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第332話 現状確認と報告
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目が覚めてニ時間ほどして妻たち全員が泣き疲れて眠ってしまった。相当心配かけたんだろうな、少なくとも馬車でディストピアまで三日はかかるので、倒れてから三日以上は経っているだろう。
その間ずっと寝てただけとはいえ、体は生命活動を維持しているので色々な生理現象は起こるのだ。目覚めて思ったのは『めっちゃ腹減った』という事だろう。
ただ泣き付かれているのに『お腹すいた』なんていう空気を読まないことは言えないし、落ち着くまで待っていたらニ時間も経っていた。
そういえば便所とかどうしてたんだろ。回りを見て固まる。もしかしてメンバーを変えて一日中俺の看病をしてくれていたってことか? 排泄の世話とかしてもらっていたのだろうか? そう考えると顔が沸騰する程熱くなるのを感じた。
いくら夜にチョメチョメといったことをしていても、排泄の世話はやっぱり恥ずかしいのだ。病院に入院して、尿道にカテーテル入れられる人より恥ずかしいだろう。意識がなかったとはいえ……
みんながすやすや眠っているので、起こさないようにベッドから降りて窓際にある机に腰を掛ける。腹減ったな。シルキーたちに何か作ってもらうか?
といっても誰かが起きた時に俺がいなかったら、また騒ぎになりそうだ。誰かおつかいに行ける奴はいないかな。部屋の角でスライムが押し競饅頭をしていたので、ニコを呼んでメモをシルキーたちの誰かに届けてもらうようにお願いする。
メモを受け取ったニコは赤スライムにメモをそのまま渡して、プルプルして何か伝えているような感じだった。様子を見ていると、ニコ以外のスライムがドアの方へ向かっていき部屋の外へ出ていった。残ったニコはというと、俺の頭の上によじ登っていた。
懐かしい感覚だ。ハクを抱いてニコを頭の上にのせて移動させてたのを思い出すな。そのことをニコに話すと高速でプルプル震えだした。これは喜びを表しているのかな? こいつにも心配かけたから、しばらく好きなようにさせておくか。
そういえばハクはどうしたんだろうな? 俺が糞尿垂れ流すのが臭くて離れたか? まてよ? スライムだったらなんでも金属や石なんか以外は消化するんだったよな?
もしかしてニコたちの誰かが俺の下腹部にスタンバってた? それならそれで恥ずかしさは減るけど、ニコたちに迷惑かけたってことになるよな。考えるだけで頭が痛いな。
のんびりしていると、スカーレットを先頭にアマレロ、ミドリ、コバルトのシルキーズが現れた。すごい良い匂いのする食べ物を持ってきてくれたようだ。
「ご主人様、起きられてよかったです。お食事を持ってきました。消化にいいメニューとなっていますので味が薄いと思いますが、我慢してください。可能な限り塩分とかが濃くならないようにしながら、出汁などで味を調整してます」
スカーレットが涙ぐみながら食事を出してくれた。一品目は小さいお椀にゆし豆腐が出てきた。醤油をたらして無いようだが、出汁の味がよくとてもおいしかった。
次に出てきたのは、普通にみそ汁のお茶碗位の器で柔らかく煮たうどんが出てきた。かつおだしがきいていておいしかったが「しっかり噛んで食べてくださいね」と言われた。
他に何品か出てきたが全部おいしかった。さすがシルキーたちだな。塩分や脂分を控えても、これだけおいしい食事を作るんだから助かるな。
「みんな、ありがと。とってもおいしかったよ。次の食事もまた頼むね」
お礼を言うと『これが私たちの生きがいなので気にしないでください』と言われた。そういわれても、おいしい食事を作ってもらったらお礼を言うのは当たり前だよな。
お腹がいっぱいになってリクライニング式のソファーで目をつぶってくつろいでいたら、お腹の上に重さを感じた。ハクにしては重い感じがするけどと思い目をあけると、ハクが俺のお腹の上に鎮座していた。
「ハク、お前ちょっとおっきくなってないか?」
大きさを表すと腕の中に納まるサイズだったのが、若干はみ出るくらいのサイズになっていた。俺の記憶がおかしくないなら、気絶する前は腕の中に納まるサイズだったはず。この数日で何があったんだろうな?
