ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
344 / 2,518

第344話 ゴーストタウン攻防戦4ラウンド

しおりを挟む
「終わった結果だけ見れば圧勝だったのに、ゾンビレギオンに攻撃を受け止められれるなんてな。そこじゃないか、受け止められたことで硬直したのがいけないよな。シュリが助けてくれなかったら、死ななかったにしても重傷を負う可能性は高かったよな」

 ゾンビレギオンがドロップに変わっていくのを見て、後悔の言葉を口にしている。

「シュウ、後悔も反省も後回しだよ! まだスカルレギオンにノーライフキングがいるんだよ、ここで足踏みしている暇はないよ!」

 カエデに喝を入れられ、他のメンバーに慰められていたが、ピーチだけは『私達にあれだけ油断するなって、言ってたのにご主人様ったら』とぐちぐち言われてしまった。

 反省している所に言われるとこたえるな。

「みんなごめん! 今度から気を付けるよ。もっと訓練しないとな、でも今は残りの魔物の事を考えよう!」

 気を取り直すように大きな声を出して気分を入れ替える。

「連戦すると大変ですので、ここで一回休憩を入れましょう。食事を準備しますので、食べてからスカルレギオンの方を倒しましょう」

 ピーチがそういうと収納アイテムから次々と椅子や机などを取り出し食事を並べていく。

 今日のメニューは、サンドイッチやハンバーガーのパンを使ってはさんだ料理が多かった。初めて食べたランプレドットという、牛のモツを煮込んでトロトロになった物をパンにはさんだものを初めて食べたけど、なんか不思議な味だけど美味かった! シルキーたちが俺の好みの味に作っていたのでそう感じているのだ。

 分断させるのに時間がかかっていたので、思っていたより遅くなっており俺も妻たちも、従魔も全員が無言で食事をぱくついていた。シルキーたちの食事がおいしいせいもあるが、体が疲れていて空腹だったのが最高のスパイスとなった形だろう。

 全員が食べ過ぎてしまうくらい勢いよく食べていたので、自分を含め何とか食べ過ぎないように注意を促して何とか食べ過ぎずに済んだ。残りニ体いると俺に注意していたカエデも食べ過ぎそうになっていたので、ばつの悪そうな表情をしていた。

 食べてすぐ動くわけにもいかないので、体力回復を図るために一時間ほど睡眠をとることにした。守りは疲れ知らずの人造ゴーレムだ。

 そういえばこいつらをレギオン本体に突っ込ませればよかったんじゃないか? スカルレギオンの時は試してみるか。こいつら同士の連携は万全なので圧倒してくれる可能性が高いな。なぜ思いつかなかったし、俺!

 一時間たっぷり寝た俺たちは、気力が充実していた。自分で考えているより消耗していたんだな。最高のコンディションとまではいかないが、かなり調子のいい状態だ!

「さて、次はスカルレギオンだね。ゾンビレギオンと同じレギオンだけど、Lv七〇〇を超えてるから気を引き締めよう!

 俺も何度も死にかけそうな思いはしたくないしな。生み出してくる敵の強さも、スカルの方が強いから注意しないとね。基本戦術はゾンビの時と同じで行くよ!

 本体を攻めるのは、後衛と俺たちのパーティーがやるから、他のメンバーは湧いてくる敵の排除と、シュリのカバーをしてくれ! 今回は初めに沸いている雑魚を俺の魔法で吹っ飛ばしてから、一気に本体に畳みかけるよ」

 作戦の確認をした後に、リンドとミリーが妻たちを集めていろんな割り振りを決めていた。俺はのけ者か?

 スカルレギオンの待つ部屋へつながる通路へと入っていく。部屋にたどり着くまでに何匹もスケルトンがわいていたので、扉を開けようと頑張って扉に近付いた時に、通路に沸いた奴らの残りだろう。

 腕型ゴーレムに命令して扉を開けると、広い空間には大量のスケルトンがいた。ちなみに、レギオンから生み出されたモノたちは、魔石を持たないので魔物ではない。密集しすぎてマップ先生に表示させても正確に数えれず、何匹いるのかマップ先生では数える事が出来ないのだ。

 こう見た感じだと、ゾンビレギオンが召喚していた数より多いのは間違いないだろう。Lvも一〇〇ほど高いわけだし当たり前か。

 まずは数を減らす所からか、初手は俺が今まで温存してきた大魔法を使う手はずになっている。その後にライムたち後衛による、俺の魔法の影響を消すための魔法を放ち、本体との距離を一気に詰める!

 みんなに守ってもらっている間に俺は魔法の構築を行っていく。魔力の九割以上を消費して使う魔法なので、本体にもそれなりのダメージを与えられると思っているが、三分ほど全力で魔法を構築すると完成した!

「じゃぁ後衛組以外は指定の結界よろしく! いくよ! 【フレア】」

 フレアは、太陽の活動を元に作り出した魔法だ。水魔法と雷魔法で水素を大量に発生させて、疑似的に小さな太陽を作って、それを爆発させる魔法だ。所詮人間だと思う俺の身でできる事なので、小さな太陽というのも語弊がある。

 原理として言えば、大爆発を起こして敵を殲滅する魔法だ。ただユニークスキルの結界が無いときに作った魔法なのだが、周囲への被害も大きいうえに、防御魔法が使えないと自分も瀕死になるくらい、危険な魔法だという事が分かって、今まで封印されていた魔法だ。

 作り出された水素が圧縮されていき、火の魔法で作られた爆炎魔法と一緒に解放される。閉め切られた空間での爆発なのでひらけた場所での爆発の何倍もの威力の爆炎が結界の外で吹き荒れている。

 六枚ほど結界が吹っ飛んだが、俺たちには何の影響もなかった。

 目の前に現れたのは、溶けてマグマ状になっている床とそれに耐えきったスカルレギオンだ。想定よりダメージが少ない気がするんだが、俺はめまいがしてその場で足をついてしまった。

 大量の魔力を消費してしまったためだ。立ち上がり収納の腕輪に入れておいた、Sランクのマナポーションを取り出して一気に飲み込む。

 今回使ったSランクのマナポーションは一本で五〇〇万DPもする一品だ。DPがあふれている俺でも、普段使いはためらってしまうほど高額の代物だ。これ一本でそこそこランクの高いダンジョンが一つできてしまうほどだ。

 自分たちではCランクまでしか今の所作れないマナポーションは、そのランクの物は飲んだ瞬間に魔力が回復するのだが、俺の魔力量の一割程度の魔力しか回復できないのだ。

 それに対してBランク以上になると、飲んだ瞬間にも回復するが、持続的に回復して合計すると三割、Aランクで五割、Sランクで八割ほど回復するのだ。

 マナポーションを飲んだ俺は、めまいもほとんど収まったので目の前の状況を確認する。

 マグマ状だった地面が、ゴツゴツしているが冷えたため固まっていた。天井もマグマ状になって壁を伝って流れていたマグマ状のものも冷えて固まっている。

 後衛陣のやったことは簡単だ。部屋を氷魔法で冷やしただけだ。俺は複数の属性の魔法を使ったのに対して、後衛陣は三人で分担したうえに部屋を冷やすため、単一属性だったので負担が少なかったのだ。

 部屋の中心には地面に足の埋まっているスカルレギオンがいた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...