ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第330話 クリスタル割ってやんよ

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 拍手の余韻にひたる事もなく、ニ射目・三射目を撃つ。

「確か普通のスナイパーライフルは、放物線を描く弾丸の軌道に合わせて距離を決めてそこがスコープの真ん中になるように合わせてそこから自分で調整するはずなのに、このロックオンは付与魔法のためかその効果が切れるまで本当にまっすぐに飛ぶな。レーザーポインタの場所に着弾するんだからすごいよな。スコープも直線で合わせられるようにしておけば問題なさそうだな」

 色々考えて撃たなくても銃弾がまっすぐ飛ぶのだから簡単に当てられるな。地球の軍隊や警察にいるスナイパーが泣くぞ。

「ご主人様、誰が撃ってもあたるの?」

 銃に興味を持った三幼女が俺に近寄ってきてそんな質問をする。

「そうだな、ロックオンであれば、文字の意味通り狙い撃ちだな!」

 俺の言葉を聞いて三人が目を輝かせている。これは、撃ちたいって事だろうか。さすがに打たせるにはまだ早いから、先手をうっておかないとな。

「とはいえ、この世界で銃を使うのは俺だけ! 自力で開発されない限りは使用禁止だよ。ピースも威力的には微妙だったしね。アダマンタイトの銃弾でもシュリの使っているような大盾だとはじかれるし、普通の弾丸だとフルプレートや、ある程度硬度のある鱗のスケイルメイルだとはじかれるだろうからな。シェリルなら普通に殴り倒したほうが強いと思うぞ」

 そうなんだ! と言って三人は銃に興味をなくしたようだ。まぁ、今持ってるロックオンでアダマンタイト製の弾丸を撃てば五キロメートル以内ならアダマンタイト以外の物質で、防具程度の厚さであればほぼ貫通するんじゃないかな? アダマンタイト製の防具なら吹っ飛ぶかもな。わざわざ教えるつもりはないけどね!

 さて、雲の中心にあるクリスタルを撃ち落とす道具はできたな。後は、どうやってみんなを納得させてあのクリスタルを撃ちに行くかだよな。

「みなさん、今ご主人様はクリスタルを撃ちに行くのに、私たちをどうやって説得しようか考えている所だとおもいます」

 するどい! っていつものパターンだからバレバレなのかな?

「本当は止めていただきたいのですが、みなさんも知っての通り、こうなったご主人様を止める事はできません。なのでどうやって守り切るのか会議をします!」

 なんか俺を置いて妻たちが会議を始めた。どうするのが一番安全か、何があっても対応できるかを、一生懸命考えてくれるようだ。

 考えてくれるようだって、他人事みたいに言うなと思うだろうけど、俺が口をはさむと怒られるから決定した事に従うしかない状態なのだ。いつの間にか上下関係が中途半端に逆転してる気がする? あれ、でも俺の身の安全を第一に考えるのは今も昔も一緒か。

 一時間に及ぶ会議が終わった。結論はこんな感じだ。

 前提として、雲の近くにダンジョンを作り逃げ道を確保しておく。ダンジョンはおよそニ十メートル程地下にある程度広い空間で長距離作成する事。そして、
一、銃を撃つのはダンジョンの中から

ニ、射程ギリギリの位置からの射撃

三、銃を撃つ場所は馬車の上から

四、不測の事態があった場合は即刻馬車を走らせて離れる

 これが俺に課せられた決まり事だ。前衛組は大盾を持って不意の攻撃をガードする役目で後衛組は結界を重ね張りをする予定だ。

 まぁ楽しみは半減するけど、みんなの不興を買ってまで無理を通すつもりはないので、この条件でもありがたい物だった。とりあえず説得しなくて済んだのはよかった。

 やる事が決まるとテキパキと準備が進みあっという間に出発となった。戻ってきた時と同じ道を使っておよそ三日半かかって雲の所へ到着する。時間がかかったのは以前見つけた場所より遠かったためだ。

 まずは狙撃場所の作成からだな。おおよそ直線距離で四五〇〇メートルの位置に、狙撃ポイントを作成してした。この位置を簡単にあらわすならニ十メートル地下から地上にのびる階段があって、階段の出口の先に雲の中心のクリスタルがある感じだ。

 みんなも配置についたようなので、撃ってもよさそうだ。じゃあ俺も準備するか、弾丸はもちろんアダマンタイト製の弾丸だ。レバーを引いて弾丸を装填する。

 使うスコープはDPで魔改造したもので、天体観測用にでも使えそうなレベルの物で4km以上離れているのにくっきりクリスタルの姿が見える。けどさ、遠すぎるからちょっと揺れるだけでも視界からクリスタルが消えてしまう。なので載せる台をDPでカスタムして召喚して、狙いやすくした。

「じゃぁそろそろ撃つけどいいかな?」

 ピーチが頷いて許可を出してくれた。

 クリスタルをスコープの中心に入れて、ファイア!

「あれ? 壊れなかった? 当たって何かが砕けたと思うんだけど」

 高性能カメラでクリスタルを映している見ると、クリスタルは健在だったがまわりの水晶が一個減っていた。

「まわりをまわっていた水晶がクリスタルを守ったようだな。後三発撃てば周りの水晶は排除できるから、まずは丸裸にしてしまおう」

 一射目と同じようにスコープの中心にクリスタルをあわせて……撃つ! 撃つ! 撃つ!

 一射撃つ毎にまわりの水晶が砕けてキラキラ光って少し幻想的な光景に見える。

「じゃぁ最後撃つよ、何が起きるか分からないから注意してね」

 スコープにおさめて、ふぅ、何かめっちゃ緊張する! 落ち着け、撃つだけだ! ファイア!

「クリスタルに当たったけどヒビが入っただけだっぽい。もう一射するよ!」

 深く息を吸い込んでから吐き出す。狙撃をする人ってこういうようなプレッシャーを感じて撃ってるのかな? 遊びでやってる俺のプレッシャーとは別物だよな。レバーを引いてトリガーに指をかける。

 カチャッ

「……弾丸五発しか入らないんだった、弾倉を入れ替えるの忘れてたわ。じゃぁ気を取り直して撃つよ」

 いや~恥ずかしい、まさか弾切れとはね。さて撃つぞ! ファイア!

「おっしゃ! クリスタル壊れた! みんな警戒を! 外映してる映像も確認するんだよ!」

 ん? 何か頭に流れ込んでくるような感覚が? 次第にその流れが強くなっていき頭痛がし始める。うめき声をあげるとみんなの視線が集まるのが分かるが、それ以外の声をあげる事が出来なかった。頭痛は強くなる一方だったのにふっと痛みがなくなって、視界が暗転する。
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