突っついたり撫でたりして戯れていると、妻たちが目を覚まし始めた。ベッドに俺がいないことが分かると、周りをキョロキョロして俺を見つけて安堵の笑みを浮かべている。みんなが起きてくるまでに何があったのかを聞いておこう。
話をまとめるとこんな感じだ。
一、倒れてから今日で六日目
ニ、俺が意識を失う前はうめき声をあげていた
三、声が消えると同時に意識がなくなったらしい
四、あそこにいるよりはディストピアに帰った方がいいと判断
五、ウォーホースを魔法でドーピングして一日半で帰ってきた
六、今日まで看病をしていた
いろいろな方向から話をされたが、おそらくこんな感じだろう。まぁ大体意識が無くなる前は俺の覚えていることと変わりはないな。
全部聞き終わったころには娘たちが全員起きていたので、今度は俺に何があったかを説明を始めようとすると、意識を失ってた時の事を覚えているのかと驚かれてしまった。ので、かいつまんでだが何が起こったのかを説明する。
理解はしてもらえたようだが、新たな疑問が浮かんできたらしく質問された。
今回得た経験値で精神が進化したのであれば、どう変わったのか? という疑問だ。それは俺にもわかっていない。俺のレベルが上がったわけでもなく、身体能力が強くなったわけでもないのだ。
他のダンジョンコアを奪取した際に、ダンマスのスキルや召喚リストが更新されたのでそれかと思いダンマスのステータスを表示しても何が増えたか分からなかった。
召喚できる魔物が増えたのかな? 最近見てなかったから魔物を倒して増える召喚は、見ていなかったので増えたかもよくわかっていない。
くそチビ神め! 肝心なところを説明していかなかったな。つるペタだから脳のしわまでつるペタじゃないよな?
『ちょっとあんた! 何失礼な事言ってるのよ! 胸だって多少はあるし、頭だって悪くありません! 説明していないんじゃなくて、私たちも神のダンジョンを攻略したダンマスや勇者がどうなるかなってわからないのよ。起きる現象はランダムだけど、絶対に悪い方への進化はないから安心しなさい、それとこれ以上失礼なこと言ったら潰すからね!』
ん~お前の胸でつぶされてもさすがに硬いから勘弁願いたい。
『ムッキー! 「バナナでも食うか?」食べないわよ! デジャビュだわ。疲れたから帰るわよ』
あら? 戦意喪失で帰ってしまった。まぁいいや、妻たちにはどういった進化が起こるか分からないけど、何の問題もないことを伝えると安心してくれた。
その間ずっと寝てただけとはいえ、体は生命活動を維持しているので色々な生理現象は起こるのだ。目覚めて思ったのは『めっちゃ腹減った』という事だろう。
ただ泣き付かれているのに『お腹すいた』なんていう空気を読まないことは言えないし、落ち着くまで待っていたらニ時間も経っていた。
そういえば便所とかどうしてたんだろ。回りを見て固まる。もしかしてメンバーを変えて一日中俺の看病をしてくれていたってことか? 排泄の世話とかしてもらっていたのだろうか? そう考えると顔が沸騰する程熱くなるのを感じた。
いくら夜にチョメチョメといったことをしていても、排泄の世話はやっぱり恥ずかしいのだ。病院に入院して、尿道にカテーテル入れられる人より恥ずかしいだろう。意識がなかったとはいえ……
みんながすやすや眠っているので、起こさないようにベッドから降りて窓際にある机に腰を掛ける。腹減ったな。シルキーたちに何か作ってもらうか?
といっても誰かが起きた時に俺がいなかったら、また騒ぎになりそうだ。誰かおつかいに行ける奴はいないかな。部屋の角でスライムが押し競饅頭をしていたので、ニコを呼んでメモをシルキーたちの誰かに届けてもらうようにお願いする。
メモを受け取ったニコは赤スライムにメモをそのまま渡して、プルプルして何か伝えているような感じだった。様子を見ていると、ニコ以外のスライムがドアの方へ向かっていき部屋の外へ出ていった。残ったニコはというと、俺の頭の上によじ登っていた。
懐かしい感覚だ。ハクを抱いてニコを頭の上にのせて移動させてたのを思い出すな。そのことをニコに話すと高速でプルプル震えだした。これは喜びを表しているのかな? こいつにも心配かけたから、しばらく好きなようにさせておくか。
そういえばハクはどうしたんだろうな? 俺が糞尿垂れ流すのが臭くて離れたか? まてよ? スライムだったらなんでも金属や石なんか以外は消化するんだったよな?
