

 魔物だから川魚といっていいのか微妙だが、海魚のような味わい深い印象な上に、川魚のような淡白? で透き通った味までする不思議な魚だった。普通の魚介や召喚できる海の魔物の肉は食べていたが、ここまでおいしい魚は初めてだった。

 ランクの高い魔物だったのだろうか? 魔物を釣り上げて倒すといった経験が、今回が初めてなので何とも言えないが、あいつのフィールド、水の中で戦えばそれなりに強い魔物だったのだろう。

「予想外に美味かったこの魚もう少し取っていきたいと思うけどいいかな? 後、隷属魔法をかけて支配下に置きたいけど、釣り上げて陸の上に打ち上げれば隷属魔法きくかな?

 今さっき水の中にいたやつに試してみたけどはじかれちゃったんだよね。Aランクに近いだけの何かを持っているってことだと思うんだけど、どうなんだろうな?」

 妻たちは、釣りあげてから考えようという事になったらしく、釣りに参加するメンバーにスキルを覚えさせてLv十までサクッとあげてしまう。タンクのメンバーは、釣り上げた後の処理をするらしくフル装備になっていた。チェインでひきつけて倒すなり無効化するなりするのだろう。

 釣り糸を垂らして三十秒、一匹目のあたりがあった。釣り上げる前にさらにもう一匹のあたりも出て糸が絡まる寸前だったが、1匹目のあたりを引いたソフィーがシェリルに手伝ってもらって一気に釣り上げた。体格のせいか、ステータスを十分に活かしきれていない印象が見られた。

 釣りあげられた魚、デンジャーランドロックトサーモンという名前だった。確かに危険だけど、どう見てもサケじゃないんだが!?

 ヤマメもサケ科の魚だけど、違うんだよ! 見た目がもうね、『や ま め』なのだ。

 釣りあげられたデカヤマメはメルフィに押さえつけられていた。年少組の釣った魚だから年少組のタンクでおさえたのかな? エレノアがおさえられて、ぴちぴちしているデカヤマメを武器の先でちょんちょんつついていた。

「ってかここまで大きい魚って、ディストピアならそこそこ見る事ができるんだけど、この世界でなかなか見ることできないもんな。興味があるのかな? でも今から隷属魔法使うからメルフィから離れて。うん、釣り上げたら隷属魔法はきくっぽいな。じゃぁDPで作った生け簀に入れといて」

 次々に釣りあげられる、デカヤマメの活きのいいやつを選んで隷属魔法をかけていき最終的に三十匹ほど隷属魔法をかけて、五十匹ほどは魚肉になっていただきました。

 何処から湧いてきたのかすごい量のデカヤマメが釣れたが、最後に釣り上げた一匹を境に全く反応もなくなったので野営の準備を始めた。

 今日の夕食はもちろん! デンジャーランドロックトサーモンである! てんぷら、刺身、フライ、マリネ、ホイル焼き、クリーム煮etc。味は違うけど、サーモンと付いていたのでサーモンに合いそうなレシピを端から試してみた感じだ。まぁサーモンじゃなくても大抵は美味しくいただけるレシピなので、全部美味しくいただきました。

 十三日目はそんなこんなで過ぎて行った。

 森に突入してからニ週間、十四日目にやっと森の外に到着した。

「何もねえな。目に見える範囲に街が無いのは、意外でもないか? 森の近くにいくつも街があるわけじゃないから、見えない場所にたまたま出てきただけだよね?」

「そうですね、その可能性が高いと思われます」

 ピーチの返答を聞いて少し考えていると、ピーチが色々指示を出していて気付いたら馬車まで準備されていた。森の中では出番のなかったウォーホースたちが、元気よく鳴いてまだかまだかとこっちをチラチラ見ている。お前たちよ、どこでそんな高等テクニックを身に着けたんだ?

 ウォーホースに急かされて馬車に乗り込んでいく。

 何処に向かっていいのか分からないが、森が東西にのびているので方向は変えずにそのまま北へ向かう事にした。森から離れて森を見ると不思議な感じしかしない。樹海は山を中心に円状に森があるし、ここの森はある人の手が入れられていないのに、境界線を境に森が途切れてほぼ直線に森の出口があるのだ。

 こういうのを見ると作られた世界なんだなと感じるな。神たちも無駄に手を込んでこんなものを作ってるんだろうな。遊ぶために遊ぶ道具を本気で作る、あいつらならやりかねないな。

『それほどでもないわよ、それにしても変な所に行くのね』

 うん、出てくると思ったよ。ほめてないから引っ込んでろチビ神。

『あっそ、じゃぁちょっとお風呂入ってくるから覗かないでよ』

 俺に覗かれるためには、もう少し成長しないとむりかな。

『ムキーッ! そのうちバインバインになってあげるんだからね!』

 今時バインバインとかないわ、邪魔だから風呂行ってこい。チビ神を追っ払ってから新たに考えごとに没頭する。

 チビ神から情報が無い事も気になるが、そもそもあいつは気まぐれだからな。ん? そういえばチビ神が変な所って言ってたな。どういう意味だったんだ? あいつらから見れば、普通に森を抜けて違う街に行くだけなはずなのにな。

 ここに移住した人間たちの街が世代遅れとか? 俺と同じ世界の人間がいるなら、建築の知識がなくてもある程度の物は作れると思うんだけどな。特にドワーフのように建築に強い人間がいれば、なんの問題もなく作れたりするのにな。

「ご主人様、街が見えてきましたが、なんて言っていいのか」

 御者をしているライラから声がかかったので、馬車の進行方向を見てみる。

「チビ神の言ってた事はこういう事か、確かに変な所に行くっていうわけだな」
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