ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
420 / 2,518

第420話 二十五階に到着

しおりを挟む
「さて、領主への報復はこんな感じで問題ないかな?」

「殺してしまうのは、むしろ楽にしてしまう事なので、その辺が妥当だと思います」

 昼食後の領主への報復内容会議の結果、殺すことなくもっと長く苦しむ方法で、対応することが決定した。スカルズたちの出番が多くなるようにしたので、若干ウキウキしている空気を出していた。

「ちょっくら最下層まで行きますか。予定では、中層の手前の予定だったけど、可能なら中層のできれば下側まで行こう!」

 冒険者ギルドで売っていた地図には、二十六階までの地図しかなかったので、できるだけこの地図が有効な場所の最後まで行って、明日は下層を制覇するつもりだ。可能ならコアまでたどり着きたいところである。

 迷賊から聴取して、この下には自分の仲間がいない事は確認している。簡単にあしらわれているため弱く感じるが、こいつらも冒険者として活動していれば、中層での活動も問題ないレベルだ。

 実際、普通に冒険者活動もしているようだが、俺たちみたいな……俺とレイリーを除いた全員、妻たちを捕まえれたら相当いい金になると判断して、非常呼集をかけていたそうだ。

 こいつらの事なんてどうでもいい。こいつらとは別に、迷賊のようなことをしている集団が、いないことを祈るだけだ。

 昼食を食べてからのダンジョン進行は早かった。六階から十三階までの七階を、二時間ちょっとで踏破した。

 十三階にいたボスは、オーガ三匹とオークジェネラル七匹の合計十匹だった。

 こいつらもそこそこの経験値になるので、手早く両手両足を切断してから、ブラウニーたちに攻撃させてみた。

 ステータスを考えると、こいつらに苦戦することは無いと思うのだが、何せ体が小さく戦闘向きの精霊ではないため、慎重に現状を把握するためにこういう風に、抵抗できないようにしてから攻撃させてみた。

 結果は、子供が戯れ交じりに二メートルを超える巨体を殴って、宙に浮かすような攻撃をしていた。

 それに対してブラウニーたちは、私たちは強い! と調子に乗り出しそうだったので、デコピンを全員にくらわして黙らせておいた。こいつらは放っておくと調子に乗るから、くぎを打っておかないといけないんだよな。

 綾乃はそれを見て、ワナワナしていた。自分よりはるかに小さいブラウニーたちが、自分より上手く武器を扱っているのだ。嫉妬に似た視線を向けている。

 十四階からの敵は、ゴーレムとドール系なのでブラウニーたちには、片手鈍器ソードメイスのようなものと、片手盾バックラーみたいなものを渡して戦闘へ参加させる。

 ブラウニーたちは普通に空を飛んでいるので、装備が重たくても大丈夫なのかを、確認してから召喚した武具だ。ちなみに重くてもステータスが上がったブラウニーたちには、何の問題もなかった。軽いと鈍器の効果が半減するからな。

 それにしても小人が空を飛びながら、色々な方向から鈍器で殴りつける光景って。精霊ってそれでいいの!? って気持ちになるんだけどどうなん?

 年少組は「つよーい」とはしゃいでいるが、立体起動的な動き方でボカスカ殴っているのは、確かに防ぎにくくて強いけどさ……違うんだよ! こいつら武器系のスキル以外で、何が欲しいか聞いたらそろいもそろって、隠密系のスキルを希望しやがったんだよ。

 それが今現在目の前で行れれている、気配を消しながら殴ってまた気配を消して殴る。ウッドゴーレムやロックゴーレム、ウッドパペット、ロックドールがなすすべなくやられている。

 ファンタジーな精霊が、古代ローマのコロッセオで戦っていた剣闘士ばりの武器を、自分より数倍大きい敵に対して行っているのだから……確かに強いけど、さすがにこれは調子に乗りすぎだよな。

 今まで戦闘系の精霊以外は戦う事が、ほとんどなかったのだろう、そのせいで悪戯好きでお調子者の精霊ははっちゃけている。今日の夕食後にでも、もっかい釘を打っておかないとな。

 今はできるだけ下層を目指さないと。順調にレベルも上がってるし、今回の目的の一つは達成できそうだな。

 十八階に到達すると、アイアンゴーレム・アイアンドール等が混ざってきた。ロックゴーレムに比べると、動きはそこまで早くならないが、力と耐久力が段違いに高くなる。

 Lvが上がり、能力向上でステータスが上がり、気配を消しながら飛んで攻撃している、ブラウニーたちには大した違いはなかったようで、ロックゴーレムやロックドールの様に倒されている。耐久力が高いため、それなりに時間はかかっていた。

 十三階から四時間ほどで二十三階に到着した。後三階でボスの階層に入る所まで来た。十九時を過ぎていたが、二十五階まで降りる事を選んだ。

 大きな理由として、この階層からレア魔物というほど稀ではないが、出にくい魔物としてミスリルゴーレムやミスリルドールが出てくるので、冒険者の数が多いので敵の密度が少ないのだ。戦闘を回避して進めるので助かる。

 二十五階の休憩場所に到着するまでに、行った戦闘の回数は四回。大部屋で二回、通行中の小部屋で急に湧き出して、二回の戦闘をしていた。

 その中にミスリルゴーレムが四体も出てきていたため、周りのパーティーにうらやましそうな目で見られていた。欲しいならあげたいとこだけど、それをすればまた違うトラブルになるからな、すまんな!

 二回の内一回、まだ俺たちが攻撃していないが、俺たちの獲物という距離のミスリルゴーレムだけ、ヘイトを奪って獲物を横取りして攻撃する、横殴りという行為をされた。

 どうしようか迷いながら戦闘をしていると、それを見ていた他のパーティーから物言いが入って、ボロクソに言われていた。以前にもしたことがあるようで、ペナルティーをくらったようだ。ドンマイ!

 そいつらが倒してドロップしたミスリル鉱石は、俺たちの取り分になったが、ここまでしてもらって丸々手に入れるのは気まずかったので、ドロップしたミスリル鉱石の六割を物言いに入ってくれた、二パーティーに半々ずつプレゼントしておいた。

 これで味方になってくれるなら安い物だしな。正直ミスリルは減って来たけど、DPでも召喚できるし、ヴローツマインのダンジョンに潜ればすぐに集まるから、全部渡してもよかったんだけど、さすがに辞退されてしまったので三割ずつ渡している。

 さて、休憩場所として使われている大広間に到着した。結構な数のパーティーが野営の場所を確保している。見た感じ八個ほどの集まりがあったので、その位はこの階にパーティーがいるのだろう。

 場所の確保をする際に、注意しなきゃいけない事を近くの人に聞くと、空いている場所ならどこでもいいけど、あまり近いと文句を言われるようだ。それに各パーティー毎に夜番の人間を出さないと、ここが使えなくなる可能性があるとの事だった。

 お礼にさっきの残り四割のミスリル鉱石の内、半分ほどを情報料として渡したら、ついでに野営をするならあの場所がいいと勧めてもらった、壁際の場所にテントを張ることにした。中央は夜番の人たちが集まる場所なので、テントは建ててはいけないそうだ。

 ここにテントを建てているパーティーは半数が昼間、半数が夜間狩りをしているそうだ。ここ以外にも、もう一ヵ所休憩ポイントがあって、同じような感じだそうだ。

 夕食を食べている時に、情報を共有しておいた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...