もしかしてニコたちの誰かが俺の下腹部にスタンバってた? それならそれで恥ずかしさは減るけど、ニコたちに迷惑かけたってことになるよな。考えるだけで頭が痛いな。
のんびりしていると、スカーレットを先頭にアマレロ、ミドリ、コバルトのシルキーズが現れた。すごい良い匂いのする食べ物を持ってきてくれたようだ。
「ご主人様、起きられてよかったです。お食事を持ってきました。消化にいいメニューとなっていますので味が薄いと思いますが、我慢してください。可能な限り塩分とかが濃くならないようにしながら、出汁などで味を調整してます」
スカーレットが涙ぐみながら食事を出してくれた。一品目は小さいお椀にゆし豆腐が出てきた。醤油をたらして無いようだが、出汁の味がよくとてもおいしかった。
次に出てきたのは、普通にみそ汁のお茶碗位の器で柔らかく煮たうどんが出てきた。かつおだしがきいていておいしかったが「しっかり噛んで食べてくださいね」と言われた。
他に何品か出てきたが全部おいしかった。さすがシルキーたちだな。塩分や脂分を控えても、これだけおいしい食事を作るんだから助かるな。
「みんな、ありがと。とってもおいしかったよ。次の食事もまた頼むね」
お礼を言うと『これが私たちの生きがいなので気にしないでください』と言われた。そういわれても、おいしい食事を作ってもらったらお礼を言うのは当たり前だよな。
お腹がいっぱいになってリクライニング式のソファーで目をつぶってくつろいでいたら、お腹の上に重さを感じた。ハクにしては重い感じがするけどと思い目をあけると、ハクが俺のお腹の上に鎮座していた。
「ハク、お前ちょっとおっきくなってないか?」
大きさを表すと腕の中に納まるサイズだったのが、若干はみ出るくらいのサイズになっていた。俺の記憶がおかしくないなら、気絶する前は腕の中に納まるサイズだったはず。この数日で何があったんだろうな?
突っついたり撫でたりして戯れていると、妻たちが目を覚まし始めた。ベッドに俺がいないことが分かると、周りをキョロキョロして俺を見つけて安堵の笑みを浮かべている。みんなが起きてくるまでに何があったのかを聞いておこう。
話をまとめるとこんな感じだ。
一、倒れてから今日で六日目
ニ、俺が意識を失う前はうめき声をあげていた
三、声が消えると同時に意識がなくなったらしい
四、あそこにいるよりはディストピアに帰った方がいいと判断
五、ウォーホースを魔法でドーピングして一日半で帰ってきた
六、今日まで看病をしていた
いろいろな方向から話をされたが、おそらくこんな感じだろう。まぁ大体意識が無くなる前は俺の覚えていることと変わりはないな。
全部聞き終わったころには娘たちが全員起きていたので、今度は俺に何があったかを説明を始めようとすると、意識を失ってた時の事を覚えているのかと驚かれてしまった。ので、かいつまんでだが何が起こったのかを説明する。
理解はしてもらえたようだが、新たな疑問が浮かんできたらしく質問された。
今回得た経験値で精神が進化したのであれば、どう変わったのか? という疑問だ。それは俺にもわかっていない。俺のレベルが上がったわけでもなく、身体能力が強くなったわけでもないのだ。
他のダンジョンコアを奪取した際に、ダンマスのスキルや召喚リストが更新されたのでそれかと思いダンマスのステータスを表示しても何が増えたか分からなかった。
召喚できる魔物が増えたのかな? 最近見てなかったから魔物を倒して増える召喚は、見ていなかったので増えたかもよくわかっていない。
くそチビ神め! 肝心なところを説明していかなかったな。つるペタだから脳のしわまでつるペタじゃないよな?
『ちょっとあんた! 何失礼な事言ってるのよ! 胸だって多少はあるし、頭だって悪くありません! 説明していないんじゃなくて、私たちも神のダンジョンを攻略したダンマスや勇者がどうなるかなってわからないのよ。起きる現象はランダムだけど、絶対に悪い方への進化はないから安心しなさい、それとこれ以上失礼なこと言ったら潰すからね!』
ん~お前の胸でつぶされてもさすがに硬いから勘弁願いたい。
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