ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
407 / 2,518

第407話 お前からの仕事はいらん!

しおりを挟む
 やってしまった……みんなで開始したためか、歯止めがきかずに徹夜。その上、次の日も食事をして、すぐにゲームにみんなで没頭してしまった。

 現在五日目、誰もブレーキをかけるものがいなかった事、一ヶ月は俺たちがいなくても、ディストピアが問題なく回る事、衣食住の心配をしなくてもいい事などが重なり、俺たちはゲームをやりすぎてしまっているのだ。

 さすがに今のままは拙いと思い、夕食時にみんなに注意することにした。

「みんな、俺も人の事言えないけど、いまの状況は拙いと思うんだ。いくら問題ないからと言って、ゲームばかりしている状態は健全とは言えない! だから、オンラインゲームができる時間を決めようと思う! 異論は認めません! しっかり働いてしっかり遊ぶ事にしよう」

 もっと抵抗があるかと思ったが、極一部(綾乃)以外は何もなく話が進んでいった。

「オンラインゲームができる時間は、平日は十八時から二十四時、土日は終日OKという事にしようと思う」

 反対意見は、極一部(綾乃)以外からは出てこなかった。

 この世界における一週間は、地球と同じ七日間なのだが、この世界の人間には休日という考えがないらしく、年中働いているのだ。王都とかにある学校には、休日は存在しているようだが、それ以外では基本的に休みたい時に、数日休むというアバウトな感じであった。

 ディストピアでは日本と同じように、月火水木金土日と一週間の日付に曜日をつけて分かりやすくした。扱いは日本と同じで、月火水木金の五日間を平日と定義して、土日を休日と便宜上言っている。今の所使っているのは、俺たちか学校に通っている子供たちだけだ。

 農家や冒険者が多い世界で、休日はつくっても意味が無いのだろう。農閑期の様な時期はあるだろうが、基本的に働けば働いただけお金になるような形で、娯楽が少なければ仕事しかすることは無いもんな。

 だからディストピアの人たちに、休みの概念を伝えるのは困難だったので、今のところ住人には自由にしてもらっている。その代り子供たちの勉強は大切なので、平日の十時から十六時までの六時間は、必ず学校へ来させるようにしている。

 中には人手が! といって子供に働かせようとしていることがあるので、そういうのを発見した際には、厳しく注意している。本当に人手が足りないのであれば、違う労働力を準備なんかもしているのだから。

 いかんな、話がそれた。

「綾乃は、ぎゃーぎゃー言う前にまず働け。ここに来てまだまともに働いてないだろう? 反対意見を言うのは、仕事をしっかり始めてからだな。今さっきまでの様な意見であれば、仕事してても却下だけどな」

 綾乃はこの世の終わりと言わんばかりの顔をしていた。地球でのことはよく知らんからあれだけど、おそらく地球にいた頃より、充実した生活を送っていると思うんだけどな。それなのに文句を言うかこいつは。

「今日がちょうど金曜日だから、後二日は全力で遊んで、来週から仕事を頑張ろう! と言う事で解散!」

 夕食も終わり、土日は遊べるという事になったので、みんな食事の片付けをして入浴しに行くようだ。すること済ませてから遊ぶって事だろうな。俺もみんなに合わせて、この時間にお風呂に入ってしまうか。

 この家の男風呂を利用するメンバーなんて、俺、レイリー(久々に出てきたが今は軍の総指揮官の立場にいて兵士達をしごいているそうだ)、ノーマンにガルドの四人しかいないので、いつでも快適に入れる。女風呂は、男風呂の十倍は大きく作っているので、混雑もないだろうけどな。

 あ、そういえばたまに男風呂に妻たちが入ってくるから、四人ってわけじゃないか? 痴女とかいう意味じゃないぞ? 基本はレイリーがいなければ、何の問題もないみたいだから、隙をみつけては入ってくるからな。精霊はお爺ちゃんみたいだから、気にしないと言われていた気がする。

 そんなこんなで、あっという間に土日が過ぎてしまった。

 月曜日の朝を迎え食堂に行くと、一人足りないな。何となく予想はしていたけど、ここまで見事に的中すると笑えん!

 裏口から外に出て、綾乃を呼びに行く。

「綾乃! 早く起きて食堂に来い!」

 部屋の扉をちょっと開けて、

「働きたくないでござる」

「ござるってなんだよ。どこのニートだ。別に働かなくてもいいけど、働かないならさすがに、ゲーム機とか全部取り上げるからな?」

「ん~すがすがしい朝だね! こんな日は仕事が楽しくなるってもんよ!」

「めっちゃ曇ってるけどな! 綾乃にとっては、これがすがすがしい朝なのか? それより、仕事をする気になってくれてよかったよ」

 すごく不本意! と顔に書いてあるような表情で、部屋から出てきた。さて飯だ飯!

「みんなは今日、何するんだい?」

「私たちはみんな、自分の持ち場に行くつもりですね。わかりやすく言えば、私なら学校、アリスやライムは魔道具開発、ってところでしょうか。他にも勉強を教えるのが得意なメンバーは全員、学校の臨時教師をやっていますよ」

 知らなかった事実が判明した。アリスとライムは何となくわかっていたけど、他のメンバーで知っているのは、三幼女だけなんだよな……俺の監視。それ以外のメンバーって教師をやってたりするんだな。他にも何をしているか気になるな。今度機会があれば見学に行ってみるか。

「今日俺がする事って、何かあったりするかな?」

「ご主人様の仕事ですか? ご主人様は指示を出す側なので、自由でいいのではないでしょうか?」

 えぇ! そんなこと言われても、することがないのは困るな。綾乃、俺をうらやましそうな顔で見るな! 俺は一番偉い人で、金(DP)を稼いでるから問題ないんだよ!

 金がなければ召喚して、給料出すんだから問題ない! 今まで給料払うのに、召喚したことないけどな。だって、カザマ商会の稼ぎがやばいからな。

「ご主人様は、私たちと街を散歩……じゃなくて、視察しに行くのです! そうすれば、それがお仕事になるのです!」

 シェリル、本音が出てるぞ! 俺と散歩したいだけなのか? それにしても、毎日これだとすることなくて、またどっかに冒険に行きたくなるな

『ちょっとあなた、そろそろ仕事しなさいよ!』

 おっとチビ神の登場だ。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...