ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
421 / 2,518

第421話 ダンジョン内での取引

しおりを挟む
 夕食も終わり先程情報をもらった人へ、何時頃から夜番の人間を出すのかを教えてもらいに行く。先程のミスリルの鉱石がきいているのか、教えてもらえた。

 何時というのは決まっておらず、寝る時間近付いてきたら、人を出せばいいとの事だった。何たるアバウトな……

 久々に夜番のある野営だな。みんなで順番を決めているとレイリーが、

「シュウ殿、男が二人しかいないので、儂とシュウ殿で半々に夜番に参加して、他は四組に分けて四分の一ずつ参加してもらいましょう」

 確かに男がいないと、余計なトラブルに巻き込まれるかもしれないしな。綾乃は馬車移動の時に、依頼していた素材出してくれたかな? ダンジョン内では、戦闘に参加できないとわかっているので、大人しかったから存在を忘れてたわ。

「そうだな、レイリーには迷惑かけるかもしれないけどよろしくな。俺が先に夜番に入りたいんだが、問題ないか?」

「大丈夫です。ディストピアでも良く夜番をしていますし、問題ありませんね。色々指示を出し終えたら、先に休ませてもらいますね」

「了解。休む時は、ブラウニーたちが用意した、馬車のベッドを使っていいぞ。寝る時間が短い分、質の良い眠りをとってくれ」

「ありがとうございます。遠慮なく使わせていただきます」

 俺は、綾乃に確認しに行くか。

「綾乃、道中で頼んでた素材出してもらえたか?」

「あ~、もちろん出しておいたわ。余裕があったから、依頼された分の倍くらい準備してあるわ、この通り!」

 おぉ? 綾乃がしっかり仕事してるな! しかも多めに素材を出してくれてるみたいだ。

「お~助かる。綾乃は夜番しなくていいから、もう一個の紙に書いてあった素材を出してから、寝てもらっていいか?」

「もちろんいいわよ。でも、私は夜番に参加しないでいいの?」

「素材生み出すのに多少無理をしてもらうから、しなくていいよ。みんなには俺から言っておく。それと、ブッ君出してくれ。いくつか欲しいって言ってた本追加しておくから」

 綾乃からブッ君を受け取って、小説の情報をDPで購入していく。綾乃から受け取った素材を収納の腕輪にしまっておく。夜番の時に錬金と調薬をしようと思っているので、道具も収納のカバンから取り出しておく。

 キッチン馬車と俺の寝室馬車はテントの中において、他のパーティーから見えないようにしている。見つかれば、余計な詮索をされそうなので隠しているのだ。

 テントの中も見せられるものではないんだけどな。だって、テントの中は家の中か? と思う程立派なベッドと、寝具が置いてあるからな!

 俺はそんな自分のパーティーのテントを見ながら、部屋の中央と自分たちの野営エリアの丁度半分ほどの位置に、垂れ幕のないテントを建てている。

 ダンジョンの中ではないので必要ないのだが、一応自分たちのエリアと示すように、テントを張って錬金や調薬用の機材を置いている。

 ここまで来れるパーティーなら、収納の腕輪や収納のカバンは持っているだろうが、そこまで大容量の物は少ないようで、荷物を運ぶためのポーターも連れてきている。

 夜番の時間が来たので、俺たちのパーティーからは、俺を含めた五人が夜番についた。一応顔合わせみたいなようなものがあったので、呼ばれて挨拶をしている。今日一日だけ休んで、明日はもっと下を目指すと話をしておいた。

 どのパーティーも、自分たちのエリアに近い所で待機している。時々魔物が生まれてくるが、人の近くではなく、少し離れた場所に魔物が生まれてきていた。ダンジョンの魔物がポップする時って、人のいない所にわくのかな?

