ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第556話 最強の敵……黒い悪魔現る

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 二十階層からのスタートだ。

 俺等から見たら雑魚も雑魚なんだが、三十階あたりまで到着して気付いたことがあった。おそらくだが、似たような階層で出てくる魔物の種類は変わっていないと思う。

 違う階だと強さが変わってくるので、潜れば潜るほど同系列の魔物で、ランクが高いのも追加されてLvの高い物が出てくるのだと思う。ただLvだけが高くなっているわけじゃなく、スキルもある程度強くなっているようなのだ。

 どうやって生み出される魔物のLvやスキルLvを、調整しているのかが理解不能のだったので、かなり興味がある。Lvを調整できるんだったら、無理にランクの高い魔物を配置する必要がなくなるからな。その方法が気になるので、奪取できればLvの高い魔物を、どうやって配置しているか知りたいものだ。

 ボリュームゾーンというだけあって、二十から四十階の間では多くのパーティーと遭遇した。確かに多かったけど、予想しているよりは少なかったので、三十五階付近にいた男女混合パーティーに、昼飯を提供する代わりに話を聞いてみた。

 冒険者たちは、ここに狩りや採集に来ているから、正規ルートを外れた場所で狩りをしているとの事だ。

 聞いてみればその通りだ。俺たちは地図を見て一直線に階段を目指しているのに対して、ここへきている冒険者たちの大半は、狩りや採集しに来ているのだから当たり前だ。聞いてみないと分からない事もあるもんだな。

 ちなみに、男女混合パーティーの女性たちは、汚いものを見るような目で俺の事を見ていた。普通、俺のパーティー見れば、そんな顔になってもおかしくないよな。

 女を侍らせて女に戦わせる、下種野郎に見えてもおかしくないよな。でもそれは誤解なんだよ! と俺が言わなくても、妻たちがしっかりと説明してくれたので、誤解は解けたと思う。

 それにしても、今更だけど男からも女からも、負の視線を向けられる状況にあることに気付いた。妻たちが優しくしてくれるから負けない! ってか男の視線は完全に妬みだから、気にするのは良くないな。

 四十階付近で活躍している人たちは、レベル50付近だと思われる。そう考えると活動している階層から十位上のレベルの冒険者が活動している気がするな。必然的に三十から五十位のレベルの人間が多いってことは、戦争になった際圧倒的に歩兵にあたる戦力の質と数が多いことになるな。

 ここで完結しているから、外に興味がないのか攻め込んだら大国相手にしても、三割位は国を切り取れそうな気がするけどな……

 といっても、この世界の戦争、戦闘で最も怖いのはレベル三〇〇を超えてくる、規格外の存在だろう。そのいい例が俺たちだろう。フレデリクとリーファスでは、圧倒的な戦力で両兵士ともボッコボコにしたからな。

 最終的には、シングルの冒険者やそれに準ずるレベルの兵士等がどれだけいるかが、最終的な指標になってしまうのかな? そう考えると、やっぱり大国は強いな。

 王国は大分戦力が落ちたが、俺らにけしかけてきた奴隷兵が一ダースもいれば、本来街一つ落ちてもおかしくない戦力だったから、それを退けて皆殺しにした俺たちってやばい気がするわ。

 男女混合パーティーのメンバーから聞いたけど、四十階以上でも戦える実力がありそうなのに、行かないのはどうしてかと聞いた所、四十一から四十四階には、この世界でも嫌われている、黒い悪魔がいるそうだ。どういうことか分かるだろうか?

 壁に張り付き、空を飛ぶあの悪魔だ。どれだけレベルが上がろうと、どうにもできない気持ち悪さがあるあいつが、たくさんいるそうだ。間違えてはいけないのは、部屋とかに出てくるあのサイズではないのだ。

 あの黒い悪魔の魔物で、一匹のサイズが五十センチメートル程あるのだ。それを聞いた時に俺は、このダンジョンの攻略を諦めようとしたくらいだが、嫁たちは最高の環境で生活しているが、かつては奴隷だった事も影響してか、黒い悪魔を見ても全く動じないため、進む事が決まってしまった。

 話の流れからわかる通り、俺・ミリー・カエデ・リンドは、この階層ではあまり役に立たないと思われる。進んでいて分かった事は、従魔たちはそもそも黒い悪魔を見ても、ただの魔物という認識のようで、猫が黒い悪魔にするようにパンチ等をして退治していた。

 そしてニコたちスライム組は、まとわりついて捕食しているような絵面になっていた。おなか壊すから食べちゃダメ!

 黒い悪魔の人気が無いのは見た目だけではなく、ドロップ品も悲惨だったからである。黒い悪魔の脚肉とか、黒い悪魔の薄羽とか、黒い悪魔の触覚とか、黒い悪魔の胸肉とか、ダレトクだよ! そもそも脚肉とか胸肉っていうけど、黒い悪魔に肉なんてあったか? 考えるのも怖いわ!

 黒い悪魔のドロップで、唯一価値があるといってもいいものは魔石だけだろう。でもな、俺だけじゃないと思うが、黒い悪魔からとれた魔石を使いたくない。どんな用途に使っても、魔石は魔石だから需要はあるそうだ。同じランクの魔石より多少安くなるけどね。

 俺たち四人は、カサカサ聞こえるたびにビクビクしていたが、他の妻たちが倒してくれるので、本当に頼もしい。惚れなおしてしまったよ。

 黒い悪魔地帯を進んでいる俺は、ドンドンと精神がすり減ってきた。一日もこんなところにいれば、何かが壊れるのは仕方がないよね。ある瞬間にもうどうとでもなれと、俺の心がシャウトした。

「みんな、この周辺に他の冒険者の気配はあるか?」

 全員が首を横に振った。クロやギンの鼻も使い、イリアの精霊魔法で風の精霊を呼び出して気配がないかまで確認している。

「汚物は、消毒だ!!!!!」

 心の叫びを解放して、火魔法を使用した。イメージとしては、火炎放射器なのだが、規模が全く違う。メギドのダンジョンのレッドドラゴンのブレスのように、数百メートルをかけぬける炎だ。

 魔法を使って気付いたのだが、ドロップ品になるから死体は残らないのだ。初めから範囲魔法で焼き尽くすなりして、進めばよかったことに四十四階で気付いた。

 ちなみに四十五階にいたガーディアンは、三メートルくらいある黒い悪魔に、お供の一メートル級の黒い悪魔が付き添っていた。もちろん見た瞬間魔力が枯渇する勢いで消毒してしまった。

 それから一週間は夢でうなされる事になり、年長組のみんなに腕枕をしてもらいながら、寝る事になったのは別の話。
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