ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第318話 不可解な街

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 みんな目の前に広がっている街の光景を見て絶句している。

「何があったらこんなことになるんだろうな、街全体が上から何かに押しつぶされて崩れている感じだ」

 何メートルあったか分からない城壁が、目算で三メートル程にまで押しつぶされ、上にあったと思われる城壁の部分は瓦礫として、残っている城壁の周囲に散らばっている。でも城壁の厚みを考えると不釣り合いな程瓦礫の量は少ない。

「街の中も上から押しつぶされているような形で崩れていますね。ご主人様ならこんな壊し方できますか?」

「どう考えても無理だろうな。例えば魔法で空気の塊を上空から押し付けてやればできるかもしれないけど、ここまで広範囲の街を押しつぶすには、準備にどのくらい時間がかかるか、魔力が足りるかも分からないな。

 何より瓦礫の量が明らかに少ないし、いつこうなったか分からないけど、人間の骨が風化する程長い時が立っているわけでもないのに、一切生物の痕跡がないのにこんな状態にする事は俺には無理だな」

「広範囲に結界を張ってそれを上からぶつけたらできないの?」

「ネルたちにはきちんと説明してなかったっけ? 結界は発動させたら動かせないんだよね。だから移動中には探知結界を張ってなかったんだよ」

 俺の返答に三幼女がそろって『へぇ~』と言って何か納得をしていた。

「そういえば、ここにつく前にチビ神から連絡があったんだけど、変な所に行くんだ見たいなことを言われたんだ。で、この景色を見て納得したけどここ一つだけなら、あのチビ神もそんなこと言わなかったと思うんだ。

 おそらくだけど、森から北はどこもこんな感じになっている可能性が高いと思う。それを踏まえて考えてほしいんだけど、DPを解禁して周辺の街まで掌握しようと思うんだけどどうかな?」

 ピーチはというより年長組・年中組は賛成しているが、年少組は全員『探検のニオイがする』とかなんとか言って自分たちで見て回りたい様子だった。

 カエデ・ミリー・リンドの姉御組(今急にひらめいたので今からそう呼ぼう!)は、探検したいけど危険があるかもしれないから、最低でも森まで撤退してからいろいろ考えようとの事だった。

 しばらく悩んでから、姉御組の撤退してから考えるということに決めた。

 すぐに街を出て森の中へ入っていく。森の中に入る理由は、ダンジョンを作ってその中に退避することに決めたので、入り口が見つけにくいように森の中へ入ることにしたのだ。入り口をカモフラージュしておけば問題ないだろうということになった。

 誰かが入ってくればすぐわかるけど、踏破される危険性を考えてダンジョンの1階は水路の迷宮にして水中行動できない者達は船を使うなりしないと移動できないものを作った。そのうえで、新しく召喚できるようになったデビルフィッシュ、大半がBランク中位相当の魔物を水路に解き放っている。

 大半がBランク中位というのも、デビルフィッシュ、悪魔の魚って言えばいいのか? 十匹召喚すると十匹違う姿で強さもバラバラなのだ。ドロップするものも一匹一匹別々なのかも気になったので、落ち着いた後に試すと、デビルフィッシュの身をドロップするのだが、みためはほとんど変わらない。ほぼ一緒の物だろう。

「これで一息付けるな。でも期待してきたのにこれはないよな。せっかく召喚された人間たちが作った街に来れるかと思ってたのにな。いや、街には行ったけど人がいなかったし街もほとんど壊れてたからな、俺の望んだものとは違うんだよな」

 ブツブツ呟きながらダンジョンマスターのスキルでエリア掌握をしている。知らない人間がみたら完璧にやばい人だ。だって、ブツブツ言いながら何もない場所に指でつついているように見えるんだからな、日本にいたら絶対に近寄らないタイプの人間だな。

「五個程街を掌握してみたけど、どこにも人の気配がないね、死体や街の建物まではどうなっているか分からないけど、地面には瓦礫が散乱しているね。全部が全部こういう状態じゃないと思うけど、ほぼ全部の街がこうなってるんじゃないかと思う。

 DPをもっと使えば他も掌握できるけどどうしよっかな。正直無駄なDPを使って同じ状況を確認するのも、意味ないかなって思うんだ。映像が洞窟や建物型ダンジョン内しか見れないのが残念だよな~」

「シュウ、だからと言ってここにとどまっておく選択肢はないよね?」

「そうだなカエデ、進むにしても戻るにしてもここに留まるのは愚策だからそれはないな」

「私的には、原因を知っておきたいわね。今は森から北だけがこういう状態だけど、これが王国や聖国までならいいけどディストピアまでくる可能性があるなら、何か対策を考えないといけないからね」

 そうか、ここだけで起きてる奇怪な現象が、俺の街で起こるなら話が変わってくるな。最悪全員ダンジョンの中に退避すれば、何とかなりそうだからまだいいかな?

 カエデは、というより妻全員が他の国は、どうなっても構わないような雰囲気である。聖国は宗教的なあれで一般人も救いようのない奴が多いけど、王国は正直一般人まで巻き込まれても関係ないと思うほどではないんだよな。特に一時でも住んでたフレデリクとリーファスの住人には死んでほしくない人もいるしな。

「そうだよな、でも何が起こったか分からない場所で、再度起こるかもしれない不可解な現象がある中で調査は行えないかな。みんなの安全もあるしね」

「シュウ、ちょっと頭が固くなってるわよ。あなたは何? その持っている力でできる事は?」

 カエデは、今言った言葉が俺の中に浸透するのを待って再度口を開く。

「あなたはダンジョンマスターなのよ、その力でいろいろできるじゃない。ある程度知性のある魔物を召喚して、そいつらにビデオカメラでも持たせて街の風景をとってきてもらえばいいのよ。リアルタイムでとは言えないけど、街があんな状態なら一日くらいは誤差の範囲でしょ」

「そうか! 自分たちや他の人間を使うんじゃなくて、使い捨てても多少のDPしかかからない魔物を使えばいいのか? それなら、カメラもDPで多少改造して、ニ匹でコンビ組ませて、片方に通信機をDPで改造したのを持たせておけば、リアルタイムの映像を見れるし指示も出せるな」

 追加された俺の案を聞いてカエデはウンウンと何かを納得するように満足げな顔をしている。
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