 他のパーティーより近くに沸いた時は、俺たちが対応しているのだが、俺たちの近くに沸いてくる魔物の半分が、ミスリルゴーレムなのだ……こんな時に俺の幸運三セットが、発揮されるのはやめてほしい。たまに気付かないふりをして、隣のパーティーに譲ったりした。

 その中でも俺は魔物討伐に足を向けずに、一生懸命錬金術と製薬を行っている。少し離れた所には、ブラウニーたちが用意してくれた夜食があるので、たまに口に入れてモグモグした。

 そのブラウニーたちは、すでに就寝している。サンタの帽子のようなものを色違いでかぶって、ワンピースのようなパジャマを着て寝ている。

 他のパーティーのメンバーが、何をしているのか気になるようで、時々声をかけてくる。

 何をしているのか? とか、俺の妻の事とか、俺自身の事とかいろいろだ。

 各パーティーのリーダーが今俺の作っている物が、BからCランクの魔法薬だとわかると、売ってくれと交渉してきた。八個あるパーティー全員が集まってきたため、どうしようか悩んでしまう。なにせ魔法薬の値段が分からないのだ、どうすっぺかな?

 ダンマスのスキルで召喚した時は、どのくらいDPがかかるのだろうか? と思いいじっていると、ふと思いついた。確か一DPで銀貨一枚、一〇〇〇フランだったな。Bランクの回復ポーションは、三〇〇〇DP、三〇〇万フラン程するらしい……髙くね?

 Dランクの回復ポーションは三〇〇DP、三〇万フラン程らしい。回復力としては、下のランクの倍くらいの回復量が、上位の回復ポーションになるそうだ。

 だったら安い回復ポーションを大量にとも思ったが、使いすぎると中毒になってしまうそうだ。一時間に三本以上飲むと、反対にダメージを受けてしまうらしい。

 ここに来て初めて知ったよ。だからランクが上がると、値段が跳ね上がっていくそうだ。ランクが低くて回復が間に合わない事もあるため、ある程度強くなってくると何本かは、高位の回復ポーションを持ち歩くそうだ。

 ちなみにAランクの回復ポーションで、およそ二〇〇〇万フラン程するらしい。小さい家なら家が三軒は買えるんじゃねえか? このランクだと瀕死でも、助かるレベルまで回復できるそうだ。部位欠損も治せるので、このくらいの値段になるのだとか。

 Sランクを超えてくると、瀕死でもシングル冒険者でもなければ、完全回復するらしい。ただ部位欠損して時間が経ってしまった際には、エリクサーのある程度ランクの高い物が必要になってくるとの事だ。

 で、俺の作っている回復ポーションが、BランクとCランクだったため、是非売ってほしいと色仕掛けまでされてしまったよ。全力で俺の妻たちが守ってくれたので、何の問題もなかった!

 別に売るくらいなら問題ないから、Bランクなら一本四〇〇万フランでパーティーに二本まで、Cランクなら一二〇万フランでパーティー六本までという事にして売り出した。

 八パーティーのリーダーは、即決でBランク二本、Cランク六本、一五二〇万フラン分を購入していった。二十万は端数にして、切り捨てて一五〇〇万ちょうどで売った。

 地上でも、ここまで安く売ってる場所はないとの事だ。ここで儲けるつもりはないけど、無駄に稼いでしまったな。それより、ここを拠点にしているパーティーなら、このくらい即決で買えるだけのお金を持ってるんだな。悩んでBランクを一本くらい買って、終わりだと思ってたのにな。

 購入した後、さすがに自分たちがいい思いをしすぎていると、追加でお金ではなくミスリル鉱石を持ってきた。どのパーティーも同じくらいで、みんなで話し合って持ってきたのだろうか? 大体200万フラン分の鉱石だ。

 その後は、レイリーが起きてくるまでせっせと、エリクサーのDランクを作っていた。これによって、やっと錬金術と調薬のLvが八になった。

 長かったな。素材があれば、回復ポーションならSランク作れるのかな? Lvが足りないと破裂したりするんだよな。今度試すかな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...